「プロセス指向心理学というのは、
アーノルド・ミンデルという心理学者が提唱したもので、
睡眠中に見る夢と、それによって生じる象徴的なパターンを持った身体的な体験や症状、
つまり《プロセス》との関連の研究から始まった」。
「夢からの影響による現実世界での身体の変化、
または身体から夢への影響、そういったもので」ある(p.122)。
-
また哲学者ニック・ボストロムは
「惑星あるいは宇宙全体をシミュレート可能な高度な文明が存在すると仮定するなら、
我々の感じている現実は、そのシミュレーションの中にあるという証拠と可能性が充分にある
という懐疑主義的な仮説」を唱えた(p.141)。
「ネイピア数や円周率のような超越数の中に隠されていると信じ込んでいる人もいる」(p.242)。
-
さて、主人公・淳美の日常から
現実と非現実がその境界を失っていくのは
「昏睡患者との意思の疎通を行う技術」センシングの副作用かと思ったのですが・・・。
終盤数十ページに至って漸く荘子の含意に思い致るような鋭敏ならざる私は
或いはこのジャンルには相応しからぬ読み手なのかも知れませんが
(何せ読書量年間300冊前後の内、小説は2桁に達することはまずなかろうという人なので)、
しかしその分淳美の心に寄り添い、感情移入し、
次々に明かされていく真実に彼女と一緒に衝撃を受ける、
というのは「相応しからぬ読み手」に許された僥倖なのかも知れません。
-
最も心を打たれた箇所は
真っ赤な野球帽を被った小さな男の子が
「大好きだった首長竜の背に乗って、どこか遠くへ」去って行く幻影の中の光景でした。
意識とは何か、という間歇的に湧き起こる問いに改めて直面させられる作品です。
-
表紙では昏睡患者のベッドが宙に浮き、
天井のない病室に広がるマグリット風の青空をプレシオサウルスが悠々と泳いでいます。
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【映画化】完全なる首長竜の日 (『このミステリーがすごい! 』大賞シリーズ) 単行本 – 2011/1/8
乾 緑郎
(著)
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『チーム・バチスタの栄光』(海堂尊著)以来の選考委員即決、第9回『このミス』大賞受賞、乾緑郎(いぬい・ろくろう)のデビュー作! 著者は、朝日時代小説大賞でも『忍び外伝』で大賞を受賞。新人賞2冠を果たすという大型新人の登場です。
少女漫画家の和淳美は、植物状態の人間と対話できる「SCインターフェース」を通じて、意識不明の弟と対話を続けるが、淳美に自殺の原因を話さない。ある日、謎の女性が弟に接触したことから、少しずつ現実が歪みはじめる。映画「インセプション」を超える面白さと絶賛された、謎と仕掛けに満ちた物語。
少女漫画家の和淳美は、植物状態の人間と対話できる「SCインターフェース」を通じて、意識不明の弟と対話を続けるが、淳美に自殺の原因を話さない。ある日、謎の女性が弟に接触したことから、少しずつ現実が歪みはじめる。映画「インセプション」を超える面白さと絶賛された、謎と仕掛けに満ちた物語。
- 本の長さ305ページ
- 言語日本語
- 出版社宝島社
- 発売日2011/1/8
- 寸法13.5 x 2.3 x 19.5 cm
- ISBN-104796679901
- ISBN-13978-4796679909
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商品の説明
著者について
乾 緑郎 (いぬい ろくろう) プロフィール
1971年、東京都生まれ。鍼灸師の仕事をする傍ら、劇作家として複数の劇団に脚本を書き下ろしている。『忍び外伝』(朝日新聞出版)で、2010年第2回朝日時代小説大賞も受賞し、新人賞二冠を達成。
1971年、東京都生まれ。鍼灸師の仕事をする傍ら、劇作家として複数の劇団に脚本を書き下ろしている。『忍び外伝』(朝日新聞出版)で、2010年第2回朝日時代小説大賞も受賞し、新人賞二冠を達成。
登録情報
- 出版社 : 宝島社 (2011/1/8)
- 発売日 : 2011/1/8
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 305ページ
- ISBN-10 : 4796679901
- ISBN-13 : 978-4796679909
- 寸法 : 13.5 x 2.3 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 970,029位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 5,311位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年9月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
このミス大賞に失敗はない!と、このところ選んで読んでいます。気に入っていますが、これはまあまあの分類かな。
2011年11月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この作品は「虚構と現実」「意識と死」がテーマです。
あちこちで伏線が張られており、ネタとしても新しいものではないのでオチは予想がつくでしょう。
むしろ、「まさかこんな真相だとは思わなかった!」と思う人はほとんどいないと思われます。
序盤から、主人公の記憶の不自然さや回想の中にヒントが盛り込まれています。
登場人物のセリフはもちろん、明らかに不自然な人物の描写も多々あります。
それらを拾いながら、最後にどう結びつくか予想しながら読んで行くのは面白かったです。
それらに注意せず、愚直に読み進めるだけの方はおそらく中盤以降で混乱して楽しめないでしょう。
最後の最後に関して、納得いかない、蛇足だと感じる方もいるかもしれません。
解決したようで解決していない・・・不安な終わり方をしています。
しかしながら、私はこの終わり方こそが作者が読者に伝えたいテーマそのものだと思います。
主人公がこの後どうなるのか、救われるのか、そもそも真実だと思ったものが本当に真実なのか・・・。
真相にたどり着いたと安心した読者を再び「!?」に突き落とすことで、読者に解決しない疑問を与えています。
物語を結末させないことで、より読者に上記の作品テーマについて考えさせています。
ちなみに、作中において首長竜が恐竜として説明されていますが、これは間違いです。
あちこちで伏線が張られており、ネタとしても新しいものではないのでオチは予想がつくでしょう。
むしろ、「まさかこんな真相だとは思わなかった!」と思う人はほとんどいないと思われます。
序盤から、主人公の記憶の不自然さや回想の中にヒントが盛り込まれています。
登場人物のセリフはもちろん、明らかに不自然な人物の描写も多々あります。
それらを拾いながら、最後にどう結びつくか予想しながら読んで行くのは面白かったです。
それらに注意せず、愚直に読み進めるだけの方はおそらく中盤以降で混乱して楽しめないでしょう。
最後の最後に関して、納得いかない、蛇足だと感じる方もいるかもしれません。
解決したようで解決していない・・・不安な終わり方をしています。
しかしながら、私はこの終わり方こそが作者が読者に伝えたいテーマそのものだと思います。
主人公がこの後どうなるのか、救われるのか、そもそも真実だと思ったものが本当に真実なのか・・・。
真相にたどり着いたと安心した読者を再び「!?」に突き落とすことで、読者に解決しない疑問を与えています。
物語を結末させないことで、より読者に上記の作品テーマについて考えさせています。
ちなみに、作中において首長竜が恐竜として説明されていますが、これは間違いです。
2013年7月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
近年、読書から遠ざかっていましたが、映画を観て面白いと思い本書を読んでみました。
しかし、この両者は、同様の要素を使っているものの、登場人物の設定等も異なっており、別の作品であるかのように、先の展開を想いながら読み進めることが出来ました。
私は、映画も本書も両方とも好きです。
夢のような意識の中と現実との境界が混乱して来る「恐れ」のようなものを感じました。
しかし、この両者は、同様の要素を使っているものの、登場人物の設定等も異なっており、別の作品であるかのように、先の展開を想いながら読み進めることが出来ました。
私は、映画も本書も両方とも好きです。
夢のような意識の中と現実との境界が混乱して来る「恐れ」のようなものを感じました。
2014年3月20日に日本でレビュー済み
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うーん。
チーム・バチスタの栄光以来の医院即決というし、
映画化されるというし・・・
すごい期待して読んだんだよ。
でも・でも・だめだった・・
これは決してミステリーではないです。
真の抜けたSF?
まあ、なんにせよ人の好みはさまざまと思いますが。
これは正直「今年の最低」の更新かもなー
1円+送料250円とはいえ・・・時間損した気分w
チーム・バチスタの栄光以来の医院即決というし、
映画化されるというし・・・
すごい期待して読んだんだよ。
でも・でも・だめだった・・
これは決してミステリーではないです。
真の抜けたSF?
まあ、なんにせよ人の好みはさまざまと思いますが。
これは正直「今年の最低」の更新かもなー
1円+送料250円とはいえ・・・時間損した気分w
2011年5月19日に日本でレビュー済み
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結構話題として取り上げられていた作品だったので、読んでみましたが感想としては。。。。「え・・・終わり?」。私は一辺に集中して読む人ではないのでそのせいかもしれませんが、「この人は今現実の話をしてるのかな」って疑問に思いながら読んでいたので落ちがわかった時「やっぱり。。。」感が強かったです。描写に使う言葉のチョイスも単に想像して書いているって域を出てない気がします。期待しすぎたのかもしれません。。。
2014年7月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
映画と設定が違ってまた面白かったです。注意して読まないと主人公が現実世界にいるのか、幻覚の世界にいるのか分からなくなります(笑)
2014年2月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ありがちな内容で少し読めば先が読めてきてあんまり面白くなかった。