レヴィナスの思想は極めて難解であり、その解説もどうにも難解にしかなり得ない。本書のキモといえるのは第3章のエロス論についての言説であるが、そこで示される思想は内田樹先生の筆のもとであっても、なかなかに簡単に読みきれるものではない。したがって第3章へむけて、第1章、第2章は準備運動のごとく、まずは少しずつその思想の始まりから紐解いていく。概して本書は、その宣伝文書にある「レヴィナス入門書」と言えるような言えないような、しかし確かに「よく分からなくとも」、「どうにかこうにか」、「少しばかりは」レヴィナスの思想の美しさ、深さ、叡智の一端に触れ得る場を提供してくれる。
個人的には、
現代思想の冒険者たちシリーズ
でレヴィナスに興味を持ち、鷲田清一先生の
顔の現象学
も拝読し、
全体性と無限
そのもので挫折、そうしてようやく本書にたどり着き、少しばかりはレヴィナス思想の深淵を覗き見れた気がする。同様な経験をされた方がもしおられたなら、ぜひ一度本書を手に取られてみてはと思う。
内田樹先生、ありがとうございました。
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レヴィナスと愛の現象学 単行本 – 2001/12/1
内田 樹
(著)
- 本の長さ315ページ
- 言語日本語
- 出版社せりか書房
- 発売日2001/12/1
- ISBN-104796702369
- ISBN-13978-4796702362
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
絶対的な「師」との「終わりなき対話」を通して、その哲学の核心をなす「師弟」「他者」「住まい」「女性」「エロス」などの概念を明快かつ平易に解明する、きわめてユニークなレヴィナス入門。
登録情報
- 出版社 : せりか書房 (2001/12/1)
- 発売日 : 2001/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 315ページ
- ISBN-10 : 4796702369
- ISBN-13 : 978-4796702362
- Amazon 売れ筋ランキング: - 440,532位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 332位フランス・オランダの思想
- - 792位西洋哲学入門
- カスタマーレビュー:
著者について
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1950(昭和25)年東京都生まれ。東京大学文学部仏文科卒。現在、神戸女学院大学文学部総合文化学科教授。専門はフランス現代思想。ブログ「内田樹の研究室」を拠点に武道(合気道六段)、ユダヤ、教育、アメリカ、中国、メディアなど幅広いテーマを縦横無尽に論じて多くの読者を得ている。『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)で第六回小林秀雄賞受賞、『日本辺境論』(新潮新書)で第三回新書大賞を受賞。二〇一〇年七月より大阪市特別顧問に就任。近著に『沈む日本を愛せますか?』(高橋源一郎との共著、ロッキング・オン)、『もういちど村上春樹にご用心』(アルテスパブリッシング)、『武道的思考』(筑摩選書)、『街場のマンガ論』(小学館)、『おせっかい教育論』(鷲田清一他との共著、140B)、『街場のメディア論』(光文社新書)、『若者よ、マルクスを読もう』(石川康宏との共著、かもがわ出版)などがある。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年12月30日に日本でレビュー済み
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2018年5月21日に日本でレビュー済み
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かなり理解に何度がある思います。少し気が違ったように思われそうな文だと思いました。
2019年9月3日に日本でレビュー済み
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エロスとはイデアへの純愛のこと。
あるものを理想と想定する(みなす)ことで、それへの直向(ひたむ)きな愛(恋)から、実に豊かな実りがもたらされるようになる。
師に出逢えた者は幸いだ。
憑依、あるいはミメーシス(感染的模倣)により、知的に、情的に、霊的に、成長・成熟へと向かえるのだから。
弟子(師を恋する者)は、他者(師、恋人)とは何たるかを知るようになる。哲学の道を歩むようになる。
嗚呼、恋の力は偉大なり!
あるものを理想と想定する(みなす)ことで、それへの直向(ひたむ)きな愛(恋)から、実に豊かな実りがもたらされるようになる。
師に出逢えた者は幸いだ。
憑依、あるいはミメーシス(感染的模倣)により、知的に、情的に、霊的に、成長・成熟へと向かえるのだから。
弟子(師を恋する者)は、他者(師、恋人)とは何たるかを知るようになる。哲学の道を歩むようになる。
嗚呼、恋の力は偉大なり!
2022年9月30日に日本でレビュー済み
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難解といわれがちなレヴィナスですが、著者 内田さんのレヴィナス愛のおかげでだいぶ嚙み砕いた状態でその思想に触れることができました。
2013年4月13日に日本でレビュー済み
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師と弟子の関係の絶対性は「愛」というべきカテゴリーからは逸脱しており、読者としては「師弟関係の絶対性なくしては師の言説を理解することが出来ない」という拘束からは自由である。
どのような状況で師の言説が発せられたかを平明に解説して頂く方が読者としては理解しやすい。
どのような状況で師の言説が発せられたかを平明に解説して頂く方が読者としては理解しやすい。
2020年11月2日に日本でレビュー済み
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E.レビナスは何故難解、その理由をレビナスの言葉を内田樹流で解説しながら、レビナスの思想の核心に迫ってゆく。続編の「他者と死者」も読んだが、こちらも実に面白い。後書きの解説に、この本を読んだあと、レビナスに再挑戦したら、あら、なんと不思議、すらすら読めるではないかとあったが、そううまくはいかなくても、レビナス理解は確実に深まる。私の本棚に全体性と無限と並んでこの本が並ぶことは確実。面白く読める哲学解説書はそうざらにはない。
2019年2月11日に日本でレビュー済み
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かなり国語力が必要です
内田節の翻訳が好きです
ギリシャ神話や聖書の知識が
あればもっと楽しめると思いました
内田節の翻訳が好きです
ギリシャ神話や聖書の知識が
あればもっと楽しめると思いました
2018年11月2日に日本でレビュー済み
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内田さんの書かれる文章はとてもわかりやすく、引き込まれます。
この本を2回3回読むことでずいぶんと難解なレヴィナスが近くなった気がします。
ただ、私のような初心者にもわかりやすく、噛んで含めるように説明してくださる部分と、「この部分はそんな暇はない」と疾風のようにとおりすぎる部分があって、エロス論など、どうしてもわからない部分が残りました。
「ある概念が『何を意味するのか』が分からないままに『何かを意味しつつある』現場に私たちを召喚し、それに立ち会わせること」
内田さんが本書の中でおっしゃるとおり、それが「レヴィナス的なテクストパフォーマンス」なのかもしれませんね。
この本を2回3回読むことでずいぶんと難解なレヴィナスが近くなった気がします。
ただ、私のような初心者にもわかりやすく、噛んで含めるように説明してくださる部分と、「この部分はそんな暇はない」と疾風のようにとおりすぎる部分があって、エロス論など、どうしてもわからない部分が残りました。
「ある概念が『何を意味するのか』が分からないままに『何かを意味しつつある』現場に私たちを召喚し、それに立ち会わせること」
内田さんが本書の中でおっしゃるとおり、それが「レヴィナス的なテクストパフォーマンス」なのかもしれませんね。