「バットマン;アーカムアサイラム」で有名なグランド・モリソンの脚本による中編です。しっかり完結していますし 読み応えもあり、一読の価値はあると思います。
アートは、日本では「オールスター・スーパーマン」というよりは「NEW X-MEN」を立ち上げた事の方が有名なのではというフランク・クワイトリーです。「NEW X-MEN」で彼が考えたコスチュームデザインは、当時大変斬新なもので、現在のメンバーのコスチュームにもその名残を多く残しています。独特の緻密なアートは健在で、見応えはあります。コマ割りに関して、そのコンセプトを大層に後書きで述べられていますが、CGで強調されているとは言え、技法としてはどれも日本の漫画で使い古されたもので、これまで見開きを指定されているページを除いて、殆どのページの左右が入れ替わっても構わない形式でしか表現できなかったアメコミとは出版事情が異なるようです。この作品の映画化が頓挫している理由が、日本人なら読めば何となく分かるのではないでしょうか…。
ストーリーは、結構グロい表現もありながらも切なさを感じさせて、ラストは 切なくハートウォーミングな印象です。ただ、タイトルが似過ぎている事と、動物3体が主人公とあって、どうしても手塚治虫のW3(ワンダースリー)と比較されてしまうでしょうね…。W3では、宇宙人が地球の動物に姿を変えて…という設定なので、本作の主人公の実験動物とは根本的に違うのですが、表現が日本の漫画の影響を大きく受けているために、様々な日本の漫画の表現の寄せ集めの様に映ってしまうということは言えると思います。そういった点で少し辛口の評価にさせてもらいましたが、逆説的には、それだけ日本人にとって読みやすい作品であるとも言えます。
アラン・ムーアやニール・ゲイマン、フランク・ミラーなど、集中的に邦訳されて日本に紹介されたライターに続いて、「バットマン・アンドサン」「バットマン;ラス・アルグールの復活」など、ここへ来てグランド・モリソンの作品が次々と邦訳出版されます。ビッグタイトルだけでなく、こういったオリジナルだからこそ作家本来の持ち味が分かると思いますし、読後決して時間を損した気にはならない作品ですので、是非一読をお勧めします。

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WE3 ウィースリー (ShoPro Books) 単行本 – 2012/1/31
コミック業界を震撼させた『バットマン:アーカム・アサイラム』のグラント・モリソンによる衝撃的なグラフィック・ノベル。 米空軍最高機密研究施設では新たなサイボーグが開発されていた。それは、生体と金属とを組み合わせて設計された生物兵器で、“WE3”というコードネームをつけられた3体のプロトタイプだった。WE3には最新鋭の軍事用ハードウェアが組み込まれ、彼らは自律的でありながらも、忠実にして完璧に無慈悲な究極のスマート・ウェポンであった。だが、彼らが成功作だったとはいえ、所詮プロトタイプのため、テスト完了と共に解体されることになっていた。しかし、本来の感覚を呼び戻したWE3は、廃棄処分を前に脱走を試み、恐怖と混乱に満ちた外の世界へと飛び出していった。執拗な追跡者達に対し、WE3は戦いを挑むのだが……。 本書は、アメリカで発表されたオリジナルストーリーに新規画稿10ページを追加し、巻末に25ページ以上のラフスケッチやメイキング資料等を収録した『WE3 : THE DELUXE EDITION』の邦訳版です。
- 本の長さ143ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館集英社プロダクション
- 発売日2012/1/31
- ISBN-104796871047
- ISBN-13978-4796871044
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登録情報
- 出版社 : 小学館集英社プロダクション (2012/1/31)
- 発売日 : 2012/1/31
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 143ページ
- ISBN-10 : 4796871047
- ISBN-13 : 978-4796871044
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,085,134位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 402,763位コミック
- カスタマーレビュー:
著者について
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1963年大阪生まれ。関西大学工学部卒(工学修士)。南カリフォルニア大学映画芸術学部卒(M.F.A.)。主に英米のSF/ミステリ/コミックについて原稿を書いたり、翻訳をしたり。もしくは、テレビアニメのシナリオを書いたり、SF設定を担当したり。さらには、たまに小説も書いたり。最近はアマチュア・フィルムメイカーでもあり。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年2月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2012年3月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アメリカンコミックスはヒーロー物ばかりだと辟易しておられる方々にこそ、一度お読みになって
いただきたい作品です。日本語版の帯には「もうひとつのW3」とありますが、手塚治虫氏の
傑作SF漫画とはテーマも読後感も全く異なります。むしろ動物文学の名作「信じられぬ旅」の
SFアクション版と言うべき作品です。
「信じられぬ旅」については、これまで「三匹荒野を行く」、「奇跡の旅」などのタイトルで映画化
されており、ストーリーをご存じの方も多いのではないでしょうか。
本作では、軍の施設を脱走した戦闘用サイボーグの犬、猫、兎の逃避行が冷徹なタッチで
描き出されています。三匹の言動はそれぞれの種の特徴を伺わせていて、飼育経験者には
感情移入しやすいストーリーだと思います。
自分は猫を飼っているため、気まぐれでドライな2号のキャラクター描写に「そうそう、猫って
こんなだよなあ」と頷く場面が度々ありました。
動物たちに深く感情移入してしまうため、読み進めるうち、彼らの辿る運命の過酷さに
耐えがたくなってしまうかもしれません。動物が酷い目にあったり、残酷な描写が苦手という
方にはお勧めしかねますが、読んだ方には感動が得られる動物コミックの良作だと言えるでしょう。
日本の漫画とは異なる絵柄や独特のコマ割りで描かれていますが、ストーリーは明解で全編
120ページにも満たない作品ということもあり、比較的読みやすいと思われます。
いただきたい作品です。日本語版の帯には「もうひとつのW3」とありますが、手塚治虫氏の
傑作SF漫画とはテーマも読後感も全く異なります。むしろ動物文学の名作「信じられぬ旅」の
SFアクション版と言うべき作品です。
「信じられぬ旅」については、これまで「三匹荒野を行く」、「奇跡の旅」などのタイトルで映画化
されており、ストーリーをご存じの方も多いのではないでしょうか。
本作では、軍の施設を脱走した戦闘用サイボーグの犬、猫、兎の逃避行が冷徹なタッチで
描き出されています。三匹の言動はそれぞれの種の特徴を伺わせていて、飼育経験者には
感情移入しやすいストーリーだと思います。
自分は猫を飼っているため、気まぐれでドライな2号のキャラクター描写に「そうそう、猫って
こんなだよなあ」と頷く場面が度々ありました。
動物たちに深く感情移入してしまうため、読み進めるうち、彼らの辿る運命の過酷さに
耐えがたくなってしまうかもしれません。動物が酷い目にあったり、残酷な描写が苦手という
方にはお勧めしかねますが、読んだ方には感動が得られる動物コミックの良作だと言えるでしょう。
日本の漫画とは異なる絵柄や独特のコマ割りで描かれていますが、ストーリーは明解で全編
120ページにも満たない作品ということもあり、比較的読みやすいと思われます。
2013年4月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
絵は綺麗だし、構図は斬新だったりするがストーリーがない。
何の罪もない動物達が兵器に改造されて・・・って話なんだから泣かせる話になってしかるべきなのに泣かせ部分が皆無。
結局オチついた感がない。
残念。
何の罪もない動物達が兵器に改造されて・・・って話なんだから泣かせる話になってしかるべきなのに泣かせ部分が皆無。
結局オチついた感がない。
残念。
2012年3月6日に日本でレビュー済み
設定資料などを含めても140ページ程度なので
その薄さ(表紙は厚めなので高級感はあるのですが)からボリューム不足と見られがちです。
しかし、少ないページの割りに内容は濃いというか、
様々な展開が繰り広げられるので楽しめます。
絵も写実的でなかなか見ごたえがあります。
作中で使われている表現(技法)も、他のコミックでは見られないもので
動きの連続性や立体感のようなものを感じさせられました。
ただこれに関しては好き嫌いが別れると思いますが。
全体的なストーリーは結構淡々としたものですが
軍事兵器に改造されてしまったペットが野生の動物として生き延びようとする姿には
なかなか来るものがあります。
まぁストーリーから考えても予想できるように、
当然動物と人間が殺し合ったりするわけで、
人間はもちろん、野生の動物たちも惨たらしい死に方をするシーンが結構たくさんあります。
主人公たちが傷つくシーンだってあります。
しかしそれは見せつけるためのグロさではないというか、
とにかく「悲惨」だと思わせられる描写で、
作品の雰囲気に見合った、ある意味リアルなグロさだと思いました。
だからこの作品の物語や雰囲気は
動物好きだからこそより理解できるものだと思います。
あと、この作品に関して
「中身がなくてつまらない漫画。見所はせいぜい綺麗な作画くらい」
などとおっしゃる方が稀にいますが
いくらなんでもそんなことはないと思います。
確かにいろんな漫画を読んできた方からすると物足りないと感じる部分もあるとは思います。
ですが、この漫画はそんな一言で全否定できるほど平坦な物ではないと私は感じました。
とにかく読んでみないと面白さは伝わらないかも知れませんが
興味のある方は是非とも買って読んでみてください。
しっかりしたストーリーの展開に引き込まれると思います。
その薄さ(表紙は厚めなので高級感はあるのですが)からボリューム不足と見られがちです。
しかし、少ないページの割りに内容は濃いというか、
様々な展開が繰り広げられるので楽しめます。
絵も写実的でなかなか見ごたえがあります。
作中で使われている表現(技法)も、他のコミックでは見られないもので
動きの連続性や立体感のようなものを感じさせられました。
ただこれに関しては好き嫌いが別れると思いますが。
全体的なストーリーは結構淡々としたものですが
軍事兵器に改造されてしまったペットが野生の動物として生き延びようとする姿には
なかなか来るものがあります。
まぁストーリーから考えても予想できるように、
当然動物と人間が殺し合ったりするわけで、
人間はもちろん、野生の動物たちも惨たらしい死に方をするシーンが結構たくさんあります。
主人公たちが傷つくシーンだってあります。
しかしそれは見せつけるためのグロさではないというか、
とにかく「悲惨」だと思わせられる描写で、
作品の雰囲気に見合った、ある意味リアルなグロさだと思いました。
だからこの作品の物語や雰囲気は
動物好きだからこそより理解できるものだと思います。
あと、この作品に関して
「中身がなくてつまらない漫画。見所はせいぜい綺麗な作画くらい」
などとおっしゃる方が稀にいますが
いくらなんでもそんなことはないと思います。
確かにいろんな漫画を読んできた方からすると物足りないと感じる部分もあるとは思います。
ですが、この漫画はそんな一言で全否定できるほど平坦な物ではないと私は感じました。
とにかく読んでみないと面白さは伝わらないかも知れませんが
興味のある方は是非とも買って読んでみてください。
しっかりしたストーリーの展開に引き込まれると思います。
2014年9月21日に日本でレビュー済み
これは微妙ですよね。
絵が、デザインが素晴らしい!
ただ、最後に感動できるかというと話は別。
感動できる話になっていると思うんですが、
こま割りとか、セリフとかが上手くないんだと思います。
この世界に入り込むことができません。
単純な絵でも、想像力で補うことで、
登場人物目線で、漫画の中に入り込むことができると思うのですが、
それがまったくできません。
漫画として下手だと思います。
絵が、デザインが素晴らしい!
ただ、最後に感動できるかというと話は別。
感動できる話になっていると思うんですが、
こま割りとか、セリフとかが上手くないんだと思います。
この世界に入り込むことができません。
単純な絵でも、想像力で補うことで、
登場人物目線で、漫画の中に入り込むことができると思うのですが、
それがまったくできません。
漫画として下手だと思います。
2013年3月17日に日本でレビュー済み
古今東西ヒーローとは孤独で不憫なものである。アメコミ然り。仮面ライダー然り。神話然り。
そして、このWE3はそういう力を持ってしまったものの寄る辺なさというオーソドックスな物語を新鮮かつ生々しく描いた名作であると思う。そしてその描かれ方はアメコミでしか描かれえなかった形になっていると思う。
WE3は特に主役が動物であることによって、特別な力を持ってしまった者の孤独さがより強調されている。繰り返しになるが、この作品に流れる悲壮さは、非倫理的な実験にまきこまれてしまった動物ということだけが理由でなく、このヒーローの孤独をえぐりだしたところにこそある。だからこそラストはこの上ない救いなのだ。
絵の面に関して。実験的なコマ割りに関してはさほどうまくいってるとも言いがたいが、これにはいろいろな意見があるだろう。
私が注目したのはメカデザイン。アイアンマンなんかもそうだが「割りと脆そうでハラハラする」のだ。
これは日本のマンガ・アニメであんまり見ないメカデザインのセンスだと思う。プロポーションも秀逸。
一つ文句を言わせてもらえばボスキャラはもう少し変わったデザインにして欲しかった。単なるマッチョキャラで見どころも少なくて残念。
ともかく「何故我々はヒーローの戦う姿にこうも胸を打たれるのか」ということを再確認させてくれる作品であり、アメコミにかかわらずヒーローの登場する作品が好きな人は是非一読して欲しい一作だ。
そして、このWE3はそういう力を持ってしまったものの寄る辺なさというオーソドックスな物語を新鮮かつ生々しく描いた名作であると思う。そしてその描かれ方はアメコミでしか描かれえなかった形になっていると思う。
WE3は特に主役が動物であることによって、特別な力を持ってしまった者の孤独さがより強調されている。繰り返しになるが、この作品に流れる悲壮さは、非倫理的な実験にまきこまれてしまった動物ということだけが理由でなく、このヒーローの孤独をえぐりだしたところにこそある。だからこそラストはこの上ない救いなのだ。
絵の面に関して。実験的なコマ割りに関してはさほどうまくいってるとも言いがたいが、これにはいろいろな意見があるだろう。
私が注目したのはメカデザイン。アイアンマンなんかもそうだが「割りと脆そうでハラハラする」のだ。
これは日本のマンガ・アニメであんまり見ないメカデザインのセンスだと思う。プロポーションも秀逸。
一つ文句を言わせてもらえばボスキャラはもう少し変わったデザインにして欲しかった。単なるマッチョキャラで見どころも少なくて残念。
ともかく「何故我々はヒーローの戦う姿にこうも胸を打たれるのか」ということを再確認させてくれる作品であり、アメコミにかかわらずヒーローの登場する作品が好きな人は是非一読して欲しい一作だ。
2012年5月2日に日本でレビュー済み
書店にて、表紙があまりに美しかったので、手に取りました。
人間同士が戦う危険を、少しでも減らそうと、試験的に兵器として訓練された、犬と猫とウサギ。
つまりは人間の都合により、体の数倍あるような戦闘用の兵器をスーツのように着用、あちこち接続されて、人間の言葉を理解「させられ」、片言の言葉を話す図は、見た目からして痛々しい。
しかも3匹はテスト用で、すでに廃棄処分が決定している。
なんとか施設からは逃げ出したものの追っ手が迫り・・・
淡々として身勝手で、生気のない人間たちと比較して、犬、猫、ウサギの動きが野性的で、血まみれの絵ですら、躍動感にあふれ、生きる力を感じさせられて、爽快です。
物語は単純ですが、ハッピーエンド、とは云えないのかもしれない、しかし希望のないラストではないので、動物好き(特に猫好き)として、読後感は悪くありませんでした。
絵は人体が木っ端微塵になるような構図ですら芸術的に美しい。
コミック、というより、残酷な絵本、といった感じの一冊です。
人間同士が戦う危険を、少しでも減らそうと、試験的に兵器として訓練された、犬と猫とウサギ。
つまりは人間の都合により、体の数倍あるような戦闘用の兵器をスーツのように着用、あちこち接続されて、人間の言葉を理解「させられ」、片言の言葉を話す図は、見た目からして痛々しい。
しかも3匹はテスト用で、すでに廃棄処分が決定している。
なんとか施設からは逃げ出したものの追っ手が迫り・・・
淡々として身勝手で、生気のない人間たちと比較して、犬、猫、ウサギの動きが野性的で、血まみれの絵ですら、躍動感にあふれ、生きる力を感じさせられて、爽快です。
物語は単純ですが、ハッピーエンド、とは云えないのかもしれない、しかし希望のないラストではないので、動物好き(特に猫好き)として、読後感は悪くありませんでした。
絵は人体が木っ端微塵になるような構図ですら芸術的に美しい。
コミック、というより、残酷な絵本、といった感じの一冊です。
2012年6月8日に日本でレビュー済み
帯などで言及されている手塚治虫の『W3』では、活躍する動物達(異星人ですが)は外見も思考もデフォルメされ、擬人化されていました。この作品では犬・猫・ウサギそれぞれの習性を踏まえた行動や思考のパターンを兵器として生かしているという設定になっています。例えば猫である2号は奇襲を得意とし、犬である1号はリーダーシップをとって群れをまとめる、というようにです。そういった設定は戦闘行動だけでなくキャラクタとしても生きており、ドラマ作りの一端を担っています。
短めのページ数の中に政治性や個々のキャラクタの造り込みが表現され、アメコミらしい濃縮された面白さがあります。ですが読み手の心を最も捉えるのは三匹の動物達の悲運でしょう。ドライな語り口の作品ですし、多くの人間の兵士が彼らによって殺される一方で「可哀想な動物達に心を痛める」というのもおかしいのですが、絵だけで心を抉られる感があり、どうしても感情移入してしまいます。特に後半の動物達の疲弊していく様子は痛々しくて見ていられなくなってしまうくらいです。
個人的には逆に意外な結末だったのですが、読後感は決して悪くありません。最後のページには役目を終えた者とこれから苦い闘いに向かっていく者の対比が描かれ、物語に厚みを与えています。
コマ割りなどには実験的な手法が使われていて、「今までにだれもやったことないもの作ってやろう」という意気込みが伺えます。実験的と言っても前衛的なだけでなくて結構的を射た表現になっているのがすごいところ。
「なか見!検索」でちらっと見ることができますが、詳細な戦闘描写がありますので、それを読んでダメだと思ったらやめた方が良いでしょうし、ピンと来るものがあったなら期待は裏切らないと思います。
短めのページ数の中に政治性や個々のキャラクタの造り込みが表現され、アメコミらしい濃縮された面白さがあります。ですが読み手の心を最も捉えるのは三匹の動物達の悲運でしょう。ドライな語り口の作品ですし、多くの人間の兵士が彼らによって殺される一方で「可哀想な動物達に心を痛める」というのもおかしいのですが、絵だけで心を抉られる感があり、どうしても感情移入してしまいます。特に後半の動物達の疲弊していく様子は痛々しくて見ていられなくなってしまうくらいです。
個人的には逆に意外な結末だったのですが、読後感は決して悪くありません。最後のページには役目を終えた者とこれから苦い闘いに向かっていく者の対比が描かれ、物語に厚みを与えています。
コマ割りなどには実験的な手法が使われていて、「今までにだれもやったことないもの作ってやろう」という意気込みが伺えます。実験的と言っても前衛的なだけでなくて結構的を射た表現になっているのがすごいところ。
「なか見!検索」でちらっと見ることができますが、詳細な戦闘描写がありますので、それを読んでダメだと思ったらやめた方が良いでしょうし、ピンと来るものがあったなら期待は裏切らないと思います。