創発現象の大雑把なイメージをつかむには、悪い本じゃない。でも、それだけ。特に、後半は同じような話で退屈する。最初の数章は、なかなか楽しめるんだけどね。ま、2000円以下ならハズレもOKと覚悟してて、時間もある人にだったら薦めるよ。
あとさァ、訳者の山形氏が、目立たない訳注でしきりに著者に突っ込み入れてるんだけど、山形氏ってこの本、評価してないでしょ。翻訳で食べてる訳でもないんだろうから(翻訳でも食べてる?)、自分が評価してない本を出すのはよくないんじゃないかしら。
まあ、超人的な語学力と速筆の人(みたい)だから、片手間にやっちゃったんだろうけど、批判があるんだったら、せめて訳者あとがきとかの目立つ場所に書いておいてよ。買うかどうか迷ったとき、この訳者が訳してるんだったらと、踏み切る人もいると思うぞ。実際、私は他の訳者だったら「購入する」をクリックしなかったな。
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創発―蟻・脳・都市・ソフトウェアの自己組織化ネットワーク 単行本 – 2004/3/1
個別の活動から自己組織化する集団の創造力
脳のない粘菌が集団では迷路を解き、迷子のアリが豊かなエサ場を見つける。ローカルな相互作用からグローバルな秩序を生む創発。われわれは複雑系の中にシンプルなルールを見つけ出しただけでなく、創発システムを意識的に活用するようになっている。
脳のない粘菌が集団では迷路を解き、迷子のアリが豊かなエサ場を見つける。ローカルな相互作用からグローバルな秩序を生む創発。われわれは複雑系の中にシンプルなルールを見つけ出しただけでなく、創発システムを意識的に活用するようになっている。
- 本の長さ327ページ
- 言語日本語
- 出版社ソフトバンククリエイティブ
- 発売日2004/3/1
- ISBN-104797321075
- ISBN-13978-4797321074
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
創発
粘菌の離散と集合,働きアリの社会行動,都市部に起こる階層別のゾーニング。いずれも明確なルールやコマンドが中央集権的に示されているわけではないが,そこには一定のパターンがある。筆者はこれを「コントロールされたランダムさ」と表現した。本書は,こうした創発が未来へのカギであると示してくれるが,その具体像は見せてくれない。まだ直接つながる道が見えないからだ。つまり,アリがコロニーを形成するメカニズムに現代の技術はまだかなわないのだ。何と夢のある話ではないか。
粘菌の離散と集合,働きアリの社会行動,都市部に起こる階層別のゾーニング。いずれも明確なルールやコマンドが中央集権的に示されているわけではないが,そこには一定のパターンがある。筆者はこれを「コントロールされたランダムさ」と表現した。本書は,こうした創発が未来へのカギであると示してくれるが,その具体像は見せてくれない。まだ直接つながる道が見えないからだ。つまり,アリがコロニーを形成するメカニズムに現代の技術はまだかなわないのだ。何と夢のある話ではないか。
(日経バイト 2004/07/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
-- 日経BP企画
内容(「MARC」データベースより)
ローカルな相互作用から生まれるグローバルな秩序、脳のない粘菌が集団では迷路を解き、迷子のアリが豊かなエサ場を見つける-。創発に関する今まで気づかなかった多くの現象を解明する。
登録情報
- 出版社 : ソフトバンククリエイティブ (2004/3/1)
- 発売日 : 2004/3/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 327ページ
- ISBN-10 : 4797321075
- ISBN-13 : 978-4797321074
- Amazon 売れ筋ランキング: - 551,588位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 427位情報社会
- - 53,583位科学・テクノロジー (本)
- カスタマーレビュー:
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2004年8月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2022年9月18日に日本でレビュー済み
本書には、自己組織化の事例が沢山挙げられています。
但し、なぜ自己組織化が起こるのかは論証されていません。
したがって、「へぇ」と思うことはあっても、自己組織化は理解できません。
本書は以下の書籍を読んだ後の方が役に立つと思います。
ミッチェル・ワールドロップ「複雑系」
スチュアート・カウフマン「自己組織化と進化の論理」
2008/3/14読了
但し、なぜ自己組織化が起こるのかは論証されていません。
したがって、「へぇ」と思うことはあっても、自己組織化は理解できません。
本書は以下の書籍を読んだ後の方が役に立つと思います。
ミッチェル・ワールドロップ「複雑系」
スチュアート・カウフマン「自己組織化と進化の論理」
2008/3/14読了
2007年11月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
創発現象を概念的に理解するのに適した本。数式を一切使わず、数多くの例を引き合いに出しながら説明が進むので、創発という現象に共通の特徴がよく理解できる。一方で、創発している状態と、していない状態の違いや、創発に近い/遠い状態、創発現象を定量的に観察する方法などは範囲外。ウィーナー、ホランド、セルフリッジ、ゴードン、クルーグマン、ヒリスといった、創発や自己組織化といった分野でよく知られている人々の仕事が幅広くまとまっているのもよいと思う。訳者の訳注には、的を得たものも得ないものもある。訳注を楽しむか、不快に思うかは読者によって分かれるところだと思う。ただ、訳者の仕事というのは、本の内容を素直に別の言語に置き換えることであって、内容に合いの手や茶々を入れることではないのでは、とも思った。
2022年8月2日に日本でレビュー済み
人間には意思や知性があると思い込んでいるが、もしかしたら、体内の単細胞の自己組織化現象の結果に過ぎないのかもしれない。
女王アリは命令を下さない。生物だけではなく、地震や、山火事、金融市場の乱降下といった現象でさえ、自己組織化現象。
都市はマスタープランがなくとも、自然に機能的に最適化されたレイアウトになる。管理者が不在のコミュニティも、仕組みによっては秩序ある組織になることがある。
単純な細胞の集合である人間もこのようにして知性を獲得としているのであろう。
女王アリは命令を下さない。生物だけではなく、地震や、山火事、金融市場の乱降下といった現象でさえ、自己組織化現象。
都市はマスタープランがなくとも、自然に機能的に最適化されたレイアウトになる。管理者が不在のコミュニティも、仕組みによっては秩序ある組織になることがある。
単純な細胞の集合である人間もこのようにして知性を獲得としているのであろう。
2004年4月30日に日本でレビュー済み
粘菌の動きから,脳の機能,果ては都市の発生や分化まで,さまざまなスケールで現れる何らかのパタンについて,自己組織化現象として眺めたもの。
これまで,何らかのパタンはその背景に,そのパタンを生み出す全体的な法則があると考えることが多かった。しかし,創発性概念の登場によってパタンは,それを構成する個々の要素が隣の要素との関係に基づいて振舞っているだけで,生まれてくるものだ,と見なされるようになった。
本書は,様々な創発現象を一切数式を用いずに紹介する。アリのフェロモンがコネクショニストモデルでの結合荷重と同じ意味として解釈できる,などの視点は,こうした領域横断的な読み物でしか得られないものだ。
しかし,創発現象のオンパレードに留まっており,筆者は本書で何が主張したかったのかが不明瞭で,読み進むうちに少々退屈を感じた。
それにしても,ミンスキーでさえ,ある創発系のシミュレーションを見て,そこにトップダウンに制御する力を見てしまうところからなかなか抜け出せなかったとの挿話は,人がいかに支配型ルールを志向するのかが伺われ考えさせられた。
少しでも創発系がらみのシミュレーションなりを経験した方には,より豊かな創発系に対するイメージを抱かせてくれるであろう一冊であった。
これまで,何らかのパタンはその背景に,そのパタンを生み出す全体的な法則があると考えることが多かった。しかし,創発性概念の登場によってパタンは,それを構成する個々の要素が隣の要素との関係に基づいて振舞っているだけで,生まれてくるものだ,と見なされるようになった。
本書は,様々な創発現象を一切数式を用いずに紹介する。アリのフェロモンがコネクショニストモデルでの結合荷重と同じ意味として解釈できる,などの視点は,こうした領域横断的な読み物でしか得られないものだ。
しかし,創発現象のオンパレードに留まっており,筆者は本書で何が主張したかったのかが不明瞭で,読み進むうちに少々退屈を感じた。
それにしても,ミンスキーでさえ,ある創発系のシミュレーションを見て,そこにトップダウンに制御する力を見てしまうところからなかなか抜け出せなかったとの挿話は,人がいかに支配型ルールを志向するのかが伺われ考えさせられた。
少しでも創発系がらみのシミュレーションなりを経験した方には,より豊かな創発系に対するイメージを抱かせてくれるであろう一冊であった。
2005年4月3日に日本でレビュー済み
蟻やアメーバの生態、脳の作り、インターネットの網目、人間社会のあり方までを自己組織化ネットワークをキーワードに発想がやや飛躍的につなげております。複雑系の研究は単独の学問の1ジャンルではなく、学問と学問の間(学際?)に意味があると思われるため、このような研究により発想が拡がるとよいと思います。