父の少年時代はこんな感じだったんだろうな~、となんだか懐かしい気分になった一冊。
GA文庫とはライトノベルを出版する会社と聞いたが、全くそれを感じさせない表紙、口絵、ストーリー。読書感想文の題材にも出来そうなくらいだ。
ストーリーもライトノベルのように稚拙でなく、とても語彙の選択が上手で、頭の中に私の知らない1970年代の風景が思い浮かんだ。
ぜひぜひ、1960年代後半生まれの父に読ませたい一冊である。
最後になるが、これはライトノベルとしてではなく、一般文庫の小説として発表した方が良かったのではないか。なぜ、著者がGA文庫を通して出版したのか謎である。この小説がこれから評価されていくことを祈りたい。
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クレイジーカンガルーの夏 (GA文庫) 文庫 – 2006/11/14
あの少年の夏の日が、鮮やかに蘇る
大人と子供の間でさまよう中学時代。
精一杯の毎日と、いつも一緒にいる友人達。
今そこにしかない、だからこそ輝き続ける中学校の夏休み。
ノスタルジックで胸にしみいる、“帰らない日々”の物語です。
大人と子供の間でさまよう中学時代。
精一杯の毎日と、いつも一緒にいる友人達。
今そこにしかない、だからこそ輝き続ける中学校の夏休み。
ノスタルジックで胸にしみいる、“帰らない日々”の物語です。
- 本の長さ272ページ
- 言語日本語
- 出版社ソフトバンククリエイティブ
- 発売日2006/11/14
- ISBN-104797337834
- ISBN-13978-4797337839
商品の説明
出版社からのコメント
田んぼの上を通り過ぎるジャンボジェット。ラジカセから流れる「はっぴぃえんど」の歌。中学一年の夏休み。
須田広樹が待ちに待った夏休みは、仲の良い秀一や敬道、それに東京から転校してきた、ちょっとあか抜けた感じの従兄弟・冽史を交えてにぎやかに始まった。プールで遊んで、ガンダム談義で盛り上がって、大人になんかはなりたくなくて……いつまでも続けばいいと思っていた。そんなある日、冽史の家の事情をきっかけに、4人はちょっとした冒険を試みることになるのだった。
誰しも心のどこかに残している少年時代が色鮮やかに蘇る、ちょっとノスタルジックなストーリー。
須田広樹が待ちに待った夏休みは、仲の良い秀一や敬道、それに東京から転校してきた、ちょっとあか抜けた感じの従兄弟・冽史を交えてにぎやかに始まった。プールで遊んで、ガンダム談義で盛り上がって、大人になんかはなりたくなくて……いつまでも続けばいいと思っていた。そんなある日、冽史の家の事情をきっかけに、4人はちょっとした冒険を試みることになるのだった。
誰しも心のどこかに残している少年時代が色鮮やかに蘇る、ちょっとノスタルジックなストーリー。
登録情報
- 出版社 : ソフトバンククリエイティブ (2006/11/14)
- 発売日 : 2006/11/14
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 272ページ
- ISBN-10 : 4797337834
- ISBN-13 : 978-4797337839
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,404,694位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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上位レビュー、対象国: 日本
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2007年3月18日に日本でレビュー済み
新人さんのデビュー作ということで荒削りな部分も目についたが、なかなかどうして直球で心に食い込んでくるいい作品だった。
舞台は兵庫県南部のとある市。時代は1979年だから、ここに登場する中学生たちはぼくより少しお兄さんだ。しかし、かぎりなく近い。だからちらほら垣間見える当時の世相や流行なんかが圧倒的なノスタルジーとして胸に去来した。
友達と意味もなくダベッたり、なんとなく将来に不安を感じたり、何をするにも親の目を気にしたり、子どもは子どもなりに結構色々大変だったあの頃。本書に登場する4人の中学生たちも、そんなぼくとおんなじ等身大の中学生だ。男としての矜持や、友情の重さを知り、屈託のなさと頑固な部分が反発しあって自分でも訳がわからなくなったり、持余したエネルギーを瞬間的に放出したりして、小さな世界の中で精一杯粋がっている。そんな彼らが経験するひと夏の事件は、しかし結構ズシンと心に響いた。語られる事件はけっして派手なものではない。いってみれば家出騒動だ。誰も本当の意味での事件に巻き込まれないし、悪い人間も登場しない。でも、この騒動で彼ら4人の少年たちが心に負った傷はかなり深い。正直読んでて胸の奥が熱くなった。もう少しで嗚咽がこみあげてきそうだった。旧弊な田舎の家風に振り回される大人たちの狭間で、彼ら子どもたちは精一杯自分を曝け出し、打ち倒される寸前までがんばった。何かを守るということの大切さを知り、どうにもできない悔恨を痛烈に体験した。しかし、これは大人になるためのイニシエーションでもあるのだ。こうして子どもは世界を知り、せつない郷愁を後に残して、自分の道を見つけていくのである。
う〜ん、いい本だ。ラノベから出ている本だが、これは大人が読むべき本だと思った。その年代を通り過ぎて懐かしく振り返ることのできる大人のための物語だ。読んでよかった。
舞台は兵庫県南部のとある市。時代は1979年だから、ここに登場する中学生たちはぼくより少しお兄さんだ。しかし、かぎりなく近い。だからちらほら垣間見える当時の世相や流行なんかが圧倒的なノスタルジーとして胸に去来した。
友達と意味もなくダベッたり、なんとなく将来に不安を感じたり、何をするにも親の目を気にしたり、子どもは子どもなりに結構色々大変だったあの頃。本書に登場する4人の中学生たちも、そんなぼくとおんなじ等身大の中学生だ。男としての矜持や、友情の重さを知り、屈託のなさと頑固な部分が反発しあって自分でも訳がわからなくなったり、持余したエネルギーを瞬間的に放出したりして、小さな世界の中で精一杯粋がっている。そんな彼らが経験するひと夏の事件は、しかし結構ズシンと心に響いた。語られる事件はけっして派手なものではない。いってみれば家出騒動だ。誰も本当の意味での事件に巻き込まれないし、悪い人間も登場しない。でも、この騒動で彼ら4人の少年たちが心に負った傷はかなり深い。正直読んでて胸の奥が熱くなった。もう少しで嗚咽がこみあげてきそうだった。旧弊な田舎の家風に振り回される大人たちの狭間で、彼ら子どもたちは精一杯自分を曝け出し、打ち倒される寸前までがんばった。何かを守るということの大切さを知り、どうにもできない悔恨を痛烈に体験した。しかし、これは大人になるためのイニシエーションでもあるのだ。こうして子どもは世界を知り、せつない郷愁を後に残して、自分の道を見つけていくのである。
う〜ん、いい本だ。ラノベから出ている本だが、これは大人が読むべき本だと思った。その年代を通り過ぎて懐かしく振り返ることのできる大人のための物語だ。読んでよかった。
2013年6月14日に日本でレビュー済み
今月GA文庫に目ぼしいものがなく、過去の作品で面白そうなものが無いかと漁ってたら凄いのを見つけてしまった…
これは紛れもなく大傑作です。よくまあ昭和50年代の空気と13歳の少年のリアルをここまで表現して見せたと幾ら
賛辞を送っても足りないぐらい、巧い事構築された和製「スタンド・バイ・ミー」です
「ガンダム」が毎週末にテレビで放映されていた1979年、中学に上がったばかりの宝塚市(作中じゃT市とぼやかしてあるが)
に住む少年たちのひと夏の物語なのだが、起きる事件は主人公の少年と春に東京から本家の跡取りとして連れてこられた
彼の従兄弟が鈍行を乗り継いで東京まで家出するぐらいのものと凡そ地味ではある
しかし、そこで描かれる江戸時代から続く旧家のしがらみをタテに自分勝手な理屈を振り回し、子供の事を何一つ慮れない
大人たちに対する苛立ちを抱えた13歳の子供たちが彼らなりののレジスタンス活動を繰り広げる様は生き生きとしているし、
そのベースにある心情が彼らを夢中にさせているアニメ「ガンダム」になぞらえて少年たち自身の口から語られるなど
時代の特有の空気といつの時代も変わりない大人にはまだまだ遠い少年たちの鬱屈した想いが見事に両立している
関西の田舎(まあ、いまでこそ新興住宅地としてそこそこ開けているんだが=地元民の弁)で自然な関西弁を話す登場人物が
その背負わされたものを投げ捨ててしがらみの無い土地へ行きたいと願い続けているのが良い。特に主人公の兄が良い。大学受験を
控えた彼が主人公たち以上に大人たちにブチ切れたり、受けた私大が全部東京の大学だったり…
プロローグとエピローグで大人たちに精いっぱいの抵抗をした自分と同じ歳の息子を迎えに来た主人公が描かれるのだが、この辺りは
まさに「スタンド・バイ・ミー」。大人になっても「どうしようもない事」はしっかりと付いて回るし、むしろそれは増えていく一方なのだけど
精いっぱいに自分の想いをぶち撒けた13歳の夏の思い出を誇りに生きる彼の姿は同じおっさんとして眩しく見えた
出したレーベルを考えればこれが出すべき作品だったかどうかは判断が分かれるかもしれないが、一文芸作品としてはまぎれもない大傑作
需要を考えればこのレーベルからこの作者の本が出ることは二度とないかもしれないが、埋もれるのは余りにも惜しい一冊なのでお勧めします
これは紛れもなく大傑作です。よくまあ昭和50年代の空気と13歳の少年のリアルをここまで表現して見せたと幾ら
賛辞を送っても足りないぐらい、巧い事構築された和製「スタンド・バイ・ミー」です
「ガンダム」が毎週末にテレビで放映されていた1979年、中学に上がったばかりの宝塚市(作中じゃT市とぼやかしてあるが)
に住む少年たちのひと夏の物語なのだが、起きる事件は主人公の少年と春に東京から本家の跡取りとして連れてこられた
彼の従兄弟が鈍行を乗り継いで東京まで家出するぐらいのものと凡そ地味ではある
しかし、そこで描かれる江戸時代から続く旧家のしがらみをタテに自分勝手な理屈を振り回し、子供の事を何一つ慮れない
大人たちに対する苛立ちを抱えた13歳の子供たちが彼らなりののレジスタンス活動を繰り広げる様は生き生きとしているし、
そのベースにある心情が彼らを夢中にさせているアニメ「ガンダム」になぞらえて少年たち自身の口から語られるなど
時代の特有の空気といつの時代も変わりない大人にはまだまだ遠い少年たちの鬱屈した想いが見事に両立している
関西の田舎(まあ、いまでこそ新興住宅地としてそこそこ開けているんだが=地元民の弁)で自然な関西弁を話す登場人物が
その背負わされたものを投げ捨ててしがらみの無い土地へ行きたいと願い続けているのが良い。特に主人公の兄が良い。大学受験を
控えた彼が主人公たち以上に大人たちにブチ切れたり、受けた私大が全部東京の大学だったり…
プロローグとエピローグで大人たちに精いっぱいの抵抗をした自分と同じ歳の息子を迎えに来た主人公が描かれるのだが、この辺りは
まさに「スタンド・バイ・ミー」。大人になっても「どうしようもない事」はしっかりと付いて回るし、むしろそれは増えていく一方なのだけど
精いっぱいに自分の想いをぶち撒けた13歳の夏の思い出を誇りに生きる彼の姿は同じおっさんとして眩しく見えた
出したレーベルを考えればこれが出すべき作品だったかどうかは判断が分かれるかもしれないが、一文芸作品としてはまぎれもない大傑作
需要を考えればこのレーベルからこの作者の本が出ることは二度とないかもしれないが、埋もれるのは余りにも惜しい一冊なのでお勧めします
2010年10月18日に日本でレビュー済み
家庭や学校に悩みを抱えた中学生男子4人が夏休みに冒険に出る物語。
純和風の『スタンド・バイ・ミー』を読んでいる感じ。
彼らの会話の中ではよくガンダムの話が出てきて、人生の多くをガンダムから学んでいるところが実に面白く、ガンダムをもう一度読見返してみたくなりました。
私より少し上の世代の話ですが、いつの時代も似たようことで若者は悩んでいるんですね。
まるで親友と語らっているような親近感ある作品でした。
ガンダム好きな方や、70年〜80年代に青春時代を過ごした方にピンポイントな作品かもしれませんが、世代を超えて楽しめる作品でもあると思います。
純和風の『スタンド・バイ・ミー』を読んでいる感じ。
彼らの会話の中ではよくガンダムの話が出てきて、人生の多くをガンダムから学んでいるところが実に面白く、ガンダムをもう一度読見返してみたくなりました。
私より少し上の世代の話ですが、いつの時代も似たようことで若者は悩んでいるんですね。
まるで親友と語らっているような親近感ある作品でした。
ガンダム好きな方や、70年〜80年代に青春時代を過ごした方にピンポイントな作品かもしれませんが、世代を超えて楽しめる作品でもあると思います。
2007年10月21日に日本でレビュー済み
最初に断言しとくけど、この本の帯に書いてあるキャッチコピーは全部ウソ(笑)。ぜんぜんライトノベルじゃない・・。本格も本格、少年が音を立てて成長する過程を痛いほどリアルに描いたロードムービー。
椰月美智子の名作「12歳」や「しずかな日々」に通じるものがあるが、それらと比べてもこっちの方が一つひとつの言葉が重い。特に母親が女であることのリアルさは息を呑むほどで、あらためて女流作家特有のシビアな目に驚かされた。
淡々としているのに最後まで目が離せないこの感覚は、公園で知らない子供がよろよろと自転車の練習をしているのを見た時の・・あの感じに近いと思う。誰もが経験した事なのにハラハラする、そんな本。
余談だが、文中にやたら出てくるアニメ用語に(この本を無理にライトノベル化しようとする)出版社の意図?みたいなものが透けて見えるのは俺の考えすぎか・・。
椰月美智子の名作「12歳」や「しずかな日々」に通じるものがあるが、それらと比べてもこっちの方が一つひとつの言葉が重い。特に母親が女であることのリアルさは息を呑むほどで、あらためて女流作家特有のシビアな目に驚かされた。
淡々としているのに最後まで目が離せないこの感覚は、公園で知らない子供がよろよろと自転車の練習をしているのを見た時の・・あの感じに近いと思う。誰もが経験した事なのにハラハラする、そんな本。
余談だが、文中にやたら出てくるアニメ用語に(この本を無理にライトノベル化しようとする)出版社の意図?みたいなものが透けて見えるのは俺の考えすぎか・・。
2007年2月7日に日本でレビュー済み
読み終えて「読んで良かった」と思った本でした。
私が男(の子)なのだからなのか、設定の時代を知っているからなのかは、本当のところよくわかりません。
ただ、この物語が心に残るのは、そんなノスタルジックな仕掛けに重きを置いているのではなく、いつの時代の人でも必ず出会った「悔恨」を通行証にして「大人」と言う未知の領域に踏み込まねばならない「切なさ」に視点が絞られているからだと思います。
私が男(の子)なのだからなのか、設定の時代を知っているからなのかは、本当のところよくわかりません。
ただ、この物語が心に残るのは、そんなノスタルジックな仕掛けに重きを置いているのではなく、いつの時代の人でも必ず出会った「悔恨」を通行証にして「大人」と言う未知の領域に踏み込まねばならない「切なさ」に視点が絞られているからだと思います。