この巻では八一が保持する竜王戦の七番勝負を中心にストーリが進行していく。と思いきや、読後に感じたことは、八一の関係者がいかに素晴らしい人格の方々かが痛いほど伝わる内容だった。アニメで鮮明に残ったのはハワイの姉弟子とのデートや桂香さんの大金星だったが、他にもここでは書ききれないほど素敵なエピソードが溢れていた。
少しネタバレになるが、元々著者の白鳥先生が5巻で完結する予定にされていたこともあり、ストーリは芯の通った内容になっていた。竜王戦という最高峰の棋戦を、雑学も含めて余すことのなく仕上げた先生には尊敬のひとこと。将棋を知らない人でも、竜王戦がいかに重要かが伝わる素晴らしい1冊。1家に1冊は置いておきたい。
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りゅうおうのおしごと! 5 (GA文庫) 文庫 – 2017/2/14
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購入オプションとあわせ買い
《TVアニメ化決定! 》
《このライトノベルがすごい! 2017・2018 文庫部門1位 2連覇! 》
《シリーズ累計100万部突破! 》
《第28回将棋ペンクラブ大賞優秀賞受賞! 》
《監修は関西若手プロ棋士集団「西遊棋」! 》
《朝日新聞書評欄掲載! 》
「アーロハ―♪」
遂に始まった八一の初防衛戦。挑戦者として現れた最強の名人と戦うべく常夏の島を
訪れた八一だったが……なぜか弟子や師匠までついて来てる!? 一門(かぞく)旅行!?
おまけに銀子と夜の街でデート!? そんなんで名人に勝てるのか!?
あいと天衣、そして桂香のマイナビ本戦も始まり、戦いに次ぐ戦いの日々。誰もが傷
つき、疲れ果て、将棋で繋がった絆は将棋のせいでバラバラになりかける。……だが、
「もう離さない。二度と」
一番大切なものに気づいた時、傷ついた竜は再び飛翔する――!!
将棋という名の奇跡に最後の審判が下される、激闘の第5巻!
《このライトノベルがすごい! 2017・2018 文庫部門1位 2連覇! 》
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遂に始まった八一の初防衛戦。挑戦者として現れた最強の名人と戦うべく常夏の島を
訪れた八一だったが……なぜか弟子や師匠までついて来てる!? 一門(かぞく)旅行!?
おまけに銀子と夜の街でデート!? そんなんで名人に勝てるのか!?
あいと天衣、そして桂香のマイナビ本戦も始まり、戦いに次ぐ戦いの日々。誰もが傷
つき、疲れ果て、将棋で繋がった絆は将棋のせいでバラバラになりかける。……だが、
「もう離さない。二度と」
一番大切なものに気づいた時、傷ついた竜は再び飛翔する――!!
将棋という名の奇跡に最後の審判が下される、激闘の第5巻!
- 本の長さ360ページ
- 言語日本語
- 出版社SBクリエイティブ
- 発売日2017/2/14
- 寸法10.6 x 1.7 x 15 cm
- ISBN-104797390093
- ISBN-13978-4797390094
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商品の説明
出版社からのコメント
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著者について
白鳥士郎(しらとりしろう)
GA文庫より『らじかるエレメンツ』でデビュー。
代表作として『のうりん』シリーズ(GA文庫)など
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代表作として『のうりん』シリーズ(GA文庫)など
登録情報
- 出版社 : SBクリエイティブ (2017/2/14)
- 発売日 : 2017/2/14
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 360ページ
- ISBN-10 : 4797390093
- ISBN-13 : 978-4797390094
- 寸法 : 10.6 x 1.7 x 15 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 90,482位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 256位GA文庫
- - 10,857位ビジネス・経済 (本)
- - 21,430位文庫
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2020年5月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
史上最強の棋士である名人とのタイトル戦。
そもそも名人という称号が一個人を指すほどの相手との番勝負。
印象的だったのは第1局。完全に局面を読み切った主人公だったが…からの展開です。
名人の元ネタの方の伝説。互角の対戦成績だった棋士でも急に勝てなくなるという現象。
メンタルブレイクのメカニズムはこういうことだったんですね!と感動。
そこからの人間ドラマ、第4局(特に名人の顔を見る所から)見所充分です。
そもそも名人という称号が一個人を指すほどの相手との番勝負。
印象的だったのは第1局。完全に局面を読み切った主人公だったが…からの展開です。
名人の元ネタの方の伝説。互角の対戦成績だった棋士でも急に勝てなくなるという現象。
メンタルブレイクのメカニズムはこういうことだったんですね!と感動。
そこからの人間ドラマ、第4局(特に名人の顔を見る所から)見所充分です。
2018年4月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
普段ラノベは読まないほうの人です。(アニメ映像見るまで「りゅうおう」のことをドラクエの竜王かなにかかと思ってた程度の人ですw)
アニメから入りこれは「熱い!」ということで、ラノベ1~5巻買って読みました。
1~5巻は私としても皆さんの書かれている通りの高(好)評価です。
で、以下は評価といえる内容ではないのですが、良書の普及を願い、ペンをとりました。
私は4巻あたりまでアニメを追いかけて読んで、5巻からラノベを先に読んでしまったのですが、
ラノベの方が「濃密だったな」という印象。丁寧に描写しているとも言いますか。
その意味で、ラノベ版が気になる人はぜひ読んでほしいと思います。
アニメ版は尺のせいもあるのでしょうが、5巻部分について「急ぎ足だったな」という印象を受けました。
ラノベの方が八一がダークサイドに落ちている期間について長く感じたため(読む速度も遅いものでw)、
ダークサイドから抜けた時の感動もひとしおだったのかなと思ったり。
※ま、上記はラノベより先にアニメ版を見ていたら少し印象は変わったかもしれませんね…
最後に、私はこれまで将棋の基本ルール程度のことは知っていましたが、戦法とか将棋の世界のことは知りませんでした。
「りゅうおうのおしごと」を通じて将棋の世界に興味が持てるようになった(少しは将棋の世界を楽しめるようになった)という意味でも「りゅうおうのおしごと」は良書だと思います。
アニメから入りこれは「熱い!」ということで、ラノベ1~5巻買って読みました。
1~5巻は私としても皆さんの書かれている通りの高(好)評価です。
で、以下は評価といえる内容ではないのですが、良書の普及を願い、ペンをとりました。
私は4巻あたりまでアニメを追いかけて読んで、5巻からラノベを先に読んでしまったのですが、
ラノベの方が「濃密だったな」という印象。丁寧に描写しているとも言いますか。
その意味で、ラノベ版が気になる人はぜひ読んでほしいと思います。
アニメ版は尺のせいもあるのでしょうが、5巻部分について「急ぎ足だったな」という印象を受けました。
ラノベの方が八一がダークサイドに落ちている期間について長く感じたため(読む速度も遅いものでw)、
ダークサイドから抜けた時の感動もひとしおだったのかなと思ったり。
※ま、上記はラノベより先にアニメ版を見ていたら少し印象は変わったかもしれませんね…
最後に、私はこれまで将棋の基本ルール程度のことは知っていましたが、戦法とか将棋の世界のことは知りませんでした。
「りゅうおうのおしごと」を通じて将棋の世界に興味が持てるようになった(少しは将棋の世界を楽しめるようになった)という意味でも「りゅうおうのおしごと」は良書だと思います。
2017年8月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
作者によると、本作はこの5巻で終わる予定だったという。
実際に読んでみると、とても綺麗な終わり方をしているのが分かる。
八一とあい、二人の「始まりの出会い」にぐるっと回って還ってくるという、とても印象的なラストである。
観戦記者のエピローグも、記者の正体とあいまってとても良い読後感があった。
竜王戦の結果がさらっと書かれているが、それでいて尻すぼみの感じが全くない。
いや、だからこの人だけずっと振り仮名がなかったのか。
他の人は「ろくろば」とか「なたぎり」とか丁寧に振ってあったのに…
本作は、1巻からけっこうレベルの高い作品だった。
こういうと失礼だが、普通ライトノベルというと、たとえ人気作品であっても文章が稚拙だったり、事前調査や教養の不足を感じるものは珍しくない。
しかし本作はライトノベルのジャンルを踏襲しつつも、小説として水準以上の質を備えているように思う(ほんとに上から目線で失礼しました)。
何より、作中で主人公の八一が将棋の才能を飛躍させていくのと同じように、作者の筆力も巻を重ねる毎に開花していったように感じる。
八一があいと再会し抱き合うシーンや、桂香がネット向こうの八一にメッセージを送るシーンなどは、思わず胸が熱くなってしまった。
ライトノベルなのに。熱い熱い。
本作で最大の山場となる対「名人」戦も、現実の羽生名人をうまく換骨奪胎したいいキャラに仕上がっている。
そもそも名人、作中で名前すら明かされず挿絵も後ろ姿のみ、盤外では本音を語らずいつもニコニコ、そしてあだ名は「神」といった具合だが、このキャラの希薄さがかえって「ラスボス」としての存在感を際立たせている。
他のキャラがみな一様に「濃い」中で、余白のようなキャラなのにかえって目立つ。そして強い。
竜王戦を通じて八一と名人が「人智」を超えて戦う様子は、本当に名人が人外の存在であるような印象を受けた。
他に登場するキャラも皆いちいち魅力的で(特に、釈迦堂や銀子ら女流棋士が、「男も含めたトップ棋士全体では強くないけど、でも棋士と名乗る以上は誇り高く将棋を指さねばならない」とか「私は地球人だけどどうしてもあいつら将棋星人の星に行きたい」とマインドセットしてる辺りがグッとくる)、もっと色んなエピソードのおかわりが欲しくなってしまう。
そんなわけで6巻以降も続くのだが、そこでも天才小学生や出戻り奨励会員など、次々と新キャラが出てきて目が離せない。
「ゴッドコルドレン」歩夢や「AI小学生」椚みたいのはいかにもライトノベルだが、夢破れた後もアマで戦績を重ね、三段に出戻ってくる奨励会員などもう本格将棋小説の域である…
「挫折し屈折しつつ身に付けた老獪さ」を描くライトノベルなんてあっただろうか?
このまま、次から次へと「妙手」の連続で読者を楽しませてくれるのを期待している。
どうか落手だけは…やめてほしい。
読者として、「頓死しろ!」とは言いたくない。
実際に読んでみると、とても綺麗な終わり方をしているのが分かる。
八一とあい、二人の「始まりの出会い」にぐるっと回って還ってくるという、とても印象的なラストである。
観戦記者のエピローグも、記者の正体とあいまってとても良い読後感があった。
竜王戦の結果がさらっと書かれているが、それでいて尻すぼみの感じが全くない。
いや、だからこの人だけずっと振り仮名がなかったのか。
他の人は「ろくろば」とか「なたぎり」とか丁寧に振ってあったのに…
本作は、1巻からけっこうレベルの高い作品だった。
こういうと失礼だが、普通ライトノベルというと、たとえ人気作品であっても文章が稚拙だったり、事前調査や教養の不足を感じるものは珍しくない。
しかし本作はライトノベルのジャンルを踏襲しつつも、小説として水準以上の質を備えているように思う(ほんとに上から目線で失礼しました)。
何より、作中で主人公の八一が将棋の才能を飛躍させていくのと同じように、作者の筆力も巻を重ねる毎に開花していったように感じる。
八一があいと再会し抱き合うシーンや、桂香がネット向こうの八一にメッセージを送るシーンなどは、思わず胸が熱くなってしまった。
ライトノベルなのに。熱い熱い。
本作で最大の山場となる対「名人」戦も、現実の羽生名人をうまく換骨奪胎したいいキャラに仕上がっている。
そもそも名人、作中で名前すら明かされず挿絵も後ろ姿のみ、盤外では本音を語らずいつもニコニコ、そしてあだ名は「神」といった具合だが、このキャラの希薄さがかえって「ラスボス」としての存在感を際立たせている。
他のキャラがみな一様に「濃い」中で、余白のようなキャラなのにかえって目立つ。そして強い。
竜王戦を通じて八一と名人が「人智」を超えて戦う様子は、本当に名人が人外の存在であるような印象を受けた。
他に登場するキャラも皆いちいち魅力的で(特に、釈迦堂や銀子ら女流棋士が、「男も含めたトップ棋士全体では強くないけど、でも棋士と名乗る以上は誇り高く将棋を指さねばならない」とか「私は地球人だけどどうしてもあいつら将棋星人の星に行きたい」とマインドセットしてる辺りがグッとくる)、もっと色んなエピソードのおかわりが欲しくなってしまう。
そんなわけで6巻以降も続くのだが、そこでも天才小学生や出戻り奨励会員など、次々と新キャラが出てきて目が離せない。
「ゴッドコルドレン」歩夢や「AI小学生」椚みたいのはいかにもライトノベルだが、夢破れた後もアマで戦績を重ね、三段に出戻ってくる奨励会員などもう本格将棋小説の域である…
「挫折し屈折しつつ身に付けた老獪さ」を描くライトノベルなんてあっただろうか?
このまま、次から次へと「妙手」の連続で読者を楽しませてくれるのを期待している。
どうか落手だけは…やめてほしい。
読者として、「頓死しろ!」とは言いたくない。
2017年2月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
十代にして将棋界のメジャータイトルを取ってしまった天才棋士と、そんな彼に憧れて
石川県からやってきた可愛らしい弟子が将棋に明け暮れる棋士物語も、はや5巻。
マイナビ予選を戦う弟子・あいの戦いを見守った後で迎えた大一番、「神」とも目される現名人との一戦。
清滝一門総出で向かったハワイで対峙した名人が打った手はまさかの「一手損角換わり」。
全ての観戦者の予想を裏切り八一自身がもっとも得意とする戦法で挑んできた名人相手に
一日目は予想していなかったほど優勢を見せる八一だったが、
妙に可愛らしい姉弟子と過ごした一夜が過ぎた二日目に悪夢を見せられる事に。
自分の将棋観が、積み上げてきた全てが吹っ飛ぶほどの敗北を喫した八一は日本に帰国後、
敗れた師匠を気遣うあいを拒絶し、二人で暮らしていた福島のアパートから出ていく事を命じるが…
…どえらい「熱」を詰め込んだものを読んだ時に特有の頭の芯がボーッと痺れる感じがまだ残っている。
一巻発表時に「白鳥士郎が完成に近付いてきた」などと書かせて貰ったが、自分は何も分かっちゃいなかった。
ここにきて白鳥士郎がどこまで成長するのかまったく見当も付かなくなった事に只々困惑している。
一つのシリーズでありながら、前巻までとこの五巻では明らかに作品としてのスケールが桁違いなのである。
弟子であるあいの戦いが中心となった前巻終盤で八一が対戦する相手である「名人」の底知れない強さが描かれ、
まさに「神」に人が挑むような一戦となることを予感させていたのだけど
「『神』と称されるような棋士をどう描くのか?」という点だけがずっと気になっていた。
下手に大袈裟な描写を積み重ねれば陳腐になるだけ、という事を危惧していたと言っても良い。
結論から言えば、この5巻を通じて「名人」の台詞はたったの二つだけなのである。
つまりそれだけ直接的な描写を避けた、という事なのだが、直接的な描写を避けて
「神」と対峙した主人公・八一が悪夢の様な惨敗で一度はどん底まで突き落とされ、
迷走の末に地の底から這い上がってくるという「天国と地獄」、「死と再生」を徹底的に描くことで
「名人」の凄味を陳腐さなど微塵も感じさせる事無く読者に伝える事に成功している。
一巻で「竜王位にある者として棋譜を汚すよりは、綺麗な敗戦を」と最低限のプライドを守りたいと
逃げようとする「情けない主人公」を描いた本作だけど、八一の「逃げ癖」自体はあまり変わっていない。
後半、土俵際まで追い込まれた一戦で「逃げたい、逃げたい」という弱い自分を、
「神」には到底及ばない実力差を認めた上で、勝てる要素なんか一っ欠片も無い事を突き付けられた上で、
「自分はどれだけ否定されても、自分を支えてくれた人を否定される事だけは許せない」という
いわば最後の意地で盤上に鼻血を垂らしながらも「名人」に食らいついていく八一の姿に
「おお、これが白鳥士郎のトップギアか!」と唸らされたのだけど…この時点じゃなーんも分かってなかった。
「トップギアのもういっこ上」とでも言うべきものを終盤で白鳥士郎は見せ付けてきたのである。
後半の土俵際の戦いぶりだけでも読者の頭は相当な「熱量」で焼き切れそうになっているのに、
終盤では「その先」という物を見せてくれた事で、本当に頭の中が焼き切れそうになった。
物語中で時間切れに追い込まれながらも「熱い、熱い」と頭と指を動かし続ける八一も大変だが、
その熱をまともに受けながら読み進める読者も大概に大変なのである。
勝負が付く寸前で「神」であった筈の名人に人としての、平凡な中年男の顔を見る場面は
「『神殺し』にこんな描き方があったのか」と寒気すら覚えるほどの感動を味わうに至った。
膨大な「熱量」に耐えながら読み進めた結果が今の頭の芯がぼんやりと白く濁った様な状態なんである。
これだけだと八一が挑んだ勝負の厳しさだけで押し切る巻かと思われるかもしれないが、
今回はサブキャラの使い方も実に素晴らしい。
特に八一を取り囲むヒロインたちの描き方と言ったら…「最高」以外の言葉が見当たらない。
序盤で描かれた「ハワイの夜」でビックリした。
「白鳥士郎が新シリーズ『俺の姉弟子がこんなに可愛いわけがない』を始めちゃった!」と
勘違いするほどに八一に対して銀子が見せる姿が可愛らしい。
フォント弄り芸と言えば大フォントを使う事が多いけど、極小フォントで「……おいてかないで」と
呟いた様に、将棋星人である八一の急速な成長を遂げる事にある種の怯えを見せ始めた銀子が、
ハワイで名人相手に大惨敗を喫した八一を気遣ったにも関わらず拒絶された事で、
姉と慕い、ただ一人剥き出しの自分を見せる桂香の膝に縋って泣きじゃくる姿には
恋する少女の弱々しさや、年相応の幼さが透けて見えていた。
同じ様に師匠である八一に拒絶された事で乱れきったあいがマイナビ女子オープンで
女流タイトル保持者である月夜見坂に相手の流儀で挑んでボコボコにされる姿も良いし、
同じ弟子でありながら天衣の見せた不器用すぎる師匠への親愛も魅せてくれた。
…しかし、今回最高だったヒロインと言えばまさかの桂香さんかと。
「弱い」、「才能が無い」と散々な描き方をされてきた彼女が銀子もあいも拒絶するに至った
八一の窮状を救うべく、どう考えても勝てる筈の無い「エターナルクイーン」釈迦堂相手の対局で見せた
「奇跡を起こす不屈の精神」と八一も銀子もあいもまとめて守って見せる「お姉さん」ぶりが最高過ぎた。
熱い戦いも、恋愛劇も良いが、白鳥士郎といったらギャグだろ、という方、ご安心を。
ギャグの無い白鳥士郎作品なんてあり得ません。
後半で舞台はあいの実家「ひな鶴」に舞台を移すのだけど、一巻ではあいを棋士にする事に猛反対だった
母親・亜希奈の「外堀を埋めまくる」策士っぷりが素晴らしい。
恐るべき「母の愛」に感動しつつ大爆笑させてもらった。
…ここまで褒めちぎっておいて、何で星が一個減ってしまうのか?
答えは簡単、尺が全然足りてないのである。
なんでこの「史上空前のエピソード」を一巻で書いちゃったんだ?
どう考えても八一の大惨敗から清滝一門の危機、桂香の奇跡が起こした八一の復活、
「ひな鶴」を舞台にした土俵際での大激戦…一冊で収められる筈もあるまい。
これは完全に個人的な願望になってしまうのだが、八一の復活=あいの師匠としての自覚の芽生え
という感動の場面で一旦切って、名人との大激戦は次の巻に回すべきだったと思うのだが…。
特に前半での八一の迷走は正直、掘り下げが足りなかったと思う。
無論、あいや銀子を拒絶するなど、印象的なエピソードは描かれていたのだが、
将棋その物の方はソフトを使った八一自身の将棋の再検討が描かれるぐらいでちょっと浅過ぎたかと。
例えば八一のライバルで研究仲間の歩夢や生石なんかを上手く使えなかったか…と悔やまれる。
今回は一ページで収まったあとがきで白鳥士郎が当初この作品を五巻でまとめる筈だった、という
告白をしている辺り、このたっぷりと尺を用意するべきエピソードに十分な尺が与えられない、
一巻の売り上げで「どれだけ続けられるか」が決まってしまうライトノベルの悪しき習慣が
影響を及ぼしてしまったのでは、という根拠のない推量すらしてしまうほど勿体なさを感じずにはいられない。
ライトノベル史上に残るであろうこの大傑作シリーズに、そのシリーズでクライマックスとなるであろう
膨大な熱量を詰め込んだエピソードに十分な尺が与えられないという事だけが無念でならない。
この今もっとも熱い作家である白鳥士郎に思う存分な筆を振るえる尺を与えてくれ、と
GA文庫編集部には願ってやまない。
石川県からやってきた可愛らしい弟子が将棋に明け暮れる棋士物語も、はや5巻。
マイナビ予選を戦う弟子・あいの戦いを見守った後で迎えた大一番、「神」とも目される現名人との一戦。
清滝一門総出で向かったハワイで対峙した名人が打った手はまさかの「一手損角換わり」。
全ての観戦者の予想を裏切り八一自身がもっとも得意とする戦法で挑んできた名人相手に
一日目は予想していなかったほど優勢を見せる八一だったが、
妙に可愛らしい姉弟子と過ごした一夜が過ぎた二日目に悪夢を見せられる事に。
自分の将棋観が、積み上げてきた全てが吹っ飛ぶほどの敗北を喫した八一は日本に帰国後、
敗れた師匠を気遣うあいを拒絶し、二人で暮らしていた福島のアパートから出ていく事を命じるが…
…どえらい「熱」を詰め込んだものを読んだ時に特有の頭の芯がボーッと痺れる感じがまだ残っている。
一巻発表時に「白鳥士郎が完成に近付いてきた」などと書かせて貰ったが、自分は何も分かっちゃいなかった。
ここにきて白鳥士郎がどこまで成長するのかまったく見当も付かなくなった事に只々困惑している。
一つのシリーズでありながら、前巻までとこの五巻では明らかに作品としてのスケールが桁違いなのである。
弟子であるあいの戦いが中心となった前巻終盤で八一が対戦する相手である「名人」の底知れない強さが描かれ、
まさに「神」に人が挑むような一戦となることを予感させていたのだけど
「『神』と称されるような棋士をどう描くのか?」という点だけがずっと気になっていた。
下手に大袈裟な描写を積み重ねれば陳腐になるだけ、という事を危惧していたと言っても良い。
結論から言えば、この5巻を通じて「名人」の台詞はたったの二つだけなのである。
つまりそれだけ直接的な描写を避けた、という事なのだが、直接的な描写を避けて
「神」と対峙した主人公・八一が悪夢の様な惨敗で一度はどん底まで突き落とされ、
迷走の末に地の底から這い上がってくるという「天国と地獄」、「死と再生」を徹底的に描くことで
「名人」の凄味を陳腐さなど微塵も感じさせる事無く読者に伝える事に成功している。
一巻で「竜王位にある者として棋譜を汚すよりは、綺麗な敗戦を」と最低限のプライドを守りたいと
逃げようとする「情けない主人公」を描いた本作だけど、八一の「逃げ癖」自体はあまり変わっていない。
後半、土俵際まで追い込まれた一戦で「逃げたい、逃げたい」という弱い自分を、
「神」には到底及ばない実力差を認めた上で、勝てる要素なんか一っ欠片も無い事を突き付けられた上で、
「自分はどれだけ否定されても、自分を支えてくれた人を否定される事だけは許せない」という
いわば最後の意地で盤上に鼻血を垂らしながらも「名人」に食らいついていく八一の姿に
「おお、これが白鳥士郎のトップギアか!」と唸らされたのだけど…この時点じゃなーんも分かってなかった。
「トップギアのもういっこ上」とでも言うべきものを終盤で白鳥士郎は見せ付けてきたのである。
後半の土俵際の戦いぶりだけでも読者の頭は相当な「熱量」で焼き切れそうになっているのに、
終盤では「その先」という物を見せてくれた事で、本当に頭の中が焼き切れそうになった。
物語中で時間切れに追い込まれながらも「熱い、熱い」と頭と指を動かし続ける八一も大変だが、
その熱をまともに受けながら読み進める読者も大概に大変なのである。
勝負が付く寸前で「神」であった筈の名人に人としての、平凡な中年男の顔を見る場面は
「『神殺し』にこんな描き方があったのか」と寒気すら覚えるほどの感動を味わうに至った。
膨大な「熱量」に耐えながら読み進めた結果が今の頭の芯がぼんやりと白く濁った様な状態なんである。
これだけだと八一が挑んだ勝負の厳しさだけで押し切る巻かと思われるかもしれないが、
今回はサブキャラの使い方も実に素晴らしい。
特に八一を取り囲むヒロインたちの描き方と言ったら…「最高」以外の言葉が見当たらない。
序盤で描かれた「ハワイの夜」でビックリした。
「白鳥士郎が新シリーズ『俺の姉弟子がこんなに可愛いわけがない』を始めちゃった!」と
勘違いするほどに八一に対して銀子が見せる姿が可愛らしい。
フォント弄り芸と言えば大フォントを使う事が多いけど、極小フォントで「……おいてかないで」と
呟いた様に、将棋星人である八一の急速な成長を遂げる事にある種の怯えを見せ始めた銀子が、
ハワイで名人相手に大惨敗を喫した八一を気遣ったにも関わらず拒絶された事で、
姉と慕い、ただ一人剥き出しの自分を見せる桂香の膝に縋って泣きじゃくる姿には
恋する少女の弱々しさや、年相応の幼さが透けて見えていた。
同じ様に師匠である八一に拒絶された事で乱れきったあいがマイナビ女子オープンで
女流タイトル保持者である月夜見坂に相手の流儀で挑んでボコボコにされる姿も良いし、
同じ弟子でありながら天衣の見せた不器用すぎる師匠への親愛も魅せてくれた。
…しかし、今回最高だったヒロインと言えばまさかの桂香さんかと。
「弱い」、「才能が無い」と散々な描き方をされてきた彼女が銀子もあいも拒絶するに至った
八一の窮状を救うべく、どう考えても勝てる筈の無い「エターナルクイーン」釈迦堂相手の対局で見せた
「奇跡を起こす不屈の精神」と八一も銀子もあいもまとめて守って見せる「お姉さん」ぶりが最高過ぎた。
熱い戦いも、恋愛劇も良いが、白鳥士郎といったらギャグだろ、という方、ご安心を。
ギャグの無い白鳥士郎作品なんてあり得ません。
後半で舞台はあいの実家「ひな鶴」に舞台を移すのだけど、一巻ではあいを棋士にする事に猛反対だった
母親・亜希奈の「外堀を埋めまくる」策士っぷりが素晴らしい。
恐るべき「母の愛」に感動しつつ大爆笑させてもらった。
…ここまで褒めちぎっておいて、何で星が一個減ってしまうのか?
答えは簡単、尺が全然足りてないのである。
なんでこの「史上空前のエピソード」を一巻で書いちゃったんだ?
どう考えても八一の大惨敗から清滝一門の危機、桂香の奇跡が起こした八一の復活、
「ひな鶴」を舞台にした土俵際での大激戦…一冊で収められる筈もあるまい。
これは完全に個人的な願望になってしまうのだが、八一の復活=あいの師匠としての自覚の芽生え
という感動の場面で一旦切って、名人との大激戦は次の巻に回すべきだったと思うのだが…。
特に前半での八一の迷走は正直、掘り下げが足りなかったと思う。
無論、あいや銀子を拒絶するなど、印象的なエピソードは描かれていたのだが、
将棋その物の方はソフトを使った八一自身の将棋の再検討が描かれるぐらいでちょっと浅過ぎたかと。
例えば八一のライバルで研究仲間の歩夢や生石なんかを上手く使えなかったか…と悔やまれる。
今回は一ページで収まったあとがきで白鳥士郎が当初この作品を五巻でまとめる筈だった、という
告白をしている辺り、このたっぷりと尺を用意するべきエピソードに十分な尺が与えられない、
一巻の売り上げで「どれだけ続けられるか」が決まってしまうライトノベルの悪しき習慣が
影響を及ぼしてしまったのでは、という根拠のない推量すらしてしまうほど勿体なさを感じずにはいられない。
ライトノベル史上に残るであろうこの大傑作シリーズに、そのシリーズでクライマックスとなるであろう
膨大な熱量を詰め込んだエピソードに十分な尺が与えられないという事だけが無念でならない。
この今もっとも熱い作家である白鳥士郎に思う存分な筆を振るえる尺を与えてくれ、と
GA文庫編集部には願ってやまない。
2017年9月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
いい意味で裏切られた。
ライトノベルに登場するキャラとしてはあまりに異質な「名人」と言う存在。
外見やセリフどころか名前すら提示されないこの人物は、その異質な見せ方から
実在の伝説である羽生善治氏をゲスト的な形で登場させているのだと思っていた。
細かい描写がないのは実在の人物であること対する配慮であり、下手に弄ることは許されない存在なのだと。
故に八一と名人、彼らが戦うことになってもボカされた結果を見せられガッカリしてしまうのではないかと思っていた。
序盤から圧倒的に八一を下す姿から「ああ、挫折を味合わせるための存在なんだな」と早計に結論づけた。
終盤で伝説的な引き分けを描写することで「有耶無耶にする手法にしたのかな」と勘ぐった。
だけど違った。
作品を読み進める中で彼は「ゲストの羽生善治」から「八一のライバルの1人である名人というキャラクター」に変貌を遂げた。
そこには実在の人物に配慮だとか、安易に倒す描写はダメだとかそんなつまらないものはどこにもなく
意地をかけて主人公とぶつかり合うただ純粋な棋士としての彼が確かにそこにいた。
現実と創作を絡ませることでこんな魅せ方が可能なのだと心底驚かされた。
作中では伝説の対局が描かれたが、この名人というキャラクターもまた私の中で伝説になった。
ライトノベルに登場するキャラとしてはあまりに異質な「名人」と言う存在。
外見やセリフどころか名前すら提示されないこの人物は、その異質な見せ方から
実在の伝説である羽生善治氏をゲスト的な形で登場させているのだと思っていた。
細かい描写がないのは実在の人物であること対する配慮であり、下手に弄ることは許されない存在なのだと。
故に八一と名人、彼らが戦うことになってもボカされた結果を見せられガッカリしてしまうのではないかと思っていた。
序盤から圧倒的に八一を下す姿から「ああ、挫折を味合わせるための存在なんだな」と早計に結論づけた。
終盤で伝説的な引き分けを描写することで「有耶無耶にする手法にしたのかな」と勘ぐった。
だけど違った。
作品を読み進める中で彼は「ゲストの羽生善治」から「八一のライバルの1人である名人というキャラクター」に変貌を遂げた。
そこには実在の人物に配慮だとか、安易に倒す描写はダメだとかそんなつまらないものはどこにもなく
意地をかけて主人公とぶつかり合うただ純粋な棋士としての彼が確かにそこにいた。
現実と創作を絡ませることでこんな魅せ方が可能なのだと心底驚かされた。
作中では伝説の対局が描かれたが、この名人というキャラクターもまた私の中で伝説になった。