これまで正面からの議論がなされず、はなから悪者扱いだった
「ゲーム・テレビ・インターネット等」の効用を、
説得力のある(しかも面白い)データ解釈で示した本です。
本書のおもな主張は、この手の議論にありがちな
倫理や芸術性などからはひとまず距離を置いて、
テレビ番組やゲームソフトを楽しんでいるときの思考の仕方や、
ゲームやネット環境が普及する前後でのIQ(知能指数)の変遷
といった角度から、これらのメディアを詳しく検討した結果
「脳にとってはテレビを見たりゲームをすることが、
読書などとは違った能力を鍛えることになる」というものです。
だから「読書やスポーツも確かによい面はあるけれど、
ゲームをすることで特に鍛えられる能力もあるんだから、
バランスよく楽しむことが大事」というわけです。
ここで考えたいのは、
「『本ばかり読んでないで、ゲームもしなさい』というのが実は脳のためになる」
という本書の主張は、
食物でいうところの『お菓子や肉類ばかり食べてないで、野菜も食べなさい』
という主張と同じで、特に奇異なものでは無いということです。
同じ例えを用いるなら、いわゆる「ゲーム有害論」は
『肉や菓子類は高タンパク高カロリーで体によいが、
野菜に含まれる食物繊維は体内でほとんど消化吸収されず、
野菜ばかり食べていたらやせ細ってしまう』
と言っているのと同様であり、全くナンセンスな主張であるように思われます。
どちらを信じるのも読者の自由ですが、説得力があるのは明らかに本書の方です。
…もちろん肉にも野菜にも「腐ったもの」だってあるわけですが。
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ダメなものは、タメになる: テレビやゲームは頭を良くしている 単行本 – 2006/10/1
テレビやゲームばかりやってると頭が悪くなる???通俗的な見
解を科学的に払拭!アンチ「ゲーム脳」!!
解を科学的に払拭!アンチ「ゲーム脳」!!
昨今のテレビやゲームは、ストーリーや構造が複雑になりじつは読書よりも高
度な知的活動が要求される!ポピュラー文化の深まりとともに、われわれが複
雑な知的処理能力を高めつつあることを鋭く指摘!
『ゲーム脳』や『脳内汚染』などの書籍が刊行され、少年犯罪の増加と凶悪化、
果ては福知山線の脱線事故までもがゲーム脳のせいだと云われる。一部の特異な
事例の根拠が、「テレビやゲーム」を元凶として強調されて扱われる傾向にある
が、果たして本当にそうなのか?ゲームをしているとバカになるのか?
本書は、テレビやゲーム、さらにネットなど、どんどん複雑化している日常のエ
ンターテインメントに触れていく中で、人々は「賢くなっている」いることを
データの裏づけで示す。
- 本の長さ295ページ
- 言語日本語
- 出版社翔泳社
- 発売日2006/10/1
- ISBN-104798111635
- ISBN-13978-4798111636
登録情報
- 出版社 : 翔泳社 (2006/10/1)
- 発売日 : 2006/10/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 295ページ
- ISBN-10 : 4798111635
- ISBN-13 : 978-4798111636
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,029,043位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 7,331位社会一般関連書籍
- - 19,597位社会学概論
- - 93,598位ビジネス・経済 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2007年3月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2006年10月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
スリーパー曲線については理解できたが、結局テレビやゲームはどんどん複雑化していくなかで、どのように成長する子供の頭脳や人格形成に作用するのかが、全く分からない。この著者の文体もあるのだろうが、センテンスとセンテンスがバラバラなように感じられた。また、題材とされるTV番組やゲームも、海外製のモノを取り上げているので、読んでいて全くイメージがわかない。直訳的にローカライズして出版したのだろうけど、もう少し「読みやすい文体」を意識しないと、誰に向けて書かれているのかすら、わからない感じがしました。
2017年7月24日に日本でレビュー済み
正直、邦訳のタイトルはイマイチな感があります。
TV番組ばかり観ていたり、ゲームばかりしていると頭に良くない!!もっと本を読みましょう!!的な一般的な意見に対して「本当にそうなのか」といった視点でアプローチしたのが本書です。
面白いのは、最初の方で「本とゲームの立場(世に出る順)が逆だったらどうなるか」という前提で「本はこういった点がよろしくない」とまとめている箇所が結構秀逸です。
同じ対象でも視点を変えると違った見方ができる、それは見る立場にもよって違ってくる、ということの良い例でしょうか。
むしろゲームの方が複雑化しているので意外と頭を使う、と改めて問われると当たり前だけど気づかなかった点にも言及しています。
ただ、惜しむらくは冒頭あたりにでてくる「スリーパー曲線」なるものの図表が一切出てこないため(私の見落としでなければ)、イメージがつかみにくいです。
本書が書かれた当時以上に、現在(2017年時点)ではスマホでのゲームが一般にも浸透してきていますので、そのあたりも踏まえた最新版が出てほしいものです。
【登場する書籍】
最新版 スポック博士の育児書
利己的な遺伝子 <増補新装版>
ティッピング・ポイント―いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか
なぜあの商品は急に売れ出したのか―口コミ感染の法則
メディア論―人間の拡張の諸相
創発―蟻・脳・都市・ソフトウェアの自己組織化ネットワーク
マインド・ワイド・オープン―自らの脳を覗く
「おもしろい」のゲームデザイン ―楽しいゲームを作る理論
民主化するイノベーションの時代
など
TV番組ばかり観ていたり、ゲームばかりしていると頭に良くない!!もっと本を読みましょう!!的な一般的な意見に対して「本当にそうなのか」といった視点でアプローチしたのが本書です。
面白いのは、最初の方で「本とゲームの立場(世に出る順)が逆だったらどうなるか」という前提で「本はこういった点がよろしくない」とまとめている箇所が結構秀逸です。
同じ対象でも視点を変えると違った見方ができる、それは見る立場にもよって違ってくる、ということの良い例でしょうか。
むしろゲームの方が複雑化しているので意外と頭を使う、と改めて問われると当たり前だけど気づかなかった点にも言及しています。
ただ、惜しむらくは冒頭あたりにでてくる「スリーパー曲線」なるものの図表が一切出てこないため(私の見落としでなければ)、イメージがつかみにくいです。
本書が書かれた当時以上に、現在(2017年時点)ではスマホでのゲームが一般にも浸透してきていますので、そのあたりも踏まえた最新版が出てほしいものです。
【登場する書籍】
最新版 スポック博士の育児書
利己的な遺伝子 <増補新装版>
ティッピング・ポイント―いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか
なぜあの商品は急に売れ出したのか―口コミ感染の法則
メディア論―人間の拡張の諸相
創発―蟻・脳・都市・ソフトウェアの自己組織化ネットワーク
マインド・ワイド・オープン―自らの脳を覗く
「おもしろい」のゲームデザイン ―楽しいゲームを作る理論
民主化するイノベーションの時代
など
2006年10月30日に日本でレビュー済み
今までのメディア擁護論は、ゲーム脳や脳内汚染といったとんでも話、マスコミ等で垂れ流される世迷言の類を否定するといった消極的、いわば受身のものばかりであった。しかし、当書の主張は逆です。スリーバー曲線という概念を提唱し、ゲームやドラマの複雑化(操作方法、また物語それ自体も)が、頭を良くしていると積極的にプラス効果の存在を示唆するものである。そして、IQテストの平均の上昇などのデータという裏づけがあるところが、否定論のとんでもぶりと一線を画することにも成功している。
日本の場合、アメリカのドラマの複雑化といった話はピンとこないかもしれないが、脳トレなどの携帯ゲームが大ヒットしゲーム界の図を一変させたことを思うと、より明らかにスリーパー曲線の妥当性を図る条件が揃っていると思うのだが…日本のゲーム業界の奮起を祈りたいところ。
日本の場合、アメリカのドラマの複雑化といった話はピンとこないかもしれないが、脳トレなどの携帯ゲームが大ヒットしゲーム界の図を一変させたことを思うと、より明らかにスリーパー曲線の妥当性を図る条件が揃っていると思うのだが…日本のゲーム業界の奮起を祈りたいところ。
2013年5月15日に日本でレビュー済み
ゲームやテレビなどのポピュラー文化は年々複雑化し、人々を馬鹿にするどころか賢くしている!という今までの風潮を吹き飛ばす主張をアメリカの著述家が展開する。
語られるのは主にゲームとテレビ(ドラマとリアリティ番組)。インターネットや映画についてはほんの少しだけ。後半では知能テストの結果が年々上がっているフリン効果について取り上げ、メディアの影響で人々は知的能力が向上していると論じる。
おそらくゲームや洋物ドラマに触れている人は薄々このことに気づいているのではないだろうか。それらが年々複雑化していてとても頭を鍛えられるということに。
情報処理能力の高さが求められる現在、複雑化したポピュラー文化に親しむことは大きなプラスになる。その思いを確かなものにしてくれるのがこの本だ。
こういう本が全国の小中学校の図書室にあったらいいと思う。
語られるのは主にゲームとテレビ(ドラマとリアリティ番組)。インターネットや映画についてはほんの少しだけ。後半では知能テストの結果が年々上がっているフリン効果について取り上げ、メディアの影響で人々は知的能力が向上していると論じる。
おそらくゲームや洋物ドラマに触れている人は薄々このことに気づいているのではないだろうか。それらが年々複雑化していてとても頭を鍛えられるということに。
情報処理能力の高さが求められる現在、複雑化したポピュラー文化に親しむことは大きなプラスになる。その思いを確かなものにしてくれるのがこの本だ。
こういう本が全国の小中学校の図書室にあったらいいと思う。
2007年7月20日に日本でレビュー済み
この本の内容を一言でいうと
巷では、TVゲーム、テレビ、インターネット、映画の悪影響が喧伝されているが、これらは複雑だったり、文章を読み書きしたりで、実は頭によいのかもしれない。最近のIQテストでも平均点が向上しているのは、これらのメディアの効果もあるのではないか。いたずらな悪影響の喧伝はやめて、その長所をもっと直視すべきだ。
評価
私自身は、インターネット以外はあまり親しんでいないが(テレビや映画はドラマとする)、叙述は割合説得的だと思う(なお、インターネットに関しては同意)。また、読書の大切さなども論じているので、バランスよく仕上がっている。ただ、TVゲームなどの否定論者に対しての反論としては弱い(表現やデータ)のが物足りないので、星1つ減らして、星4つ。
その他
『コンピュータが子供の心を変える』(ジェーン・M. ハーリー、大修館書店)、『脳内汚染』(岡田尊司、文藝春秋)、『ラジオは脳に効く』(板倉徹、東洋経済新報社)といったところのレビューで、私は、本書で取り上げられたメディアについての否定的な言説にいったんは納得したが、これを読んだ後では、それを考え直さなければならないかな、と思っている。
巷では、TVゲーム、テレビ、インターネット、映画の悪影響が喧伝されているが、これらは複雑だったり、文章を読み書きしたりで、実は頭によいのかもしれない。最近のIQテストでも平均点が向上しているのは、これらのメディアの効果もあるのではないか。いたずらな悪影響の喧伝はやめて、その長所をもっと直視すべきだ。
評価
私自身は、インターネット以外はあまり親しんでいないが(テレビや映画はドラマとする)、叙述は割合説得的だと思う(なお、インターネットに関しては同意)。また、読書の大切さなども論じているので、バランスよく仕上がっている。ただ、TVゲームなどの否定論者に対しての反論としては弱い(表現やデータ)のが物足りないので、星1つ減らして、星4つ。
その他
『コンピュータが子供の心を変える』(ジェーン・M. ハーリー、大修館書店)、『脳内汚染』(岡田尊司、文藝春秋)、『ラジオは脳に効く』(板倉徹、東洋経済新報社)といったところのレビューで、私は、本書で取り上げられたメディアについての否定的な言説にいったんは納得したが、これを読んだ後では、それを考え直さなければならないかな、と思っている。
2006年12月6日に日本でレビュー済み
「どんな時代でも新しいメディアは、どんなものであってもそれ以前のメディアパターンを習得した者たちによって、まがいものとして分類される」っていうマクルーハンの引用文がすべてだね。ゲームやインターネットっていう新しいメディアを本や映画といった旧来メディアの基準で語るな、と。それぞれにいいとこあるじゃん、と。まぁPTA的なゲーム有害論に見られるように、新しいメディアを「善悪」って軸で捉えることがおかしいよね。
只、僕はゲームを過大評価もしない。結局ここで語られている、ゲーム、テレビ、インターネットの新しい潮流についての見解って、「今の世の中、情報処理能力が求められてますよー」ってことだよね。膨大な情報の中から必要なものを探し出すデータマイニング的な能力、直線的→並列的→相関的...って発達してきた情報の流れを総括的に捉える能力...「ゲーム」をやることは現代社会を生きていく上で必要なリテラシーを身に付けるのに役立つんじゃないですか、っていう。昔の社会のメタファーは「本」だったけど、今様の社会は「ゲーム」ですよー、っていう。この本での「ゲーム」擁護論は、「善悪」軸に対して、「役に立つ、ためになる」って軸を提示している。でも、「面白いか、つまんないか」って軸で語った時、少なくとも僕は、今のゲーム、そんなに面白くないと思う。結局、人の手のひらってのもあるけど、インセンティヴの与え方にしろ、“ひたすら満足が先送りされる”構造にしろ、人生に比べてあまりに分かり易過ぎる!まだまだ深みが足りないよね。まぁ、その分かり易さが麻薬な訳だけど。
例えば、冒頭の、手作り野球ゲームのエピソード、あれは僕にも経験あるけど、すっごく面白いものだと思うわけ。自分で工夫して創りあげていく過程が面白いんだよね。ゲーマーの楽しみと、手作り野球ゲームの愉楽って、全然別モンだと思うけどな。
只、僕はゲームを過大評価もしない。結局ここで語られている、ゲーム、テレビ、インターネットの新しい潮流についての見解って、「今の世の中、情報処理能力が求められてますよー」ってことだよね。膨大な情報の中から必要なものを探し出すデータマイニング的な能力、直線的→並列的→相関的...って発達してきた情報の流れを総括的に捉える能力...「ゲーム」をやることは現代社会を生きていく上で必要なリテラシーを身に付けるのに役立つんじゃないですか、っていう。昔の社会のメタファーは「本」だったけど、今様の社会は「ゲーム」ですよー、っていう。この本での「ゲーム」擁護論は、「善悪」軸に対して、「役に立つ、ためになる」って軸を提示している。でも、「面白いか、つまんないか」って軸で語った時、少なくとも僕は、今のゲーム、そんなに面白くないと思う。結局、人の手のひらってのもあるけど、インセンティヴの与え方にしろ、“ひたすら満足が先送りされる”構造にしろ、人生に比べてあまりに分かり易過ぎる!まだまだ深みが足りないよね。まぁ、その分かり易さが麻薬な訳だけど。
例えば、冒頭の、手作り野球ゲームのエピソード、あれは僕にも経験あるけど、すっごく面白いものだと思うわけ。自分で工夫して創りあげていく過程が面白いんだよね。ゲーマーの楽しみと、手作り野球ゲームの愉楽って、全然別モンだと思うけどな。
2006年10月24日に日本でレビュー済み
新しいメディアの評価は難しいものだと思う。時代によって、またその世代によって、メディアとの親密さによって違う。いろんなゲームやTVがあって、どんどん進化していることは感じていたが、それによってどういう社会的な影響がもたらされるのか?この本で言われていることは、たくさんの見方のひとつに過ぎないのかなと感じたし、納得できない意見もあったが、新しい視点があっておもしろいなあと思った。学校の読本もこんなのだといいのに。偏った意見の押し付けや右向け右の議論誘導ではなく、いっぱいいろんな意見を持っていい本だと随所に書いてあったのでそうさせてもらいました。
そのわりには副題が決め付け文句だったのが残念。
そのわりには副題が決め付け文句だったのが残念。