マイクロソフト Tech Fielders - Agile Day 2でこの本を知り、早速購入した。まだとばし読みであるが、新しい時代の到来を感じる。
自分はコンサルであるが、反復型と呼ばれる開発プロセスを、ユーザー企業の立場で推進し、反復型によるユーザー側のメリットも確認してきた。そのため、アジャイル開発が大規模システムで適用できるという考え方には全く違和感はない。しかし、XPやスクラムなど、具体的なプロセスのプラクティスには関わってこなかったため、それをアジャイル開発の経験と言って良いのかわからなかった。この本は、個々のプロセスの用語にとらわれることなく、アジャイルの本質的なメリットを理解してそれを引き出すことが大切と説く。この世界にアジャイルという統一的な言葉がうまれそうだ。ありがたいと思う。
アジャイル開発を大規模システムに適用することについては、アーキテクチャーの問題が気になっていた。システムの基本的な構造や仕組みを「後付け」で考えるプロセスでは、大規模開発において相当の不効率を生むことになると考えたからだ。
この点については、アジャイルプロセスそれぞれのスタンスがあるが、大規模システムへの適用については、アーキテクチャーが現れることを待つのではなく、意図的に作り出すことが必要だと書かれている。また、そのアーキテクチャーを作り出すチームや期間も必要であり、それをアーキテクチャー助走路と呼ぶということも書かれている。
アーキテクチャー助走路という概念が打ち出されていることで、今後の大規模におけるアーキテクチャーの事前検討の必要性とメリット、またそこに一定のコストが発生することを説明しやすくなった。これも、ありがたい。
目次にさっと目を通したところでは、この本は他にもじっくり読みたいところが満載で、しばらく楽しめそうだ。
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アジャイル開発の本質とスケールアップ: 変化に強い大規模開発を成功させる14のベストプラクティス 単行本 – 2010/2/1
ディーン レフィングウェル
(著),
玉川 憲
(翻訳)
本書では、ディーン・レフィングウェルの顕著な功績を見ることができる。アジャイル関連には多数のプロセスがあるが(XP、スクラム、リーン、DSDM、FDD、統一プロセス、など)、それらのプロセスに関する議論を超えて、ディーンはまず何がそれらのプロセスに共通であるかをまとめた。そして、その後、この本の主目的である、いかにしてアジャイル開発をスケールアップするかを述べている。彼は、すでにたくさんあるアジャイルプロセスに新しいプロセスを加えることはせずに、むしろ、既存の確立されたアジャイルプラクティス(中には奇妙な名前を持ったものがあるが)を取り込み、統合していく。そして、一段上のレベルで、技術視点、マネージメント視点の両面から、新しいプラクティスのセットを加えることで既存のプロセスを拡張しようとしている。無数のメソッドに共通に存在するベストなエンジニアリングプラクティスを統合し拡張するだけでなく、大規模なアジャイルプロジェクトにおけるガバナンスを実現する方法を説明しているのだ。(本書の序文より)
- 本の長さ325ページ
- 言語日本語
- 出版社翔泳社
- 発売日2010/2/1
- 寸法18.5 x 2.5 x 23 cm
- ISBN-104798120405
- ISBN-13978-4798120409
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商品の説明
著者について
・著者紹介
Dean Leffingwell(ディーン・レフィングウェル)
米国で非常に著名なコンサルタントであり、RequisiteProという要求管理ツールを作った会社を立ち上げたことでも有名です。元はRational(IBMに買収された)のVice Presidentであり、現在は違う会社を立ち上げました。
最近の5年ほどは、コンサルタントとして、多数の企業で活躍し、その経験をもとにこの本を書き上げています。
・監訳者紹介
玉川 憲(たまがわ けん)
IBMソフトウェアエバンジェリスト、IBM Rational 事業部テクニカルセールス部長。2000年にIBM Research Tokyo(当時、東京基礎研究所)に入所。超小型腕時計型Linux コンピュータWatchPad の研究開発に従事。2003年よりIBM Rational 事業部に所属。RUP ・要求管理・オブジェクト指向分析設計のコンサルティングなどを行う。2006年より米国在住。アジャイル方法論を用いたソフトウェア開発に従事。2009年から現職。2 歳の息子との建設機械見物が趣味。東京大学工学修士。カーネギーメロン大学経営学修士(MBA)。同ソフトウェア工学修士(MSE)。RUP認定講師。オブジェクト指向分析設計認定講師。ユースケース要求管理認定講師。認定スクラムマスター。
Dean Leffingwell(ディーン・レフィングウェル)
米国で非常に著名なコンサルタントであり、RequisiteProという要求管理ツールを作った会社を立ち上げたことでも有名です。元はRational(IBMに買収された)のVice Presidentであり、現在は違う会社を立ち上げました。
最近の5年ほどは、コンサルタントとして、多数の企業で活躍し、その経験をもとにこの本を書き上げています。
・監訳者紹介
玉川 憲(たまがわ けん)
IBMソフトウェアエバンジェリスト、IBM Rational 事業部テクニカルセールス部長。2000年にIBM Research Tokyo(当時、東京基礎研究所)に入所。超小型腕時計型Linux コンピュータWatchPad の研究開発に従事。2003年よりIBM Rational 事業部に所属。RUP ・要求管理・オブジェクト指向分析設計のコンサルティングなどを行う。2006年より米国在住。アジャイル方法論を用いたソフトウェア開発に従事。2009年から現職。2 歳の息子との建設機械見物が趣味。東京大学工学修士。カーネギーメロン大学経営学修士(MBA)。同ソフトウェア工学修士(MSE)。RUP認定講師。オブジェクト指向分析設計認定講師。ユースケース要求管理認定講師。認定スクラムマスター。
登録情報
- 出版社 : 翔泳社 (2010/2/1)
- 発売日 : 2010/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 325ページ
- ISBN-10 : 4798120405
- ISBN-13 : 978-4798120409
- 寸法 : 18.5 x 2.5 x 23 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 511,714位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 9,923位電気・通信 (本)
- - 20,903位コンピュータ・IT (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年3月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2010年6月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
プロジェクトリーダー以上の方にお勧めの一冊です。
タイトルの「アジャイル開発の本質」という部分が、
第1部から第2部に相当します。
この部分だけでも読む価値はあります。
アジャイル開発をXP、スクラム、RUPの具体的なプラクティスで
解説してあり、違いや共通点が分かりやすかったです。
また、ウォーターフォールの間違えについても参考になりました。
タイトルの後半「スケールアップ」という部分が、
第3部に相当します。
アジャイルを企業に適用する解説です。
実際に行動するにはエネルギーが必要で難しい部分ですが、
面白かったのはアジャイルの計測で、評価するのに
レーダーチャートを用いているところは参考になりました。
サブタイトルの「14のベストプラクティス」で
「14」は何を指しているのか最後まで分かりませんでした。
タイトルの「アジャイル開発の本質」という部分が、
第1部から第2部に相当します。
この部分だけでも読む価値はあります。
アジャイル開発をXP、スクラム、RUPの具体的なプラクティスで
解説してあり、違いや共通点が分かりやすかったです。
また、ウォーターフォールの間違えについても参考になりました。
タイトルの後半「スケールアップ」という部分が、
第3部に相当します。
アジャイルを企業に適用する解説です。
実際に行動するにはエネルギーが必要で難しい部分ですが、
面白かったのはアジャイルの計測で、評価するのに
レーダーチャートを用いているところは参考になりました。
サブタイトルの「14のベストプラクティス」で
「14」は何を指しているのか最後まで分かりませんでした。
2013年1月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大規模開発に向けた書籍だが、大規模に対する考察はそのまま受け入れられるものでもない。が、アジャイルソフトウェア開発、という事に関して丁寧にまとめられているので『アジャイルサムライ』を読んだ後にでも読むとアジャイルの理解が深まるのではないか。
2013年8月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
参考になりました。
日本語の訳が少し、キツイですが、専門書の訳の本としては、いいほうだと思います。
おおらかな気持ちで読む必要があります。
日本語の訳が少し、キツイですが、専門書の訳の本としては、いいほうだと思います。
おおらかな気持ちで読む必要があります。
2010年3月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大変面白く、一気に読んでしまいました。
XP、スクラム、RUP、それぞれ名前は聞いたことがあったのですが、良く理解していませんでした。この本を読んで、これらのメソッドに共通な本質は何か、が良くわかりました。また、それがどうやら大規模なエンタープライズシステムにも適用できそうなのだ、ということがわかってきました。
QCDという言葉があります。品質(Q)、コスト(C)、納期(D)を守らなければならない、という意味です。ものづくりにおいては、特に重要でしょう。しかしながら、QCDを計画するためには、生産活動が事前に予測可能であることが必要です。ソフトウェアの開発は本質的に、今までに無い新しいものを創り上げる活動であり、また顧客の要件も時間とともに変化していきます。ですので、ソフトウェア開発においては、QCDを事前に決めることはできない、という前提からアジャイルの考え方が始まっています。
一定のQCDを事前に決めることができないとなれば、Q、C、Dのいずれか(あるいは複数)にしわ寄せがよってきます。ソフトウェア開発ではどれも起きることです。納期が延びて、そのためにたくさんの人を投入して(コストオーバーラン)、なおかつ品質が保てない、などという話を良く聞きます。
アジャイル開発では、与えられたコストの範囲で納期は絶対守る、その代わり仕様には妥協する、というのが今までのウォーターフォール開発とは大きく異なるコンセプトです。コードの品質には妥協しないのですが、顧客要件については優先順位をつけて、実装できるものだけを期限までに実装する、という考え方です。同時に、常に変化する顧客要件に対応するため、非常に短い反復で動くソフトウェアを作り、顧客に見せてフィードバックをもらいます。
このアジャイルの考え方は、ソフトウェア開発だけでなく、企業における知的活動の様々な局面において応用できるように思います。たとえば、3か月で何かの報告書を作るタスクの場合、完成度は低くても全体像がわかるドラフトを毎週提出してフィードバックをもらう、などのやり方です。
また、チームの構成、コミュニケーションのやり方などは、一般のマネジメントにすぐにでも応用が効きそうです。ソフト開発も組織のマネジメントも結局は人、メンバーのエンパワメントが大事なのだ、と改めて認識させられる本でした。
XP、スクラム、RUP、それぞれ名前は聞いたことがあったのですが、良く理解していませんでした。この本を読んで、これらのメソッドに共通な本質は何か、が良くわかりました。また、それがどうやら大規模なエンタープライズシステムにも適用できそうなのだ、ということがわかってきました。
QCDという言葉があります。品質(Q)、コスト(C)、納期(D)を守らなければならない、という意味です。ものづくりにおいては、特に重要でしょう。しかしながら、QCDを計画するためには、生産活動が事前に予測可能であることが必要です。ソフトウェアの開発は本質的に、今までに無い新しいものを創り上げる活動であり、また顧客の要件も時間とともに変化していきます。ですので、ソフトウェア開発においては、QCDを事前に決めることはできない、という前提からアジャイルの考え方が始まっています。
一定のQCDを事前に決めることができないとなれば、Q、C、Dのいずれか(あるいは複数)にしわ寄せがよってきます。ソフトウェア開発ではどれも起きることです。納期が延びて、そのためにたくさんの人を投入して(コストオーバーラン)、なおかつ品質が保てない、などという話を良く聞きます。
アジャイル開発では、与えられたコストの範囲で納期は絶対守る、その代わり仕様には妥協する、というのが今までのウォーターフォール開発とは大きく異なるコンセプトです。コードの品質には妥協しないのですが、顧客要件については優先順位をつけて、実装できるものだけを期限までに実装する、という考え方です。同時に、常に変化する顧客要件に対応するため、非常に短い反復で動くソフトウェアを作り、顧客に見せてフィードバックをもらいます。
このアジャイルの考え方は、ソフトウェア開発だけでなく、企業における知的活動の様々な局面において応用できるように思います。たとえば、3か月で何かの報告書を作るタスクの場合、完成度は低くても全体像がわかるドラフトを毎週提出してフィードバックをもらう、などのやり方です。
また、チームの構成、コミュニケーションのやり方などは、一般のマネジメントにすぐにでも応用が効きそうです。ソフト開発も組織のマネジメントも結局は人、メンバーのエンパワメントが大事なのだ、と改めて認識させられる本でした。
2010年3月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
昨年のマイクコーンの本(
アジャイルな見積りと計画づくり ‾価値あるソフトウェアを育てる概念と技法‾
)といい、この本といい、最近のアジャイル開発の様変わりの様子が、やっと日本語で読めるようになってきた。アジャイル食わず嫌いの人にこそ、読んで欲しい本。
開発組織のリーダークラスの人にもおすすめ。アジャイルの本質から解きほぐしてくれるので、なぜアジャイルかという点で得心が行くし、具体的な規模拡大のアプローチが示されているので、アジャイルに安心して取り組める気になる。
ただ、内容的に今までのアジャイル開発とはかなり異質なので、普通のアジャイル本も併読した方がいいかも。そうすると逆にこの本の価値がわかるかもしれない。
開発組織のリーダークラスの人にもおすすめ。アジャイルの本質から解きほぐしてくれるので、なぜアジャイルかという点で得心が行くし、具体的な規模拡大のアプローチが示されているので、アジャイルに安心して取り組める気になる。
ただ、内容的に今までのアジャイル開発とはかなり異質なので、普通のアジャイル本も併読した方がいいかも。そうすると逆にこの本の価値がわかるかもしれない。