中篇2本、ゲームノベル1本で構成される「異次元の色彩」及びシャーロック・ホームズものに対するオマージュ。
○山田正紀「宇宙からの色の研究」
メタフィクションなクトゥルーもの。ホームズは勿論の事、モリアーティ、ジャック・ザ・リッパー、フランケンシュタインの怪物に「嵐が丘」のヒースクリフ、又、ホームズの作者コナン・ドイルに「嵐が丘」の作者エミリー・ブロンテ等が登場。ストーリーにしてもメアリー・シェリーの「フランケンシュタイン」に繋がったりスティーブン・キングの「霧」が出て来たり・・・と、嘗ての書き手達が行っていた「遊び」を嬉しそうに実践している。書き手が本当に楽しみ遊んでいるのが、読んでいて手に取る様に判るのが良い。
○北原尚彦「バスカヴィル家の怪魔」
正統派ホームズもの・・・と想わせておいて、ホラー。元ネタの「バスカヴィル家の魔犬」はホラーと想わせておいて合理的(?)な解釈で真相をあばく(後にわが国でも乱歩はじめ幾人もの作家が、宇宙人や化け物と想わせておいて実は人間の仕業と云うパターンのものを書いたが、その元祖的な作品)ミステリだったが、これは逆。しかし、半ばこじつけめいた合理的解釈が無い分(前述の乱歩作品群にしても、首を傾げたくなる解釈が多々有った)違和感が無かったりする。脇役にしても、皆、キャラが立っていて良かった。
「異次元の色彩」の生物について、ガス状生物と一種のエネルギー生命体とする見方と有るが、本作は「生きた光」としており、さしずめ光生物と云ったところか。クライマックスとなるラストシーンの盛り上がりは美事!
本作はこの中で最も「異次元の色彩」色が鮮明だが、それが、三人のうち最もホームズ色の濃い書き手に依って為されたと云うのが面白い。
○フーゴ・ハル「バーナム二世事件」
ゲームノベルだが、ホームズは最初と最後の部分にしか登場せず、ゲーム部分はワトスンばかりなので、今一つホームズものとしては弱い感じ。ホームズが出ていれば良いのだが、ワトスンは個性がそれほど強くないので、捜査役がワトスンである事を意識していないと刑事の方でも、殆ど問題無い感じだ。
只、犯人探しについては自然で合理的(少なくともホームズものに慣れ親しんでいる読者にならば)な解釈で臨んでおり、この中では最もホームズ色が濃い。しかも、ちゃんと「異次元の色彩」に依る捻りもラストに加えられている。
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ホームズ鬼譚~異次元の色彩 (The Cthulhu Mythos Files 8) 単行本 – 2013/9/3
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《宇宙からの色の研究・山田正紀著》
「異常な状況下における“拘禁性神経障害とその呪い"」という専門分野のために、私は法廷に召喚された。
その法廷の被告人は、ある男性を「ライヘンバッハの滝」へ突き落した容疑で告発されていた。
男性の名は「シャーロックホームズ」、被告人の名は――「コナン・ドイル」だった。
《バスカビル家の怪魔・北原尚彦著》
17世紀半ば、ダートムアの地に隕石が墜ちる。
夜の荒れ地はぼうっと燐光を放ち、果樹園では異常なほど大きな果実が実る。荒れ地の草を食べた羊は凶暴化したという。
この地を治めるバスカヴィル家の領主ヒューゴー・バスカヴィルは魔犬に頭を食いちぎられ、以降一族に不吉な死が続く…。
《バーナム2世事件・フーゴ・ハル著》
2011年の春、アメリカのマサチューセッツ州アーカムにあるミスカトニック大学で、J・H・ワトスン博士の未発表の手記が発見された。
手記の内容は19世紀末のロンドンで起きた怪奇な殺人事件をめぐるものだった。
迷宮状に枝分かれしている文章を少しずつ読み進め、あたかもワトスン博士と共に捜査するようにして、事件の謎を解き明かす、新感覚ゲームブック。
1つのクトゥルー作品をテーマに3人の作家が小説、ゲームブック、漫画などの様々な形で競作するオマージュ・アンソロジー・シリーズ。
第3弾は『異次元の色彩』に捧げる。
巻末には原作の冒頭(荒俣宏訳)を掲載。
「異常な状況下における“拘禁性神経障害とその呪い"」という専門分野のために、私は法廷に召喚された。
その法廷の被告人は、ある男性を「ライヘンバッハの滝」へ突き落した容疑で告発されていた。
男性の名は「シャーロックホームズ」、被告人の名は――「コナン・ドイル」だった。
《バスカビル家の怪魔・北原尚彦著》
17世紀半ば、ダートムアの地に隕石が墜ちる。
夜の荒れ地はぼうっと燐光を放ち、果樹園では異常なほど大きな果実が実る。荒れ地の草を食べた羊は凶暴化したという。
この地を治めるバスカヴィル家の領主ヒューゴー・バスカヴィルは魔犬に頭を食いちぎられ、以降一族に不吉な死が続く…。
《バーナム2世事件・フーゴ・ハル著》
2011年の春、アメリカのマサチューセッツ州アーカムにあるミスカトニック大学で、J・H・ワトスン博士の未発表の手記が発見された。
手記の内容は19世紀末のロンドンで起きた怪奇な殺人事件をめぐるものだった。
迷宮状に枝分かれしている文章を少しずつ読み進め、あたかもワトスン博士と共に捜査するようにして、事件の謎を解き明かす、新感覚ゲームブック。
1つのクトゥルー作品をテーマに3人の作家が小説、ゲームブック、漫画などの様々な形で競作するオマージュ・アンソロジー・シリーズ。
第3弾は『異次元の色彩』に捧げる。
巻末には原作の冒頭(荒俣宏訳)を掲載。
- 本の長さ400ページ
- 言語日本語
- 出版社創土社
- 発売日2013/9/3
- 寸法18.8 x 2 x 13 cm
- ISBN-104798830089
- ISBN-13978-4798830087
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登録情報
- 出版社 : 創土社; 四六版 (2013/9/3)
- 発売日 : 2013/9/3
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 400ページ
- ISBN-10 : 4798830089
- ISBN-13 : 978-4798830087
- 寸法 : 18.8 x 2 x 13 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 668,706位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,340位SF・ホラー・ファンタジー (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年9月7日に日本でレビュー済み
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2018年12月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本を「ホームズ」の言葉に惹かれて買った人と、クトゥルーフ作品として買った人、山田正紀作品の1つとして買った人で評価は分かれるだろう。
学生時代、創元推理文庫のホームズシリーズを読み込んだが、特段シャーロキアンというわけでもなく、ましてやオカルトものも決して好きでも無い自分は、ただ山田正紀作品として読んでみた。前半は決して面白くはなかったのであるが、終盤の展開はさすが。一気に読み終えてしまった。それでもクトゥルーフというものの魅力は未だよくわからない。
学生時代、創元推理文庫のホームズシリーズを読み込んだが、特段シャーロキアンというわけでもなく、ましてやオカルトものも決して好きでも無い自分は、ただ山田正紀作品として読んでみた。前半は決して面白くはなかったのであるが、終盤の展開はさすが。一気に読み終えてしまった。それでもクトゥルーフというものの魅力は未だよくわからない。
2014年5月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ホームズも大好きだしクトゥルーも好きだし、山田正紀さんなので買ったけど、あまりに誤字脱字が多くて最初の数十ページで挫折しました…。ごめんなさい。職業柄誤字脱字を見つけるのがクセになっていて。
2013年9月23日に日本でレビュー済み
書き手の魅力にひかれて読みましたが、いずれの作品も大変読みごたえがありました。
ホームズ譚をクトゥルフ色で味付けした「パスティーシュ」として読むのがよいと思います。
ホームズファン、シャーロッキアンならばご一読を。
傑出は北原氏の「バスカヴィル」でした。さすがホームズ譚の翻訳家・研究家です、端々まで
ワトソン色がいっぱいに、バスカヴィルの平行世界を描いています。
魔犬は本当は「魔犬」ではないことをホームズが喝破しますが、その理由が異なるというわけ
ですね。
むしろ、聖典よりも本作のほうが「恐怖」をひきずるエンディングになっています。
ホームズ譚をクトゥルフ色で味付けした「パスティーシュ」として読むのがよいと思います。
ホームズファン、シャーロッキアンならばご一読を。
傑出は北原氏の「バスカヴィル」でした。さすがホームズ譚の翻訳家・研究家です、端々まで
ワトソン色がいっぱいに、バスカヴィルの平行世界を描いています。
魔犬は本当は「魔犬」ではないことをホームズが喝破しますが、その理由が異なるというわけ
ですね。
むしろ、聖典よりも本作のほうが「恐怖」をひきずるエンディングになっています。
2014年10月25日に日本でレビュー済み
相性がいいわけではないのに、全部「宇宙からの色」と「ホームズ」の組み合わせ、ってなんかおかしいですね。
面白くないし。
●「宇宙からの色の研究」
ベテランですが、固有名詞だせばクトゥルフ、って数十年前の作家の考えのままの人ですね。
主なネタも「神狩り2」「エイダ」だの自作の焼き直しっぽい物の組み合わせでしかないですし。
怪生物「宇宙からの色」は、まったく関係ない話です。
●他二篇は、本当にただホームズと宇宙からの色を組み合わせただけの作品。
同人レベルです。
ホームズって原作は気味の悪さや後味の悪さなど、怪奇めいた雰囲気の作品も多く、全知万能ではまったくないですが、
パスティーシュになるとそこらが完全に無視されるのは何故でしょうか。
「人倫なんて興味ない光波の宇宙生物」「去り際も気持ち悪く後味悪い」「SFホラー」なら、小林泰三氏の「αΩ」がかなり近かったと思うので、
せっかくなら、このテーマはあちらに依頼した方が良かったのでは。
原作はラブクラフト作品でも好きな作品なので、今作の出来は残念です。
面白くないし。
●「宇宙からの色の研究」
ベテランですが、固有名詞だせばクトゥルフ、って数十年前の作家の考えのままの人ですね。
主なネタも「神狩り2」「エイダ」だの自作の焼き直しっぽい物の組み合わせでしかないですし。
怪生物「宇宙からの色」は、まったく関係ない話です。
●他二篇は、本当にただホームズと宇宙からの色を組み合わせただけの作品。
同人レベルです。
ホームズって原作は気味の悪さや後味の悪さなど、怪奇めいた雰囲気の作品も多く、全知万能ではまったくないですが、
パスティーシュになるとそこらが完全に無視されるのは何故でしょうか。
「人倫なんて興味ない光波の宇宙生物」「去り際も気持ち悪く後味悪い」「SFホラー」なら、小林泰三氏の「αΩ」がかなり近かったと思うので、
せっかくなら、このテーマはあちらに依頼した方が良かったのでは。
原作はラブクラフト作品でも好きな作品なので、今作の出来は残念です。