アダルトレーベル出身にしては妙に話作りが上手い作家・栗栖ティナが一般レーベルデビュー直前に発表したシリーズ最終巻
「乙女の破片」を体に宿した少女たちの封印された過去が遂に明かされるが…その結末は?
聖エスタド学園に兄の遼人を追う様に転校してきた妹・紗々羅が二人の幼馴染・詩音と美緒を相手に引き起こした事件が学園長の翠に
紗々羅が「乙女の破片」を植え付けられた事が原因だと当の翠から明かされたその夜、翠に真相を追究しようと寮生全員が集まった場は
何故か間違って振る舞われたシャンパンのお陰で遼人争奪戦が始まり、委員長・智子が遼人に強引に初めてを捧げる事に。態度を明確にしない
遼人に「本当に誰が好きなのか?」を問う乙女たちの中、美緒は他の少女たちから「遼人に好きだと言った事も無いのに選ばれようとするなんて」と
爪弾きにされる。美緒は遂に想いを遼人に告げ、体を重ねるが、その場に現れた詩音はヤンデレを暴走させて遼人を連れ去ってしまう…
終わってみれば、相変わらず一から十まで筋道を通す栗栖ティナらしい話作りが見どころの作品だったな、という印象。前巻で明かされた
遼人と美緒だけではなく詩音も幼い頃に遊び仲間だったという事実が王子様と呼ぶほどに遼人に焦がれていた詩音の記憶の中で何故曖昧になっていたのか?
その記憶の封印が今回のキーになるのだけど、明かされた事実は想像以上に陰惨だった。中世ヨーロッパで錬金術の研究の最中に生まれた
思春期の少女の強い感情を力に変える物質「乙女の破片」を研究していた魔術師の一族・桜小路家の娘であった詩音が実験の最中、事故で
愛する夫を失った母親から凄惨な実験の道具にされて行く中で記憶を自ら封じ込めねばならなかった流れはとてもジュブナイルポルノとは
思えない強烈さがあった
そんな狂った愛情に晒されて家族を全て失い、遠縁の翠だけが面倒を見る中で孤独に生きてきた詩音が「いつか自分の家族と暮らしたい」と
維持してきた旧桜小路家の洋館に連れ去った遼人を拘束して、危険日である事を明かした上で「遼人の子供が欲しい、自分の家族が欲しい」と
狂ったように体を求める場面はまさにヤンデレキャラの真骨頂。ヒロインによる主人公の凌辱シーンとしては屈指の出来なのではないだろうか?
(それにしても遼人は一巻から毎回拉致されていますな…まさにヒロイン的主人公!)
詩音以外の六人がまとめて掛かってもあっさり返り討ちにするほど強い「女帝の破片」に呑み込まれた暴走モードの詩音の前に一度は翠が
助けに入る訳だが、学園への撤退後に翠が明かした遼人に「乙女の破片」を植え付ける事を決意するまでの流れは少々強引な物を感じた
強引というかかなり無理な流れというか…話作りの名人にしては珍しいが、整合性が今一つ取れていなかったように思われる
翌日一人で責任を取ろうと桜小路家に乗り込んだ遼人と六人の乙女がリベンジマッチとばかりに繰り広げた最終決戦の後、学園で展開された
サービスシーンは前巻にも増してアクロバティック。4P、3P、3P→8Pって…遼人はどれだけ絶倫なんだ…というかあまりに遼人の
体に七人のヒロインが絡みつくシーンが無理やり過ぎて絵としては到底思い付かなかった。幾らなんでも8Pは無理あり過ぎでしょw
その上でしっかりと遼人の口から「誰を選ぶか?」が明言されるのだが、この辺りは女性作家さんらしいなと感じる。男性作家だとボヤかして
しまうのだけど、この「誰が一番大切か」という部分で白黒はっきりさせるのは女性的な感覚だなと改めて本作が女性の書いた作品だと印象付けられた
サービスシーンの強引さと対照的なストーリー作りの上手さを考えたら栗栖ティナは一般レーベルに来るべくして来たのだろうな、という印象
サービスシーンで尺を取られなければアダルトレーベルでは書き飛ばさざるを得なかった部分をしっかりと掘り下げる事が出来る訳であるし
重要なキャラの割には掘り下げ不足が目立った美緒の様なキャラもしっかり描く事が出来るかと(美緒のキャラを掘り下げられなかったのは惜しい)
一般レーベルでしっかりとした話が書ける人はアダルトレーベルでも話作りに余念が無いのだな、と思わされた掘り起こし作品であった

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俺のフラグはよりどりみデレ3 (あとみっく文庫 47) 文庫 – 2012/6/27
様々な属性を持つ女の子による恋の闘争はついに終局へ! 「主人公」の属性を持つ遼人は乙女の破片の呪縛から彼女らを救えるのか!?
- 本の長さ319ページ
- 言語日本語
- 出版社キルタイムコミュニケーション
- 発売日2012/6/27
- ISBN-104799202634
- ISBN-13978-4799202630
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登録情報
- 出版社 : キルタイムコミュニケーション (2012/6/27)
- 発売日 : 2012/6/27
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 319ページ
- ISBN-10 : 4799202634
- ISBN-13 : 978-4799202630
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,355,224位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2017年4月14日に日本でレビュー済み
全三巻のうちの最終巻ですが、怒涛の伏線回収の巻です。
「乙女の破片とはそもそもなんなのか?」・「学園長の萩野翠の真意と正体は何か?」・「詩音の過去とは?」など
ここまで二巻中に有った伏線をしっかり回収して終了しています。
他のレビューにも書かれておりますが、「詩音の過去」が他小説の中でも中々なエグイ過去であり、まさか最終巻になって彼女(詩音)への好感度が上がるとは思いもよりませんでした。
ただ、やはりヒロインが多すぎて個々で掘り下げがうまくいかなかったのは残念です。
どのキャラも独特な性格で良かったのですが、話の大筋にかかわるのは「主人公」「つんでれ」「ヤンデレ」「ブラコン」なので、サブキャラのうち何人かいなくても話自体が進んでしまえたのは寂しい所。
しかし、キャラクターもそれぞれに特徴が強く表されていて、書き分けもしっかりしていて退屈せず読めた点で総合的に良い作品だと思います。
ただやっぱり、個々のHの尺と数が少なすぎたのはどうしても気になりますけどね・・・。あとヤンデレシーンが少なく感じたのも寂しかった。
「乙女の破片とはそもそもなんなのか?」・「学園長の萩野翠の真意と正体は何か?」・「詩音の過去とは?」など
ここまで二巻中に有った伏線をしっかり回収して終了しています。
他のレビューにも書かれておりますが、「詩音の過去」が他小説の中でも中々なエグイ過去であり、まさか最終巻になって彼女(詩音)への好感度が上がるとは思いもよりませんでした。
ただ、やはりヒロインが多すぎて個々で掘り下げがうまくいかなかったのは残念です。
どのキャラも独特な性格で良かったのですが、話の大筋にかかわるのは「主人公」「つんでれ」「ヤンデレ」「ブラコン」なので、サブキャラのうち何人かいなくても話自体が進んでしまえたのは寂しい所。
しかし、キャラクターもそれぞれに特徴が強く表されていて、書き分けもしっかりしていて退屈せず読めた点で総合的に良い作品だと思います。
ただやっぱり、個々のHの尺と数が少なすぎたのはどうしても気になりますけどね・・・。あとヤンデレシーンが少なく感じたのも寂しかった。