山藍さんの魅力はこれではない。
古い因習や宿命や陰謀。そんなものを背景に、魔をうえつけられた美貌の天使（神）が蹂躙され苦しみのたうち回る。
山藍さんはそういう耽美の王道を描かせたら、やっぱり人後に落ちない作家だ。
ページ数がもっと必要だと感じた。
宿命や背景がもっと欲しい。
純白の羽を血で汚しながらも、苦しみつつ飛翔しないのであれば神になれない。
あるいは陽の射し込まぬ魔界で暗く妖しい美を発光しないのであれば魔にもなれないのだ。
だから、ここに登場する美貌の少年は、半端であり地上にいるそこらの淫乱小僧でしかない。
山藍さんの作品は美貌も、背景も、ストーリーも、相手の男も、宿命も全部が迫力をもって完成するのではないだろうか。
最近魔法が足りないような気がする。
山藍さんの魔力を存分に発揮した作品で魔法にかかりたい。
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