上座仏教のアーナパーナサティ(相応部経典の出入息念経)の実践で教わるニミッタ(徴)が真言密教の阿字観に対応するという事実に気づいている人は皆無に近い。私は両方の瞑想修行を学んだので、幸いにも気づくことができた。三種のニミッタの簡単な説明と、対応する真言密教の観想を以下に示す。
(1)パリカンマ・ニミッタ(Parikamma-nimitta):予備段階の(練習を始める、呪文を唱える)ニミッタと呼ばれ、息が当たる点(徴)を意識しながら、長く滑らかに呼吸することである。ウィトック(尋)とウィチャーン(伺)だけの瞑想段階である。これが、『阿息観』に対応する。
(2)ウッガハ・ニミッタ(Uggaha-nimitta):呼吸が徴(ニミッタ)の役目を果たさないほど長く滑らかになると、呼吸が意識できなくなり、代わりに心の状態(ある静的な感覚)を意識して呼吸する。ウッガハ・ニミッタは、一カ所に作った静的な「星・円・月・水晶玉など」を内面の目で見張る瞑想である。これが『月輪観』に対応する。
(3)パティバーガ・ニミッタ(Patibhaga-nimitta):パティバーガ・ニミッタは呼吸ではない。それは息が当たる感覚ではなく、作り上げた何らかのイメージの動的な感覚が徴となる。ウッガハ・ニミッタの静的な徴である「星・円・月・水晶玉など」などを大きくしたり小さくしたり、浮かしたり、すごく浮かしたり、他の形に変えることである。これが『阿字観』に対応する。
この対応に気づいた時、空海が青龍寺の恵果和尚を訪ねる前に、梵語や瑜伽を学んだ醴泉寺のインド僧般若三蔵からアーナパーナサティも学んだに違いないと確信した。ただし、上記したような説明を当時の弟子に言葉で伝えるのは難しいので、空海は比喩的な言葉で伝えたのであろうと推測する。それが本書の内容である。
アーナパーナサティとは、身体+呼吸体(カーヤ)、感情(ウェダナー)、心(チッタ)、法(ダンマ)の四段階の各々を4ステップで行う瞑想であるが、カーヤ瞑想の3・4ステップでニミッタをマスターしなければならない。ニミッタで阿字観を明確にできた時に、21世紀の真言密教が誕生する。
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密教瞑想入門: 阿字観の原典を読む 単行本 – 2010/11/1
北尾 隆心
(著)
- 本の長さ270ページ
- 言語日本語
- 出版社大法輪閣
- 発売日2010/11/1
- ISBN-104804613129
- ISBN-13978-4804613123
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登録情報
- 出版社 : 大法輪閣 (2010/11/1)
- 発売日 : 2010/11/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 270ページ
- ISBN-10 : 4804613129
- ISBN-13 : 978-4804613123
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,122,501位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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