国政と地方政治という異なるレベルで選挙制度が異なることから、新たな政党システムの制度化が阻まれできた。これが著者の最も重要な主張であろう。その主張の持つ意味がまず第1章でまとめられているが、その考察だけで十分に説得力を持つ。時間がない人は、まずこの箇所だけでも読んでほしいと思う。
その後の章は、問題を限定し、データを示したり事例を紹介していく。今の政治学では、ストーリーとしての説明力だけでなく、こうしたデータ分析が当たり前になされてきているようだが、この本でのそれらは、政治学の現在の研究スタイルのよき例となっていると思う。
最終章は「新たな政党政治に向けて」と題され、「国と地方の分離を、より徹底させる方向での改革」「地方議会の選挙制度の見直し」を訴える。制度と制度の関係から生まれる問題、という視点は現在の政治学での一つの方向性ではないかと思う。同じ著者の『民主主義の条件』での議論でもそれは感じられた。いま、こうした問題を考え、新しい制度を適切に構築しないと、日本の政治はさらにひどい状況になていくのではないかと個人的には思う。是非、このような研究がこれからも精力的になされ、次の日本のあるべき姿が見えてくればと期待する。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
新品:
¥3,960¥3,960 税込
ポイント: 238pt
(6%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
新品:
¥3,960¥3,960 税込
ポイント: 238pt
(6%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
中古品: ¥2,450
中古品:
¥2,450

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
分裂と統合の日本政治 ― 統治機構改革と政党システムの変容 単行本 – 2017/7/10
砂原 庸介
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥3,960","priceAmount":3960.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"3,960","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"djYeAYpWdidLwuC8SuBeLblYyAmj63DXH2MjXgls61sZ%2Bk37iwFMSesG%2Bgx62zbudk0HZjgPeifJtFkdySxEsUMd1%2B8fI9Qi%2F8F53rCMvVn273TFxaOuvHTHvKuWjSYYAqY8RAF7zY8%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥2,450","priceAmount":2450.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"2,450","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"djYeAYpWdidLwuC8SuBeLblYyAmj63DXyGQQG6XaQyNYqKrD%2FxnlaIJ2cCNW6UJLsZ8Wm%2B0VFsbr1FbhNdVsSoLUUQdTVUIggZi7WG3YqOgGlg4hOqS11g8b8Ppt1c8TO1bJlSgu%2B4IaZHMFJpcnefeGYzPOGU%2BLaDcH40oP349vct0LwPEBPA%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
第17回大佛次郎論壇賞 受賞(2017.12.18)
▼1990年代、日本では2つの政治改革が進められた。1つは中選挙区制から小選挙区制への選挙制度改革、もう1つは地方分権である。▼小選挙区制は、派閥の価値と領袖の権威を崩壊させ、結果的に総理大臣(与党総裁)の権力を肥大させたが、地方分権は地方の首長の権限を飛躍的に拡大させた。▼それは「国政」と「地方政治」の間に権力の分裂を招き、与党(自民党)と野党(民主党)の外側に、より強硬な主張を掲げる地域政党(首長党)を生み出すことになった。▼野党が抱える困難に注目して、閉塞感漂う日本政治の構造的要因を見出す、最新の研究成果。
▼1990年代、日本では2つの政治改革が進められた。1つは中選挙区制から小選挙区制への選挙制度改革、もう1つは地方分権である。▼小選挙区制は、派閥の価値と領袖の権威を崩壊させ、結果的に総理大臣(与党総裁)の権力を肥大させたが、地方分権は地方の首長の権限を飛躍的に拡大させた。▼それは「国政」と「地方政治」の間に権力の分裂を招き、与党(自民党)と野党(民主党)の外側に、より強硬な主張を掲げる地域政党(首長党)を生み出すことになった。▼野党が抱える困難に注目して、閉塞感漂う日本政治の構造的要因を見出す、最新の研究成果。
- 本の長さ204ページ
- 言語日本語
- 出版社千倉書房
- 発売日2017/7/10
- 寸法15.6 x 1.8 x 21.7 cm
- ISBN-104805111127
- ISBN-13978-4805111123
よく一緒に購入されている商品

対象商品: 分裂と統合の日本政治 ― 統治機構改革と政党システムの変容
¥3,960¥3,960
最短で3月31日 日曜日のお届け予定です
残り1点(入荷予定あり)
¥3,520¥3,520
最短で4月5日 金曜日のお届け予定です
残り4点(入荷予定あり)
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
出版社からのコメント
第17回大佛次郎論壇賞 受賞しました(2017.12.18)
著者について
著者: 砂原庸介(すなはら・ようすけ)
神戸大学法学部教授、博士(学術)。
1978年生まれ。東京大学教養学部卒業後、同大学院総合文化研究科修士課程修了。大阪市立大学、大阪大学を経て、2016年4月より現職。主著に『地方政府の民主主義――財政資源の制約と地方政府の政策選択』(有斐閣、2011年)『大阪――大都市は国家を超えるか』(中公新書、2012年、サントリー学芸賞)などがある。
神戸大学法学部教授、博士(学術)。
1978年生まれ。東京大学教養学部卒業後、同大学院総合文化研究科修士課程修了。大阪市立大学、大阪大学を経て、2016年4月より現職。主著に『地方政府の民主主義――財政資源の制約と地方政府の政策選択』(有斐閣、2011年)『大阪――大都市は国家を超えるか』(中公新書、2012年、サントリー学芸賞)などがある。
登録情報
- 出版社 : 千倉書房 (2017/7/10)
- 発売日 : 2017/7/10
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 204ページ
- ISBN-10 : 4805111127
- ISBN-13 : 978-4805111123
- 寸法 : 15.6 x 1.8 x 21.7 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 227,669位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 801位日本の政治
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中4.5つ
5つのうち4.5つ
5グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2019年2月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2021年8月31日に日本でレビュー済み
1.内容
日本においては、自由民主党の一党優位政党制が「制度化」(p.6など)されていた。しかし、1990年代の国政における選挙制度改革(いわゆる中選挙区制から小選挙区比例代表並立制になった)において政党のラベルが有権者と国会議員のつながりより重視されるようになる一方、地方政治においては首長(本書では県知事と市長が分析対象)の権限が強くなる一方で、地方議会の選挙制度は単記非委譲式投票のまま変わらなかった。この結果、地方政治においては首長とのつながりが重要になった。以上のことが起こり、国政政党が地方政治を統合するのが容易ではなくなり、2009年に政権を奪取した民主党(実際は、社会民主党、国民新党との連立政権だった)はその影響をもろに受け、統合に苦労している。なお、著者の提言は第8章にて(ここでは示さない)。
2.評価
現在(ただし2017年初版)の政治状況の分析として興味深い内容だった。自由民主党が素晴らしいだとか民主党がダメだとかいう以前の客観的な状況が示されているとレビュアーは思った。地方政治に非拘束名簿式比例代表制を導入するだとか「将来的な二元代表制の再検討」(p176)だとかの提言も頷ける。以上の通りであるから星5つ。
日本においては、自由民主党の一党優位政党制が「制度化」(p.6など)されていた。しかし、1990年代の国政における選挙制度改革(いわゆる中選挙区制から小選挙区比例代表並立制になった)において政党のラベルが有権者と国会議員のつながりより重視されるようになる一方、地方政治においては首長(本書では県知事と市長が分析対象)の権限が強くなる一方で、地方議会の選挙制度は単記非委譲式投票のまま変わらなかった。この結果、地方政治においては首長とのつながりが重要になった。以上のことが起こり、国政政党が地方政治を統合するのが容易ではなくなり、2009年に政権を奪取した民主党(実際は、社会民主党、国民新党との連立政権だった)はその影響をもろに受け、統合に苦労している。なお、著者の提言は第8章にて(ここでは示さない)。
2.評価
現在(ただし2017年初版)の政治状況の分析として興味深い内容だった。自由民主党が素晴らしいだとか民主党がダメだとかいう以前の客観的な状況が示されているとレビュアーは思った。地方政治に非拘束名簿式比例代表制を導入するだとか「将来的な二元代表制の再検討」(p176)だとかの提言も頷ける。以上の通りであるから星5つ。
2018年3月20日に日本でレビュー済み
選挙制度改革で小選挙区制が導入され、二大政党化が進むことが期待されていたが、未だに自民党の優位は続いており、成熟した第二党は育っていない。
本書ではその原因を、国政と異なる選挙制度、システムで動いている地方政治の制度に見て分析している。
選挙制度改革以前の自民党一党優位時代の地方政治は、自民党国会議員は地域への利益誘導政治であり、中選挙区のため複数の候補者が党ベースではなく個人ベースで確保した後援会の存在があった。
そのために、しばしば地方では自民党組織が分裂に陥ることもあった。
一方、選挙制度改革と地方分権改革が進むと、各地方組織(県連)は統合へと向かう一方、中央の意向に忠実な県連もあれば、中央よりも地方の利益代表として振る舞い、ときに中央と対立するような県連も現れる(例:郵政選挙の造反議員の支援)。
自民党の地方組織は各地域の意見の吸い上げ、各地域の代表としての側面を持てるのに対し、民主党の地方組織は地方政治よりあくまでも中央の選挙のための地方支部という位置づけになっており、野党のため利益誘導も出来ず、支持拡大がなかなかできていない。
民主党は都市部を中心として普遍的プログラムを志向していたので、特に地域密着の方向ではうまく展開が出来なかった。
さらに、農村地域では既存勢力の「独立王国」で参入しがたい一方、都市部では大選挙区の選挙が多いので、新興政党の参入が多く、そうした政党からは民主党も「既存政党」としてまとめて批判を受けてしまう。
民主党系の知事や市長も、選挙で勝つために自民とも相乗りしたりするなどして、民主党は自分の味方をうまく引き留めておけなかった。
論文再録のため最近の動向(維新の国政進出、第二次安倍政権、野党共闘など)は出ていない点は残念だが、地方と中央の関係から一党優位の背景を探る好著だと思う。
今後の政治を考える上でも、有益な示唆を与えてくれるだろう。
本書ではその原因を、国政と異なる選挙制度、システムで動いている地方政治の制度に見て分析している。
選挙制度改革以前の自民党一党優位時代の地方政治は、自民党国会議員は地域への利益誘導政治であり、中選挙区のため複数の候補者が党ベースではなく個人ベースで確保した後援会の存在があった。
そのために、しばしば地方では自民党組織が分裂に陥ることもあった。
一方、選挙制度改革と地方分権改革が進むと、各地方組織(県連)は統合へと向かう一方、中央の意向に忠実な県連もあれば、中央よりも地方の利益代表として振る舞い、ときに中央と対立するような県連も現れる(例:郵政選挙の造反議員の支援)。
自民党の地方組織は各地域の意見の吸い上げ、各地域の代表としての側面を持てるのに対し、民主党の地方組織は地方政治よりあくまでも中央の選挙のための地方支部という位置づけになっており、野党のため利益誘導も出来ず、支持拡大がなかなかできていない。
民主党は都市部を中心として普遍的プログラムを志向していたので、特に地域密着の方向ではうまく展開が出来なかった。
さらに、農村地域では既存勢力の「独立王国」で参入しがたい一方、都市部では大選挙区の選挙が多いので、新興政党の参入が多く、そうした政党からは民主党も「既存政党」としてまとめて批判を受けてしまう。
民主党系の知事や市長も、選挙で勝つために自民とも相乗りしたりするなどして、民主党は自分の味方をうまく引き留めておけなかった。
論文再録のため最近の動向(維新の国政進出、第二次安倍政権、野党共闘など)は出ていない点は残念だが、地方と中央の関係から一党優位の背景を探る好著だと思う。
今後の政治を考える上でも、有益な示唆を与えてくれるだろう。
2019年2月15日に日本でレビュー済み
1990年代後半に行われた日本の政治改革(統治機構改革)が、どのような効果をもたらし、現在の政治にインパクトを与えているかを分析。その結果、中央政治における選挙区割りの見直しと地方政治における首長への権限移譲が、改革の方向性として逆のベクトルを持っていたことが、今日問題とされる多くの政治的な行き詰まりの根源となっていることを実証しています。「次の改革」を考える上で必読の書と言わざるを得ません。と言うか、議員を筆頭に政治改革に関わる人はすべて本書を読んでから出発して欲しいです。またゼロから議論なんて無駄が多すぎです。