書いてある内容は、りっぱなことが書いてある。この本に限ったことではないが、この種の「理屈」に対して、いつも感じることがある。
この本によれば、1990年代後半に、東京電力原子力研究所ヒューマンファクター研究室などが、MーSHELモデルを開発し、これは、より効果的な事故防止対策を導くための発想法だった。また、チェルノブイリ事故の後、日本では、世界の潮流に反して、いっこうに安全文化が盛り上がらなかったが、日本で福島事故の前に原発事故が連続して起きると、政府主導で安全文化が推進され、日本でも、企業等で安全文化が重視されるようになったとされる。
しかし、その後に、福島原発事故が起きた。事故防止のための理論や国や企業が推進した安全文化とは何だったのか。もちろん、福島原発事故に関して、理論に責任はない。しかし、過去の事故を分析する方法では、想定外の事故に対応できないのではないか。交通事故、航空機事故などど、自然災害では、異なる考え方が必要ではないか。チェルノブイリ事故やスリーマイル事故から、福島原発事故を想定するには、どうすればよいのか。それが、この本に書いてある内容からできるのかどうか、よくわからない。事故防止の理論は、精緻になればなるほど、実際に、「使えない」ことが多いような気がする。現場でものごとを運用する労働者や庶民は研究者や学者ではないからである。事故防止の「理論、学問、文化」が栄えても、事故が起きる続けるのでは無意味である。
この本を読みながら、東電のように、「事故防止の理論を知っていても、事故は、なぜ繰り返されるのか」を考えさせられた。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
事故は、なぜ繰り返されるのか 第2版: ヒューマンファクターの分析 単行本 – 2006/2/1
石橋 明
(著)
- 本の長さ158ページ
- 言語日本語
- 出版社中央労働災害防止協会
- 発売日2006/2/1
- ISBN-104805910275
- ISBN-13978-4805910276
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 中央労働災害防止協会 (2006/2/1)
- 発売日 : 2006/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 158ページ
- ISBN-10 : 4805910275
- ISBN-13 : 978-4805910276
- Amazon 売れ筋ランキング: - 659,571位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 148位労働総合関連書籍
- - 12,185位社会学概論
- - 59,712位科学・テクノロジー (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう