岡本太郎とともにこの池田龍雄さんは私の父と同世代。池田龍雄さんとはあったこともある。父と特攻隊で同じ訓練を受けていた。同期の桜。
池田龍雄さんの作品には戦争の体験が色濃く残っていたが、それが段々と独自の世界観へ変わっていった。日本における前衛芸術の機関車的な作品が多く、とにかくその描き込む力のすごさに引き込まれると同時に、出来上がった作品からは身のすくむ様な迫力を感じるのだ。
原題では抽象画という言葉が消え、芸術はすなわち抽象であるという印象を受けるが近代以前は芸術の中身が違ったのである。
近代以前の芸術は、いかに対象物を忠実に描くかが、描けるかが中心だったが、今は違う。
作者の意図と異なる解釈を受けても良いし、そういう印象を与える物が芸術として受け入れられているのだ。
1917年に芸術の解釈が変わって以来、漸く日本にも西洋芸術の表現が根付き始めた頃の作品集といっっいぇも良いと考える。
日本の芸術(わび･さびの世界。一角画の世界。)からはみ出し、日本抽象画の先鞭を付けた人々のひとりの作品集だ。
とにかく、私はこの作品集を読み込んだ時、身のすくむ思いがした。
原色の作品はもっと凄いのだが、全て原色通りには行かなかった点が惜しい。
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