ぜんたいにカタログ的な妖精画家の事典です。
90人のイギリスを中心にした妖精画家をとりあげ、見開き、または一ページずつ、さほど長くはない紹介に加え、できるかぎり複数の画像がおさめられており、見るだけでもたいへん美しい本。
構成は
序章「ヴィクトリア朝と妖精挿絵画家」は、妖精学の泰斗である著者による、数ページですが、明晰にまとめられた解説。
第一章「黎明期の妖精画家たち」は18世紀後半から、フューズリー、ブレイク、クルックシャンク、リチャード・ダッドなど歴史的にも有名な画家たち。
第二章「発展期の妖精画家たち」第三章「黄金期の妖精画家たち」がノエル・ペイトン、ロセッティ、バーン=ジョーンズ、グリーナウェイ、ヒューズ、ラッカム、ハウスマン、ビアズレーなどよく目にふれ、知名度も高い画家を多く網羅していますが、それ以外に、絵を見れば、見覚えのあるジョン・マカーディ・ダンカンや、エリナー・ヴェール・ボイルなど、微妙な認知度の妖精画家がたくさんすくいあげられており、なるほど、なるほど、とたいへんありがたいです。
四章は「爛熟期の妖精画家たち」では、デュラック、ポガニー、ニールセン、ハリー・クラークから、現在でも愛されているC・M・バーカー、エリザベス・ファイフなど、妖精画を描いたことのある画家ならほとんど網羅されている気がします。
世紀末の「幻想画家」というような切り口の本はDover等の洋書にもあり、また、騎士物語や神話を描いた「ラファエル前派」という美術史的なくくり方の本はありますが、厳密な意味での「妖精を描いた絵」という切り口のみで通した本はめずらしいと思います。
お値段にしてはたいへん贅沢なカラー画像多数が収録されており、各画家のプロフィルだけでなく、画風についての鋭い評言もあり、ぜひ一冊手元に置きたい本です。著者の「妖精美術館」に所蔵されている絵が多いことも、画質の良さにつながっているのでしょう。
なぜ星ひとつマイナスかというと・・
これは著者の問題ではないと思いますが、各ページの画家名のロゴや絵のタイトルがふつりあいに大きく、並べられてある妖精画の繊細さに比べ、洗練を欠いた気がして、レイアウト的に残念だから、という理由です。
(事典としてめくるうえでは、むしろ目に飛び込んできやすいというメリットでもありますが、私はちょっと気になりました)
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絵本画家 天才たちが描いた妖精 (ビジュアル選書) 単行本 – 2013/5/24
井村 君江
(著)
19世紀後半から20世紀前半の、人気の高い挿絵画家達が描いた「妖精」のイラストをオールカラーで多数収録。黄金期の挿絵画家たちを、彼らが描いた「妖精」画で比較していく、見ごたえのある一冊!
- 本の長さ191ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA(中経出版)
- 発売日2013/5/24
- ISBN-104806147273
- ISBN-13978-4806147275
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登録情報
- 出版社 : KADOKAWA(中経出版) (2013/5/24)
- 発売日 : 2013/5/24
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 191ページ
- ISBN-10 : 4806147273
- ISBN-13 : 978-4806147275
- Amazon 売れ筋ランキング: - 967,518位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 63,659位アート・建築・デザイン (本)
- カスタマーレビュー:
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