書名は「木材と文明」と簡潔ですが、森と人間との関係の歴史をたどった大著(二段組で約350ページ)です。この分量で3,200円はかなり良心的な価格設定だと思います。「森と人間との関係史」といま書きましたが、古代から「人間」が一枚岩ではなかったのと同様、森も高木林と低木林とで性質が異なっていますし、同じ木材でも産地から近いか遠いか、またそれをいつの時代の人間が扱うかで意味合いを大きく変えてしまいます。また例えば「暗い森」のような神秘的な意味付けがどのように生じ、また近代化の過程でそれがどのように潰えてきたのかについてもとても示唆に富む1冊です。
文明と森のことを考えるとき、「人類はかつて森と共存していたのに文明社会は森を破壊している」という見方が支配的です。本書はこの見方を一方で認めつつ、必ずしもそうではなかったことを主張しています。
古代から繰り返し森が破壊されてきたということは確かなのですが、これに対して人々はただ嘆いて森が滅びるに任せてきたわけではなく、自治体レベルあるいは国家レベルで、森の再生や維持が促されてきたという歴史もあるのです(日本についても、京都の山々の森について同様のことを指摘しているくだりがあります)。
木材は造船や金属の精錬に不可欠なため、森を滅ぼしてしまうことはその時々の権力者たちにとっても不都合なことなのです。本書ではむしろ、森を滅ぼさないために、しかしそこからの利益を最大限引き出すためにはどうしたらいいのか、様々な時代の様々な人々(個人や職業、あるいは階級の)が互いに衝突を繰り返す歴史を描き出しています。
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木材と文明 単行本 – 2013/12/3
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ヨーロッパは、文明の基礎である「木材」を利用するためにどのように森林、河川、農地、都市を管理してきたのか。
王権、教会、製鉄、製塩、製材、造船、狩猟文化、都市建設から木材運搬のための河川管理まで、錯綜するヨーロッパ文明の発展を「木材」を軸に膨大な資料をもとに描き出す。
王権、教会、製鉄、製塩、製材、造船、狩猟文化、都市建設から木材運搬のための河川管理まで、錯綜するヨーロッパ文明の発展を「木材」を軸に膨大な資料をもとに描き出す。
- 本の長さ349ページ
- 言語日本語
- 出版社築地書館
- 発売日2013/12/3
- ISBN-104806714690
- ISBN-13978-4806714699
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商品の説明
著者について
ヨアヒム・ラートカウ(Joachim Radkau) ビーレフェルト大学名誉教授。1943年、ドイツのデトモルト近郊、オーバーリュッベ(現在のヒレ)に牧師の子として生まれる。ミュンスター大学、ベルリン自由大学、ハンブルク大学で学ぶ。1970年、1933年以降敗戦までのアメリカにおけるドイツ移民の役割に関する研究によりハンブルク大学で博士号取得。1973年、ヴェストファーレン=リッペ教育大学講師。1980年、ドイツ原子力産業の興隆と危機と題する論文で教授資格取得、1981年からビーレフェルト大学歴史・哲学部(現在は歴史・哲学・神学部)教授(近現代史)。ドイツにおける環境史学の創始者の一人として著名。産業と政治の関係史、環境史、自然保護史、技術史、マックス・ヴェーバーなどに関する数多くの著作がある。邦訳書に『自然と権力――環境の世界史』(2012年 みすず書房)がある。
山縣光晶(やまがた みつあき) ドイツ森林・環境政策調査研究所所長。 1950年東京に生まれる。1972年東京農工大学林学科卒業。2013年上智大学大学院博士後期課程文学研究科(ドイツ文学専攻)単位取得満期退学。1972年林野庁入庁、定山渓営林署長、林野庁国有林野総合利用推進室長、近畿中国森林管理局計画部長などを経て2000年退官。この間、1976年から1978年までドイツ連邦食糧農業森林省林業林産研究所客員研究員。2001年から岐阜県立森林文化アカデミー教授、京都精華大学、東京農工大学講師(非常勤)、林道安全協会専務理事、全国森林組合連合会常務理事、林業経済研究所所長などを歴任。専門は、ドイツ語圏諸国の森林政策、環境政策、森林・自然観、ドイツロマン主義文学(ルートヴィヒ・ティーク)の研究。
山縣光晶(やまがた みつあき) ドイツ森林・環境政策調査研究所所長。 1950年東京に生まれる。1972年東京農工大学林学科卒業。2013年上智大学大学院博士後期課程文学研究科(ドイツ文学専攻)単位取得満期退学。1972年林野庁入庁、定山渓営林署長、林野庁国有林野総合利用推進室長、近畿中国森林管理局計画部長などを経て2000年退官。この間、1976年から1978年までドイツ連邦食糧農業森林省林業林産研究所客員研究員。2001年から岐阜県立森林文化アカデミー教授、京都精華大学、東京農工大学講師(非常勤)、林道安全協会専務理事、全国森林組合連合会常務理事、林業経済研究所所長などを歴任。専門は、ドイツ語圏諸国の森林政策、環境政策、森林・自然観、ドイツロマン主義文学(ルートヴィヒ・ティーク)の研究。
登録情報
- 出版社 : 築地書館 (2013/12/3)
- 発売日 : 2013/12/3
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 349ページ
- ISBN-10 : 4806714690
- ISBN-13 : 978-4806714699
- Amazon 売れ筋ランキング: - 648,549位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,298位農学 (本)
- カスタマーレビュー:
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2014年4月15日に日本でレビュー済み
2018年7月13日に日本でレビュー済み
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「木材」というテーマからこの本に辿り着いた人にはおすすめ。
「文明」というテーマからこの本に辿り着いた人にはあまりおすすめしない。
中世ヨーロッパの、木材資源をめぐる権力者、商工業従事者、庶民らの対立、というのがメインの内容だと思う。
図書館などで一度内容をざっくり確認してから、購入を検討されることをおすすめします。タイトルから想像される内容とは、中身はちょっと違います。
私の場合、ヨーロッパの様々な文明における木材・森林資源の使い道や人との関わりの歴史、だと思って購入したら、思っていたのと違った。
林業や木材加工にある程度詳しい人が、木材・森林資源利用の歴史を読み解く用というか…。
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中世ヨーロッパの、木材資源をめぐる権力者、商工業従事者、庶民らの対立、というのがメインの内容だと思う。
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私の場合、ヨーロッパの様々な文明における木材・森林資源の使い道や人との関わりの歴史、だと思って購入したら、思っていたのと違った。
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