5代目に就任する前の山口組組長の発言をまとめた本。
組織の人数を増やす事で抗争での経費を全員で分担するといった合理的な経営哲学から
仲間内で金の貸し借りや賭け事をしないといった人付き合いの知恵、周囲の敵味方問わず
大物やくざについての組長による人物評まで内容は幅広い。暴対法により世間に手の内を
見せなくなった今の体制からすると近代の任侠界を垣間見れる大変貴重な資料と言える。
組長の「平和の均衡は武力によって維持される」という考えは、当時抗争で生き死にの日常
を過ごしていた集団のトップが語っているので言葉に重みがあり、今の世界情勢にも通ずる
真理を突いている。経営本というよりは組長の生い立ちに関する話がメインで、日本一の親分
の日本一の子分と言われた大物の山健組組長、山本健一氏と出会って大きく成長していくの
だが、山口組内の最大勢力の組長と近づけただけでも幸運なのに山本健一親分の為に身を
投げうって懲役に行ったり忠誠を尽くして苦労もいとわなかったので、やはり努力が強運を
引き寄せたのだと思えた。
その渡世の親である山本健一組長の育て方が苛烈なスパルタ教育では無く、手を出したり
せず諭すやり方を貫いていたのが最も意外で、我々一般社会において近年問題視されている
体罰によるスポーツ界がやくざ以下という現実を情けなく感じた。渡辺氏と山本氏で上下関係
抜きに言い合う事もあったようで、このような心の広い親分との親子関係があったからこそ、
渡辺組長がその期待に応え、虎の子は虎と成り得た事は間違い無いだろう。
山一抗争一つとっても、付いていく親を誤れば悲惨な運命を辿る人も居た訳で、仕える人に
よって大きく運命が左右される事は我々一般社会にも当てはまる事であり、良い師、良い上司
をしっかり見極め、もし出会ったら最後まで尽くし、その中で日々のシノギに精を出す事こそ
成功への道が開け、人生を有意義に過ごす事ができるのだという事を改めて実感させられた。
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渡辺芳則組長が語った「山口組経営学」 単行本 – 2005/7/1
溝口 敦
(著)
バブル経済崩壊後、暴力団も冬の時代を迎えた。渡辺芳則組長就任後の山口組は全暴力団員数の四十五パーセントを占め、一人勝ち状態を続けている。成功の要因は何か。渡辺組長をたびたび取材した著者が、貴重なインタビューテープをもとに話を再現。その語録から組織拡大戦略、人心掌握術、危機管理の対応など「勝ち続ける経営」の本質を読み解く。さらに、稲川会・故・石井進会長、弘道会・司忍会長(当時/現・山口組若頭)の証言も収録。山口組ウォッチャーの第一人者が贈る話題騒然の書。
- 本の長さ257ページ
- 言語日本語
- 出版社竹書房
- 発売日2005/7/1
- ISBN-104812423007
- ISBN-13978-4812423004
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登録情報
- 出版社 : 竹書房 (2005/7/1)
- 発売日 : 2005/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 257ページ
- ISBN-10 : 4812423007
- ISBN-13 : 978-4812423004
- Amazon 売れ筋ランキング: - 939,825位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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1942年、東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、出版社、広告代理店勤務を経て作家に。2003年には『食肉の帝王―巨富をつかんだ男 浅田満』(講談社)で第25回講談社ノンフィクション賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 山口組 五代目帝国の内なる敵 (ISBN-13:978-4812441763)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
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2005年11月7日に日本でレビュー済み
ヤクザ本は読んだ事がなかったので、完全な興味本位で読み始めたのですが、読み終えて、やくざの世界についてのイメージを持つ為の入門編としては合格ラインでした。阪神大震災の時、率先して炊き出しを行ったエピソード等、やくざの世界を身近に感じられるようになりました。ただ、登場人物のセリフが論旨明快でなく分かりづらい場所が多々ありました・・・
2008年6月29日に日本でレビュー済み
山口組の五代目組長の渡辺氏のインタビューをまとめたもの。渡辺氏は少年院や不良少年グループや劣悪な家庭環境とは無縁だったそうな。本書の価値は何と言っても希少性だろう。この手の情報で発言者の名前まで明示されているものは少ない。ただ、タイトルでは「経営学」となっているけど経営に関する話は最初と最後に少し載っているだけで、基本的には渡辺氏がどういう人かを探っている本である。あと、インタビュー中の発言が一部の固有名詞が伏せられていることを除いてそのまんま掲載されているようなので非常に読みにくい。神戸地方の方言(漫才師の関西弁ではない)までそのまんまなので非常によみにくい。
読んでいてわかるのは、普通の組織やら企業やらと共通する部分がけっこう多いということ。幹部にもなると、その辺の下手なお偉いさんよりもマトモかもしれないということ。山口組幹部から経営感覚と度胸と部下への思いやりを取り除いたら…と考えてみると色々と面白い。思い浮かぶ人がけっこういる。もちろん分かりやすい違法行為と切り離せない経営形態なんて褒められたものじゃないが、それを理由に全てが普通の組織よりダメだというのも間違いであることがよくわかる。
本書で最も残念なのは経営やお金のことがほんの少ししか書かれていないこと。暴力団経営もお金とは切り離せないことは強調されているけど具体的な記述に乏しいのが非常に残念だ。海外との資金のやりとり、末端の構成員のしのぎ(商売や資金繰り)の実態、少子化によるリクルーティング状況の変化、税務署とのやりとり、情報の精度を保つのは何かなども書かれていたらムチャクチャ面白い本になっていたと思う。さすがにそこまで具体的に話してもらうのは無理だろうが。
読んでいてわかるのは、普通の組織やら企業やらと共通する部分がけっこう多いということ。幹部にもなると、その辺の下手なお偉いさんよりもマトモかもしれないということ。山口組幹部から経営感覚と度胸と部下への思いやりを取り除いたら…と考えてみると色々と面白い。思い浮かぶ人がけっこういる。もちろん分かりやすい違法行為と切り離せない経営形態なんて褒められたものじゃないが、それを理由に全てが普通の組織よりダメだというのも間違いであることがよくわかる。
本書で最も残念なのは経営やお金のことがほんの少ししか書かれていないこと。暴力団経営もお金とは切り離せないことは強調されているけど具体的な記述に乏しいのが非常に残念だ。海外との資金のやりとり、末端の構成員のしのぎ(商売や資金繰り)の実態、少子化によるリクルーティング状況の変化、税務署とのやりとり、情報の精度を保つのは何かなども書かれていたらムチャクチャ面白い本になっていたと思う。さすがにそこまで具体的に話してもらうのは無理だろうが。
2017年9月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
気さくな語りかけのような記述に、何度も読み返したくなりますね。
2009年1月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
あまりマスコミに接することなく、引退した渡辺組長の貴重な肉声の入った記録。
3代目亡き後の山口組の混乱を収拾し、安定した基盤を作った功績は大きい。
特に山一抗争を勝利へと導く指導力と、在任期間中に大抗争を起こさせなかった政治力は評価されるべき。
本書はそう言った5代目のリーダーシップについての考え方が自らの言葉で語られた貴重な史料である。組織をまとめた簡潔で力強いメッセージ「団結・沈黙・報復」はその彼の考えを象徴的に表した言葉であろう。
3代目亡き後の山口組の混乱を収拾し、安定した基盤を作った功績は大きい。
特に山一抗争を勝利へと導く指導力と、在任期間中に大抗争を起こさせなかった政治力は評価されるべき。
本書はそう言った5代目のリーダーシップについての考え方が自らの言葉で語られた貴重な史料である。組織をまとめた簡潔で力強いメッセージ「団結・沈黙・報復」はその彼の考えを象徴的に表した言葉であろう。
2016年12月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
溝口氏の著書にしては、面白くない。
相手が大物で、しかもすでに亡くなっているので、今となっては貴重な記録と言えるかもしれない。
しかし、面白くなく、せっかく買ったが読み返す気にはならない……。
相手が大物で、しかもすでに亡くなっているので、今となっては貴重な記録と言えるかもしれない。
しかし、面白くなく、せっかく買ったが読み返す気にはならない……。
2016年8月14日に日本でレビュー済み
本書の著者は「最初にして最後のインタビュアー」と自認しているが、
実際に渡辺氏が組長に就任する前に10回近くも詳細なインタビューをして本書を書いているという。
その点において、単なる噂や周辺関係者の話から書き立てるような記事とは次元が異なり、鬼気迫る迫真の書であると感じられた。
すばらしいノンフィクションだと思う。
実際に渡辺氏が組長に就任する前に10回近くも詳細なインタビューをして本書を書いているという。
その点において、単なる噂や周辺関係者の話から書き立てるような記事とは次元が異なり、鬼気迫る迫真の書であると感じられた。
すばらしいノンフィクションだと思う。
2008年4月10日に日本でレビュー済み
五代目山口組の頂点に立っていた、渡辺芳則組長がいかなる考え方、理論を持っていたかを知ることが出来る。
今は亡き、稲川会会長・石井進氏の話や三代目若頭夫人・山本秀子氏、六代目・司忍組長など今となっては貴重な人物のインタビューが満載である。
今は亡き、稲川会会長・石井進氏の話や三代目若頭夫人・山本秀子氏、六代目・司忍組長など今となっては貴重な人物のインタビューが満載である。