19世紀後半の清帝国と朝鮮の関係を史料に基づいて丹念に分析した本。
清帝国は、「朝貢システム」の下、朝鮮は、清に朝貢を行う「属国」だが、その行動の一々に責任を負うべくもない「自主」の国との立場をとった。
この独特な(独善的な?)考え方を、近代国際法に寄って立つ欧米列強は(そして日本も)理解しなかったし、受け入れようともしなかった。
そして、この清を中心とした国家間体系は、日清戦争を画期として破壊され、そのことに対して今も恨みが残っている。
この本に書かれているこのややこしい清朝関係を要約すると、こんなことだと思う。
近代中国史の専門家である著者は、和文、漢文の史料・文献だけでなく、ハングル(?)、ロシア語を含む欧文の史料・文献を駆使して丹念に読み解いていく。
サントリー学芸賞を受賞した本ではあるが、一般読者にとって決して読みやすい本ではない。
私のような専門外は、細部にこだわることなく、さっと読む方がいいのかもしれない。
それでも、今までの思い込みを改め、当時の国際関係の理解を深めることができた。
最後に蛇足を一つ。
著者は、露文史料や文献まで目を通し、引用している。
この時代の東アジア国際政治を考えると、もっともなことだと思う一方、ここまでできる研究者は多くないと思う。
かつて坂野正高教授が、名著「近代中国政治外交史」(1973年)のあとがきで「これから中国史研究に志す人は、ぜひとも、三十歳にならないうちにロシア語の学習を始めるようにおすすめしたい」と書いていたことを思い出す。
ただし、著者は、ロシア語の表現をところどころ文献から引用しているのだが、文献からそのまま書き抜いているため、文法的に言うと本来書くべき、主格ではなく、生格だったり、造格だったり、前置格だったりしていて、ロシア語読みからすると何とも居心地が悪い。
これは、著者の責任もあるが、出版社の担当編集者の責任も大きいと思う。
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属国と自主のあいだ―近代清韓関係と東アジアの命運― 単行本 – 2004/10/20
岡本 隆司
(著)
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西洋の出現以来せめぎあいを続ける東西の世界秩序、その中から東アジアの焦点として浮かび上がった朝鮮の「属国自主」—— 従来注目されることの少なかった清韓関係を、日本・アメリカ・イギリス・ロシアなどとの交渉の中で捉え、19世紀半ばから日清戦争にいたる東アジアの構造変動を、多言語にわたる徹底的な史料分析によって描き出した画期的労作。
【受 賞】
・第27回「サントリー学芸賞」
【目 次】
凡 例 / 参考地図
緒 論
第Ⅰ部 馬建忠の朝鮮紀行
第1章 丙寅洋擾から江華条約へ
—— 近代清韓関係の発端
はじめに
1 洋擾と清韓関係
2 清韓関係と江華条約
小 結
第2章 シューフェルト条約の成立と馬建忠
はじめに
1 朝鮮の条約締結をめぐって
2 屬國条項の形成
3 朝鮮における馬建忠
4 「属国自主」と馬建忠
第3章 馬建忠と壬午変乱
はじめに
1 清朝の派兵
2 日本側の対応
3 馬建忠の「觀變」
4 馬建忠の対日・対朝交渉
5 日清の入京と大院君拉致
むすび —— 済物浦条約と馬建忠の退場
第4章 馬建忠の朝鮮政策
はじめに
1 馬建忠と「善後六條」
2 「善後六條」の起原
3 馬建忠と朝鮮政府顧問
おわりに
第Ⅱ部 朝鮮と近代清韓関係
第5章 条約と政変と密約
はじめに
1 謝罪兼修信使と条約締結
2 条約締結と清韓関係
3 露朝密約の意味
小 結
第6章 朴定陽のアメリカ奉使
はじめに
1 朴定陽の出発と「三端」の制定
2 朴定陽の着任と「三端」違反
3 朴定陽の離任と帰国
4 公使派遣と清朝
5 朝鮮側の対応 ——「三端」以前
6 朝鮮側の対応 ——「三端」以後
7 朴定陽の立場
8 1889年の転換と『清韓論』
9 対立の顕在化と清朝側の論理
結論と展望
第7章 デニーと『清韓論』
はじめに
1 『清韓論』の刊行過程
2 『清韓論』の執筆構想
3 第二次露朝密約事件と「德尼三策」
4 デニーの赴任と役割
おわりに —— デニーと清韓関係
第Ⅲ部 近代清韓関係と西洋
第8章 アメリカの清韓関係観
はじめに
1 ワシントンの清韓対立
2 駐朝公使館と駐清公使館
3 シューフェルト条約とアメリカ
4 駐朝公使の位置とフォークの進退
むすびにかえて
第9章 英露と清韓関係
はじめに
1 イギリスの立場
2 巨文島事件と英清交渉
3 ロシアの立場
4 ロシアの清韓関係観
おわりに —— 李鴻章と清韓関係
結 論
註 / あとがき / 引用文献目録 / 索 引
【受 賞】
・第27回「サントリー学芸賞」
【目 次】
凡 例 / 参考地図
緒 論
第Ⅰ部 馬建忠の朝鮮紀行
第1章 丙寅洋擾から江華条約へ
—— 近代清韓関係の発端
はじめに
1 洋擾と清韓関係
2 清韓関係と江華条約
小 結
第2章 シューフェルト条約の成立と馬建忠
はじめに
1 朝鮮の条約締結をめぐって
2 屬國条項の形成
3 朝鮮における馬建忠
4 「属国自主」と馬建忠
第3章 馬建忠と壬午変乱
はじめに
1 清朝の派兵
2 日本側の対応
3 馬建忠の「觀變」
4 馬建忠の対日・対朝交渉
5 日清の入京と大院君拉致
むすび —— 済物浦条約と馬建忠の退場
第4章 馬建忠の朝鮮政策
はじめに
1 馬建忠と「善後六條」
2 「善後六條」の起原
3 馬建忠と朝鮮政府顧問
おわりに
第Ⅱ部 朝鮮と近代清韓関係
第5章 条約と政変と密約
はじめに
1 謝罪兼修信使と条約締結
2 条約締結と清韓関係
3 露朝密約の意味
小 結
第6章 朴定陽のアメリカ奉使
はじめに
1 朴定陽の出発と「三端」の制定
2 朴定陽の着任と「三端」違反
3 朴定陽の離任と帰国
4 公使派遣と清朝
5 朝鮮側の対応 ——「三端」以前
6 朝鮮側の対応 ——「三端」以後
7 朴定陽の立場
8 1889年の転換と『清韓論』
9 対立の顕在化と清朝側の論理
結論と展望
第7章 デニーと『清韓論』
はじめに
1 『清韓論』の刊行過程
2 『清韓論』の執筆構想
3 第二次露朝密約事件と「德尼三策」
4 デニーの赴任と役割
おわりに —— デニーと清韓関係
第Ⅲ部 近代清韓関係と西洋
第8章 アメリカの清韓関係観
はじめに
1 ワシントンの清韓対立
2 駐朝公使館と駐清公使館
3 シューフェルト条約とアメリカ
4 駐朝公使の位置とフォークの進退
むすびにかえて
第9章 英露と清韓関係
はじめに
1 イギリスの立場
2 巨文島事件と英清交渉
3 ロシアの立場
4 ロシアの清韓関係観
おわりに —— 李鴻章と清韓関係
結 論
註 / あとがき / 引用文献目録 / 索 引
- 本の長さ524ページ
- 言語日本語
- 出版社名古屋大学出版会
- 発売日2004/10/20
- 寸法15.7 x 3.2 x 21.7 cm
- ISBN-10481580494X
- ISBN-13978-4815804947
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商品の説明
著者について
岡本 隆司(おかもと たかし)
京都市に生まれる(1965年)。宮崎大学教育学部講師(1993年)。宮崎大学教育文化学部助教授をへて、現在は京都府立大学文学部助教授。
著 書:
『近代中国と海関』(名古屋大学出版会、1999年、第16回大平正芳記念賞受賞)
論 文:
「清末票法の成立」(『史学雑誌』110-12)
「魏源の塩法論を中心として」(『洛北史学』3)
(所属等は初版第1刷発行時のものです)
京都市に生まれる(1965年)。宮崎大学教育学部講師(1993年)。宮崎大学教育文化学部助教授をへて、現在は京都府立大学文学部助教授。
著 書:
『近代中国と海関』(名古屋大学出版会、1999年、第16回大平正芳記念賞受賞)
論 文:
「清末票法の成立」(『史学雑誌』110-12)
「魏源の塩法論を中心として」(『洛北史学』3)
(所属等は初版第1刷発行時のものです)
登録情報
- 出版社 : 名古屋大学出版会 (2004/10/20)
- 発売日 : 2004/10/20
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 524ページ
- ISBN-10 : 481580494X
- ISBN-13 : 978-4815804947
- 寸法 : 15.7 x 3.2 x 21.7 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,071,707位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 511位その他のアジア史の本
- - 3,834位国際政治情勢
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2005年3月12日に日本でレビュー済み
東アジア世界の伝統的秩序は中国主催の「朝貢システム」であり、朝鮮やベトナムなどは中国の「藩属国」であった、などとモノの本には書かれていますが、この「藩属国」とか「宗属関係」とは一体何なのでしょう。中国と藩属国、それぞれの権利・義務はどこでどういうふうに規定されていたのでしょうか。
筆者は、これまで半ば「自明の概念」視されてきた清韓の宗属関係につき、改めて検証が必要との問題意識の下、多言語の膨大な史料を駆使して19世紀後半における清韓関係の動態を実証的に分析していきます。そして、「属国自主」と言われる朝鮮固有の主権のあり方については清韓間の理解にもともと大きな温度差があり、朝鮮開国の過程でこれが顕在化していき、ついに東アジア国際政治の火種となっていく様子が見事に説き明かされています。
東アジア世界の歴史的構造を考える上で、かつての冊封体制や朝貢システムをどう考えるかというのは大切な問題です。本書は、そうした分野で、ザックリ型のイメージ論を超えた実証的な分析を提示するものであり、今日のアジア・太平洋地域の戦略環境を考察する上でも、重要な示唆を汲み取り得るものと思います。
筆者は、これまで半ば「自明の概念」視されてきた清韓の宗属関係につき、改めて検証が必要との問題意識の下、多言語の膨大な史料を駆使して19世紀後半における清韓関係の動態を実証的に分析していきます。そして、「属国自主」と言われる朝鮮固有の主権のあり方については清韓間の理解にもともと大きな温度差があり、朝鮮開国の過程でこれが顕在化していき、ついに東アジア国際政治の火種となっていく様子が見事に説き明かされています。
東アジア世界の歴史的構造を考える上で、かつての冊封体制や朝貢システムをどう考えるかというのは大切な問題です。本書は、そうした分野で、ザックリ型のイメージ論を超えた実証的な分析を提示するものであり、今日のアジア・太平洋地域の戦略環境を考察する上でも、重要な示唆を汲み取り得るものと思います。