力作ですが、専門外でも楽しく読み通せます。
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アレクサンドロス変相―古代から中世イスラームへ― 単行本 – 2009/2/25
山中 由里子
(著)
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大王が征服した広大な地域に流布した伝承を、宗教・政治・歴史の分野にわたって、アラブ・ペルシアの多様なテクストにたどり、語りや図像の担い手たちが求めた「真実」に迫る。アレクサンドロスが内包する本質と、古代世界の遺産を受けいれ再解釈していくムスリムの精神史をみごとに浮かび上がらせた力作。
【受賞】
・第7回「日本学士院学術奨励賞」
・第7回「日本学術振興会賞」
・第15回「日本比較文学会賞」
・第9回「島田謹二記念学藝賞」
【書評】
・『ピエリア』(2019年春号、評者:三代川寛子氏)
・朝日新聞(2010年7月27日付、夕刊)
・『比較文明』(第25号、2009年、評者:三浦伸夫氏)
・毎日新聞(2009年12月20日付、「2009年『この3冊』」)
【目 次】
凡 例
序 章 歴史と虚構の狭間のアレクサンドロス
Ⅰ アレクサンドロスに関する知識の源
—— 古代世界からイスラーム世界へ
第1章 偽カッリステネスのアレクサンドロス物語
1 物語の生成
2 東方への伝播
3 物語の概要
第2章 ギリシア・ローマ古典史料におけるアリストテレスとアレクサンドロス
1 天才と天才の出会い
2 アリストテレスに宛てたインドの不可思議についての書簡
3 アレクサンドロスへの忠言の手紙
第3章 イスラーム以前のイランにおけるアレクサンドロス
1 ペルセポリス焼尽
2 大王の記憶
3 ササン朝ゾロアスター教文献におけるアレクサンドロス
Ⅱ 預言者アレクサンドロス
第1章 「二本角のアレクサンドロス」
1 『クルアーン』第18章「洞窟」82-97節
2 「二本角」の正体
3 アレクサンドロスにまつわるシリア語キリスト教伝説
4 一神教とアレクサンドロス
第2章 イスラーム世界におけるアレクサンドロスの神聖化
1 タバリーの『タフスィール』
2 預言者伝集
3 ディーナワリーの『長史』
4 ニザーミーのアレクサンドロス物語
Ⅲ 哲人王アレクサンドロス
第1章 「君主の鑑」文学におけるアレクサンドロス
1 「君主の鑑」とは
2 アダブ文学と先行文明の影響
3 サーリム・アブ・ル=アラーの「アレクサンドロスに宛てたアリストテレスの書簡集」
4 『秘中の秘』
第2章 アダブからヒクマへ
1 アリストテレスの忠言
2 アレクサンドロスの金言
3 「インドの裸行者」との問答
4 アレクサンドロスの最期
Ⅳ 歴史叙述の中のアレクサンドロス
第1章 初期のアラブ歴史学
—— ハディースの時代
1 歴史としてのイスラーイーリーヤート —— ワフブ・ブン・ムナッビフ
2 スィーラの歴史観 —— イブン・イスハーク
3 イブン・ヒシャームの『王冠の書』
4 征服史とアレクサンドロス —— イブン・アブド・アル=ハカム
第2章 非アラブの貢献
—— ペルシア、ビザンツの遺産
1 『列王伝』の翻訳 —— イブン・アル=ムカッファア
2 ビザンツ、キリスト教史学の影響
第3章 万国史の登場
—— ハディースからの解放
1 事典的歴史 —— イブン・ハビーブとイブン・クタイバ
2 物語的歴史 —— ディーナワリー
3 博識と原典批評 —— ヤァクービー
4 ハディースへのこだわり —— タバリー
5 時代の知の集成 —— マスウーディー
第4章 権力の地方分散と歴史
—— 東方イスラーム世界を中心に
1 ブワイフ朝下の歴史家
2 サーマーン朝下における近世ペルシア語の台頭
3 ガズナ朝スルタンたちの「アレクサンドロス模倣」
4 セルジューク朝期の歴史書
5 歴史の指標としてのアレクサンドロス
終 章 超越と限界を体現する男
あとがき / 註 / 原典資料 / 参考文献 / 付録「偽カッリステネスのアレクサンドロス物語」諸系統 / 図版出典一覧 / 索 引
【受賞】
・第7回「日本学士院学術奨励賞」
・第7回「日本学術振興会賞」
・第15回「日本比較文学会賞」
・第9回「島田謹二記念学藝賞」
【書評】
・『ピエリア』(2019年春号、評者:三代川寛子氏)
・朝日新聞(2010年7月27日付、夕刊)
・『比較文明』(第25号、2009年、評者:三浦伸夫氏)
・毎日新聞(2009年12月20日付、「2009年『この3冊』」)
【目 次】
凡 例
序 章 歴史と虚構の狭間のアレクサンドロス
Ⅰ アレクサンドロスに関する知識の源
—— 古代世界からイスラーム世界へ
第1章 偽カッリステネスのアレクサンドロス物語
1 物語の生成
2 東方への伝播
3 物語の概要
第2章 ギリシア・ローマ古典史料におけるアリストテレスとアレクサンドロス
1 天才と天才の出会い
2 アリストテレスに宛てたインドの不可思議についての書簡
3 アレクサンドロスへの忠言の手紙
第3章 イスラーム以前のイランにおけるアレクサンドロス
1 ペルセポリス焼尽
2 大王の記憶
3 ササン朝ゾロアスター教文献におけるアレクサンドロス
Ⅱ 預言者アレクサンドロス
第1章 「二本角のアレクサンドロス」
1 『クルアーン』第18章「洞窟」82-97節
2 「二本角」の正体
3 アレクサンドロスにまつわるシリア語キリスト教伝説
4 一神教とアレクサンドロス
第2章 イスラーム世界におけるアレクサンドロスの神聖化
1 タバリーの『タフスィール』
2 預言者伝集
3 ディーナワリーの『長史』
4 ニザーミーのアレクサンドロス物語
Ⅲ 哲人王アレクサンドロス
第1章 「君主の鑑」文学におけるアレクサンドロス
1 「君主の鑑」とは
2 アダブ文学と先行文明の影響
3 サーリム・アブ・ル=アラーの「アレクサンドロスに宛てたアリストテレスの書簡集」
4 『秘中の秘』
第2章 アダブからヒクマへ
1 アリストテレスの忠言
2 アレクサンドロスの金言
3 「インドの裸行者」との問答
4 アレクサンドロスの最期
Ⅳ 歴史叙述の中のアレクサンドロス
第1章 初期のアラブ歴史学
—— ハディースの時代
1 歴史としてのイスラーイーリーヤート —— ワフブ・ブン・ムナッビフ
2 スィーラの歴史観 —— イブン・イスハーク
3 イブン・ヒシャームの『王冠の書』
4 征服史とアレクサンドロス —— イブン・アブド・アル=ハカム
第2章 非アラブの貢献
—— ペルシア、ビザンツの遺産
1 『列王伝』の翻訳 —— イブン・アル=ムカッファア
2 ビザンツ、キリスト教史学の影響
第3章 万国史の登場
—— ハディースからの解放
1 事典的歴史 —— イブン・ハビーブとイブン・クタイバ
2 物語的歴史 —— ディーナワリー
3 博識と原典批評 —— ヤァクービー
4 ハディースへのこだわり —— タバリー
5 時代の知の集成 —— マスウーディー
第4章 権力の地方分散と歴史
—— 東方イスラーム世界を中心に
1 ブワイフ朝下の歴史家
2 サーマーン朝下における近世ペルシア語の台頭
3 ガズナ朝スルタンたちの「アレクサンドロス模倣」
4 セルジューク朝期の歴史書
5 歴史の指標としてのアレクサンドロス
終 章 超越と限界を体現する男
あとがき / 註 / 原典資料 / 参考文献 / 付録「偽カッリステネスのアレクサンドロス物語」諸系統 / 図版出典一覧 / 索 引
- 本の長さ588ページ
- 言語日本語
- 出版社名古屋大学出版会
- 発売日2009/2/25
- 寸法15.7 x 3.4 x 21.7 cm
- ISBN-104815806098
- ISBN-13978-4815806095
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商品の説明
著者について
山中 由里子(やまなか ゆりこ)
1966年生まれ。東京大学総合文化研究科博士課程中退(1993年)、学術博士(東京大学、2007年)。現在は国立民族学博物館・助教。
編 著:
The Arabian Nights and Orientalism: Perspectives from East and West, London: I.B. Tauris, 2006.
(所属等は初版第1刷発行時のものです)
1966年生まれ。東京大学総合文化研究科博士課程中退(1993年)、学術博士(東京大学、2007年)。現在は国立民族学博物館・助教。
編 著:
The Arabian Nights and Orientalism: Perspectives from East and West, London: I.B. Tauris, 2006.
(所属等は初版第1刷発行時のものです)
登録情報
- 出版社 : 名古屋大学出版会 (2009/2/25)
- 発売日 : 2009/2/25
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 588ページ
- ISBN-10 : 4815806098
- ISBN-13 : 978-4815806095
- 寸法 : 15.7 x 3.4 x 21.7 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,185,758位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 34位コーラン
- - 16,900位世界史 (本)
- - 159,662位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
1966年横浜市生まれ。国立民族学博物館教授。比較文学比較文化学者。東京大学大学院総合文化研究科博士課程中退後、東京大学東洋文化研究所助手。1998年より国立民族学博物館所属。特に専門とする地域は西アジア、イラン。著書『アレクサンドロス変相 ― 古代から中世イスラームへ』(名古屋大学出版会、2009年)が、島田謹二記念学藝賞(2010年)、日本比較文学会賞(2010年)、日本学術振興会賞(2011年)、日本学士院学術奨励賞(2011年)を受賞。編著に『<驚異>の文化史―中東とヨーロッパを中心に』(名古屋大学出版会、2015年)、『この世のキワ―〈自然〉の内と外』(山田仁史との共編、勉誠出版、2019年)などがある。2019年に国立民族学博物館で開催された特別展「驚異と怪異──想像界の生きものたち」では実行委員長を務める。同図録は全国カタログ展で経済産業省商務情報政策局長賞受賞。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年1月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ペルシア語が結んだ世界―もうひとつのユーラシア史 (スラブ・ユーラシア叢書)
を読み、イスラーム世界での前イスラム期の古代史認識について興味が出てたところだったこととマスウーディやビールーニーといった受験にも登場する有名どころだけではなく、ハムザ、イスハーク、ディーナワリー、サーリービーなど、イスラーム史書籍を読み重ねる毎に引用ばかりを目にし、断片的情報にばかりにストレスを感じていたことで、「どのような人がいるのか、その位置づけや、各々叙述の姿勢について、体系的・総合的な分析と解説を知りたい」と思っていたところだったので、本書はタイムリーな書籍でした。
本書は、アレクサンドロスの「実像」の探求ではなく、「イスラーム期のアレクサンドロス研究史」でもありません。アレクサンドロスが、サーサーン朝・イスラーム期にどのように語り継がれてきたかの探求が目的であり、それは同時に、下記の部分を明らかにする論考となっています。
1.イスラーム歴史叙述の成立と発展がわかる。ハディース(伝承)や各時代の歴史状況と歴史叙述の関連が整理・理解できる。
2.ギシリア・シリアの歴史書がイスラーム史書に何故取り入れられなかった実態と背景
3.サーサーン朝の古代史認識
4.モンゴル以前のイスラームの主だった歴史書作品と著者の体系的な解説
5.イスラームの、先イスラーム期の古代歴史認識の内容、その成立の過程と理由
6.アルサケス朝に関する、サーサーン朝とイスラーム期の史料
歴史を動かすものは経済的な論理や政治的な欲望だけではなく、「実像」だけではなく、「虚像」もまた歴史を動かす大きな要素である点を、本書は強く訴えてくる内容となっています。歴史研究の方法を広げる重要な視点を提供する視座だと思います。
本書は、アレクサンドロスやイスラーム史に興味が無くても、アルサケス朝やササン朝に深く興味のある方にもお勧めです。イスラーム期にどのような認識のもとに史料が残されていったかがわかるからです。その他、「プトレマイオスのカノン」とか集史以前に「万国史」が書かれていた、など様々な知見を得ることが出来、有用です。この手の書籍が日本では少ないこともあり、8000円の価値は十分あるものと思います。
本書は、アレクサンドロスの「実像」の探求ではなく、「イスラーム期のアレクサンドロス研究史」でもありません。アレクサンドロスが、サーサーン朝・イスラーム期にどのように語り継がれてきたかの探求が目的であり、それは同時に、下記の部分を明らかにする論考となっています。
1.イスラーム歴史叙述の成立と発展がわかる。ハディース(伝承)や各時代の歴史状況と歴史叙述の関連が整理・理解できる。
2.ギシリア・シリアの歴史書がイスラーム史書に何故取り入れられなかった実態と背景
3.サーサーン朝の古代史認識
4.モンゴル以前のイスラームの主だった歴史書作品と著者の体系的な解説
5.イスラームの、先イスラーム期の古代歴史認識の内容、その成立の過程と理由
6.アルサケス朝に関する、サーサーン朝とイスラーム期の史料
歴史を動かすものは経済的な論理や政治的な欲望だけではなく、「実像」だけではなく、「虚像」もまた歴史を動かす大きな要素である点を、本書は強く訴えてくる内容となっています。歴史研究の方法を広げる重要な視点を提供する視座だと思います。
本書は、アレクサンドロスやイスラーム史に興味が無くても、アルサケス朝やササン朝に深く興味のある方にもお勧めです。イスラーム期にどのような認識のもとに史料が残されていったかがわかるからです。その他、「プトレマイオスのカノン」とか集史以前に「万国史」が書かれていた、など様々な知見を得ることが出来、有用です。この手の書籍が日本では少ないこともあり、8000円の価値は十分あるものと思います。
2017年10月14日に日本でレビュー済み
この本を読むとアレクサンドロス大王は、地域や歴史の異なる局面で実にさまざまな顔を現し変身してゆく。しかもアレクサンドロスの“変相”は、まことに雄大で歴史上の大スペクタクルをみるような感興を覚える。
一番びっくりしてしまうのは、アレクサンドロスはペルシャ王ダレイオスを打ち破り、死にまでも追い詰めたはずなのに、ダレイオスの子となり、イランの英雄になってしまうことだ。この“変相”をお膳立てするアレクサンドロスの出生譚が傑作だ。つまり、ダレイオスは、マケドニアの王フィリポスの娘を娶るのだが、彼女は強烈な悪臭の持ち主で(敵国の王の娘の獣性と少しのからかいを私は連想する)結婚後しばらくして国本に返される、だがその時すでに彼女は身ごもっていた、そしてその子、つまりアレクサンドロスは、フィリポスの子として育てられたのだ。だからダレイオスが重臣の裏切りで殺害されると、アレクサンドロスは瀕死のダレイオスに「王のこのような死を私は望まなかった」といい、ダレイオスの最後の言葉を聞きとげる。
この本は、古代の英雄アレクサンドロスが、イスラム世界で実に豊かな表徴として結実してゆく書物の道をたどる。その源流については①古代ユダヤ教において神の国を齎すメシアとしてのアレクサンドロス、⓶イランもしくはゾロアスター教における善と極悪の両義的な存在としての、あるいは③偽カッリステネスの「アレクサンドロス・ロマン」(アリストテレスとの交流物語もここに含めるべきか?) としてのアレクサンドロスあげる。
この本を読むと一枚岩に見えるイスラムが実に多様な諸文化の層をなした形成物であることを実感し驚く。十二世紀のニザーミーの書物では、アレクサンドロスは遠征から戻るとメッカに詣で預言者として再出発する。この種の勝手な物語のねつ造=創造を、諸文化の交流・重層化と合わせて、それこそが文化の一つの好ましい特性ではないのかと、思えてくるのだ。
一番びっくりしてしまうのは、アレクサンドロスはペルシャ王ダレイオスを打ち破り、死にまでも追い詰めたはずなのに、ダレイオスの子となり、イランの英雄になってしまうことだ。この“変相”をお膳立てするアレクサンドロスの出生譚が傑作だ。つまり、ダレイオスは、マケドニアの王フィリポスの娘を娶るのだが、彼女は強烈な悪臭の持ち主で(敵国の王の娘の獣性と少しのからかいを私は連想する)結婚後しばらくして国本に返される、だがその時すでに彼女は身ごもっていた、そしてその子、つまりアレクサンドロスは、フィリポスの子として育てられたのだ。だからダレイオスが重臣の裏切りで殺害されると、アレクサンドロスは瀕死のダレイオスに「王のこのような死を私は望まなかった」といい、ダレイオスの最後の言葉を聞きとげる。
この本は、古代の英雄アレクサンドロスが、イスラム世界で実に豊かな表徴として結実してゆく書物の道をたどる。その源流については①古代ユダヤ教において神の国を齎すメシアとしてのアレクサンドロス、⓶イランもしくはゾロアスター教における善と極悪の両義的な存在としての、あるいは③偽カッリステネスの「アレクサンドロス・ロマン」(アリストテレスとの交流物語もここに含めるべきか?) としてのアレクサンドロスあげる。
この本を読むと一枚岩に見えるイスラムが実に多様な諸文化の層をなした形成物であることを実感し驚く。十二世紀のニザーミーの書物では、アレクサンドロスは遠征から戻るとメッカに詣で預言者として再出発する。この種の勝手な物語のねつ造=創造を、諸文化の交流・重層化と合わせて、それこそが文化の一つの好ましい特性ではないのかと、思えてくるのだ。
2013年7月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「二本角」という異名を持つアレクサンドロス。師アリストテレスとのやり取りの記録(伝承)の中から,師の教えに沿いあるいは離れながら,寡頭政治から共和制への導入者としてまでのスパンを開示します。後世の細密画が多く引用されており(中国史書まで引用があり)ビジュアル的にも博物学的にも,もちろんイスラム専門書としても読みやすく,かつ興味を引く入口が多く読みごたえがあります。本文408ページに対し引用注167ページという大分量の博士論文ですが,古典書籍から現代小説まで引用紹介があり意欲的で面白いです。アレクサンドロスがユーラシア東西をモンゴル帝国以前に文化的に広範な徴を遺したということが分かります。厚く重い本ですが,著者の思い入れと内容の重みが厚く,熱く語ってくれていて,どのページも引き込まれます。