まえがきに「私が想定している本書の読者は、高校時代に習った幾何学を少し覚えている程度の人々だ。」とあります。日本の高校では高1に立体幾何学を少し習う程度で幾何学はあまり習わないと思います。
本書は図形はかなりあるものの数式はありません。
「科学の言葉は数学である。」という通り、数式の無い物理の本は理解できないし、ましてや数式のない数学書で高度なポアンカレ予想が少しでも分るのだろうかと疑問を抱きながら読みました。
p202にポアンカレ予想が記されてます。
「多様体の基本群が単位元でありながら、その多様体が3次元球面と同相でない可能性はあるだろうか? 答:ない」
ここで、高校の幾何学で習わない用語がいくつか出てきます。「多様体」「基本群」「3次元球面」「同相」がそれに当たります。
3次元球面: 4次元空間で考えると簡単ですが、私達の空間は3次元ですので簡単には理解できません。答はp52に書かれてます。球を2つ持ってきて境界上の対応する点どうしが一致するように2つの球を貼り合わせると3次元球面になるという事です。厳密には下記の本を読むとよいでしょう。
多様体: 多様体の本のはじめの方を読まないと理解できません。例えば松本幸夫「多様体の基礎」
基本群: トポロジーの本を読んでないとチンプンカンプン。数学書は難しいので物理数学がよいと思います。例えば中原幹夫「理論物理学のための幾何学とトポロジーI」の最初の方
同相: 同上
本書はかろうじて読めました。読んだというより「眺めた」といった方がよい箇所もあります。
巻末の原注は役に立ちます。これが無いと単なる雑談集。
結論から云えば「高校時代に習った幾何学を少し覚えている程度の人々」には理解できない本です。数式が無い本なので仕方がない事です。数式無しの本としては良く出来た本の部類に入ると思われます。
今気付いた事ですが本書の署名は「ポアンカレ予想を解いた数学者」で「ポアンカレ予想」ではありません。つまり数学の理解を目的とした本ではなく、数学者達の話でした。それなら仕方ないかなという処です。
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ポアンカレ予想を解いた数学者 単行本 – 2007/6/21
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新聞一般紙でも取り上げられる、ポアンカレ予想の解決についての数学読み物です。ポアンカレ予想は、位相幾何学で「単連結な3次元閉多様体は3次元球面に同相」というもので、2000年のクレイ研究所の100万ドル懸賞問題にもなっており、これに対してロシアの数学者グリゴリー・ペレルマンが、大筋の肯定的証明を与えました。リチャード・ハミルトンが考案したリッチ・フローという微分幾何の手法を使い、「曲率がわかれば位相がわかる」ことを実証しました。ポアンカレ予想の事実上の解決と認められ、2006年8月の国際数学者会議でペレルマンにフィールズ賞が贈られることになりました。本書では、ポアンカレ予想の解決はペレルマンひとりの業績ではなく、連綿と続く数学研究のなせる業であるという観点から、位相幾何学を歴史的側面から追いながら、平易な語り口でわかりやすく説明し、その流れでポアンカレ予想そのものと解決への旅程を解説しています。新聞一般紙にも報道されたような、ペレルマンが雲隠れしたとか、フィールズ賞を辞退したとか、クレイ研究所の100万ドル懸賞はどうなるかとかの話も盛り込まれ、下世話な話題にも事欠きません。
- 本の長さ408ページ
- 言語日本語
- 出版社日経BP
- 発売日2007/6/21
- ISBN-104822283224
- ISBN-13978-4822283223
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登録情報
- 出版社 : 日経BP (2007/6/21)
- 発売日 : 2007/6/21
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 408ページ
- ISBN-10 : 4822283224
- ISBN-13 : 978-4822283223
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上位レビュー、対象国: 日本
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2022年5月25日に日本でレビュー済み
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2012年2月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
途中まで面白く読みましたが触れてほしい人の事が書かれてないので
読む気が続きません。本文は全部の4分3ほどで残り100ページは
注、解説です。
読む気が続きません。本文は全部の4分3ほどで残り100ページは
注、解説です。
2007年7月22日に日本でレビュー済み
ポアンカレ球って、私の仕事でもよく使っているし、同じ系列のサイモン・シンの「フェルマーの最終定理」が面白かったので、この本を選んだ。しかしサイモン・シンと違ってでも著者は数学者であるので、難解な数学の説明をしてくれるのだが、寝っ転がって気軽に読むにはちょっと難しすぎる。訳者は相当苦労して訳したんだろう。「フェルマーの最終定理」とは違って、「ポアンカレの予想」は、誰にでも理解できるものではない。著者は、問題をわかり易く説明しているつもりなんだろうが、私は数学を勉強するつもりでないので、読むのに相当苦労した。「フェルマーの最終定理」は、数学の問題を解くのが、まるでミステリーのようになっていて、ドキドキしながら、読んだがこの本にはそれがない。
さらに当のベレルマンについての記述が少なすぎる。最後に他の雑誌から当人のその後の抜粋が挙げてあるが、著者自身がベレルマンに会って、インタビューして欲しかった。「クレイ研究所の賞金100万ドル」「フィールズ賞」を辞退したのは、どうしてなのか?ベレルマンの人となりは非常に興味深く、「賞や賞金には全く興味がなく、純粋に数学だけをやっていたい」という人物にもっと焦点を当てて欲しかった。同じような境遇にあってノーベル賞を受賞したジョン・ナッシュの「ビューティフルマインド」のような仕上がりにしても面白い本になると思った。まあ数学の本として読めばいいのだろうけど、それにしても難解だ。この手のちょっと高尚な本には、5☆を往々にして付ける人が多いが、この本は数学の本であって、ノンフィクションとしては、3☆だと思う。
さらに当のベレルマンについての記述が少なすぎる。最後に他の雑誌から当人のその後の抜粋が挙げてあるが、著者自身がベレルマンに会って、インタビューして欲しかった。「クレイ研究所の賞金100万ドル」「フィールズ賞」を辞退したのは、どうしてなのか?ベレルマンの人となりは非常に興味深く、「賞や賞金には全く興味がなく、純粋に数学だけをやっていたい」という人物にもっと焦点を当てて欲しかった。同じような境遇にあってノーベル賞を受賞したジョン・ナッシュの「ビューティフルマインド」のような仕上がりにしても面白い本になると思った。まあ数学の本として読めばいいのだろうけど、それにしても難解だ。この手のちょっと高尚な本には、5☆を往々にして付ける人が多いが、この本は数学の本であって、ノンフィクションとしては、3☆だと思う。
2007年12月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「世紀の大予想」の解決のお話。ポアンカレ予想とは「単連結な3次元閉多様体は3次元球面S^3に同相である」と言うことだそうな。1994年に証明されたもう一つの「世紀の大予想」フェルマー予想よりも分かりにくいが、これまた、「世紀の大予想」のリーマン予想よりは分かりやすいかな。一次元落として2次元にすると、言ってることはすぐ分かるのでイメージは作りやすい。
数学ついてはどうせ分からないし、本書にちりばめてあるイメージも分かったような分からないような・・・。多様体と宇宙の形の関係も、1次元落とした2次元多様体と地球の形の関係のアナロジーの方はすぐ分かるのだけど・・・・。一方、証明をめぐる人間模様はやはり面白く、特に最終的に証明したペレルマンは発表もちゃんとした論文誌にしていないし、フィールズ賞や賞金は辞退するし、謎に包まれている。それだけでも結構面白い。
もう一つ面白かったのは、学問の中心の移動と大学の盛衰の関係だ。ポアンカレを始めとするフランスから、クラインやヒルベルトのドイツへ、その後、アメリカへとポアンカレ予想研究の先端は移動して行く。そして、最後のペレルマンはロシア人。これは、ロシアの復権と言うより、学問の国際化を示すものなのだろう。その中で、フェルマー予想では大活躍だった日本人が出てこなかったのは残念だ。
数学に興味がある人にはお薦めの一冊である。って、興味のない人は手に取らんか・・・・
数学ついてはどうせ分からないし、本書にちりばめてあるイメージも分かったような分からないような・・・。多様体と宇宙の形の関係も、1次元落とした2次元多様体と地球の形の関係のアナロジーの方はすぐ分かるのだけど・・・・。一方、証明をめぐる人間模様はやはり面白く、特に最終的に証明したペレルマンは発表もちゃんとした論文誌にしていないし、フィールズ賞や賞金は辞退するし、謎に包まれている。それだけでも結構面白い。
もう一つ面白かったのは、学問の中心の移動と大学の盛衰の関係だ。ポアンカレを始めとするフランスから、クラインやヒルベルトのドイツへ、その後、アメリカへとポアンカレ予想研究の先端は移動して行く。そして、最後のペレルマンはロシア人。これは、ロシアの復権と言うより、学問の国際化を示すものなのだろう。その中で、フェルマー予想では大活躍だった日本人が出てこなかったのは残念だ。
数学に興味がある人にはお薦めの一冊である。って、興味のない人は手に取らんか・・・・
2008年1月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
NHKスペシャル「100年の難問はなぜ解けたのか〜天才数学者 失踪の謎〜」を見て本書を読むと,やや期待はずれになるかもしれません.TVが難問を解決したペレルマンの人間ドラマに焦点を当てているの対して,本書では解決までの数学の流れを丁寧に説明しています.
ただ,NHKの番組ではペレルマンの業績がトポロジーの研究の流れから外れたところに位置しているかの印象を受けたのですが,この本を読んで,そうではなく,微分幾何学と位相幾何学は互いに連携しながら発展してきたもので,ペレルマンの仕事はその延長にあることが分かりました.ドラマだけでなく,内容も知りたいという人にお勧めします.
ただ,NHKの番組ではペレルマンの業績がトポロジーの研究の流れから外れたところに位置しているかの印象を受けたのですが,この本を読んで,そうではなく,微分幾何学と位相幾何学は互いに連携しながら発展してきたもので,ペレルマンの仕事はその延長にあることが分かりました.ドラマだけでなく,内容も知りたいという人にお勧めします.
2009年4月29日に日本でレビュー済み
ミレニアム問題として提示されて、すぐに解かれた最初の問題。
ポアンカレ予想を解くための理論を詳細に説明しています。
ポアンカレ予想をどうやって解くことができるかを掴めます。
数学に興味があれば、証明の展開について、道筋が分かります。
数学が専門でなくても、トポロジーという学問が、他の学問と協調して発展してきたことがわかります。
数学のすばらしさを教えてくれる本です。
なぜ、ベレルマンがフィールズ賞を受賞しないかについては、あまり書かれていません。
第15章に、ヤウから訂正記事を出すように要求が出たという紹介が、P306にあります。
フィールズ賞の受賞拒否については、「ポアンカレ予想」という本を参照するとよいかもしれません。
ポアンカレ予想を解くための理論を詳細に説明しています。
ポアンカレ予想をどうやって解くことができるかを掴めます。
数学に興味があれば、証明の展開について、道筋が分かります。
数学が専門でなくても、トポロジーという学問が、他の学問と協調して発展してきたことがわかります。
数学のすばらしさを教えてくれる本です。
なぜ、ベレルマンがフィールズ賞を受賞しないかについては、あまり書かれていません。
第15章に、ヤウから訂正記事を出すように要求が出たという紹介が、P306にあります。
フィールズ賞の受賞拒否については、「ポアンカレ予想」という本を参照するとよいかもしれません。
2007年10月28日に日本でレビュー済み
以下の関連本とNHKの特集で少しわかりました。NHKを見損ねた方はネットの「投稿190」[・・・]をコピー&ペーストでごらんください。
数学のたのしみ2007春・夏号p.118〜131
「曲がった空間を見る」(幾何学入門からポアンカレ予想まで)塩谷隆
「数学文化 8 (8) 2007/6」日本数学協会この2冊とTVで少しわかりました。
「トポロジーって何だろう」野口廣 ダイヤモンド社はやさしい名著です。
「ポアンカレの贈り物」南 みや子 永瀬 輝男 講談社
「3次元トポロジーの新展開」戸田正人 サイエンス社
でもなぜ受賞と名誉を捨て隠棲しているのかはミステリーです。数学の魅惑にとりつかれて
きっと次の難問に挑んでいるのでしょう。まるでグロタンディークの晩年みたいです。
数学のたのしみ2007春・夏号p.118〜131
「曲がった空間を見る」(幾何学入門からポアンカレ予想まで)塩谷隆
「数学文化 8 (8) 2007/6」日本数学協会この2冊とTVで少しわかりました。
「トポロジーって何だろう」野口廣 ダイヤモンド社はやさしい名著です。
「ポアンカレの贈り物」南 みや子 永瀬 輝男 講談社
「3次元トポロジーの新展開」戸田正人 サイエンス社
でもなぜ受賞と名誉を捨て隠棲しているのかはミステリーです。数学の魅惑にとりつかれて
きっと次の難問に挑んでいるのでしょう。まるでグロタンディークの晩年みたいです。
2008年1月20日に日本でレビュー済み
サイモン・シンの「フェルマーの最終定理」に大感動したので、同じ感動を別の数学テーマで味わえないかと、この本を購入してみた。
「ポアンカレ」という名前は、小林秀雄を通じて、20年以上も前から気になる存在ではあった。しかし、日常の些事にまぎれて、岩波文庫から主要著書が翻訳されているにも関わらず、まだ一冊も読んでいない。肝心の「ポアンカレ予想」というのも、何を意味しているのか、いくつかの数学啓蒙書にあたってみたが、イマイチ、ピンとこない。
それで、本書には、そもそもの問題の理解、プラス、解いたという数学者の人間ドラマも併せて楽しめるのでは、と期待していたが…はっきりいって、単なる数学ファンには、この本は難しすぎる。最初の20〜30頁あたりで、もう頭が真っ白になり、一応、最後の頁までめくってみたが、ただ読みました、という感じで、なにも頭には残っていない。
肝心のペレルマンの人間ドラマも、勝手に期待していたほど頁が割かれていないし、欲求不満が残る。
はっきりいって、その人の数学の素養のレベルによって、本書の評価は大きく異なるのではないか? サイモン・シンの「フェルマーの最終定理」に感動して、「自分ってこんなに数学ができるんだ」などと勝手に自分を誤解している(私のような)読者は、痛い目に遭いますよ!
「ポアンカレ」という名前は、小林秀雄を通じて、20年以上も前から気になる存在ではあった。しかし、日常の些事にまぎれて、岩波文庫から主要著書が翻訳されているにも関わらず、まだ一冊も読んでいない。肝心の「ポアンカレ予想」というのも、何を意味しているのか、いくつかの数学啓蒙書にあたってみたが、イマイチ、ピンとこない。
それで、本書には、そもそもの問題の理解、プラス、解いたという数学者の人間ドラマも併せて楽しめるのでは、と期待していたが…はっきりいって、単なる数学ファンには、この本は難しすぎる。最初の20〜30頁あたりで、もう頭が真っ白になり、一応、最後の頁までめくってみたが、ただ読みました、という感じで、なにも頭には残っていない。
肝心のペレルマンの人間ドラマも、勝手に期待していたほど頁が割かれていないし、欲求不満が残る。
はっきりいって、その人の数学の素養のレベルによって、本書の評価は大きく異なるのではないか? サイモン・シンの「フェルマーの最終定理」に感動して、「自分ってこんなに数学ができるんだ」などと勝手に自分を誤解している(私のような)読者は、痛い目に遭いますよ!