ソフトウェア開発、そしてそのコンサルティングにおいて「巨匠」とも
いえるG.M.ワインバーグ氏の最新作です。
ワインバーグ氏は、これまでソフトウェア開発に関する著作を多数執筆して
いますが、テストを中心テーマとした著作はどうもこれが初めてらしいです。
氏の過去の著作では、人間系、つまり人間の不完全さ・感情・思い込みとか、
人間関係・利害関係といった側面から様々な考察と解決法の提示をしていますが、
この本もその流れに沿ったものです。
テストの手法をズバリ書いてある、と言った本ではなく、基本的な手順・手法が
すでにあって、それを人がいかに適切に運用・統制していくか、といった部分を
論じた本です。
本書の中心テーマですが、本の帯に書かれている言葉(本文からの引用)が
的確だと思うので、引用させてもらいます。
---
人間の思考が完璧なら、自らの働きをテストする必要はない。
われわれが感情のないロボットだったら、いつも合理的にテストを用いて、
決定にかかわるリスクを軽減するだろう。
:(中略)
しかし、われわれは不完全で、非合理的で、価値観に左右される多様な人間で
ある。だからわれわれはテストする。そして、テストをテストする。
---
「テストをテストする」とは、本書ではメタテストと表現されていますが、
・仕様書がすぐに見つからない
・バグの記録を深刻に見えないように改ざんしている
・テスト担当者がプログラマへの障害報告を嫌がる
といった、組織における不自然な事象からテスト自体の質を推測するものです。
「ワインバーグのシステム思考法」「同洞察法」「同行動法」という著作を
読まれている方なら、そこで示されている事例・思考法・解決論が、この本では
テストという切り口で適用されていることが分かるでしょう。
ソフトウェア開発では、能力・性格・認識レベル等々が異なる人が集まり、
限られた時間の中でバタバタと開発していきますが、数字として現れにくい
異常はどうしても見落としがちとなります。それに対して、ワインバーグ氏の
提示するメタな視点や対処方法等は、リーダー役の人にはとても参考になるもの
だと思います。
今回の著作は、過去の著作をある程度読んでいる自分にとって目新しさはやや
少なく感じますが、それでも彼の慧眼・見識にはやはり関心させられます。
星ですが、すでに氏の本をかなり読んでいる方には3〜4かと思いますが、
ワインバーグ氏は私の「師匠」であること、また氏の本を読んだことの無い
コンピュータ技術者には是非とも氏の本を読んで欲しいこともあり、
5とさせていただきます。
最後にワインバーグ氏について、1933年生まれ、70台後半だそうですが、
現在重い病を患っているとのことです。
これまで数々の著作でソフトウェア業界に明かりをもたらしてきた
ワインバーグ氏が、一日でも早く回復されることを祈念いたします。
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パーフェクトソフトウエア 単行本 – 2010/5/27
ジェラルド・M・ワインバーグ
(著),
伊豆原 弓
(翻訳)
巨匠ワインバーグが説くソフトウエアテストの心得集
ワインバーグは、「テストとは、製品の品質についての情報を収集し提供することである」
と説く。テストの結果は幾通りもの解釈が可能であり、とかく人は置かれた立場によって、
自分の都合の良いように考えてしまいがちである。そうした人間の甘さにくぎを刺しながらも、
テストの難しさを自らが一番良く知るワインバーグの、エンジニアへの愛情が感じられる一冊。
ワインバーグは、「テストとは、製品の品質についての情報を収集し提供することである」
と説く。テストの結果は幾通りもの解釈が可能であり、とかく人は置かれた立場によって、
自分の都合の良いように考えてしまいがちである。そうした人間の甘さにくぎを刺しながらも、
テストの難しさを自らが一番良く知るワインバーグの、エンジニアへの愛情が感じられる一冊。
- 本の長さ232ページ
- 言語日本語
- 出版社日経BP
- 発売日2010/5/27
- ISBN-104822284298
- ISBN-13978-4822284299
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出版社より
コンサルタントの道具箱 | パーフェクトソフトウエア | |
---|---|---|
カスタマーレビュー |
5つ星のうち4.0
58
|
5つ星のうち4.1
15
|
価格 | ¥2,420¥2,420 | ¥749¥749 |
発売日 | 2003/7/29 | 2010/5/27 |
商品の説明
著者について
■著者紹介
ジェラルド・M・ワインバーグ(Gerald M. Weinberg)
ソフトウエア開発プロジェクトのあらゆるフェーズを網羅する多数の著書により
コンピュータ業界で広く知られるコンサルタント。半世紀以上前にIBMに入社し、
1958年アポロ計画以前の有人宇宙飛行計画(マーキュリー計画)でシステム開発を担当。
ソフトウエア開発者・研究者としての経歴も長い。妻ダニーとともに経営する
ワインバーグ&ワインバーグでは、コンサルティング業務のほか、
多数のワークショップを通じてエンジニアやコンサルタントの教育活動にも力を入れる。
主な著書・共著書に、『コンサルタントの秘密』『スーパーエンジニアへの道』
『ソフトウエア文化を創る』(シリーズ全4巻)『ライト、ついてますか』(以上、共立出版)、
『一般システム思考入門』(紀伊國屋書店)などがある。
■訳者紹介
伊豆原 弓(いずはら ゆみ)
翻訳家。1966年生まれ。訳書に『イノベーションのジレンマ』『ワインバーグの文章読本』
(以上翔泳社)、『熊とワルツを』『ゆとりの法則』『デッドライン』『コンサルタントの道具箱』
『プログラマーのジレンマ』『アドレナリンジャンキー』(以上日経BP社)、『HPウェイ』
(日本経済新聞社)などがある。
ジェラルド・M・ワインバーグ(Gerald M. Weinberg)
ソフトウエア開発プロジェクトのあらゆるフェーズを網羅する多数の著書により
コンピュータ業界で広く知られるコンサルタント。半世紀以上前にIBMに入社し、
1958年アポロ計画以前の有人宇宙飛行計画(マーキュリー計画)でシステム開発を担当。
ソフトウエア開発者・研究者としての経歴も長い。妻ダニーとともに経営する
ワインバーグ&ワインバーグでは、コンサルティング業務のほか、
多数のワークショップを通じてエンジニアやコンサルタントの教育活動にも力を入れる。
主な著書・共著書に、『コンサルタントの秘密』『スーパーエンジニアへの道』
『ソフトウエア文化を創る』(シリーズ全4巻)『ライト、ついてますか』(以上、共立出版)、
『一般システム思考入門』(紀伊國屋書店)などがある。
■訳者紹介
伊豆原 弓(いずはら ゆみ)
翻訳家。1966年生まれ。訳書に『イノベーションのジレンマ』『ワインバーグの文章読本』
(以上翔泳社)、『熊とワルツを』『ゆとりの法則』『デッドライン』『コンサルタントの道具箱』
『プログラマーのジレンマ』『アドレナリンジャンキー』(以上日経BP社)、『HPウェイ』
(日本経済新聞社)などがある。
登録情報
- 出版社 : 日経BP; A5版 (2010/5/27)
- 発売日 : 2010/5/27
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 232ページ
- ISBN-10 : 4822284298
- ISBN-13 : 978-4822284299
- Amazon 売れ筋ランキング: - 562,686位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 10,696位電気・通信 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年6月22日に日本でレビュー済み
2010年8月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ワインバーグが衰えたのか、訳が悪いのか。
とても読みにくい本になっています。
とくに後半は主張がまとまっておらず、箇条書きの連発です。
主旨自体は非常にごもっともです。
特にソフトウェアの発注に関わっている方、偉い方にほど伝えたい内容になっています。
それだけにこの読みにくさは残念です。
とても読みにくい本になっています。
とくに後半は主張がまとまっておらず、箇条書きの連発です。
主旨自体は非常にごもっともです。
特にソフトウェアの発注に関わっている方、偉い方にほど伝えたい内容になっています。
それだけにこの読みにくさは残念です。
2010年8月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ソフトウェアテストの重要性を改めて気付かされました。
中には、ちょっと大げさな?書き方をされているような気もしたのですが。
若手の皆さまにはぜひ読んでいただきたい1冊だと思います。
中には、ちょっと大げさな?書き方をされているような気もしたのですが。
若手の皆さまにはぜひ読んでいただきたい1冊だと思います。