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国家と音楽家 単行本 – 2013/10/1
中川 右介
(著)
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- 本の長さ370ページ
- 言語日本語
- 出版社七つ森書館
- 発売日2013/10/1
- 寸法13.8 x 2.9 x 19.5 cm
- ISBN-10482281386X
- ISBN-13978-4822813864
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登録情報
- 出版社 : 七つ森書館 (2013/10/1)
- 発売日 : 2013/10/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 370ページ
- ISBN-10 : 482281386X
- ISBN-13 : 978-4822813864
- 寸法 : 13.8 x 2.9 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,099,238位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2020年3月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
第二次大戦とその産物である東西冷戦の時代を通じて、国家と音楽家がいかに利用し合い、あるいは対立し、あるいは抵抗したのか、のエピソードが満載である。
この著者の本では、『ヒトラー対スターリン 悪の最終決戦』というトンデモ系のタイトルの本があるのだが内容はまともで、これを読んで以降、彼の本を読むのは3冊目になる。
『ヒトラー対スターリン 悪の最終決戦』では、スターリン対ショスタコーヴィチ、ヒトラー対フルトヴェングラーの関係が詳しく書かれていたが、そこではフルトヴェングラーは相当程度にヒトラーとゲッペルスに抵抗し、思い通りにはならなかったというトーンであった。
カラヤンこそナチスに入党していたので、それとの対比ではむしろ非ナチス的に描かれていたのだが、本書では相当に親ナチス的に描かれている。
その差は何かというと、本書でフルトヴェングラーと対比されているのがイタリアの反ファシズムの闘志でもあったトスカニーニだからだ。
その意味で、著者がダブルスタンダードであるとは言えないようだ。
圧制に抵抗した音楽家に焦点が当てられているため、あとがきに映画『第三の男』の有名なセリフが引用されている。
「ボルジア家30年の圧政はルネサンスを生んだが、スイス500年の平和と同胞愛は何を生んだか。鳩時計だけだ」
このセリフは映画では覚えていないが、皮肉が効いていて、素晴らしいw
この著者の本では、『ヒトラー対スターリン 悪の最終決戦』というトンデモ系のタイトルの本があるのだが内容はまともで、これを読んで以降、彼の本を読むのは3冊目になる。
『ヒトラー対スターリン 悪の最終決戦』では、スターリン対ショスタコーヴィチ、ヒトラー対フルトヴェングラーの関係が詳しく書かれていたが、そこではフルトヴェングラーは相当程度にヒトラーとゲッペルスに抵抗し、思い通りにはならなかったというトーンであった。
カラヤンこそナチスに入党していたので、それとの対比ではむしろ非ナチス的に描かれていたのだが、本書では相当に親ナチス的に描かれている。
その差は何かというと、本書でフルトヴェングラーと対比されているのがイタリアの反ファシズムの闘志でもあったトスカニーニだからだ。
その意味で、著者がダブルスタンダードであるとは言えないようだ。
圧制に抵抗した音楽家に焦点が当てられているため、あとがきに映画『第三の男』の有名なセリフが引用されている。
「ボルジア家30年の圧政はルネサンスを生んだが、スイス500年の平和と同胞愛は何を生んだか。鳩時計だけだ」
このセリフは映画では覚えていないが、皮肉が効いていて、素晴らしいw
2013年11月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
厖大な資料から知識人のためのエンターテイメントを再構成する中川さんの最新作は「音楽家は権力に利用されやすい。音楽は感情に訴えるし、セレモニーで必要になる。魅力的であるがゆえに危険なもの」という日経に載った著者インタビューが気に入って読むことに。
《政治家は藝術を愛好していると好意的に受け取られる。料亭通いをすれば批判されるが、コンサートやオペラ、あるいは歌舞伎などに行くことへの批判は少ない。文化・藝術への予算を増やすと言えば、反対する声は出ないだろう。その逆に、文化・藝術への予算を削ると批判される。最近の日本の例では前者が小泉純一郎、後者は橋下徹だ。史上最も藝術に理解があり、藝術を保護し支援した政治家は、おそらく、アドルフ・ヒトラーである》という書きだしもいい。
ナチ政権の政策により、バイロイトの音楽祭の出演者やスタッフから、ユダヤ系のみならず、自由主義者、民主主義者、社会主義者、あるいは同性愛者たちが排除された結果、藝術的レベルが低下してしまった、というのは皮肉ですが、そうしたことも含めてナチスドイツ関連は震えるほど面白かった。不勉強ですが、カルロスの父親のエーリヒ・クライバーがこんな偉い人とは知らなかったな。ヴィシー政権下のフランスは退屈したが、スターリン時代のソ連、戦後の東欧ではまた面白くなる。音楽家は精神的な弾圧が必要なんじゃないかと思うほど。
ナチ入党の過去を問題にされたこともあるカラヤンは、スターリン時代をなんとか生きのび、自分なりの手法で陰々滅々なスータリン主義批判を行ったショスタコーヴィチの10番にシンパシーを抱いたというのは、初めて聞きました(モスクワでのライブ盤、聴いてみます)。ベルリンの壁が崩壊したのは、カラヤンの死後、3ヶ月たった頃というのも、なるほどな、と。
《政治家は藝術を愛好していると好意的に受け取られる。料亭通いをすれば批判されるが、コンサートやオペラ、あるいは歌舞伎などに行くことへの批判は少ない。文化・藝術への予算を増やすと言えば、反対する声は出ないだろう。その逆に、文化・藝術への予算を削ると批判される。最近の日本の例では前者が小泉純一郎、後者は橋下徹だ。史上最も藝術に理解があり、藝術を保護し支援した政治家は、おそらく、アドルフ・ヒトラーである》という書きだしもいい。
ナチ政権の政策により、バイロイトの音楽祭の出演者やスタッフから、ユダヤ系のみならず、自由主義者、民主主義者、社会主義者、あるいは同性愛者たちが排除された結果、藝術的レベルが低下してしまった、というのは皮肉ですが、そうしたことも含めてナチスドイツ関連は震えるほど面白かった。不勉強ですが、カルロスの父親のエーリヒ・クライバーがこんな偉い人とは知らなかったな。ヴィシー政権下のフランスは退屈したが、スターリン時代のソ連、戦後の東欧ではまた面白くなる。音楽家は精神的な弾圧が必要なんじゃないかと思うほど。
ナチ入党の過去を問題にされたこともあるカラヤンは、スターリン時代をなんとか生きのび、自分なりの手法で陰々滅々なスータリン主義批判を行ったショスタコーヴィチの10番にシンパシーを抱いたというのは、初めて聞きました(モスクワでのライブ盤、聴いてみます)。ベルリンの壁が崩壊したのは、カラヤンの死後、3ヶ月たった頃というのも、なるほどな、と。
2017年9月28日に日本でレビュー済み
歴史的に近代以降は特に、戦争において必要なアイテムの一つに音楽があった。
音楽は個人の情動を喚起して自己陶酔に導き、引いてはその場に居合わせた集団への帰属意識と一体感を高め、共通する難題解決に向けての士気を鼓舞する働きがあるからだ。
多くの資料収集整理、解析に長け、人とその交流関係及び時代背景から極力客観的に捉えようとする中川右介さんがそのあたりをどう書いているのか、興味を持って手に取った。
個人的関心とはやや逸れていたものの、P347から記載のある100冊近くに上る参考文献(DVDを含み、おそらくライナー・ノート)をこの一冊によくまとめ(『週刊金曜日』連載のものを大幅に加筆修正、第Ⅲ章と第Ⅳ章は書下ろし)、ある箇所では相反する書物を突き合わせ、ところどころに抑制の利いた推測も交えていて、楽しく読めた。
数年前、九州の自治体が運営する複合文化施設が発行する紙媒体の仕事をしたおり、オペラのイメージ調査を行ったら、“長過ぎる”、“退屈”、“裕福な成りあがりが聴く音楽”、“リアリティを感じさせない”、“チャラチャラした衣装を着て歌って踊ってバカみたい”、“完全に終わったジャンル”など否定的なものが多かったが、トスカニーニに焦点を当てた第Ⅱ章 ファシズムと闘った指揮者を、被験者たちが読めばどう思うだろうか。
その思想、生き方たるや、反体制を標榜しながらその実何もしない何処ぞやのロック・スターに、無理矢理読ませたくなるくらい。
トスカニーニの精神は音楽と同様くらい容貌に表われていると思えるが、そう言えば、本書は写真が非常に少なく、もっと増やしてポップな作りにしてもよかったのではないか。
スターリン政権下で常に粛清の危機に晒されながらしぶとく生き延びたショスタコーヴィチと、アメリカばかりではなく世界中で自由を謳歌し捲ったバーンスタインが好対照。
それにしてもバーンスタインは自由だ、時の権威に少しも臆することなく何でも言って憚らない。
熱心な核兵器廃絶主義者なのだが、1985年8月6日の広島コンサートの際、「日本の反核運動は分裂している」とわざわざ正直に批判するか?
そのバーンスタインの件で、P290、リリアン・ヘルマンに言及しているが、老婆心ながら補足すればユダヤ系女流作家であり、ハードボイルド作家ダシール・ハメットの事実上の妻。
同じユダヤ系作家兼左翼活動家ドロシー・パーカーとの友情を綴った小説は、1977年の映画『ジュリア』(フレッド・ジンネマン監督 出演ジェーン・フォンダ、ヴァネッサ・レッドグレイヴ )に結実し、第50回アカデミー賞で三部門獲得、大きな話題になった。
冒頭にあるように、二十世紀の音楽家に絞っているが、第Ⅵ章 亡命ピアニストの系譜 では一九世紀に生まれて亡くなったショパンが登場、それなら政治と深く関わりを持ち、国家転覆を試みたり国家を操ろうとさえしたワーグナーについても最初に触れるべきだったのでは?
また、1950年代、ソ連支配下の祖国ハンガリーから脱出を計画するも密告されて失敗、後に指揮者となる息子を含む家族ともども投獄された超絶技巧ピアニストのジョルジュ・シフラについて、一言もなかったのが残念。
ショパンを入れるよりシフラを取り上げた方が、二十世紀の音楽家というコンセプトにより合致した書物になったはずなのにね。
音楽は個人の情動を喚起して自己陶酔に導き、引いてはその場に居合わせた集団への帰属意識と一体感を高め、共通する難題解決に向けての士気を鼓舞する働きがあるからだ。
多くの資料収集整理、解析に長け、人とその交流関係及び時代背景から極力客観的に捉えようとする中川右介さんがそのあたりをどう書いているのか、興味を持って手に取った。
個人的関心とはやや逸れていたものの、P347から記載のある100冊近くに上る参考文献(DVDを含み、おそらくライナー・ノート)をこの一冊によくまとめ(『週刊金曜日』連載のものを大幅に加筆修正、第Ⅲ章と第Ⅳ章は書下ろし)、ある箇所では相反する書物を突き合わせ、ところどころに抑制の利いた推測も交えていて、楽しく読めた。
数年前、九州の自治体が運営する複合文化施設が発行する紙媒体の仕事をしたおり、オペラのイメージ調査を行ったら、“長過ぎる”、“退屈”、“裕福な成りあがりが聴く音楽”、“リアリティを感じさせない”、“チャラチャラした衣装を着て歌って踊ってバカみたい”、“完全に終わったジャンル”など否定的なものが多かったが、トスカニーニに焦点を当てた第Ⅱ章 ファシズムと闘った指揮者を、被験者たちが読めばどう思うだろうか。
その思想、生き方たるや、反体制を標榜しながらその実何もしない何処ぞやのロック・スターに、無理矢理読ませたくなるくらい。
トスカニーニの精神は音楽と同様くらい容貌に表われていると思えるが、そう言えば、本書は写真が非常に少なく、もっと増やしてポップな作りにしてもよかったのではないか。
スターリン政権下で常に粛清の危機に晒されながらしぶとく生き延びたショスタコーヴィチと、アメリカばかりではなく世界中で自由を謳歌し捲ったバーンスタインが好対照。
それにしてもバーンスタインは自由だ、時の権威に少しも臆することなく何でも言って憚らない。
熱心な核兵器廃絶主義者なのだが、1985年8月6日の広島コンサートの際、「日本の反核運動は分裂している」とわざわざ正直に批判するか?
そのバーンスタインの件で、P290、リリアン・ヘルマンに言及しているが、老婆心ながら補足すればユダヤ系女流作家であり、ハードボイルド作家ダシール・ハメットの事実上の妻。
同じユダヤ系作家兼左翼活動家ドロシー・パーカーとの友情を綴った小説は、1977年の映画『ジュリア』(フレッド・ジンネマン監督 出演ジェーン・フォンダ、ヴァネッサ・レッドグレイヴ )に結実し、第50回アカデミー賞で三部門獲得、大きな話題になった。
冒頭にあるように、二十世紀の音楽家に絞っているが、第Ⅵ章 亡命ピアニストの系譜 では一九世紀に生まれて亡くなったショパンが登場、それなら政治と深く関わりを持ち、国家転覆を試みたり国家を操ろうとさえしたワーグナーについても最初に触れるべきだったのでは?
また、1950年代、ソ連支配下の祖国ハンガリーから脱出を計画するも密告されて失敗、後に指揮者となる息子を含む家族ともども投獄された超絶技巧ピアニストのジョルジュ・シフラについて、一言もなかったのが残念。
ショパンを入れるよりシフラを取り上げた方が、二十世紀の音楽家というコンセプトにより合致した書物になったはずなのにね。
2018年10月9日に日本でレビュー済み
5年前に一度読み、感銘を受け、その内容の確かさや素晴らしさが忘れられずに再読しました。
ショパンが活躍した19世紀やバレンボイムがイスラエルのオケを率いてワーグナーを演奏したり、バイロイトに出演した21世紀のエピソードを除いて、激動の20世紀に活躍した音楽家とそれを取り巻く国家と政治家の力関係や弾圧、そして抵抗を見事に描き出していました。
伝説の指揮者たちが目の前で音楽を奏でているかのような臨場感が伝わる文章で、指揮者列伝、名演奏家の生きざまなど、ありきたりな音楽書とは違う熱量が文からストレートに伝わってきます。
ヒトラー政権下でのフルトヴェングラーと、戦後も巧妙に生き延びたカラヤンの対比もさることながら、バイロイト音楽祭への出演の意味やワーグナーの音楽の捉え方など、政治権力の闘争の中で、音楽の意味合いを知ることで見方も変化してきます。
トスカニーニの信念の強さは別格でした。ムッソリーニも形無しです。
カザルスのホワイトハウスでの感動的な「鳥の歌」とそこで語られたメッセージは昔から心に残っていました。そこに至る歴史を知ることで、終着ともいえるあの「鳥の歌」の感動的な演奏の意味合いがはっきりしてきます。
戦乱の地の中で、コルトーやミュンシュの生涯も波乱に富んだものでした。自分の出自や出身もまた歴史に翻弄され、多くの庶民と同様、戦争の中で振り回された人生を教えてもらった気がします。スターリンの圧政と大粛清の凄まじさはものも言えません。ショスタコーヴィチもソ連の中で生きることを余儀なくされたからこそ、作品まで執拗に取りざたされました。後に多くの批判を浴びた「森の歌」もまたその揺れ動く作曲家の感情の発露だとういうことです。
ショパン、パデレフスキ、ルービンシュタイン、スメタナ、ターリヒ、バーンスタイン、ケネディ、ニクソンなど、それぞれの人物のエピソードや描かれ方も見事で、読んでいてその考えが伝わる内容だったと思います。
巻末の参考文献の多さ、関係する音楽家のCD一覧、そして 略年表&索引と丁寧な編集内容です。流石にクラシック音楽の雑誌の編集長されてきた中川右介さんの編集者としての能力の高さもまた証明していました。
ショパンが活躍した19世紀やバレンボイムがイスラエルのオケを率いてワーグナーを演奏したり、バイロイトに出演した21世紀のエピソードを除いて、激動の20世紀に活躍した音楽家とそれを取り巻く国家と政治家の力関係や弾圧、そして抵抗を見事に描き出していました。
伝説の指揮者たちが目の前で音楽を奏でているかのような臨場感が伝わる文章で、指揮者列伝、名演奏家の生きざまなど、ありきたりな音楽書とは違う熱量が文からストレートに伝わってきます。
ヒトラー政権下でのフルトヴェングラーと、戦後も巧妙に生き延びたカラヤンの対比もさることながら、バイロイト音楽祭への出演の意味やワーグナーの音楽の捉え方など、政治権力の闘争の中で、音楽の意味合いを知ることで見方も変化してきます。
トスカニーニの信念の強さは別格でした。ムッソリーニも形無しです。
カザルスのホワイトハウスでの感動的な「鳥の歌」とそこで語られたメッセージは昔から心に残っていました。そこに至る歴史を知ることで、終着ともいえるあの「鳥の歌」の感動的な演奏の意味合いがはっきりしてきます。
戦乱の地の中で、コルトーやミュンシュの生涯も波乱に富んだものでした。自分の出自や出身もまた歴史に翻弄され、多くの庶民と同様、戦争の中で振り回された人生を教えてもらった気がします。スターリンの圧政と大粛清の凄まじさはものも言えません。ショスタコーヴィチもソ連の中で生きることを余儀なくされたからこそ、作品まで執拗に取りざたされました。後に多くの批判を浴びた「森の歌」もまたその揺れ動く作曲家の感情の発露だとういうことです。
ショパン、パデレフスキ、ルービンシュタイン、スメタナ、ターリヒ、バーンスタイン、ケネディ、ニクソンなど、それぞれの人物のエピソードや描かれ方も見事で、読んでいてその考えが伝わる内容だったと思います。
巻末の参考文献の多さ、関係する音楽家のCD一覧、そして 略年表&索引と丁寧な編集内容です。流石にクラシック音楽の雑誌の編集長されてきた中川右介さんの編集者としての能力の高さもまた証明していました。
2013年12月15日に日本でレビュー済み
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大変面白かったです。著書の教養の深さと資料で縦横無尽に紡がれ、よみがえる当時の風景。いまの時代にも似た風景がないかと探しながら読みました。