２００８年初版。普通のレシピ本と間違って買った人はさぞかし吃驚される事だろう。だって、ハナから蒸す、焼く（ビーフの塊肉の様にローズマリー付きで）、揚げる、煮る、と総て皮付きのまるごと人参である。
クサカンムリに楽と書いて薬。そう、野菜の中には薬と言った方が良いものがある。玉葱なんかは万人が認める代表選手だろうが、このニンジンも負けてはいない。しかも、葉っぱまで美味しい。このシリーズには、他に葱、生姜、トマト、キャベツ等々が刊行されている。私も好きな高麗人参はセリ目であるが、別種だそうだ。本来、人参とは高麗人参（オタネニンジン）を指した呼び方で、後年西洋の人参が入って来て、その名を奪われた形らしいが、この本は勿論、西洋人参のレシピだ。
石原式で一日一食を目指し、１．５食を実践中の身としては薬効成分の高い野菜を重点的に摂る為には有り難いシリーズ本である。それにしても、人参の持つ甘味のせいか、スープ、惣菜からデザートまで無理なくこなすオールマイティな野菜だ、と認識を新たにした。
人間が食べられる草を発見し、火にくべ、カラダに良いことを発見するまでにどれだけの長い年数が流れた事か、更に人間に使い易く改良（時として？だが）されて来たか、を考えると過度な調味料等による味付けで誤魔化して食べてはいけない、と思うようになった。この何十年間か、これまで如何に野菜本来の味を無視して来たか、味だけでなく薬を頂く、と言う意識の上でもう一度医食同源に戻らなくては、と思い、本書を読んだ。
このニンジン本を徹底して真似たら、今度は自分で他の野菜の本を作る事が可能になりそうだ。否、出来る、と信じる。シリーズには多分無かったサツマ芋で“自分だけの本”を作ってみたい。
2014.04.18.追記： にんじん酢豚が出ていたので早速トライした。単品の野菜、正確には彩りにピーマンが入るが、とても簡単で美味しかった。お店の酢豚はこれに玉葱や時にパイナップルが足されているだけだ。単品野菜で覚えれば、最初から一通りの野菜を揃えるより手間は簡単だから集中出来る。後は野菜の数が増えるだけなので、とても楽だ。
2014.04.22.追記： ニンジンリンゴジュースの滓で出た人参のみと玉葱、大蒜、生姜。プラス豚肉でカレーを作って見た。単品に近い材料でここまで美味しい、とは！にんじん酢豚といい、カレーといい、料理に入れる材料について、もう一度考えてみたくなった。単なる習慣で色々なものを入れて今までは料理していたのか？！
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