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満員電車がなくなる日 鉄道イノベーションが日本を救う 角川SSC新書 (角川SSC新書 29) 新書 – 2008/2/8
神奈川県立川崎図書館・ビジネス支援トーク
「著者が語る・・・満員電車がなくなる日」
他人と体を押し付け合い、へとへとになって満員の通勤電車に揺られる毎日にうんざりしながらも、いつしか諦めてしまっている人は少なくないと思います。
2月に出版された「満員電車がなくなる日」(角川SSC新書)は日常的な大きな問題ともいえる「満員電車」について、様々な角度から検証し、その解決に向けた方策を提案している興味深い本です。
- 本の長さ180ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA(角川マガジンズ)
- 発売日2008/2/8
- ISBN-104827550298
- ISBN-13978-4827550290
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商品の説明
著者からのコメント
出版社からのコメント
抜粋
満員電車をなくすために、これまで多くの先人たちが努力を捧げてきた。その結果、この写真ほどの光景は今ではほとんど見られることはない。だが電車内で数十分間、見知らぬ他人に押付けられる、もしくはそこまで酷くないとしても、立ったまま目的地まで電車に揺られなければならないという状況は、今なお続いている。これだけ豊かになった日本において、そのような状況がいつまでも許されて良いのだろうか。
満員電車をなくすことはできないのか。なくすためには具体的にどうしたら良いのか。本書では、そういった問題を考える材料を提示していく。
本書では、満員電車をなくすためのイノベーションを3つに分けて提案する。運行方法・運賃・制度である。そこでのロジックの展開は以下である。
(1) 創意工夫しながら相応の経費を掛ければ、供給を大幅に増やして満員電車をなくす方策はある。
(2) 運賃抑制の呪縛を開放し商品価値と生産コストに応じた値付けをすれば、その方策を実行する資金を調達できる。
(3) 同時に制度のイノベーションを実行すれば、鉄道のコストは下がり、自動車の利用は適正化され、短期間でより効果的に満員電車を解消できる。
本気で取組めば必ずや実現できると信じ、思いをこの本にしたためた。鉄道屋の端くれとして、本書が満員電車をなくすきっかけとなり、鉄道が社会の発展と人々の豊かさの実現に寄与することを願ってやまない。
満員電車という日常の景色が一変し、相応の割増料金を支払えば確実に着席できるようになる。できてしまえば当り前のことだろうが、今ある現実の満員電車から考えると、夢のようなことだろう。鉄道イノベーションは日本を救う。
第1章 満員電車の現状と歴史
3.満員電車の歴史は運賃抑制の歴史
運賃抑制の呪縛からの解放を
どの時代もおしなべて「運賃を安く」というプレッシャーにさらされ、運賃を高く設定することが社会的に許されなかった。公益性や社会からの注目度が高いものは、いわゆるポピュリズムに陥りやすい。鉄道の運賃を抑制することは大衆の歓迎を受けやすく、その典型だった。おかげで鉄道事業者の収益は限られ、赤字、設備投資の遅れ、要員削減といった問題を恒常的に抱えてきた。
明治の頃、国民の多くが鉄道を利用したいと願い、「鉄道をつくりたい」「鉄道をつくって欲しい」という声が全国各地で聞かれるようになった。社会的ニーズに応えるべく、心ある官僚が、そして後には企業家が計画を立て、設備投資を目論んだ。しかし、取組むたびに資金不足に陥り、その一部しか成功できなかった。
ニーズがあり、それに応える技術がありながら、収益が充分に上がらず、思うような設備投資ができないとは無念だったに違いない。現代社会に残る満員電車も実はそれと同じではないか。
第2章で述べる技術革新・設備投資・投入経費増を実現するには、そのための資金確保が不可欠である。かたや、鉄道の利便性が上がれば、たとえ運賃が今より高くなっても納得する利用者は多いだろう。経費投入による利便向上と対価となる運賃は、合せ鏡のような関係にあるのだ。
第2章 満員電車をなくすための運行方法のイノベーション
5.実現可能な輸送力増強量
満員電車はなくせる
時間を要するとはいえ、これらの新たな取組みにより鉄道の商品価値を確実に向上できるのであり、第3章で述べる「運賃のイノベーション」と同時に実行していけば、充分に実現可能だ。
そう考えると、鉄道事業は、成長モデルを描けない斜陽産業でも衰退産業でもなく、成長産業としか私には思えない。これを読んで胸がワクワクする人は、ぜひとも鉄道の世界に飛込んで欲しい。
第3章 満員電車をなくすための運賃のイノベーション
1.運行方法のイノベーションを実現するために
調達可能な資金額と満員電車をなくせる可能性
明治の鉄道開業と昭和の東海道新幹線という日本の鉄道史上の2大偉業と比較したら、満員電車をなくすことは大偉業とは言えまい。それぞれ下準備期間はあったにしろ、本格的取組みは2年と5年半という極めて短期間で達成されたことを思い返すなら、満員電車をなくすことに50年も掛けていてはいけない。関係者が一致団結して全力投球すれば10年くらいでなくせるはずだ。数百万人もの人々が、満員電車に日々遭遇しているのだ。
本書で提案している新たな信号システム・総2階建て車両・3線運行・地上一次方式の鉄輪式リニアに関わる技術開発は、どの程度の難度だろうか。
設備投資した場合の効果との見合いで低コスト化の取組みは欠かせないが、根本的に実現不可能な要素はないと考えている。その技術が本当に必要で、会社の経営や社会の発展に貢献できるとなると、私も含めて技術屋というのは全力で取組むものだ。そして、短期間で成果を出し多くの人の期待に応えたい。
第4章 満員電車をなくすための制度のイノベーション
2.自動車の適正な費用負担
道路特定財源制度のあり方
正しい事実を承知しないまま、道路特定財源を一般財源化したり、道路以外の交通分野へ使途を広げたら、自動車利用の受益と費用負担の対応関係が曖昧になってしまう。ひいては、地域や国全体における鉄道と自動車のあるべき役割分担を歪めることになるので、私は強く反対する。
第5章 満員電車のなくなる日を目指して
3.鉄道が豊かさを実現
人口減少から増加への転換
最後に少し大袈裟な締めとなるが、1000年後くらいに「日本という国は21世紀初頭がピークだった。それ以降、人口は減り、高齢化が進み、国力が衰退した。」と歴史書に書かれることがないように、鉄道屋がしっかりしなければいけない。自分自身への自戒を込めて。
おわりに
昔から「企業は人なり、事業は人なり」と言われるように、問題解決の根幹は、その分野に対して意欲に溢れた人材がいかに集結し能力を発揮できるかである。すなわち、満員電車をなくす、あるいは鉄道がその能力を発揮し社会に貢献していくためには、今後、意欲と能力に溢れた人材がどれだけ鉄道の分野に集結するかが鍵を握る。
この本が、鉄道や交通の分野に対する関心、もしくは「その世界で活躍したい」という情熱を芽生えさせるきっかけになれば、それに勝る喜びはないし、交通問題を解決することに多少なりとも貢献できたことになろう。
登録情報
- 出版社 : KADOKAWA(角川マガジンズ) (2008/2/8)
- 発売日 : 2008/2/8
- 言語 : 日本語
- 新書 : 180ページ
- ISBN-10 : 4827550298
- ISBN-13 : 978-4827550290
- Amazon 売れ筋ランキング: - 716,642位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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どうして満員電車が完全になくならないのか。潜在的な需要が限りなく潜んでいるからです。
通勤時の電車が快適なら、満員電車を避けて地元の学校に行ったり、地元で就職するような層の人達が「快適な」電車に集中する。時差出勤時差通学していた人たちも、使いやすい時間に集中する。デパートに行くのを月1回にしていた人が週1回にするかもしれない。都心で買い物するのをためらっていた人が気軽に出かけるようになるかもしれない。
かつて、東京-大阪間の交通は「つばめ」「はと」など数本の長距離列車で間に合っていましたが、今は1323人乗りの列車が10分に満たない間隔で出ています。空港も羽田は大拡張し、大阪は2つになりました。
快適な交通機関ができると、需要はそれを追いかけてしまうのです。
それに水を指すためには、時間帯別の運賃などが有効なのでしょうが、それでも「お金より時間」と便利な時間に集中してしまうのは避けられません。
も同様のご意見でしょう)に対し、私の考えをご説明し、読者の皆
さんの疑問にお答えします。満員電車をなくすための建設的な意見
交換を目指して。
「1往復400円の追加負担・・・この主張には非常に違和感」とのご
意見でした。大きな追加負担を求めるのは、着席サービスを望む人
に対してのみです。そして、着席サービスは、「跳ね上げ式座席+
ICカード」により料金収受を含めてセルフサービスとします。
「割安な通勤通学定期・・・値上げを求めるが、利用者のロイヤリ
ティーを失う」とのご意見でした。自転車屋で「この自転車は通学
に使うので8割引きですね」という人はいません。今の通学定期は
それと同じで、その分のしわ寄せが満員電車を生み出す原因の1つ
です。P123〜125に書いた通り、社会的弱者へは少ない費用負担で
のモビリティを提供すべきですが、その費用を鉄道事業者へ押付け
たのでは満員電車はなくせません。税金を投入すべきです。その際
の注意点は本をご覧下さい。
旧国鉄の赤字の原因は「物価上昇に見合った値上げができなかった
から」ではないとのご意見でした。自動車の販売価格の改定に国会
の審議を要し、常に抑制されていたとした場合を想像して下さい。
日本の自動車産業は興隆できたでしょうか。トヨタ自動車が世界に
誇れる優良企業になれたでしょうか。第2、5章に書いた通り、満
員電車をなくすことを象徴に、鉄道の利便性を大幅に向上する方策
はあり、商品価値の向上に応じた値付けが社会に受入れられれば実
現できるのです。
「鉄道事業者寄りな・・・主張には賛成できない」とのご意見でし
た。満員電車をなくすには、鉄道事業者を元気にすることが何より
です。鉄道事業者がサービス改善に向け、知恵を出し、技術開発を
進め、積極的に設備投資し、経費を増投入するようになることを望
んでいる人は多いはずです。
もっとも、以前から提言されている総二階建て車両も実現の可能性は出てきていないし、通学定期の廃止も政治的に受け入れられないだろう。
また、自動車に対する敵視も強い。第5章において、都市部は地上にLRTを敷いて人を運び、物流は地下鉄への移行を提言しているが、
人には足があり、モノには足がないことをお忘れではないか。鉄道においてもそういう前提で整備が進んできている。
都市部からトラックを締め出すと都市生活で欠かせないコンビニやスーパーは成り立たなくなり、ライフスタイルの激変を余儀なくされる。
鉄道の読み物にありがちな鉄道至上主義的なところがあるのが残念なところである。
2階建ては女性がパンツ見られちゃうのが不安って思う人が多いんじゃないかと真っ先に思ったw
この本もそうだけど鉄道の本って全体的に読みにくい本多いな
単に私がバカなだけかもしれませんが
あと標準軌化についてはあまり触れてないですね
せめて新規の鉄道は標準軌が基本だと思います
細部の誤り・疑問の指摘は紙幅を越えるので、全般的な批判に留める。以下に見る技術・運行・運賃の各イノベーション各案のうち一つでも誤りならば、著者の主張は実現できない。
【凡例】
■イノベーション領域
・著者の案
評者の反論
────────────
■技術面
・鉄輪式リニアによる加速度向上
根本的にモジュール形態を変える以上、従来の電車とリニア駆動電車の併用は不可能だ。線路の付け替えではあるまいし、営業下でどのように移行するのか?
・総2階建車両による供給拡大
筆者がいう通り、電車では前例がない。車両重心の上昇は力学的に許容されるのか疑問がある。
■運行面
・3線運行
>相当の用地買収を必要とし、さらに時間とコストを要する
相当どころか莫大な土地収用が必要で、「車両費も含めて1kmあたり100億」というアバウトな計算はとても成り立たない。加えて、小田急線騒音訴訟を見るまでもなく「(線増は)高架か地下かの紛争の答えに長い時間がかかる」(『 鉄道経営の21世紀戦略 』角本,2000)。何十年も前から議論がある3線化という線増構想に、実現例がないのには理由がある。
・ターミナル駅の構造は「貫通型」にする
JR東京駅はまだしも、小田急新宿は?西武池袋は?阪急阪神梅田は?想像すらできない。
■運賃面
・着席/立ち席などの運賃の差別化
「満員電車の歴史は運賃抑制の歴史」という筆者の仮説は、森谷( 私鉄運賃の研究―大都市私鉄の運賃改定 1945‾95年 ,1996)や斎藤( 私鉄産業―日本型鉄道経営の展開 ,1993)を持ち出すまでもなく真新しくはない。
座席の確保は携帯電話でやるのだろう。供給が十分でない限り、毎日、希望する区間・時間帯の座席があるか、オンライン上で通勤客が取り合うことになる。運転変更時は、サーバーにアクセスが殺到するだろう。膨大な取引コストが新規発生する。
「急曲線のカントを可動式に」などの提案(=思いつき)は、鉄道工学130年の経験蓄積に対する冒涜である。鉄道経営を目指して起業された心意気は買うが、実現性のある提案をされたい。
山口修司(鉄道ライター)
>従来の電車とリニア駆動電車の併用は不可能だ。(省略)営業下でどのように移行するのか?
筆者が推薦している地上一次方式では、左右レール間に一次側コイルを敷設するものだから、深夜に工事すれば営業上問題はないでしょう。(深夜に)最終工事を終えた後、新しい車両に替えれば、十分です
>車両重心の上昇は力学的に許容されるのか疑問がある
筆者の提案している二階建て車両は、従来の二階建てバス等と変わらないのでは。
>相当どころか莫大な土地収用が必要で(省略)アバウトな計算はとても成り立たない。加えて、小田急線騒音訴訟を見るまでもなく・・・・・・・
筆者も書いていますが、既に複々線(4線)や三複線(6線)に増強しています。また、既存の複々線(4線)にしようという計画よりも、筆者の提案の方が、安い投資で済みます(騒音の問題も、筆者の提案の方が、軽減できます)。
>座席の確保は携帯電話でやるのだろう。
筆者は、Suicaで行うと書いています。
>供給が十分でない限り、毎日、希望する区間・時間帯の座席があるか、オンライン上で通勤客が取り合うことになる。運転変更時は、サーバーにアクセスが殺到するだろう。膨大な取引コストが新規発生する。
筆者は、椅子に座る客と立ちながら電車に乗る客は、明らかに受けているサービスに違いがあると本書で指摘しています。そこで、椅子を別料金として取るべきだと提案している訳です。椅子が満席であれば、それまでの話です。
渋滞対策の2階建て車両化では、出入りするのに時間がかかって、ダイヤに影響が出てしまわないのか。
ともあれ、私たちが地上に歩ける道と、きれいな空気を取り戻すことには大いに賛成でした。