まず、この評論集の特徴として、圧倒的に読みやすいことがあげられます。では、何故この評論集は読みやすいのでしょうか? いや、それ以前何故評論は読みにくいものと私たちは認識してしまっているのでしょうか? そのこたえのひとつが、本書収録、「「内輪」の言葉を喋る者は誰か?」におさめられています。
つまり、私たちは内輪の言葉をしゃべらざるをえないわけです。小説を書くときには自然に小説の言葉を用い、普通に友人と会話するときは友人と会話するときの言葉を使い、詩には詩の言葉を、そして評論には評論の言葉を使います。高橋源一郎は、いつだって内輪の言葉が内輪の言葉でなくなる瞬間を望んできました。それは小説家がもっとも希求することで、またもっとも難しい言葉なのかもしれません。高橋源一郎は、この評論で批評の言語を使わずに物事を批評するということに挑戦しようとしたのでしょう。
ほかに、ドラクエ3に関する批評も興味深いです。ゲームは物語を求めていては、「ゲーム」足りえない。それはゲームとして、おそらく行き詰まるだろう、と高橋源一郎は言っているように思えます。たしかに、現在NINTENDO DSやWiiなどの非物語的なゲームを扱うマシンが台頭しています。物語的であろうとしたゲームは、いま、明らかに行き詰っているのです……。ファミコン版のドラクエ3の発売時点でそれに言及した高橋、そして現在すでにそれをなぞってしまったゲーム業界に、私は漠然とした虚しさを覚えるのです……。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
文学がこんなにわかっていいかしら 単行本 – 1989/4/1
高橋 源一郎
(著)
- 本の長さ266ページ
- 言語日本語
- 出版社ベネッセコーポレーション
- 発売日1989/4/1
- ISBN-104828822992
- ISBN-13978-4828822990
この著者の人気タイトル
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : ベネッセコーポレーション (1989/4/1)
- 発売日 : 1989/4/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 266ページ
- ISBN-10 : 4828822992
- ISBN-13 : 978-4828822990
- Amazon 売れ筋ランキング: - 187,266位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 202位論文集・講演集・対談集
- - 221位文学理論
- - 3,317位近現代日本のエッセー・随筆
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
1951年、広島県生まれ。81年、『さようなら、ギャングたち』で第4回群像新人長編小説賞優秀作を受賞しデビュー。88年、『優雅で感傷的な日本野球』で第1回三島由紀夫賞、02年、『日本文学盛衰史』で第13回伊藤整文学賞を受賞。著書に『いつかソウル・トレインに乗る日まで』『一億三千万人のための小説教室』『ニッポンの小説―百年の孤独』他多数ある。10年5月には、『「悪」と戦う』も刊行された。
カスタマーレビュー
星5つ中5つ
5つのうち5つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
1グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ