『“骨牌使い(フォーチュン・テラー)”の鏡〈1〉』です。骨牌は「かるた」です。
一言で言えば、『はじまりの骨』と『機械じかけ』と『遥かなる波涛』の良いところを足して3で割ったような感じです。
あとがきでも述べられていますが、作者がファンタジー作品の中で語るべきテーマの方向性は決まっているのでしょうね。それが、前述3作が「習作」のような形でステップアップされ、今作で一つの完成形に至った、といったところでしょうか。
ヒロインのアトリは、作中で読んだ恋愛小説と同じですね。「頭の中身をどこかに落としてきたとしか思えない女主人公」そのものといった感じでした。そのアトリが今後どう成長を遂げるかが本作品の見せ場なのでしょう。
内容は、本格ファンタジーです。世界は壮大で分厚いのですが、この巻は世界設定のために多くの紙幅を費やさなければならなくなるのが難点ですね。著者の作品は前半はゆったりしつつも後半激動になる傾向があるので、次巻以降には期待を持てます。
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