『オーキスの救世主―ザンヤルマの剣士』ザンヤルマの剣士シリーズの中でも白眉の巻です。
出版は1994年です。
新興宗教がマインドコントロールのテクニックを使って、シンパを増やしていく、というのに取り込まれそうになった主人公遼が戦う、というストーリーです。
この本はあくまでもフィクションであり、1995年の某宗教団体事件よりも前に書かれた作品であります。だから、ザンヤルマシリーズに登場する超古代文明の力も上手い具合に絡めて物語が展開します。
だが実際には、マインドコントロールというのは技術、テクニックであり、それに対処する知識が無ければ意志力の強い弱いに関係なく絡め取られてしまうものだという、貴重な示唆を含んでいます。
逆にいえば、感情的にならずに冷静に考えれば、マインドコントロールというのは多分に矛盾を孕んでいるものです。もっと突っ込んで言えば、マインドコントロールというテクニックを使おうとする者はそもそもいかがわしいと断言しても大きく間違えることはないでしょう。
そういった深い問題だけではなく、エンターテインメント小説として、遼の熱く悲しい戦いをドキドキしながら読むことができます。名作です。
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