新作レビューの合間にちょいちょい続けているわかつきひかる女史の人気シリーズ「Ｍｙ」シリーズの掘り起こしレビュー
メインタイトルに「姫」を冠するのはシリーズで三回目、中東のお姫様、京都の公家のお姫様と続いて今回は北欧系のお姫様がヒロイン
物語は北欧の立憲君主国ヴェレンシア王国の姫シャルロット・ロレンジュ・ヴェレンシアが千葉の幕張を走るリムジンの中で老執事を相手に
「自分の保母で日本語教師だったケイコ・サクラギに会いたい」と駄々をこねている場面から始まる。立憲君主国の王族にありがちな自国の
代表的な産業のプロモーションに駆けずり回る生活に疲れたシャルロットはジュースの自動販売機で飲み物を買いにいく振りをして逃走に成功
ジュースと勘違いしたイチゴチューハイで酔っ払ったシャルロットはへたり込んだマンションの入口で住人の少年・桜木博人と出会う
博人は酔った女の子を放っておけないと仕方なく部屋に連れ込むが桂子の不在を知り自棄になったシャルロットは酔った勢いで博人と体を重ね…
「Ｍｙメイド」もヒロインが酔った勢いで主人公と初体験に及ぶという展開だったけど、序盤の展開は非常に似ている。というか設定も含めると
オードリー・ヘップバーンの「ローマの休日」そのままである。あれも公務に嫌気が差した姫君が宿舎を抜け出して町で寝ている所を拾われる
展開だったし…物語自体は姫君を連れ戻そうとする執事やＳＰ、公安の追跡から逃れながらシャルロットと博人が体を重ね続け性の喜びに浸り
愛情を深めていくというＭｙシリーズの王道とも言うべき展開
さて、このお姫様だけど実は妾腹の弟がいるという背景を抱えている。自分よりも遥かに優秀でありながら国民の見守るテラスに立つ事も
許されず、それどころかシャルロットの母親で病弱な王妃の負担にするまいと存在自体がほとんどシークレットという鉄仮面の様な境遇の
弟に跡を継がせたいシャルロットはわざと我侭を言ってバカな姫君という印象を周りに与えていたという事実が明かされる
ただ、基本的に描写される部分が御付のメイドたちの性にあけすけな会話を散々耳にして耳年増になったお姫様が奔放な性を楽しむという
部分に偏りすぎている。たぶん性への積極さはシリーズ随一かと（実際に北欧は性に開放的ではあるんだが）。なので「実は頭が良い」という
印象はあまり受けなかった。最後の最後で自分を毛嫌いしていたＳＰと自分の影武者を務めていたメイドが幸福になれる道を示す部分が
それだと言えるのかも知れないが、いささか強引に過ぎた感は否めないかと。抱えている事情を描くことに尺を割きすぎてヒロイン自身の
キャラの掘り下げが甘かったのではないだろうか？
主人公とヒロインの限られた時間での愛の日々を描くという部分は確かに「Ｍｙ」シリーズの常道を行く作品だったのだけど、できればもう少し
ヒロインの「実は頭が良い部分」を読者に伝わるように描いてほしかった
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
この著者の人気タイトル
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
