本書を一言で表現するなら「返還を目前にしたマカオの表情」です。現在のマカオの様子とは大分異なることには留意しておくことが必要だと思います。
写真集としては絵葉書にもでてきそうな写真、そして日常の人々の営みを主に撮影しています。
純粋に写真集としてみるのであればとても優れた物です。
最後のページに利用した撮影機材、フィルムなども記されていて参考になることでしょう。
この写真集、特に人々の撮影方法がとても良く、その写真からメッセージや雰囲気が伝わりそうな物ばかりです。まさに永田幸子氏の重ねてきた年輪を感じさせるものです。
また本書の最後の部分に各写真の詳細な説明があります。
撮影者の意図も記してあるのは親切な設計になっていると感じたものです。
監修者やを含めた二人（竹内敏信氏、村松友視氏）のよせがきも旅行記のような趣があり読んでいて興味をそそられます。
しかしながら、残念なことが一つあります。マカオはマカオ島、タイパ島、コロアネ島で構成されています。
にもかかわらず、自然美多きコロアネ島の撮影が一枚もない点です。
確かに交通の便は良くないのですが、だからこそ写真を撮って欲しかったです。風光明媚なところであります。
最後に、出版日が「1999年12月20日」とあります。この日にマカオは中国に返還されました。出版日に強いこだわりを感じたものです。
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