宗教への理論的なアプローチとしては、好著だと思う。
元来、宗教的な価値は言語化することはできない。
一方で、人間の言語世界と乖離したのでは、宗教が有効性を持ち得ないのも事実である。
言語化できないものを言語化する。著者は、哲学や詩、そして名号をその架け橋として論じていく。
個人的には、儀礼への志向がもう少しあればとも思う。
しかし、概論としては本当に好著。
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宗教の授業 単行本 – 2005/9/10
大峯 顯
(著)
- 本の長さ230ページ
- 言語日本語
- 出版社法蔵館
- 発売日2005/9/10
- ISBN-104831838276
- ISBN-13978-4831838278
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商品の説明
著者について
1929年奈良県に生まれる。1959年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。71~72年文部省在外研究員としてハイデルベルク大学留学。76年文学博士。現在、大阪大学名誉教授。専攻、宗教哲学。著書に『フィヒテ研究』(創文社)、『花月の思想』(晃洋書房)『今日の宗教の可能性』(本願寺出版社)、『親鸞のコスモロジー』(法蔵館)、『西田哲学を学ぶ人のために』(編著、世界思想社)など。 (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 法蔵館 (2005/9/10)
- 発売日 : 2005/9/10
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 230ページ
- ISBN-10 : 4831838276
- ISBN-13 : 978-4831838278
- Amazon 売れ筋ランキング: - 728,184位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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2016年9月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者は知る人ぞ知る人物なのですが、著作が出回ってない。お説の理解の為、繰り返しの読書が必要であったので、図書館では対応できない。
購入する事として、アマゾンで検索するといとも簡単に入手できた。
日々手元に置いて反復読書する事で、一段とお説を深く理解出来てきている。硬派な本とは思うが、取り組み甲斐がある。
購入する事として、アマゾンで検索するといとも簡単に入手できた。
日々手元に置いて反復読書する事で、一段とお説を深く理解出来てきている。硬派な本とは思うが、取り組み甲斐がある。
2007年1月29日に日本でレビュー済み
かつて某所で著者の講演を聞いたことがあるが、素人の耳にも届くような言葉で深い内容を語るその話に、たいへん感銘を受けた。学者の中には時としてこうした話芸をもっている人がいて、文章以上に口下手な評者としては羨ましい限りである。
本書はもともと放送大学のテキストを底本としているとのことだが、要は上記のような達人による宗教入門講義を一冊にまとめたものである。内容的にはかなり深いところまで掘り下げられているが、著者の講義をそのまま聞いているような文章は心地よく、読み進めるのも苦にならない。
「今なぜ宗教か」「現代において宗教はどんな役割を果たしうるのか」など「宗教と今」という問題に関心を持っている方にはお勧めである。
(逆に、宗教史や特定宗教の教学に関心がある人は、他書を当たったほうがよいかも知れない。)
本書はもともと放送大学のテキストを底本としているとのことだが、要は上記のような達人による宗教入門講義を一冊にまとめたものである。内容的にはかなり深いところまで掘り下げられているが、著者の講義をそのまま聞いているような文章は心地よく、読み進めるのも苦にならない。
「今なぜ宗教か」「現代において宗教はどんな役割を果たしうるのか」など「宗教と今」という問題に関心を持っている方にはお勧めである。
(逆に、宗教史や特定宗教の教学に関心がある人は、他書を当たったほうがよいかも知れない。)
2022年5月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
久しぶりに大峯師の本を読む。
自分の感想だと大乗仏教をベースにというより西洋哲学と仏教の共通項のような中間地点から見ている感じがした。
浄土教について書かれているところもあるが、分量的に大分すくない。むしろ大峯師が大峯あきらとして活躍されていた俳句を中心に日本人の自然観を詩的表現から考察されるところは厚い。親鸞聖人はやっぱり和讃は作られているけど和歌じゃないよな。
個人的には「聖と俗」のところが面白いと思った。ここも仏教としては菩薩について触れていたのが短すぎてもっと読みたいと思ったが、西欧についての神話から一神教、道徳と聖なるものなど、時代時代においての考え方の違いが興味深かった。すべての宗教や一般的宗教感に通じる話だ。
もう一つは「宗教と科学」。ここも大峯師がご専門じゃないところかもしれないが、科学によって宗教の世界観が変えられ、どう折り合いをつけていったか(折り合ってないかもしれないけど)というのは視点になるほどなと思った。宗教は世界観が大事なんだ。たしかに。その世界観を受け入れられてその世界観の中の言語(同じ仲間で通じ合うという意味)で語らうというのが前提なんだな。
自分は真宗の教えを聞いていて、この世界観にどっぷり浸かりたくないなと思うことがある。それが一番視野を狭めている気がするから。自分が広い世界に開かれていきたいと思うのと逆の方向に行ってしまうことがある。世界観って、あったらやっぱり境界ができるよな。と、最近思うのであった。
この本自体は宗教、宗教哲学全般に興味がある方にお薦め。さらにいいのが参考文献と索引。ハッと思ったら索引で探せる。これはいい。
自分の感想だと大乗仏教をベースにというより西洋哲学と仏教の共通項のような中間地点から見ている感じがした。
浄土教について書かれているところもあるが、分量的に大分すくない。むしろ大峯師が大峯あきらとして活躍されていた俳句を中心に日本人の自然観を詩的表現から考察されるところは厚い。親鸞聖人はやっぱり和讃は作られているけど和歌じゃないよな。
個人的には「聖と俗」のところが面白いと思った。ここも仏教としては菩薩について触れていたのが短すぎてもっと読みたいと思ったが、西欧についての神話から一神教、道徳と聖なるものなど、時代時代においての考え方の違いが興味深かった。すべての宗教や一般的宗教感に通じる話だ。
もう一つは「宗教と科学」。ここも大峯師がご専門じゃないところかもしれないが、科学によって宗教の世界観が変えられ、どう折り合いをつけていったか(折り合ってないかもしれないけど)というのは視点になるほどなと思った。宗教は世界観が大事なんだ。たしかに。その世界観を受け入れられてその世界観の中の言語(同じ仲間で通じ合うという意味)で語らうというのが前提なんだな。
自分は真宗の教えを聞いていて、この世界観にどっぷり浸かりたくないなと思うことがある。それが一番視野を狭めている気がするから。自分が広い世界に開かれていきたいと思うのと逆の方向に行ってしまうことがある。世界観って、あったらやっぱり境界ができるよな。と、最近思うのであった。
この本自体は宗教、宗教哲学全般に興味がある方にお薦め。さらにいいのが参考文献と索引。ハッと思ったら索引で探せる。これはいい。