ミニチュアを作っている者として、こういった安価で良質なテキストが世に出てくることは、大変な幸福だと思う。願わくば、ミニチュア未経験者の方に、本書を手にとってもらい、ぜひミニチュアの世界へと足を運んで欲しい。きっと、この本が道しるべになる。当然、ミニチュア作りが、行き詰まることもあるだろう。しかし、心配は要らない。この本は、解説も細かく、さらに、『手作り110番』という作り方への質問が可能な電話サポート付きだ。
共著だった前作の『粘土で作るミニチュアフードのレストラン』と比較すると、今作は、より入門者に寄り添った作りになっている。例えば、今作では、使う絵の具の色数が絞ってあるようだ。こういった細かい配慮が至るところで散りばめられている。
また、ミニチュアフード作りにおいて、誰もが直面する第一の大きな壁は、おそらく食器作りだろう。本書では、粘土・プラスチック板・塩化ビニール板などの素材を使った、様々な食器類の製作方法が、カラー写真で、詳しく解説されている。
そして、ミニチュア自体、以下のように惜しみなく、カラー写真での解説がある。
・ミートソースのパスタ【カラー解説写真 28枚 ＋ 補足5枚】
・フライ盛り合わせ【カラー解説写真 57枚】
・バゲット【カラー解説写真 19枚 ＋ 補足3枚】
・しょうゆラーメン【カラー解説写真 45枚】
・天丼【カラー解説写真 45枚】
・にぎり寿司【カラー解説写真 45枚】
・ハンバーガー【カラー解説写真 45枚】
・ワッフル【カラー解説写真 27枚 ＋ 補足4枚】
・フルーツタルト【カラー解説写真 57枚】
上記のカラー写真以外の白黒ページでの解説（全67種！）は、不満な方もいるようだが、この分量を全部カラー解説と同等にと要求するのは、あまりに過剰だ。カラー解説の9種を作ることができるようになれば、きっと、これらのミニチュア製作も可能だろう。そして、この白黒ページこそ、情報の宝庫であり、ミニチュア上達の秘訣が詰まっている。
本書は、大手メーカーの協賛もあり、その影響で、作者は、通常時に使う資材・道具とは、使い勝手が違うものがあっただろうと想像できる。しかし、そのリクエストに応えて、クォリティを落とすことなく、数々の作品を仕上げるというのは、まさに真のプロフェッショナルの技量だろう。
こういった作家の苦心のおかげで、税抜き価格で1000円以下という低価格、作り方の質問ができる電話サポートなどの恩恵を我々は受けることができるのであろう。出版社の英断・尽力にも拍手を贈りたい。
ミニチュアフード、ミニチュアスイーツを問わず、初心者が入門書として、本当に買うべき本は、間違いなくこの本である。（ただし、空腹時に、この本を見てはいけない・・・。）
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