まったく異色のロシア本の登場である。おどろおどろしいKGB陰謀説でも、じめじめしたロシア国内の権力闘争史でも、退屈な日露北方領土交渉史でもない。本書はプーチン・ロシアの国家戦略の全体像を、その地政戦略を精緻に分析することによって見事に描いた力作である。
対テロを軸にアメリカとの戦略的関係を構築し、エネルギーを軸にドイツと戦略的関係を構築する、という二つの柱に沿って、大国ロシア復活のための確かな国家戦略を推し進めていったプーチン。しかし米国のネオコン派は、「NATOの東方拡大」と「イラク戦争と中東民主化推進」という二つの柱からなる地政戦略を持ってプーチン・ロシアの前に立ちはだかり、「米ユーラシア地政戦略の方向性をめぐって、ロシアとネオコン派の地政戦略が真正面から対峙していた」という分析は、他書では決して知る事のできない本書オリジナルの「インテリジェンス」と言えよう。
本書で展開される「一定の仮説に基づいて公開情報を丹念に分析し、膨大な情報の洪水の中から高度なインテリジェンスを導き出す」手法は、国際情勢を研究するすべての学生にとって格好のテキストとなろう。是非一読して欲しい一冊である。
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「今のロシア」がわかる本 (知的生きかた文庫 あ 30-1) 文庫 – 2008/3/19
畔蒜 泰助
(著)
- 本の長さ237ページ
- 言語日本語
- 出版社三笠書房
- 発売日2008/3/19
- ISBN-104837976689
- ISBN-13978-4837976684
登録情報
- 出版社 : 三笠書房 (2008/3/19)
- 発売日 : 2008/3/19
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 237ページ
- ISBN-10 : 4837976689
- ISBN-13 : 978-4837976684
- Amazon 売れ筋ランキング: - 585,685位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 894位知的生きかた文庫
- - 38,030位投資・金融・会社経営 (本)
- - 98,400位ノンフィクション (本)
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2022年3月13日に日本でレビュー済み
2008年出版の本で、その時点までのロシアのこと、特に地政戦略的な側面を中心に書かれている本でした。
枯れた技術を重視し、使えるものはできるだけ長く使うところと、最新技術を追い求め、費用対効果の高い手段を選択していくところは、2022年になっても変わらないのかなと思いました。
枯れた技術を重視し、使えるものはできるだけ長く使うところと、最新技術を追い求め、費用対効果の高い手段を選択していくところは、2022年になっても変わらないのかなと思いました。
2008年9月29日に日本でレビュー済み
1991年のソ連崩壊から17年余り、エネルギー輸出国として奇跡の復活を遂げたロシア。8年ぶりに、プーチン政権からメドベージェフ新政権に交代し、今後の動向がますます注目されます。
本書は、そんなロシアを特集し、2期8年にわたったプーチン政権の歩みを振り返りながら、「今のロシア」そして「近未来のロシア」を予測する一冊です。
アメリカに関する本は数多く出版されていますが、ロシアに関する本はそう多くはないと思います。また、新聞等ではパズルのピースの様に断片的な情報しか入手できないロシア情勢を、ピースを組み立てて提供してくれている本書は、今後のロシア戦略を知る上で一読の価値があると思います。
本書は、そんなロシアを特集し、2期8年にわたったプーチン政権の歩みを振り返りながら、「今のロシア」そして「近未来のロシア」を予測する一冊です。
アメリカに関する本は数多く出版されていますが、ロシアに関する本はそう多くはないと思います。また、新聞等ではパズルのピースの様に断片的な情報しか入手できないロシア情勢を、ピースを組み立てて提供してくれている本書は、今後のロシア戦略を知る上で一読の価値があると思います。
2008年4月6日に日本でレビュー済み
佐藤優の鮮烈なデビューで、われわれはインテリジェンスの世界の存在とその面白さを知った。インテリジェンスに携わる人々の資質や人間性、それらが織りなす国益のぶつかり合いを佐藤優の数々の労作が教えてくれている。本書は、こうした情報・諜報の個別、具体的な積み重ねが、実際の国際政治の中でどうダイナミックに応用され、巨大な構想として結実していくかをまさに目から鱗が落ちるように、クリアーに提示してくれる。特にまったく表面化したことはないが、米露とネオコンが、中東・東ヨーロッパのリンケージ戦略という隠されたルールにより戦っていること、そして最後に辿り着く英ロンドンの深い闇の問題など、「今のロシア」を通して「今の世界」がわかる興味の尽きない一書である。著者畔蒜泰助氏は、従来の旧米ソ冷戦思考に呪縛されていたわが国のロシア研究界には異質の、プーチン時代の新ロシアを十分に理解する気鋭の論者であり、佐藤優・インテリジェンスファンには必読の魅力あり!
2008年4月10日に日本でレビュー済み
投資先としてのロシア情報の読み物としては今ひとつかと。鉄道や原子力開発を通した日本との関係強化というのは、既に一般的なものだし。ただ、ロシアに関する書籍はまだまだ稀少で、値段もお値打ち。欧州や中東とロシアの関係も知るには有効と思います。