羽生は、雁行モデルのように棋界・羽生世代を引っ張ってきた。それは、森内名人も認めているがそれに続く新しい世代は未だ、現れていない。
この本は、項目ごとに４頁にまとめられたエッセー風のものであるが、その強さの基となるバックグラウンドを語っている。
２０１３年度出だしからの１０戦は４勝６敗と惨憺たるものであった。
しかし、大方の見方は最後は勝率７割を超えるだろうというものであった。
そして、１０月３１日現在２５勝１１敗の勝率６割９分４厘という驚異的復調である。
渡辺竜王や森内名人他の棋士と一線を画しているのは好不調の周期が極めて短いということがある。
そして、将来を期待されている若手棋士との対戦が初めは分が悪いが、後には必ず勝ち越すことになるということがある。
大きな負け越しからタイになっている渡辺竜王が好例であり、広瀬七段とは三連敗の後圧勝している。豊島七段についても一勝二敗であるが時間の問題であろう。
深浦九段との対戦成績は２００８年８月までは１４勝１５敗であったが１０月３１日現在、３２勝２２敗と大差がついている。
そして、現在迄の勝率は１２５４勝４８０敗、只一人の７割台の７割２分３厘と他に並ぶ者はいない。
そして、本年不調から脱した後、これ迄とは何か違う思い切りの良い踏み込みが見られるようになった。
以下。
０９月０９日 第７２期順位戦（対三浦） 驚きの飛車捨てで一挙に詰までいった。
０９月１８日 王座戦第二局（対中村） 意表を突く角成り捨てで入玉を阻止した。
１０月０８日 王座戦第四局（対中村） 打ち歩筋逃れでの勝利。
１０月１１日 第７２期順位戦（対渡辺） 思いもよらない飛車捨て、桂跳ねで勝利。
１０月２１日 王座戦第五局（対中村） 角切り、金捨て・銀捨て、桂打ち、飛車捨てによる華麗な詰め。投了図の美しさと余韻。
現在、好敵手森内名人が渡辺竜王に挑戦し２連勝している。名人は、第７１期名人戦で苦手羽生に完勝したように、いつまでも竜王に負け続けることはあるまい。
４０歳を超えた羽生世代恐るべしである。
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