第一回「幽」怪談文学賞、長編部門優秀賞受賞作だそうです。私も「泉鏡花」の名を何かで見たので読んでみたのですが・・・正直、どこが泉鏡花なんだ?と思ってしまいました。意味のわからないドタバタということなら、確かに「草迷宮」(原作ではなく、どちらかといえば寺山修司作品の映画に近い)に似ていなくもありませんが・・・。
デリヘルのチラシ配りをしているワタルは、そこのデリヘル嬢でアングラ劇の女優をしているカッちゃんに惚れています。事務所が警察の手入れを受けたところを見て2人で逃走、カッちゃんと同棲になだれこむことに。彼はある日、谷中の店先で老婆に出会い、天王寺であった心中のために塔が燃え落ちてしまった話を聞かされます。そしてたまたま知り合った謎の美女、彩香。それから小さな居酒屋でのぞきが趣味という千さんと出会い、のぞきを教えてもらうことになるのですが、墓地にある壁の隙間からのぞくと、なぜか新宿で上演しているはずのカッちゃん主演のストリップ劇がそこにまざまざと見えているのでした。興行主やスポンサー、観客たちとのわけのわからないトラブルの末にカッちゃんは劇場から逃走、廃屋になっているビルの屋上に。そこから飛び降りると同時にビルも倒壊して・・・。一方彩香は、千さんと出会った居酒屋のおやじで腐ったウニを食べても養分にしてしまう男の養女だということがわかって・・・みたいな話です。
登場人物がなんでそんなことをしているのか、何がしたいのか、壁から見えるはずのないものが見えるのはなぜなのか、作者がなんでこういうことを書いているのか、すべて意味も意図もわかりません。最後の締めでは、心中したのは結局、江戸時代の火事で有名なあのお七だったとか?
最後に選考委員の選評が載っていますが、まともにこの作品に言及しているのは東雅夫氏だけです。”泉鏡花作品の骨法を、現代的な器の中に活かすという壮図に挑み”とあるのですが、う~ん・・・という感じです。意味がわからないという意味では幻想小説に入るのでしょうか。忍耐で最後まで読みましたが、こんな感想でした。酷評ですみません。
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七面坂心中 (幽BOOKS) 単行本 – 2007/5/16
水沫 流人
(著)
第1回『幽』怪談文学賞 長編部門優秀賞受賞作。
新宿の風俗店でチラシ配りのアルバイトをしている済(わたる)は、谷中の墓地で和服姿の美しい女性に出会う。
幽霊と思って逃げだした済だが、その美しさが頭から離れない。
かつてその場所では心中事件があり、五重塔が焼失したのだという。
ある日、千駄木の居酒屋で出会った男から、“のぞき”の技を伝授され―。
新宿の風俗店でチラシ配りのアルバイトをしている済(わたる)は、谷中の墓地で和服姿の美しい女性に出会う。
幽霊と思って逃げだした済だが、その美しさが頭から離れない。
かつてその場所では心中事件があり、五重塔が焼失したのだという。
ある日、千駄木の居酒屋で出会った男から、“のぞき”の技を伝授され―。
- 本の長さ215ページ
- 言語日本語
- 出版社メディアファクトリー
- 発売日2007/5/16
- ISBN-10484011854X
- ISBN-13978-4840118545
商品の説明
著者について
1957年、広島県生まれ。
小学生の頃にブラジルへ移り住む。
帰国後の大学時代に泉鏡花の著作に出会い、以来魅力につかれる。2007年「七面坂心中」で第1回『幽』怪談文学賞長編部門の優秀賞を受賞する。
小学生の頃にブラジルへ移り住む。
帰国後の大学時代に泉鏡花の著作に出会い、以来魅力につかれる。2007年「七面坂心中」で第1回『幽』怪談文学賞長編部門の優秀賞を受賞する。
登録情報
- 出版社 : メディアファクトリー (2007/5/16)
- 発売日 : 2007/5/16
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 215ページ
- ISBN-10 : 484011854X
- ISBN-13 : 978-4840118545
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,807,718位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 438,015位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年5月26日に日本でレビュー済み
帯の「泉 鏡花」の文字と抜粋された本文に飛びつき購入しました。
文法正しく、情景描写等も丁寧に書き込まれてます。筋も破綻無し。
その巧さを否定はしません。ですが正直に言って・・・面白くない。
論理の破綻をも薙ぎ払い、異世界を突きつけてくれる鏡花の腕力には
まだ及ばないようです。人間世界の路地裏にて目を眇め、本人が漸く妖の世界を
覗きこもうとしている程度。そんな印象です。
この作者さんが書いた短編なら、一度読んでみたい。
文法正しく、情景描写等も丁寧に書き込まれてます。筋も破綻無し。
その巧さを否定はしません。ですが正直に言って・・・面白くない。
論理の破綻をも薙ぎ払い、異世界を突きつけてくれる鏡花の腕力には
まだ及ばないようです。人間世界の路地裏にて目を眇め、本人が漸く妖の世界を
覗きこもうとしている程度。そんな印象です。
この作者さんが書いた短編なら、一度読んでみたい。
2009年7月23日に日本でレビュー済み
なんでもスピード化の現代。
いったいこの怪談話についてこれる読者がどれだけいるだろうか?
そう考えると厳しいものがある。
それに今の子供はうらめしや〜とやっても理解できないのだそうだ。
その点でこの本は大人の読者向けなのだろう。
いったいこの怪談話についてこれる読者がどれだけいるだろうか?
そう考えると厳しいものがある。
それに今の子供はうらめしや〜とやっても理解できないのだそうだ。
その点でこの本は大人の読者向けなのだろう。
2007年6月5日に日本でレビュー済み
一読して、「うまい!」。とにかく、この一言に尽きます。特に文体が素晴らしい。巻末付録の賞講評で東雅夫さんが指摘している通り、泉鏡花のエッセンスを潮解し、それを我がものとして吸収しつくした文章の、その腕力たるや。これは一朝一夕につくものではありません。これまで積み上げてきた読書体験や習作を重ねたからこそ、成し得ることでしょう。現在の「若い感性」重視の風潮では、到底お目にかかれるものではありません。
一方、ストーリーはというと、これもまたユニークな世界を作っている。乱歩の世界を鏡花が歩く様を現在の若者が体現している、そんな感じでしょうか。後半、カタストロフィへと向う部分、ちょっと書き急いだ感はいなめませんか、全体を損なうものではありません。きちんとした小説を読んだ、そんな気分にさせてくれる作品です。
森見登美彦さんや恒川光太郎さんが好きな方は、面白く読めるんじゃないでしょうか。
一方、ストーリーはというと、これもまたユニークな世界を作っている。乱歩の世界を鏡花が歩く様を現在の若者が体現している、そんな感じでしょうか。後半、カタストロフィへと向う部分、ちょっと書き急いだ感はいなめませんか、全体を損なうものではありません。きちんとした小説を読んだ、そんな気分にさせてくれる作品です。
森見登美彦さんや恒川光太郎さんが好きな方は、面白く読めるんじゃないでしょうか。
2010年11月23日に日本でレビュー済み
デビュー作であるこの本もそうですが、2冊目の「マリオのUFO(リオ・ブランコ)」と、水沫さんの作品にはどこかノスタルジックな空気が流れていて、その掴みどころのない独特な世界に迷い込み漂っていると何だか癒されるような気がします。
「『水沫ワールド』へようこそ…。どうぞ不思議なひと時を楽しんでいって下さい。」という感じです。
早く次の3冊目が読みたいです。
「『水沫ワールド』へようこそ…。どうぞ不思議なひと時を楽しんでいって下さい。」という感じです。
早く次の3冊目が読みたいです。