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福岡ハカセの本棚 (メディアファクトリー新書) 新書 – 2012/12/28
福岡伸一
(著)
「生命とは何か」を美しい言葉で伝え続ける生物学者・福岡伸一。自然科学はもちろん、文芸、建築、美術、絵本など、あらゆるジャンルの本を精読してきた結果に現在の福岡ハカセがある。そんなハカセの愛読書を展示して大人気を博した書店フェア「動的書房」から、本書では特にお勧めの100冊を厳選、紹介する。科学的に考える力、森羅万象を見る目など、読書で得られる知的満足が格段に上がるブックガイド。
- 本の長さ228ページ
- 言語日本語
- 出版社メディアファクトリー
- 発売日2012/12/28
- ISBN-104840149275
- ISBN-13978-4840149273
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商品の説明
著者について
生物学者。1959年、東京都生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学研究員、京都大学助教授などを経て、青山学院大学教授。2007年に発表した『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)は、サントリー学芸賞および中央公論新書大賞を受賞し、ベストセラーとなる。『動的平衡』『フェルメール 光の王国』(木楽舎)、『せいめいのはなし』(新潮社)、『ルリボシカミキリの青』『生命と記憶のパラドクス』(文藝春秋)など著書多数。幼い頃から幅広い読書を続けてきた「本の虫」でもある。
登録情報
- 出版社 : メディアファクトリー (2012/12/28)
- 発売日 : 2012/12/28
- 言語 : 日本語
- 新書 : 228ページ
- ISBN-10 : 4840149275
- ISBN-13 : 978-4840149273
- Amazon 売れ筋ランキング: - 202,210位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 505位角川新書
- カスタマーレビュー:
著者について
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ふくおかしんいち
1959年東京生まれ。京都大学卒。
米国ハーバード大学研究員、京都大学助教授などを経て、現在、青山学院大学総合文化政策学部教授。分子生物学専攻。専門分野で論文を発表するかたわら、一般向け著作・翻訳も手がける。
2007年に発表した『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)は、サントリー学芸賞、および中央公論新書大賞を受賞し、67万部を超えるベストセラーとなる。他に『プリオン説はほんとうか?』(講談社ブルーバックス、講談社出版文化賞)、『ロハスの思考』(ソトコト新書)、『生命と食』(岩波ブックレット)、『できそこないの男たち』(光文社新書)、『動的平衡』(木楽舎)、『世界は分けてもわからない』(講談社現代新書)、週刊文春の連載をまとめたエッセイ集『ルリボシカミキリの青』(文藝春秋)など、著書多数。
最新刊は対談集『エッジエフェクト−界面作用−』(朝日新聞出版)。
現在、ヒトがつくりかえた生命の不思議に迫る番組、NHK—BS「いのちドラマチック」に、レギュラーコメンテーターとして出演中。また、生物多様性の大切さを伝えるための環境省の広報組織「地球いきもの応援団」のメンバーもつとめる。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年6月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
巻き貝とあわびについてその貝殻の成長に関する説明が理解できない。
2013年7月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
高校背の孫にプレゼントしました。この本が孫の本の水先案内人になってくれたらと期待をしていますが?どうなることか
2015年3月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
才気あふれる福岡氏のこと、内容的にはいいものがあるのですが、
自分を「ハカセ」と呼び、その表現が多用されていて鼻につきます。
なんか、子供っぽい甘えを感じてしまい、内容に入りづらいです。
自分を「ハカセ」と呼び、その表現が多用されていて鼻につきます。
なんか、子供っぽい甘えを感じてしまい、内容に入りづらいです。
2013年1月29日に日本でレビュー済み
「生物と無生物のあいだ」で一躍有名になった福岡伸一(青山学院大教授)が愛読している本をめぐるブックガイド・エッセイという感じ。文芸、建築、美術など福岡教授の見識の広さがよく分かる本です。こんな本があるのか!という新鮮な発見があります。本書を参考にして、読書をより楽しんでいきたいですね!福岡教授が本好きになった経緯も垣間見えます。本書を読んで、私も教授の表現で言う「マップラバー」(Map lover)だなと気が付いた。
あと細かくて申し訳ないが、「ベートーベンやメンデルスゾーンのロマン派よりも、バッハなどが好き」のような表現をされているところがあるが、ベートーベンは古典派である(たしかにロマン派への先鞭をつけてはいるが、音楽学的には古典派に分類される)。次の版では訂正必要だろう。それにしてもバッハのような理性的・数学的な曲が好きとは、さすが理系の教授という感じ。
あと細かくて申し訳ないが、「ベートーベンやメンデルスゾーンのロマン派よりも、バッハなどが好き」のような表現をされているところがあるが、ベートーベンは古典派である(たしかにロマン派への先鞭をつけてはいるが、音楽学的には古典派に分類される)。次の版では訂正必要だろう。それにしてもバッハのような理性的・数学的な曲が好きとは、さすが理系の教授という感じ。
2013年3月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
わかりやすく、科学的なことがすきな私には読書の指針になりました。
2014年1月27日に日本でレビュー済み
書店で様々な著作が山積みされる人気の福岡先生.今まで一冊も読んだことがありませんでしたが,とても読みやすく一気に読破.とても幅広いジャンルを闊歩される読書家であることを知りました.読んだことのある本,本屋で見かけて気になった本,積ん読状態の本,この本を読んで読んでみたくなった本などなど,様々な本に出会うことが出来ました.こういった人が使っている本棚とか本の整理術も是非知りたいです.次はそういう本を是非.
2014年7月28日に日本でレビュー済み
飛行機に搭乗前、機内で読もうと購入した『フェルメール 光の王国』。読む進めるうちに必然と「ニューヨークの振動」に出会う。それを読み、あまりにも美しい芸術的文体にため息が漏れる。人文科学、自然科学ともに精通した知性と感性を兼ね備えた福岡氏のみが紡ぎ出せるのであろう、いままで出会ったことのない文体に突然触れ、心から福岡氏の感性に魅了されてしまった。それまでなんとなくではあるが著者の読書歴に興味があり、ジュンク堂で開催された著者の愛読書を展示した書店フェアに何度も通ったのだが、「ニューヨークの振動」を読んだことにより、あらためて著者が人生を通じて影響を受けた本を知りたくなってしまった。
この本が書店に並べられた時は有無を言わず購入した。天才・福岡ハカセは、人生を通じてどのようなジャンルの本を読んできたのだろうか。思わず1ページ1ページ熟読してしまう。
まずハカセは自らの少年時代を語る。
[私はどちらかというと内向的な、あまり友達のいない少年でした。唯一の友達と呼べるのは家のまわりの野山で出会う昆虫たちで、そのため、たちまちにして熱心な昆虫少年となったのです。私の生物学者としての原点はすべてそこにあります。遊び場は屋内にもう一つありました。いつも学校帰りに立ち寄る公立の図書館です。整然と並ぶ棚の間を歩き回ったり、書庫を探検したりしてお目当ての本を探す時間は、内気な少年が好奇心を育むのに充分な密度をもっていました。]
その図書館でハカセは、たまたま昭和33年に出版された『原色図鑑 世界の蝶』という本に出会う。その図鑑の中には、驚くべきことに原寸大フルカラーで世界中の蝶が網羅されていた。ハカセの目は、最初のページに掲げられた美しいエメラルド色の蝶に釘づけになる。アレクサンドラトリバネアゲハ。世界最大の蝶。発見者はウォルター・ロスチャイルド。この美しい蝶との出会いは、ハカセにとってかけがえのない宝物となる。このようにしてハカセと本とのかかわりは始まる。ハカセにとって図鑑のページをめくることは一種の探検であり、まだ見ぬ世界を言葉によって確認していく作業でもあった。
ハカセの読書歴には偏りがなく、絵本、児童文学、文芸、建築、美術、自然科学と様々なジャンルの本を精読してきた歴史が伺える。絵本である、加古里子『かわ』からはじまり、『十五少年漂流記』、レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』、『目をみはる伊藤若冲の『動植綵絵』』、『グレン・グールド 未来のピアニスト』、隅研吾『負ける建築』、サイモン・シン『フェルマーの最終定理』、『須賀敦子のヴェネチア』と、有名な本から書名からして魅力的な良書がずらっと並ぶ。ハカセのリチャード・ドーキンスに対する共感と批判には、なるほどと唸らされた。
特に印象に残ったのが、レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』に対するハカセの洞察である。センス・オブ・ワンダーを直訳すれば、「驚く感覚」。それは「神秘さや不思議さに目を見はる感性」。ハカセにとってのセンス・オブ・ワンダーとは、昆虫との出会いにあった。小学生のころ、図鑑で見たルリボシカミキリという青いカミキリ虫。ビロードのような輝きを湛え、鉱物のように内側から放たれる青。その上に散る漆黒の斑点。一度でいいから実物が見たいと焦がれ、野山をさまよう。そしてハカセはある夏、倒木の朽ちかけた襞の上にその虫を見つける。空の青でも、海の青でもない。小さな虫の背中にさざ波のように変化する青が凝縮していた、息を呑む美しさ。その瞬間、その感動が、ハカセのセンス・オブ・ワンダーだったという。読者が思わず感嘆してしまう美文から生まれる少年時代の思い出とともに、しかしハカセはこうも警告をする。
[私たちは大人になると、いつしかこうしたセンス・オブ・ワンダーを失くしてしまいます。子どもの頃に好きでたまらなかったもの、思いがけず心を揺さぶられたこと。それらを忘れたり、手放したりしてしまうのです。カーソンはこう書きます。「残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直観力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます」]
『センス・オブ・ワンダー』は、生命の神秘さにひざまずき、そのありように目を見はってきたことを思い出させ、ハカセの原点に引き戻してくれると同時に、読む人それぞれに、その人自身のセンス・オブ・ワンダーを思い起こさせてくれる本であるという。ハカセは本書のいちばんの魅力的な部分として次の箇所をあげている。
[「もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない、『センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性』を授けてほしいとたのむでしょう。この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです」]
その他、『ガロアの生涯 神々の愛でし人』、『ハチはなぜ大量死したのか』、『完全なる証明 100万ドルを拒否した天才数学者』など、必読ともいえる名著が愛読書としてこれでもかと紹介されている。ハカセが紹介している良書の数々の思想に触れて、内面から瑞々しい感性を補い続けることを心からオススメする。
この本が書店に並べられた時は有無を言わず購入した。天才・福岡ハカセは、人生を通じてどのようなジャンルの本を読んできたのだろうか。思わず1ページ1ページ熟読してしまう。
まずハカセは自らの少年時代を語る。
[私はどちらかというと内向的な、あまり友達のいない少年でした。唯一の友達と呼べるのは家のまわりの野山で出会う昆虫たちで、そのため、たちまちにして熱心な昆虫少年となったのです。私の生物学者としての原点はすべてそこにあります。遊び場は屋内にもう一つありました。いつも学校帰りに立ち寄る公立の図書館です。整然と並ぶ棚の間を歩き回ったり、書庫を探検したりしてお目当ての本を探す時間は、内気な少年が好奇心を育むのに充分な密度をもっていました。]
その図書館でハカセは、たまたま昭和33年に出版された『原色図鑑 世界の蝶』という本に出会う。その図鑑の中には、驚くべきことに原寸大フルカラーで世界中の蝶が網羅されていた。ハカセの目は、最初のページに掲げられた美しいエメラルド色の蝶に釘づけになる。アレクサンドラトリバネアゲハ。世界最大の蝶。発見者はウォルター・ロスチャイルド。この美しい蝶との出会いは、ハカセにとってかけがえのない宝物となる。このようにしてハカセと本とのかかわりは始まる。ハカセにとって図鑑のページをめくることは一種の探検であり、まだ見ぬ世界を言葉によって確認していく作業でもあった。
ハカセの読書歴には偏りがなく、絵本、児童文学、文芸、建築、美術、自然科学と様々なジャンルの本を精読してきた歴史が伺える。絵本である、加古里子『かわ』からはじまり、『十五少年漂流記』、レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』、『目をみはる伊藤若冲の『動植綵絵』』、『グレン・グールド 未来のピアニスト』、隅研吾『負ける建築』、サイモン・シン『フェルマーの最終定理』、『須賀敦子のヴェネチア』と、有名な本から書名からして魅力的な良書がずらっと並ぶ。ハカセのリチャード・ドーキンスに対する共感と批判には、なるほどと唸らされた。
特に印象に残ったのが、レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』に対するハカセの洞察である。センス・オブ・ワンダーを直訳すれば、「驚く感覚」。それは「神秘さや不思議さに目を見はる感性」。ハカセにとってのセンス・オブ・ワンダーとは、昆虫との出会いにあった。小学生のころ、図鑑で見たルリボシカミキリという青いカミキリ虫。ビロードのような輝きを湛え、鉱物のように内側から放たれる青。その上に散る漆黒の斑点。一度でいいから実物が見たいと焦がれ、野山をさまよう。そしてハカセはある夏、倒木の朽ちかけた襞の上にその虫を見つける。空の青でも、海の青でもない。小さな虫の背中にさざ波のように変化する青が凝縮していた、息を呑む美しさ。その瞬間、その感動が、ハカセのセンス・オブ・ワンダーだったという。読者が思わず感嘆してしまう美文から生まれる少年時代の思い出とともに、しかしハカセはこうも警告をする。
[私たちは大人になると、いつしかこうしたセンス・オブ・ワンダーを失くしてしまいます。子どもの頃に好きでたまらなかったもの、思いがけず心を揺さぶられたこと。それらを忘れたり、手放したりしてしまうのです。カーソンはこう書きます。「残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直観力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます」]
『センス・オブ・ワンダー』は、生命の神秘さにひざまずき、そのありように目を見はってきたことを思い出させ、ハカセの原点に引き戻してくれると同時に、読む人それぞれに、その人自身のセンス・オブ・ワンダーを思い起こさせてくれる本であるという。ハカセは本書のいちばんの魅力的な部分として次の箇所をあげている。
[「もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない、『センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性』を授けてほしいとたのむでしょう。この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです」]
その他、『ガロアの生涯 神々の愛でし人』、『ハチはなぜ大量死したのか』、『完全なる証明 100万ドルを拒否した天才数学者』など、必読ともいえる名著が愛読書としてこれでもかと紹介されている。ハカセが紹介している良書の数々の思想に触れて、内面から瑞々しい感性を補い続けることを心からオススメする。
2013年3月1日に日本でレビュー済み
『福岡ハカセの本棚――思索する力を高め、美しい世界、精緻な言葉と出会える選りすぐりの100冊』(福岡伸一著、メディアファクトリー新書)で、敬愛する生物学者・福岡伸一の読書ワールドを堪能することができた。
著者と私はかなりの部分で、読書の好みが重なるので、既読の本については「そうだ、そうだ」と頷きっぱなしであった。一方、未読のものについては、著者の紹介があまりにも誘惑的なので、早速、購入リストに加えてしまった。
「里山で営まれるトンボの一生を描いた石亀泰郎『さよならドンボ』は、センチメンタルでもなければ、啓蒙的でもありません。しかし、そこに映し出される世界はとても美しいものです。・・・ススキの穂、沈む夕日、セイタカアワダチソウの黄色い花。秋の風景の中でトンボの結婚と産卵があり、仲間と身を寄せて眠る姿が見られます。やがて秋も暮れ、冬に近づくにつれ、トンボはゆっくりと弱っていきます。そして訪れる死」と紹介されたら、読まずに済ますわけにはいかないではないか。
「姉崎一馬『はるにれ』のテーマも生命の循環です。しかし、そこでは言葉はひと言も使われません。あるのは凛とした写真です」。
「森山徹さんは、比較認知科学、動物心理学の研究者。ダンゴムシに迷路をたどらせたり、水で包囲してみたり。その分析結果は、『ダンゴムシに心はあるのか』という本にまとめられました」。
「エピジェネティクスはこの十数年で研究が盛んになってきた分野で、学説的にもまだ充分な支持を得ているとはいえません。しかし、その考え方には、既存のダーウィニズムの欠点を補完し、さらに新しい生命観へと私たちを導いてくれる可能性があると思います。興味のある方は、ぜひ、アメリカのサイエンス・ライター、リチャード・C・フランシスが書いた『エピジェネティクス 操られる遺伝子』を読まれることをおすすめします」。大いに興味あるから、読もうっと。
「日高(敏隆)さんが日本に紹介した思想は、新しい動物行動学から先鋭的な利己的遺伝子論、さらにユクスキュルのような、それとは相反する立場のものまで多くのバリエーションがありました。日高さん自身にも、様々な旅路があったのかもしれません。いずれにせよ、私たちはそのおかげで世界の新しい見方に次々と目を開くことができたのです」。全く同感である。「日高さん自身の著書として、自然の見方を平易な言葉で綴る『世界を、こんなふうに見てごらん』を挙げておきたいと思います」。これも読まなくっちゃ。
もう一冊だけ、挙げておきたい。「とても変わっているけれど、愛すべき天才。マーシャ・ガッセン『完全なる証明』では、そんな(ゲレゴリー・)ペレルマンの生涯が、彼を知る人々への取材から浮き彫りにされます。その人物像を描くにあたり、著者は旧ソ連の数学文化やユダヤ人差別の問題にも触れました。差別から逃れるため、ペレルマンは数学に活路を見出した。孤独な魂の遍歴。これは奇妙な、しかし、間違いなくある種の偉人伝です。数学そのものはわからなくても、その営みの孤独さや美しさ、そこに人生を賭ける人々の面白さは充分に伝わってきます」。100年間、誰にも証明できなかった超難問「ポアンカレ予想」を解明するという快挙を成し遂げたのに、数学界のノーベル賞といわれるフィールズ賞を辞退したばかりか、100万ドルの懸賞金がもらえるミレニアム賞すら断ってしまった人物のことを、もっと知りたくなるのは私だけだろうか。
著者と私はかなりの部分で、読書の好みが重なるので、既読の本については「そうだ、そうだ」と頷きっぱなしであった。一方、未読のものについては、著者の紹介があまりにも誘惑的なので、早速、購入リストに加えてしまった。
「里山で営まれるトンボの一生を描いた石亀泰郎『さよならドンボ』は、センチメンタルでもなければ、啓蒙的でもありません。しかし、そこに映し出される世界はとても美しいものです。・・・ススキの穂、沈む夕日、セイタカアワダチソウの黄色い花。秋の風景の中でトンボの結婚と産卵があり、仲間と身を寄せて眠る姿が見られます。やがて秋も暮れ、冬に近づくにつれ、トンボはゆっくりと弱っていきます。そして訪れる死」と紹介されたら、読まずに済ますわけにはいかないではないか。
「姉崎一馬『はるにれ』のテーマも生命の循環です。しかし、そこでは言葉はひと言も使われません。あるのは凛とした写真です」。
「森山徹さんは、比較認知科学、動物心理学の研究者。ダンゴムシに迷路をたどらせたり、水で包囲してみたり。その分析結果は、『ダンゴムシに心はあるのか』という本にまとめられました」。
「エピジェネティクスはこの十数年で研究が盛んになってきた分野で、学説的にもまだ充分な支持を得ているとはいえません。しかし、その考え方には、既存のダーウィニズムの欠点を補完し、さらに新しい生命観へと私たちを導いてくれる可能性があると思います。興味のある方は、ぜひ、アメリカのサイエンス・ライター、リチャード・C・フランシスが書いた『エピジェネティクス 操られる遺伝子』を読まれることをおすすめします」。大いに興味あるから、読もうっと。
「日高(敏隆)さんが日本に紹介した思想は、新しい動物行動学から先鋭的な利己的遺伝子論、さらにユクスキュルのような、それとは相反する立場のものまで多くのバリエーションがありました。日高さん自身にも、様々な旅路があったのかもしれません。いずれにせよ、私たちはそのおかげで世界の新しい見方に次々と目を開くことができたのです」。全く同感である。「日高さん自身の著書として、自然の見方を平易な言葉で綴る『世界を、こんなふうに見てごらん』を挙げておきたいと思います」。これも読まなくっちゃ。
もう一冊だけ、挙げておきたい。「とても変わっているけれど、愛すべき天才。マーシャ・ガッセン『完全なる証明』では、そんな(ゲレゴリー・)ペレルマンの生涯が、彼を知る人々への取材から浮き彫りにされます。その人物像を描くにあたり、著者は旧ソ連の数学文化やユダヤ人差別の問題にも触れました。差別から逃れるため、ペレルマンは数学に活路を見出した。孤独な魂の遍歴。これは奇妙な、しかし、間違いなくある種の偉人伝です。数学そのものはわからなくても、その営みの孤独さや美しさ、そこに人生を賭ける人々の面白さは充分に伝わってきます」。100年間、誰にも証明できなかった超難問「ポアンカレ予想」を解明するという快挙を成し遂げたのに、数学界のノーベル賞といわれるフィールズ賞を辞退したばかりか、100万ドルの懸賞金がもらえるミレニアム賞すら断ってしまった人物のことを、もっと知りたくなるのは私だけだろうか。