「月は東に日は西に」(以下「はにはに」)のWindows版ゲームソフトが発売されたのは2003年9月。
このタイトルがサントラCD,Dreamcast版,PlayStation2版に加えてTVアニメ版,2通りの小説版,2通りのドラマCDなどまで商品展開されるとは、当時は想像もできなかった。
先にTVアニメ版および(有)ハーヴェスト出版から発売されたほうの小説版が(大なり小なりアレンジを加えつつも)原作準拠の展開・結末をなぞった点や、祐介などメインストーリーの鍵を握る重要人物を下手に動かし辛い点などを考えると、漫画版としての全体構成を考えるだけでも後発ゆえに一苦労だったのかも知れないし、こんな「はにはに」も確かにOKかも知れない。
でも、この漫画版を買って一通り読み終えてから最初に思った。
これのどこが「はにはに」？
一応、べっかんこう氏の描き下ろしイラストを収録したり導入部の展開だけ原作をなぞったりして、「ゲームソフトの漫画化」という体裁をかろうじて保ってはいる。
しかし漫画版の作者は原作ゲームをさわりの部分だけプレイして「メインキャラだけ借りて好き勝手に漫画を描きたいが、パクリと非難されたくないから公式コミック扱いさせてもらおう」と軽く考えたのでは？・・・そうとしか思えないほど、この漫画版が「はにはに」である必然性を感じなかった。
(ドラマCDやアニメ版については、「大人の事情」という言葉の意味が分かる人ならキャスティングだけでも必然性を感じられると思うが)
原作ゲーム自体・・・な部分もあるが、それと完全に切り離して考えても(他にもっと個性的または見所の多い漫画が山ほどあるから)わざわざ選んで薦めるだけの価値があるとは思えない。それほどまでに物足りなかった。
何とか読めるから星1つの評価にはしなかったが、煮え切らない気分だ。
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