森秀樹氏の作品は『続・子連れ狼』『そして…刺客の子』で初めて読んだ。
私は小島剛夕・画の『子連れ狼』本編が好きで繰り返し読んでいた。公方様から武士の心を持った「真の武士」たち、卑怯な武士たち、忍から農民、商人、下女のお末に夜鷹まで、さまざまな階層の人物がいた。子連れ狼が旅する場所は、たくさんの人たちが生きている広大な天下六十余州に見えた。
一方で、画・森秀樹版では、新たな養父・東郷重位と大五郎の旅路には人のいる気配がなく、不満を覚えた。旅路はずっと夜だと思われた。私ははじめそれを欠点あるいは力量不足だと思ったが、実はそれが森秀樹氏の作家性なのかもしれない。
『腕』も、やはりあまり人のいる気配がない。『シグルイ』から来た人は物足りなく思うだろう。
南條範夫の『駿河城御前試合』が第二次世界大戦時のリアルな残酷さを背後にして誕生した物語であれば、『シグルイ』は、社会階層に規定される傀儡や貝殻人間やそれに抵抗しようとする伊良子や岩本三重を描いた傑作である。
一方で、『腕』はもっと個人的な感覚を描こうとしているように思える。心身にスティグマを負った「異形の剣士」は、孤独であり、周りに人がいない。今作の「人の気配のなさ」はそれ自体が登場人物の状況や体感なのではないだろうか。私も前方から人が来ると避けようと、遠回りをして人のいない道を通る。夜道のほうが落ち着く。それは私もある種のスティグマを持っているからだ。
この静けさと夜の感覚に馴染むと「社会正義で悩むのなどなんという贅沢だろう」などと思う。真剣での御前試合の場は、残酷というより無人の夜道に現れた明るく輝く場所に見えた。真剣試合は残酷だが、そこで出会う剣士もまた「異形」の同類だからだ。だいたい、試合を取り仕切る家老の三枝からしてあの肥満は内臓の病からである。
「腕」の藤木のその後は、幸福になるだろうと考えている。
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腕~駿河城御前試合~ 1 (SPコミックス) コミック – 2011/6/28
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- 本の長さ222ページ
- 言語日本語
- 出版社リイド社
- 発売日2011/6/28
- ISBN-104845840987
- ISBN-13978-4845840984
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登録情報
- 出版社 : リイド社 (2011/6/28)
- 発売日 : 2011/6/28
- 言語 : 日本語
- コミック : 222ページ
- ISBN-10 : 4845840987
- ISBN-13 : 978-4845840984
- Amazon 売れ筋ランキング: - 107,349位コミック
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上位レビュー、対象国: 日本
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2023年7月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2023年9月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
独特の作品です。 好き嫌いがハッキリします。無責任ですが買いたい人にお任せです。
2021年12月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
おもしれーです
面白かったですよ
面白かった気がしましたよん。
面白かったですよ
面白かった気がしましたよん。
2016年1月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
表紙を見て気になり、無料だったのでダウンロードしました。読んでから気づいたのですが、シグルイと同じ話ですね。シグルイに比べるとずいぶんと地味です。絵は全く持って今時ではない劇画調で、うまいのですが濃いです。表現も渋さを感じますが派手さは感じません。シグルイが漫画の描写に徹して狂気をはらんだ作品だったのに比べ、こちらはひたすら淡々と進みます。
どうしてもシグルイと比較してしまうので最初は見劣りを感じましたが、でも1話読み終える時には印象は一変しました。こちらの作品は時代小説好き、藤沢周平の隠し剣シリーズあたりを好きだった人にはツボだと思います。漫画を読んでいると言うより、時代小説をそのまま読んでいる雰囲気を味わえます。シグルイを読んだ時は原作小説を読みたい気持ちは起こらなかったのですが、こちらを読んだら原作に興味がわいてきました。
どうしてもシグルイと比較してしまうので最初は見劣りを感じましたが、でも1話読み終える時には印象は一変しました。こちらの作品は時代小説好き、藤沢周平の隠し剣シリーズあたりを好きだった人にはツボだと思います。漫画を読んでいると言うより、時代小説をそのまま読んでいる雰囲気を味わえます。シグルイを読んだ時は原作小説を読みたい気持ちは起こらなかったのですが、こちらを読んだら原作に興味がわいてきました。
2015年7月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
全巻(1~4巻)
独創性 ★★★
ストーリー ★★★★
画力 ★★★★
文章力 ★★★★
人物描写 ★★★★
[総評]
原作は南條範夫の小説『駿河城御前試合』。
『シグルイ』はこの『駿河城御前試合』の一部を原案にして大きく膨らませた作品。
『シグルイ』を見た直後に『腕 -駿河城御前試合-』を見るとひどく質素に見える。
『シグルイ』のきらびやかさはどこにもない。
画風は『シグルイ』より重厚で絵画的だが、キャラクターも筋書も派手さがまるでない。
はじめは藁をかむような味気なさを感じる。
ところがである。
この手法は『カムイ外伝』や『子連れ狼』などから受け継がれた日本劇画伝統の技。
ツボにはまれば強い。
噛めばかむほどに味が出でてくる。
いぶし銀のような時代劇劇画である。
独創性 ★★★
ストーリー ★★★★
画力 ★★★★
文章力 ★★★★
人物描写 ★★★★
[総評]
原作は南條範夫の小説『駿河城御前試合』。
『シグルイ』はこの『駿河城御前試合』の一部を原案にして大きく膨らませた作品。
『シグルイ』を見た直後に『腕 -駿河城御前試合-』を見るとひどく質素に見える。
『シグルイ』のきらびやかさはどこにもない。
画風は『シグルイ』より重厚で絵画的だが、キャラクターも筋書も派手さがまるでない。
はじめは藁をかむような味気なさを感じる。
ところがである。
この手法は『カムイ外伝』や『子連れ狼』などから受け継がれた日本劇画伝統の技。
ツボにはまれば強い。
噛めばかむほどに味が出でてくる。
いぶし銀のような時代劇劇画である。
2014年3月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
あってよかった^^
探してましたので、あっこれだぁ^^
なんか見たことあるなぁ・・・以前に的なだけの作品でしたけど
もう一回みたいなっと思って探すとないものなんですねぇ
探してましたので、あっこれだぁ^^
なんか見たことあるなぁ・・・以前に的なだけの作品でしたけど
もう一回みたいなっと思って探すとないものなんですねぇ
2011年11月9日に日本でレビュー済み
私は『シグルイ』を読み、結末が待ち切れず、原作を読んだ口です。
そして、あまりにもあっさりした原作に驚きましたが、
『腕』はその原作に忠実です。
この感じだと3巻くらいで原作をすべて描ききれそうなので、
『シグルイ』でネタ振りされながら、描かれなかったエピソードの
続きが知りたい人におすすめです。
『シグルイ』はしばらく続きをやらなそうですし。
なお、原作とは話の順番が変わっていますが、意図は不明です。
そして、あまりにもあっさりした原作に驚きましたが、
『腕』はその原作に忠実です。
この感じだと3巻くらいで原作をすべて描ききれそうなので、
『シグルイ』でネタ振りされながら、描かれなかったエピソードの
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『シグルイ』はしばらく続きをやらなそうですし。
なお、原作とは話の順番が変わっていますが、意図は不明です。
2019年5月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
シグルイを読んでから駿河城御前試合に興味を持ち、こちらの漫画にたどり着きました。
劇画よりで、荒々しく描かれているため、あまり一般受けしない絵柄ではあります。
しかしながら、シグルイでは描かれなかった部分や、重なる部分などあり、とても楽しめました。
劇画よりで、荒々しく描かれているため、あまり一般受けしない絵柄ではあります。
しかしながら、シグルイでは描かれなかった部分や、重なる部分などあり、とても楽しめました。