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ごった煮 (ルーゴン・マッカール叢書) 単行本 – 2004/9/30

5.0 5つ星のうち5.0 2個の評価

ゾラが覗いたブルジョワジーの生態。『ボヌール・ダム百貨店』の前史。パリ高級アパルトマンの男と女が織りなす熾烈なセックス・ライフ
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商品の説明

著者について

エミール・ゾラ 1840年パリ生まれ。フランスの小説家、自然主義文学の定義者。代表作は全20巻からなる「ルーゴン・マッカール叢書」。1902年、パリに自宅で一酸化炭素中毒により死去。 小田光雄(おだ・みつお) 1951年静岡県生まれ。早稲田大学卒業。出版社の経営に携わる。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 論創社 (2004/9/30)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2004/9/30
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 536ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4846004171
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4846004170
  • カスタマーレビュー:
    5.0 5つ星のうち5.0 2個の評価

著者について

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エミール・ゾラ
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上位レビュー、対象国: 日本

2017年5月19日に日本でレビュー済み
 登場人物が多すぎて、一気に読み通すなんて不可能だろうが、展開としては比較的単純で平坦ではある。多種雑多な登場人物の掃き溜めとなるヴァブル館の住人たちがパズルのように組み合わさり、火花を散らす。バブルのように弾け散る様は、非常に戦慄で鮮やかに映る。
 前半から中盤にかけ、5階に住むジョスラン一家を中心に物語が展開し、ヴァブル館に住む家族や住人の現状と腐敗を長々と紹介するのだが。全くタイトル通りで、正直退屈過ぎてウザいと思う場面も多々ある。
 しかし、第14章のオクターブとベルト夫人の情事が発覚する所から、ゾラ的激情の世界へ読者を一気に落とし込んでいく。それぞれの個性と本性が剥き出しになり、姦通と財産を巡る醜悪な争いがおぞましい展開に油を注ぎ、腐敗が一気に加速する。が、この館の住人たちは全員が揃って腐敗してる訳でもない。
 "彼女たちは具合が悪いのか、育ちが悪いのか"どちらかなのだと、ジュライラ医師は分析する。彼女たちは人形の様な教育のために堕落し、愚鈍に晒され、彼らは遺伝的神経症で身を滅ぼしてるだけなのだと。
 この作品の主人公的存在であるオクターブ青年は田舎から上京し、パリの中産階級に憧れ、一旗揚げようと若き無垢な野望を抱くも、初っ端から挫かれる。奥さん連中は乱れ果て、旦那共は神経を病み、虚飾に犯され、情事に耽る。憧れは幻想に終わるのだ。ヤケになった彼は、奥さんや娘を誘惑し、店を館を支配しようと企むもことごとく失敗。しかし、最後にはキャラコ売りとして成功を収めるのだが。腐敗してもパリはパリだと自分に言い聞かせる。
 もう一人の主役であるジュスラン夫人の暴走は見てておぞましい程だが、この作品の核を成し、ブルジョアの腐敗と欺瞞を見事に炙り出す。そして、夫のジュスラン氏も"ゴリオ爺"に相当する存在で、常に痛々しく、読者の同情を買う。"誠実さが彼の息の根を止めた..."のフレーズには怒りと無念さを覚える。
 そして、忘れてはならないのが、変態親父のパシュラール。暴走夫人の兄であるこの老人は、ジュスラン家には一銭も与えない。金持ちなのか貧乏なのか。何時も二人の若きパリジェンヌを従え、豪勢に呑み食いし、悪酔いしてる。しかし、後半のおぞましくシリアスな展開の中で緩衝材の役目を果たし、結構笑わせてくれる。ある意味影のMVPとも言える。
 上述した彼らに加え、ヴァブル兄弟とその妻たち、それに様々な情婦や愛人、ユニークな訪問客が加わるから、余計に事はややこしくなる。全く"ごった煮"マップを作ってから読む事を強くお薦めする。バルザック同様、ゾラも必ず舞台のレイアウトを描いてから小説を書いてるのだから。
 ジュイエラ医師の強烈なブルジョア批判とローマ教会への糾弾はゾラの本音でもあり、この作品の大きなテーマでもある。またモージュイ神父が"この腐敗した世界と民に神の救いはない"と嘆くさまは、この物語にとどめを刺す。
 『居酒屋』に比べるとかなり平和的牧歌的にも映るが、意外に読みやすく感じた。ホント読めば読む程、ゾラに見入っちゃうな。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2004年12月28日に日本でレビュー済み
 パリのブルジョワジーの醜悪な生態を描いた小説。同社既刊の「ボヌールデダーム百貨店」へとつながる物語で、後に百貨店の支配人になるオクターヴの修行時代のエピソード。
 登場する人物は下品で偽善的なブルジョワ、主人をわずかにも尊敬していない女中たちなど、いかにもゾラらしい。これらの人物の掛け合い、起こる悲劇の迫力はすさまじい。
「こっちの家でもあっちの家でも、似たような見世物小屋だよ。今のような時代はどこだって変わりないさ、汚い世界がついて回るのよ」というラストのセリフに象徴されるようにこの小説で描かれている物事はあまねく汚らしい。世間体を重視して繕ったその裏の本性、それをいやというほど見せ付けられる。
 「居酒屋」が面白いと思える人は必ず楽しめるのではないかと思う。
20人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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