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生きる歓び (ルーゴン・マッカール叢書 第 12巻) 単行本 – 2006/3/1

4.3 5つ星のうち4.3 2個の評価

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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 論創社 (2006/3/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2006/3/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 424ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4846004511
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4846004514
  • カスタマーレビュー:
    4.3 5つ星のうち4.3 2個の評価

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エミール・ゾラ
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カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2007年9月13日に日本でレビュー済み
釈迦の教えにあった、自らの肉体を炎に焼いて虎に差し出すウサギのような自己犠牲的なポーリーヌ。
第3巻の「パリの胃袋」に少しだけ出演していた、豚肉屋のリザとクニュの娘である。思えばパリの少女時代から、こざっぱりとした格好で近所の悪がきの格好のからかい相手にされていた。
幼くして両親に先立たれたこの少女の、天性の大らかさと心根の優しさが、このボンヌヴィルという神に見捨てられたような悪徳のはびこる、さびれた海辺の村で、シャントー一家に引き取られてから、若い少女のうちから、人間性の根本をしたたかに打たれるような試練に次々とさらされる。
普通であれば、ひどい人間不信に陥るのがむしろ当たり前と思えるような人生である。そして人一倍つよい生命力があり、強い官能性、情愛も知性も持ったポーリーヌは、そのような試練の最期に、どのような女性となって私たちの前に姿を現すのだろうか?彼女のあまりの「おひとよしぶり」に怒りすら覚えながら、いつの間にか彼女からさまざまな身の処し方を学んでいることにきづく。

財産、そして恋愛・結婚・出産といえば、今の時代の女性たちにとっても人生の幸福にとって不変の、人生最大の関心事である。こうした女性の幸せのことごとくを、怠惰で身勝手で病的な一家によって侵食されていくポーリーヌ。
ゾラは残酷なまでにさいなまれる主人公の内面と、苦しく追い詰められるような、しかしどこか海辺ならではの能天気なエロティシズムもある三角関係の恋愛を描く。
また、全編のなかで、犬のマチウとのなんとも言えずやさしい交感や、哀れな犬の最期が、なんともリアルで素晴らしい描写で、ゾラの動物愛を感じるし、当時は大変な冒険であった、女性の出産場面も恐ろしいほど細部まで描いていて、あまり他で読めない内容である。
この叢書の中では、題材は普通でも、ゾラの稀有なドラマティストの才能に、またまた最期まで引きこまれる。
そして不思議にこころやすらぐ結末は、ルーゴン・マッカール叢書においても珍しいもので、ゾラのポーリーヌへの優しさと感嘆を感じた。
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