この本は、歌を志す人にとって、必ず読むべき本です。
昨今、ボイストレーニングブームが来ているようで、古典的なやり方、新しいやり方の紹介など、
この手の書籍はあふれています。どちらかといえば、この本はベルカント唱法を中心とした
古典的なやり方が詳細に記述されていますが今読んでも、まったく古さを感じさせません。
ある意味、時間を掛けてでも、古典を重視するのが一番の近道なのかもしれません。
本の構成としては、550ページという大著で、技術的なことが事細かに書いてあります。初心者向けの本が多い中、
これだけの詳細な記述と、無駄を省いたイラストでの教授には、頭が下がります。
もちろん、ボイストレーニングや声楽にはいろいろなやり方があると思います。
私自身、長いこと、特に声楽について学習をしてきました。本書でも触れられている通り、様々なやり方があることは知っていましたが
ひとつひとつ、客観的にフォローしてあり、それらの指導法の思想についても触れているので、
声楽について考える上での手助けにもなると思います。
この手の本は技巧面に偏ってしまいがちですが、あくまで芸術としての歌の精神性にも触れていて、歴代の名歌手のエピソードなども
交えつつ、比較するなどの面白い試みもあります。歌に大切な技巧面と、個々人が持つ表現という曖昧なところにも
あくまで客観性を持って、解説を試みようとしているところも本書ならではの特色と言えます。
本書は、技術書であり、声の出し方や表現力を高めることが目的で、その手立てが書かれていますが
教養として声楽を嗜む人やイタリアオペラを愛聴する人にもお勧めできます。
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ザヴォイスオブザマインド 単行本 – 2000/12/1
Bel Canto 唱法の伝説的名著
16世紀の終わりから19世紀の終わりにかけて、イタリアにはヴォーカルテクニックに閲するある理論があった。それはその当時、最高の理論として隆盛を極めたが、音楽的な激変により失われてしまう。この書物は、そのヴォーカルテクニックの理論的研究書(原理)である。そのヴォーカルテクニックはThe Natural Voice(自然の声)と呼ばれたが、20世紀も終わりになって、現代のアメリカのミュージシャンたちによって、再び奇跡的に甦ることとなる。と同時にそれは、そのことによって、オペラからロックまで、ジャンルを超えて通じる原理であることが立証されたのである。
16世紀の終わりから19世紀の終わりにかけて、イタリアにはヴォーカルテクニックに閲するある理論があった。それはその当時、最高の理論として隆盛を極めたが、音楽的な激変により失われてしまう。この書物は、そのヴォーカルテクニックの理論的研究書(原理)である。そのヴォーカルテクニックはThe Natural Voice(自然の声)と呼ばれたが、20世紀も終わりになって、現代のアメリカのミュージシャンたちによって、再び奇跡的に甦ることとなる。と同時にそれは、そのことによって、オペラからロックまで、ジャンルを超えて通じる原理であることが立証されたのである。
この伝説的な書物は1998年、今は亡きグロリア・ラッシュにより日本にはじめて伝えられた。彼女はこの本の翻訳の完成を見ることなく逝去したが、彼女のこの本に寄せる熱い思いはここに実現した。もって冥福を祈る。
- 本の長さ553ページ
- 言語日本語
- 出版社アップフロントブックス
- 発売日2000/12/1
- ISBN-104847013387
- ISBN-13978-4847013386
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
正しく自然な発声をおこなうためのプロセスを、メンタルな面・物理的な面の両方にわたってわかりやすく解説。16世紀から19世紀にかけてイタリアで作られたベルカント(美しい声)原理が甦る。
登録情報
- 出版社 : アップフロントブックス (2000/12/1)
- 発売日 : 2000/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 553ページ
- ISBN-10 : 4847013387
- ISBN-13 : 978-4847013386
- Amazon 売れ筋ランキング: - 869,072位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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- - 37,846位楽譜・スコア・音楽書 (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年12月20日に日本でレビュー済み
最初の部分に"First published in 1951"とあるので、英語の原書は1951年のもののようです。
冒頭部分にジーリによる入門レッスンの節があり、これは資料的価値も高いと思います。しかし、その後に続くメインの内容は、世にある様々な発声理論のうちの中の「ある一つのもの」であり、決して唯一絶対の正解ではないと感じます。とかくこの本では「間違った教えが広まって酷いことになっているが、この本が本当に正しい声楽の発声法を教えます」みたいなハッタリをかますのですが、そこには惑わされず客観的に読むべきでしょう。古い時代からの伝統的教えが正しく、新しい方法は堕落した間違いである、といったような論調が多いのですが、例えばスポーツの世界記録の進歩を見れば、新しい指導法が全面的に間違いであるとは簡単に断定することも出来ないと思います。
本書の特徴として、「サウンドビーム」なる言葉で色々な説明をするのですが、この「サウンドビーム」、一見科学的なように見えてかなり主観的、感覚的であり、正直言ってあまり論理的、科学的だとは思えません。文章は正直いって回りくどく、現代人にとって読みやすいとは言えないと思います。この点、原著が1965年に出たフースラーの「 うたうこと 発声器官の肉体的特質―歌声のひみつを解くかぎ 」の方がまだ論理的・科学的です。
本書のもう一つの特徴として、「声を前に当てるのは新しく生まれた間違い、諸悪の根源であり、これによって声の美しさは損なわれた」として、「サウンドビーム」なる感覚的なものを常に上方、そして高音域ではやや後方に導くべし、としています(これ自体は現代の日本でもしばしば指導されている方法ですが)。これはフースラーが7種の様々なアンザッツとそれが声帯や喉の状態に与える影響を細かく分析したのと対照的です。フースラーは、声を前に当てずに後方にばかり響かせていると声帯の内筋が働くなってしまい声に独特の欠陥が現れるとしており、本書が絶賛するジーリも、フースラーによればキャリア後期には「声帯内筋の衰弱に悩んでいた」としています。しかし本書が示す上後方へのアンザッツはフースラーの7種類のどれにも当てはまらないものであるとも言え(フースラーには上方No.4と下後方No.6がありますが、上後方はありません)、そこにはフースラーも知らない機能があるのかもしれません。
また呼吸法については「腹式呼吸」は「有害」であり、横隔膜呼吸と肋骨呼吸を組み合わせたものが正しいとしています。
「サウンドビーム」だけでなく、軟口蓋を「ソフトパレット」と書くなど、英語由来のカタカナ語を多用する訳文にも少々違和感を禁じえません。また、原著は基本的に英語話者向けに書かれた本なので母音についても英語式のスペルで説明しているのですが、日本でクラシック音楽の声楽を学ぶ場合は直接イタリア語やドイツ語の母音で考えるのでこの点も少々分かりにくいです。
本書の内容は例えると古武術の技術理論、しかも古武術の秘伝書そのものではなく、20世紀の研究家が勝手に再構成したようなものだと思います。何かと美化される古武術で現代格闘技に勝てるのか?というような疑念も忘れない方が良いでしょう。(12/29にレヴューを断続的に改定しました。)
冒頭部分にジーリによる入門レッスンの節があり、これは資料的価値も高いと思います。しかし、その後に続くメインの内容は、世にある様々な発声理論のうちの中の「ある一つのもの」であり、決して唯一絶対の正解ではないと感じます。とかくこの本では「間違った教えが広まって酷いことになっているが、この本が本当に正しい声楽の発声法を教えます」みたいなハッタリをかますのですが、そこには惑わされず客観的に読むべきでしょう。古い時代からの伝統的教えが正しく、新しい方法は堕落した間違いである、といったような論調が多いのですが、例えばスポーツの世界記録の進歩を見れば、新しい指導法が全面的に間違いであるとは簡単に断定することも出来ないと思います。
本書の特徴として、「サウンドビーム」なる言葉で色々な説明をするのですが、この「サウンドビーム」、一見科学的なように見えてかなり主観的、感覚的であり、正直言ってあまり論理的、科学的だとは思えません。文章は正直いって回りくどく、現代人にとって読みやすいとは言えないと思います。この点、原著が1965年に出たフースラーの「 うたうこと 発声器官の肉体的特質―歌声のひみつを解くかぎ 」の方がまだ論理的・科学的です。
本書のもう一つの特徴として、「声を前に当てるのは新しく生まれた間違い、諸悪の根源であり、これによって声の美しさは損なわれた」として、「サウンドビーム」なる感覚的なものを常に上方、そして高音域ではやや後方に導くべし、としています(これ自体は現代の日本でもしばしば指導されている方法ですが)。これはフースラーが7種の様々なアンザッツとそれが声帯や喉の状態に与える影響を細かく分析したのと対照的です。フースラーは、声を前に当てずに後方にばかり響かせていると声帯の内筋が働くなってしまい声に独特の欠陥が現れるとしており、本書が絶賛するジーリも、フースラーによればキャリア後期には「声帯内筋の衰弱に悩んでいた」としています。しかし本書が示す上後方へのアンザッツはフースラーの7種類のどれにも当てはまらないものであるとも言え(フースラーには上方No.4と下後方No.6がありますが、上後方はありません)、そこにはフースラーも知らない機能があるのかもしれません。
また呼吸法については「腹式呼吸」は「有害」であり、横隔膜呼吸と肋骨呼吸を組み合わせたものが正しいとしています。
「サウンドビーム」だけでなく、軟口蓋を「ソフトパレット」と書くなど、英語由来のカタカナ語を多用する訳文にも少々違和感を禁じえません。また、原著は基本的に英語話者向けに書かれた本なので母音についても英語式のスペルで説明しているのですが、日本でクラシック音楽の声楽を学ぶ場合は直接イタリア語やドイツ語の母音で考えるのでこの点も少々分かりにくいです。
本書の内容は例えると古武術の技術理論、しかも古武術の秘伝書そのものではなく、20世紀の研究家が勝手に再構成したようなものだと思います。何かと美化される古武術で現代格闘技に勝てるのか?というような疑念も忘れない方が良いでしょう。(12/29にレヴューを断続的に改定しました。)
2003年1月28日に日本でレビュー済み
高校から合唱をはじめて、もうすぐ丸10年になります。その間、発声について色々な指導を受けました。ですが、それらが一本の線でつながらず、イマイチ理解できなかったのです。
そんなときにこの本に出会いました。
かなり分厚い本なのですが、文字が大きく、図も多く載っているので、思ったよりすんなり読むことが出来ました。最後まで読み、「あの人が言っていたのは、こういう意味なんだ。」「今まで勘違いしていた!」と頭の中のモヤが取れたような気がしました。
発声について悩んでいる方、指示の意味が分からずに困っている方、身近にいい先生がいない方にはオススメかと思います。
そんなときにこの本に出会いました。
かなり分厚い本なのですが、文字が大きく、図も多く載っているので、思ったよりすんなり読むことが出来ました。最後まで読み、「あの人が言っていたのは、こういう意味なんだ。」「今まで勘違いしていた!」と頭の中のモヤが取れたような気がしました。
発声について悩んでいる方、指示の意味が分からずに困っている方、身近にいい先生がいない方にはオススメかと思います。