上巻で記されたディスコ黄金時代もつかの間の栄光。下巻ではブームの終焉、パラダイス・ガレージの閉鎖、契約や金銭トラブル、荒れ狂うラリー・レヴァン、そしてゆっくりと広がるエイズの影……と、80年代から90年代初頭にかけての暗く険しい時代が語られています。著者のトーンは淡々としていますが、心の奥底までに刻まれた悲しみがじっとりと文章に滲んでいるように感じられます。
単なる音楽ジャンルの解説書としては上巻だけでも充分かも知れませんが、音楽を通した人々の営み、歴史を知る意味では下巻も必読でしょう。
晩年のラリー・レヴァンが著者とともに来日し、遠く離れた異国の地でも自分たちの音楽が息づいていることを発見するくだりは泣けます。エイズ撲滅のための組織や基金の設立のために奔走するディスコ残党組の描写とともに、この本の中の数少ない、希望のあるワンシーンです。
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