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ツーリズモ—バルセロナ、リスボン、パリ ひとり旅のようなふたり旅 単行本 – 2006/6/16
スペイン、ポルトガル、フランス……姉妹がひろい集めたかけがえのない旅のかけらたち。
- 本の長さ1ページ
- 言語日本語
- 出版社ブルースインターアクションズ
- 発売日2006/6/16
- ISBN-104860201809
- ISBN-13978-4860201807
商品の説明
出版社からのコメント
最初に到着したスペインは肌寒く、姉妹喧嘩も絶えない。しかし、ポルトガルの地に足を踏み入れたとたん、彼女のなかで、なにかが変わりはじめる……。
ほかでは読めない彼女の内面や、旅先で運命的に出会った人たちとの不思議な交流を惜しみなく綴り、その背景となった美しいヨーロッパの風景をオールカラーでお見せします。
抜粋
目が覚めると、朝だった。
ガタガタ音がうるさくて眠れないかと思ったけど。
食堂車でワインを飲んでから。死んだように眠ったらしい。
リスボンに向かう寝台列車。
その汽車に乗れていることは、いやはや奇跡的だった。
「乗り物には余裕をもって乗るべし」
その教えをわたしは子供の頃、聞き逃してしまったらしい。
どうしてこんなに走るんだ?というほどに。
ギリギリになってしまうことがある。
この汽車に乗るときもそうだった。
バルセロナからマドリードに着いたわたしたちは。
寝台列車の発車する駅はここではないことを知る。
てっきり同じ駅でホームを乗り換えるのかと思っていたら。
電車で30分くらい行った別の駅から発車すると言う。
調べなかったわたしたちが悪いのだが。つべこべ言ってるヒマはない。
出発時間まで1時間を切っていた。
どうやって行けばいいか窓口で聞いたが。
スパニッシュ訛りの英語でさっぱりわからない。
タクシーも長い列ができている。血の気がサーッと引いてゆく。
一番早いのがどの線かわからないまま。地下鉄のホームへ降りてみた。
が。路線図をよく見てみると。遠まわりっぽい。
もし今夜乗りそびれたら。マドリードに1泊するしかないんだけど。
宿を探す体力は残っていなかったし。
バルセロナより治安の悪いマドリードでスーツケースを持ってうろつくのは。
正直怖かった。やっぱり何としても間に合わなくては。
賭けみたいにして別の列車に乗ることにした。
たしか3つ目の駅だったはずだけど。
ひと駅ずつが恐ろしく長くてなかなか次の駅に着かない。
しかも特急なのか各駅なのかわからないから。通り過ぎちゃってたらどうしよう。
どうにかなりそうだったので。わたしたちは手を合わせてお祈りした。
死んだおじいちゃんにお願いした。
「リスボンに行けますように」
その駅に着いた時のは発車2分前。
だけど、どのホームに行けばいいのか。どれが寝台列車なのかわからない。
キョロキョロしていると。男の人が「どこへいくんだ?」と聞いてきた。
「リスボン!」切符を見せると「急げ」と言って走り出した。
わたしの重たいスーツケースを持ってどんどん走った。「急げ、急げ」と叫びながら。
わたしたちも走った。とにかく必死で走った。
発車ベルが鳴り渡るホームに。リスボン行きの寝台列車は止まっていた。
わたしたちは髪の毛1本分。まさに危機一髪で滑り込んだ。
もうほとんど映画のようだった。
プシーーーーーッ。 背中でドアのしまる音。
はぁ。はぁ。はぁ。走りすぎてキモチワルイ。
頭がマッシロで何がなんだかわからない。
間に合ったということが信じられなかった。
「あ!」と思って振り返ると。さっきのおじさんの姿はなかった。
その瞬間チカラがドッと抜けて。涙がでた。
おじさんにお礼できなかった。
アリガトウ。あなたが居なかったら。
わたしたちどうなってたかわかんないよ!
って伝えたかったのに。
あのおじさんはてっきり駅員さんだと思っていたが。
なぁちゃんは「ちがうよ。お客さんだったんだよ」と言っていた。
ほんとにそんなことがあるんだろうか。
荷物を持ってあんなに本気で走ってくれるなんてことが。
それを思うと。胸がいっぱいになる。
著者について
原田奈々=写真:1977年福岡生まれ。天秤座。B型。大学在学中に写真を撮りはじめる。これまでにクラムボン、ハナレグミ、Small Circle of Friends、HARCO、Naomi&Goro等のCDジャケットやアーティスト写真を手掛ける。
登録情報
- 出版社 : ブルースインターアクションズ (2006/6/16)
- 発売日 : 2006/6/16
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 1ページ
- ISBN-10 : 4860201809
- ISBN-13 : 978-4860201807
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,179,741位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,795位写真家の本
- - 6,926位紀行文・旅行記
- - 13,360位海外旅行ガイド (本)
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著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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クラムボンのファンなので
発売されてからずーと気にはなっていたものの、
写真(集)= ミーハーの感から吹っ切れず購入する気はありませんでしたが、衝動買いしてしまいました。
結局ミーハーな自分ですが・・・
観てみて安心。あまり原田さんの写真は載っていません(笑)
原田さん(クラムボン)の音楽が好きな人は“彼女の事知っている人”なわけで
この本を読むと、知り合い(原田さん)の絵日記を読んでいるような、もしくはブログを読んでいるような感覚になります。
気が付くと深くのめり込むように読んでいました。
その原因は何も飾り気のない文章だと思います。
姉妹の喧嘩や、旅先で出会った人の事が素直に書かれていて、それが自分と原田姉妹の距離つめていきます。
歌詞同様、余計な愛想の無い文章が好きです。
家族っていいな。って改めて思い出させてくれる一冊です。
旅の参考にはなりませんので、著者のファン以外には期待はずれな内容です。
旅先の写真は少なく、白紙のページが多い、著者本人の写真は多過ぎ(有名人なのですか?)です。
読むと、少しですが旅をした気になれます。思ったことをそのまま書いてある文。
旅の出会いって素敵だなぁと思わせてくれる、そんな本です。
写真も満載で、素朴というか。。町のイイ雰囲気がよく出てます!!
会社を休んでぷら〜っと旅に出たくなってしまうので、現実逃避と闘っている方には
ちょっと危険かも。。
個人的には、価格がちょっと・・・もう500円くらい安く・・と思ってはおりますが、
良い本なので、近々誕生日の友達にプレゼントしたいなと思っています♪
彼女の歌の世界観と同じ、ゆったりとした言葉と写真、手書きイラストでまとめられています。
写真は旅行に同行した妹さんの作品です。(クラムボンやハナレグミのアーティスト写真を撮っている方です)
この本は旅行の参考にするという用途ではなく、原田さんのファンムック・ビジュアルムックといったカテゴリです。
最終章「旅のおわり」の一文が、彼女の歌声で頭の中で再生されました。
言葉の選び方が好きです。
「時間の渦からするりと抜け出したいだけなのに。
だれの声もしないところに行きたいだけなのに。
いったいどうしたことだろう。
先が思いやられた。」