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ツーリズモ—バルセロナ、リスボン、パリ ひとり旅のようなふたり旅 単行本 – 2006/6/16

3.6 5つ星のうち3.6 7個の評価

歌にCMに大活躍のクラムボンの原田郁子と妹のカメラマン原田奈々によるフォトエッセイ。
スペイン、ポルトガル、フランス……姉妹がひろい集めたかけがえのない旅のかけらたち。
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商品の説明

出版社からのコメント

原田郁子が音楽活動を始めてから十年目にして、初めてとった長期休暇。そこで彼女は妹と初めてのヨーロッパ旅行を計画する。初体験づくしの長い旅は、スーツケースの車輪は壊れるは、小銭袋を無くすは、ガイドブックを忘れてくるは、成田エクスプレスは人身事故で遅れるはで最悪のスタートをきることに—。
最初に到着したスペインは肌寒く、姉妹喧嘩も絶えない。しかし、ポルトガルの地に足を踏み入れたとたん、彼女のなかで、なにかが変わりはじめる……。
ほかでは読めない彼女の内面や、旅先で運命的に出会った人たちとの不思議な交流を惜しみなく綴り、その背景となった美しいヨーロッパの風景をオールカラーでお見せします。

抜粋

「列車」

目が覚めると、朝だった。

ガタガタ音がうるさくて眠れないかと思ったけど。
食堂車でワインを飲んでから。死んだように眠ったらしい。

リスボンに向かう寝台列車。
その汽車に乗れていることは、いやはや奇跡的だった。

「乗り物には余裕をもって乗るべし」
その教えをわたしは子供の頃、聞き逃してしまったらしい。
どうしてこんなに走るんだ?というほどに。
ギリギリになってしまうことがある。
この汽車に乗るときもそうだった。

バルセロナからマドリードに着いたわたしたちは。
寝台列車の発車する駅はここではないことを知る。
てっきり同じ駅でホームを乗り換えるのかと思っていたら。
電車で30分くらい行った別の駅から発車すると言う。
調べなかったわたしたちが悪いのだが。つべこべ言ってるヒマはない。
出発時間まで1時間を切っていた。

どうやって行けばいいか窓口で聞いたが。
スパニッシュ訛りの英語でさっぱりわからない。
タクシーも長い列ができている。血の気がサーッと引いてゆく。

一番早いのがどの線かわからないまま。地下鉄のホームへ降りてみた。
が。路線図をよく見てみると。遠まわりっぽい。

もし今夜乗りそびれたら。マドリードに1泊するしかないんだけど。
宿を探す体力は残っていなかったし。
バルセロナより治安の悪いマドリードでスーツケースを持ってうろつくのは。
正直怖かった。やっぱり何としても間に合わなくては。

賭けみたいにして別の列車に乗ることにした。
たしか3つ目の駅だったはずだけど。
ひと駅ずつが恐ろしく長くてなかなか次の駅に着かない。
しかも特急なのか各駅なのかわからないから。通り過ぎちゃってたらどうしよう。

どうにかなりそうだったので。わたしたちは手を合わせてお祈りした。
死んだおじいちゃんにお願いした。
「リスボンに行けますように」

その駅に着いた時のは発車2分前。
だけど、どのホームに行けばいいのか。どれが寝台列車なのかわからない。
キョロキョロしていると。男の人が「どこへいくんだ?」と聞いてきた。
「リスボン!」切符を見せると「急げ」と言って走り出した。
わたしの重たいスーツケースを持ってどんどん走った。「急げ、急げ」と叫びながら。
わたしたちも走った。とにかく必死で走った。

発車ベルが鳴り渡るホームに。リスボン行きの寝台列車は止まっていた。
わたしたちは髪の毛1本分。まさに危機一髪で滑り込んだ。
もうほとんど映画のようだった。

プシーーーーーッ。     背中でドアのしまる音。

はぁ。はぁ。はぁ。走りすぎてキモチワルイ。

頭がマッシロで何がなんだかわからない。
間に合ったということが信じられなかった。

「あ!」と思って振り返ると。さっきのおじさんの姿はなかった。
その瞬間チカラがドッと抜けて。涙がでた。
おじさんにお礼できなかった。

アリガトウ。あなたが居なかったら。
わたしたちどうなってたかわかんないよ!
って伝えたかったのに。

あのおじさんはてっきり駅員さんだと思っていたが。
なぁちゃんは「ちがうよ。お客さんだったんだよ」と言っていた。
ほんとにそんなことがあるんだろうか。
荷物を持ってあんなに本気で走ってくれるなんてことが。

それを思うと。胸がいっぱいになる。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ ブルースインターアクションズ (2006/6/16)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2006/6/16
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 1ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4860201809
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4860201807
  • カスタマーレビュー:
    3.6 5つ星のうち3.6 7個の評価

著者について

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原田 郁子
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カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2010年6月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
夏休みの絵日記を思い出しました。

クラムボンのファンなので
発売されてからずーと気にはなっていたものの、
写真(集)= ミーハーの感から吹っ切れず購入する気はありませんでしたが、衝動買いしてしまいました。

結局ミーハーな自分ですが・・・

観てみて安心。あまり原田さんの写真は載っていません(笑)

原田さん(クラムボン)の音楽が好きな人は“彼女の事知っている人”なわけで
この本を読むと、知り合い(原田さん)の絵日記を読んでいるような、もしくはブログを読んでいるような感覚になります。

気が付くと深くのめり込むように読んでいました。

その原因は何も飾り気のない文章だと思います。
姉妹の喧嘩や、旅先で出会った人の事が素直に書かれていて、それが自分と原田姉妹の距離つめていきます。

歌詞同様、余計な愛想の無い文章が好きです。

家族っていいな。って改めて思い出させてくれる一冊です。
2016年9月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ツーリーズもバルセロナもリスボンもパリもその背景でしかありません。クラムボンの原田郁子さんの旅の写真集と秀逸な散文というだけで、読まずしてすべてがわかります。こういう本が持っと売れないと。写真家原田奈々さんも頑張ってください。期待しています。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2009年3月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
実物を見る事が出来たなら、買わなかったであろう一冊です。
旅の参考にはなりませんので、著者のファン以外には期待はずれな内容です。
旅先の写真は少なく、白紙のページが多い、著者本人の写真は多過ぎ(有名人なのですか?)です。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2006年11月16日に日本でレビュー済み
『旅行に行きたい!けど、行けない。。』と思っている方にお薦めの1冊です☆

読むと、少しですが旅をした気になれます。思ったことをそのまま書いてある文。

旅の出会いって素敵だなぁと思わせてくれる、そんな本です。

写真も満載で、素朴というか。。町のイイ雰囲気がよく出てます!!

会社を休んでぷら〜っと旅に出たくなってしまうので、現実逃避と闘っている方には

ちょっと危険かも。。

個人的には、価格がちょっと・・・もう500円くらい安く・・と思ってはおりますが、

良い本なので、近々誕生日の友達にプレゼントしたいなと思っています♪
10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2013年3月12日に日本でレビュー済み
クラムボンの原田郁子さんのスペイン・ポルトガル・フランス旅行記写真集。
彼女の歌の世界観と同じ、ゆったりとした言葉と写真、手書きイラストでまとめられています。
写真は旅行に同行した妹さんの作品です。(クラムボンやハナレグミのアーティスト写真を撮っている方です)
この本は旅行の参考にするという用途ではなく、原田さんのファンムック・ビジュアルムックといったカテゴリです。

最終章「旅のおわり」の一文が、彼女の歌声で頭の中で再生されました。
言葉の選び方が好きです。

「時間の渦からするりと抜け出したいだけなのに。
だれの声もしないところに行きたいだけなのに。

いったいどうしたことだろう。
先が思いやられた。」
2007年2月1日に日本でレビュー済み
高山なおみさんが書かれた、帯の言葉の「「ねぇちゃん」と「なぁちゃん」はまるで家なき子の姉妹が世界の果てを旅してるみたい。」にとてもひかれて、中身を見ないで購入しました。もともとクラムボンの世界観が好きだったので、はずれはないだろうという気持ちで・・。写真もとっても良いですが、淡々とした文章も飾りがなく秀逸で、時々手描き文字で描かれてある言葉にもはっとさせられるものがあります。原田郁子さんのきりっとして、どこを見つめているのかな?と思わせる目が素敵。なにもかも見透かされそうな・・。最後の方に、一枚、飛行機雲が何本も交差している写真に、すべての意味が凝縮されているような。人生とか、人に出あう意味とか、旅のせつなさとか、いろいろと奥の深い一冊でした。「なぁちゃん」(郁子さんの妹さんの奈々さん)の他の写真集も見てみたい。
10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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