かなり昔、北海道の絵画展で小熊秀雄の「飢餓」という絵を見たことがあり、すごく印象に残っていた。
童話集も気になり読んでみた。
残酷な話が多いが、単に「ひどい!」では終わらない、何とも言えない、妙に腑に落ちるような話が多かった。
世の辛さ、怖さ、残酷さと、それに見舞われる登場人物の素朴さから、生きるのに汲々としている生活感・悲壮感がにじみ出てくる。
なかでも、「青い小父さんと魚」は印象に残る怖い話。
素朴な一家が、正体不明のおじさんによって娘を失う話だが、最後のほうで、母親のあっけらかんとした態度は場違いでもあるものの、妙に懐かしさおかしさを覚えてしまう。
生活で手一杯で、娘の不幸にも気が付かない。いや、どこかで気が付いているが、あっけらかんとでもしないとやってられないんじゃないか。そんな感想を持った。
物語だけではなく、挿絵も素朴で物語と同じくらい懐かしい感じの絵ばかり。
話はしんどいが不思議な懐かしさを味わえる童話集。
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小熊秀雄童話集 単行本 – 2006/2/1
小熊 秀雄
(著)
珠を失くした牛,狼と樫の木,豚と青大将,たばこの好きな漁師 他
- 本の長さ168ページ
- 言語日本語
- 出版社清流出版
- 発売日2006/2/1
- ISBN-104860291417
- ISBN-13978-4860291419
登録情報
- 出版社 : 清流出版 (2006/2/1)
- 発売日 : 2006/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 168ページ
- ISBN-10 : 4860291417
- ISBN-13 : 978-4860291419
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2020年6月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2009年2月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
小熊秀雄(1901〜1940)は、小樽生まれの詩人・小説家です。
小樽にゆかりのある作家や芸術家を調べていたときに出会いました。
実際は小樽稲穂町で生まれた後で樺太へ移り幼少時代を過ごし、旭川で新聞記者で身を立てながら、詩をつくりはじめた人、とのこと。
童話集に収められた作品は、そのどれもが鈍い光沢を持った硝子玉のような、不思議な透明感を持っています。
そしてその透明感を音にしたのなら、「かなしみ」とか「せつなさ」とか「やりきれなさ」と言った言葉の語感に近い、からから、さらさら、としたものになるように思えます。
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
真っ黒い夜の海の水面に映る、少し欠けた月。
2月の寒風が辺りの枯葉に小さな螺旋のダンスを踊らせている、誰も座っていないベンチ。
その上に置かれた誰かの忘れ物の手袋片方。
昨今音楽において「チルアウト」ミュージックなんて切り口で取り上げられることがあります。
クラブなどで踊り疲れたからだを休められるようなダウンテンポなエレクトロミュージックをはじめ、フォーキーな女性ヴォーカルなどまで、興奮に向かって振れすぎた心の針をもとに戻してやるための音楽をさす言葉です。
明治後期〜大正という彼の生きた時代は激動と混沌の時代でした。
小熊秀雄の童話集はある意味、当時の人々にとっての「チルアウト・フェアリーテール」だったのかもしれません。
そしてそれは21世紀という時代に漕ぎ出した私たちにも変わらず必要なものであります。
小樽にゆかりのある作家や芸術家を調べていたときに出会いました。
実際は小樽稲穂町で生まれた後で樺太へ移り幼少時代を過ごし、旭川で新聞記者で身を立てながら、詩をつくりはじめた人、とのこと。
童話集に収められた作品は、そのどれもが鈍い光沢を持った硝子玉のような、不思議な透明感を持っています。
そしてその透明感を音にしたのなら、「かなしみ」とか「せつなさ」とか「やりきれなさ」と言った言葉の語感に近い、からから、さらさら、としたものになるように思えます。
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真っ黒い夜の海の水面に映る、少し欠けた月。
2月の寒風が辺りの枯葉に小さな螺旋のダンスを踊らせている、誰も座っていないベンチ。
その上に置かれた誰かの忘れ物の手袋片方。
昨今音楽において「チルアウト」ミュージックなんて切り口で取り上げられることがあります。
クラブなどで踊り疲れたからだを休められるようなダウンテンポなエレクトロミュージックをはじめ、フォーキーな女性ヴォーカルなどまで、興奮に向かって振れすぎた心の針をもとに戻してやるための音楽をさす言葉です。
明治後期〜大正という彼の生きた時代は激動と混沌の時代でした。
小熊秀雄の童話集はある意味、当時の人々にとっての「チルアウト・フェアリーテール」だったのかもしれません。
そしてそれは21世紀という時代に漕ぎ出した私たちにも変わらず必要なものであります。
2013年7月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
小熊秀雄さんの18話の童話集です。
「焼かれた魚」「タマネギになったお話」が特に好き。
後者は、悪魔がやってきた村に
畑仕事にも、お洒落をして出かけるため、
畑に付く頃は昼近くなってしまうという美しくてお洒落な女の子がいて、
悪魔がいたずらして、女の子の髪の毛をむしると
女の子は「いくら着ても、着ても、着れないほど、たくさんの着物がほしい」
と見返りを要求します。
すると、悪魔は女の子を、むいてもむいても下着をたくさん着込んでいる
タマネギにしてしまいます。
お母さんのせりふ
「まあまあ、娘もたいへんしあわせになって、こんなにたくさん衣装を着こんでいるよ」
があっけらかんとしていていい。
「焼かれた魚」「タマネギになったお話」が特に好き。
後者は、悪魔がやってきた村に
畑仕事にも、お洒落をして出かけるため、
畑に付く頃は昼近くなってしまうという美しくてお洒落な女の子がいて、
悪魔がいたずらして、女の子の髪の毛をむしると
女の子は「いくら着ても、着ても、着れないほど、たくさんの着物がほしい」
と見返りを要求します。
すると、悪魔は女の子を、むいてもむいても下着をたくさん着込んでいる
タマネギにしてしまいます。
お母さんのせりふ
「まあまあ、娘もたいへんしあわせになって、こんなにたくさん衣装を着こんでいるよ」
があっけらかんとしていていい。
2007年10月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ただの童話ではありません。どの作品も不思議な感覚になる作品です。大人向けの童話だと思います。死んでいるものが生きていて、また死ぬ、というような死の二重構造らしいものも見られます。代表作と思われる「焼かれた魚」は、魚というより、精神を砂利のようにされた人間そのものが、わが身を切られながら、でも、なにかにたどり着こうとする物語のようにも思われます。アーサー・ビナードさん曰く。「小熊なしに20世紀の文学を語っちゃいけない」、同感です。
2009年12月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
小熊秀雄の名前をはじめて知ったのは、NHKラジオの「ラジオ文芸館」で、彼の童話3篇の朗読を聴いたときである。いつもなら、ラジオを聴きながら眠ってしまうのだが、このときばかりは面白くて3篇を最後まで聞きとおした。いずれも、やや残酷なところのある話だが、考えてみればグリム童話でもアンデルセン童話でも、必ず残酷なところがある。
時代的に古い作品なので、表現に「きちがい」などの差別用語が頻繁に現れるが、当時の時代背景を考えればやむをえない。十分、大人の鑑賞に堪える、大人のための童話集である。
時代的に古い作品なので、表現に「きちがい」などの差別用語が頻繁に現れるが、当時の時代背景を考えればやむをえない。十分、大人の鑑賞に堪える、大人のための童話集である。
2020年8月25日に日本でレビュー済み
朗読の会の作品紹介に使いました。
読みやすく、分かりやすい文章表現の作品がおさめられていると思います。
更に作品ひとつひとつをじっくりと味わいたいです。
読みやすく、分かりやすい文章表現の作品がおさめられていると思います。
更に作品ひとつひとつをじっくりと味わいたいです。
2006年2月18日に日本でレビュー済み
1901年生まれで、39歳で結核でこの世を去った詩人の作品。北海道は旭川出身。
2006年2月某日、NHKラジオの朗読の時間に「ある手品師の話」を寝床で聞いたのが出会いである。
子どもに読んであげたい。感性の鋭い、奇をてらわない、おもしろかなしい
はなし...時代の産物ともいえる。一部作品は当局から発禁処分を受けている
(この童話ではないが)。この作者を知らなかった自分を恥じる...
2006年2月某日、NHKラジオの朗読の時間に「ある手品師の話」を寝床で聞いたのが出会いである。
子どもに読んであげたい。感性の鋭い、奇をてらわない、おもしろかなしい
はなし...時代の産物ともいえる。一部作品は当局から発禁処分を受けている
(この童話ではないが)。この作者を知らなかった自分を恥じる...