ジェームズ・ロリンズの小説「マギの聖骨」の著者あとがきの中で、参考書籍として上げられていたので、読んでみました。
小説では簡潔に触れられていた事柄が詳細に説明されていただけでなく、更に目からウロコな情報もいろいろあって、本当に参考になりました。
エジプトの魔術師から旧約聖書の聖櫃へ、旧約から新約のマギ（三博士）へ、三博士から中世の錬金術師と秘密結社へ、そこから現在のフリーメイソンや、世界の金融界を裏で動かしている例の一族へと続いてゆく流れの淀みなさにビックリです。全て〈金〉によって繋がっていたんですねえ！
惜しむらくは本の前半、何ヵ所か、旧約聖書からの引用等に著者の勘違いや混乱、又、解釈の曖昧な点等があったことと、翻訳者が注を入れて、それ等を正してくれているのはいいのですが、文章の途中に、著者の言葉を遮るようにして長い長い注を挿入しているので、読み手はかえって混乱してしまいます。更には注の中で、間違いを正すだけでなく、私はこう思う、それは違うだろう、と言わんばかりに自分の持論を延々展開してくれている箇所もあって、呆れてしまいました。
訳者は著者の言わんとするところを正確に伝えるのが仕事でしょう？ 反論があるなら別欄を設けるなり、訳者あとがきで述べるなり、あるいは自分で本を書くなりすればよいではありませんか。翻訳自体は結構流暢で、上手い人だと思うだけに、尚更残念です。
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