3冊を読み終えて、決して「面白い!!」だとか「良かった!!」というような感想は出てこなかった。なぜなのか、これまで本を読んでいてこんなことを思ったことがないが、続きを読みたいという感情と、もうこれ以上は読みたくないという矛盾した感情が、矛盾なく両立しているような気がした。フィクションではなく、この作品に書かれていることがまるで現実に起こったことのように本当にリアルに書かれているとも思った。実際に作者が自分自身の過去の実体験や思いを、正確に再現してような感じだ。盛り上がりに欠けることもなく、その盛り上げ方も不自然なところもなく、現実の過酷さ冷酷さと調和させているところに、リアリティを感じたのかもしれない。
メイン舞台は高校時代(今より数十年前の設定であろう)となっているが、ただ青年の青春をさわやかに描いているというより、この時代に思っていて言葉に表現できないような思いを、さまざまな現実を経験した大人の視点から語っている作品だと思う。だから、未熟な私自身にとって納得のいかない場面もあったし、理解できないようなところもあった。もし自分が高校時代にこの本を読んでいたら尚更、理解出来なかったと思う。読んでいて何度も同じ部分を読み返すことも少なくなかった。読み終えた後、何か考えさせられてしまう、それも本の内容というだけでなく、自分のこれまでの生き方まで……そんな本だ。
音楽の専門知識に触れているところはともかく、哲学的な部分もあるので、読んでいて好みも分かれるだろうと思う。
「面白かった!」とは私は思いませんが、この作品の文章の書き方やとらえ方がとても魅力的に思えたので☆5つ以上付けようと思いました。この作品が何かの賞をとっていないことが正直、不思議でなりませんでした。
あとから気がついたので、付け足しておきますが、私はハードカバーの方を買ってしまったので少し後悔しています。…というのは、後から出版された文庫版には、27年後の伊藤との「再会」を書いた短編が新たに3巻の最後に加えられているようなので、今から買う方は、文庫版の方をお勧めします!!
短いですが、文庫版の一巻の最後の解説に、この小説の作者について書かれた部分があったので、この作品に作者のどういった思いが込められているのか、なぜここまでリアルに書けたのか、判った気がしました。(この解説もハードカバーの方にはありません。尚、2巻は文庫の内容とほぼ同じようです。)私なりの解釈ではありますが、最後の方に書かれた「僕が壊してしまった人の姿は」(最初は金窪先生の事だと思いましたが、)、もう一人の自分、すなわち作者自身だったのではないかと読み返してみて思いました。
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船に乗れ! (3) 単行本 – 2009/11/5
藤谷 治
(著)
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購入オプションとあわせ買い
『読売新聞』(11月8日朝刊)、『本の雑誌』(12月号)、『王様のブランチ』(TBS系11月14日放送)などで紹介された、2009年大本命の〈泣ける〉本!
高校の音楽科に通う主人公・津島サトルと個性豊かな仲間たち。彼らが過ごす音楽漬けの日々に、青春時代のきらめきと切なさを色濃く映し出した、本格青春小説三部作。爽快な第一楽章。
青春の「爽やかさ」と人生の「苦み」をともに描ききった、新たな「青春小説のスタンダード」として話題沸騰です。
お腹の奥のほうからじわりとこみあげてくる「苦しさ」はあった。けれど、そこには、それを圧倒する「青春」と呼ばれる時代のきらめきと、甘やかな刹那があった。
――西加奈子氏(『アスタ』2009年8月号より)
いまもっとも良質な青春小説といっていい。
――北上次郎氏(『本の雑誌』2009年8月号より)
クラシックの知識がなくても、まったく苦にならない。美しいものは切なくて、ひたむきな思いほど、哀しいのだと気づかされる。
――大崎梢氏(『朝日新聞』2009年9月6日朝刊より)
話題沸騰の青春音楽小説
3部作、ついに完結
最終学年になった津島、鮎川、伊藤らのアンサンブル。伊藤は津島に言った。「僕たちはこれからの方が大変だ。甘くない」。それぞれの心がぶつかり合い、再びふれ合った果てに訪れる、感涙の最終楽章――。
エンターテイメント性と奥深さを兼ね備え、各紙誌で熱狂をもって紹介された青春音楽小説三部作が、ここに堂々完結! 胸に沁みるフィナーレは、人生を変える、かもしれない。
2010年本屋大賞ノミネート作――
高校の音楽科に通う主人公・津島サトルと個性豊かな仲間たち。彼らが過ごす音楽漬けの日々に、青春時代のきらめきと切なさを色濃く映し出した、本格青春小説三部作。爽快な第一楽章。
青春の「爽やかさ」と人生の「苦み」をともに描ききった、新たな「青春小説のスタンダード」として話題沸騰です。
お腹の奥のほうからじわりとこみあげてくる「苦しさ」はあった。けれど、そこには、それを圧倒する「青春」と呼ばれる時代のきらめきと、甘やかな刹那があった。
――西加奈子氏(『アスタ』2009年8月号より)
いまもっとも良質な青春小説といっていい。
――北上次郎氏(『本の雑誌』2009年8月号より)
クラシックの知識がなくても、まったく苦にならない。美しいものは切なくて、ひたむきな思いほど、哀しいのだと気づかされる。
――大崎梢氏(『朝日新聞』2009年9月6日朝刊より)
話題沸騰の青春音楽小説
3部作、ついに完結
最終学年になった津島、鮎川、伊藤らのアンサンブル。伊藤は津島に言った。「僕たちはこれからの方が大変だ。甘くない」。それぞれの心がぶつかり合い、再びふれ合った果てに訪れる、感涙の最終楽章――。
エンターテイメント性と奥深さを兼ね備え、各紙誌で熱狂をもって紹介された青春音楽小説三部作が、ここに堂々完結! 胸に沁みるフィナーレは、人生を変える、かもしれない。
2010年本屋大賞ノミネート作――
- 本の長さ237ページ
- 言語日本語
- 出版社ジャイブ
- 発売日2009/11/5
- ISBN-104861767350
- ISBN-13978-4861767357
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商品の説明
著者について
1963年東京都生まれ。洗足学園高校音楽科、日本大学芸術学部映画学科卒業。2003年に『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』(小学館)でデビュー。08年、『いつか棺桶はやってくる』(小学館)が三島由紀夫賞候補になるなど、注目を集めている。著書『遠い響き』(毎日新聞社)、『二都』(中央公論新社)、『洗面器の音楽』(集英社)、『またたび峠』『恋するたなだ君』『おがたQ、という女』(以上、小学館文庫)、『下北沢 さまよう僕たちの街』(ピュアフル文庫/リトルモア)ほか。共著に、本作のスピンオフ短編が収録された『青春音楽小説アンソロジー Heart Beat』(ジャイブ)などがある。
登録情報
- 出版社 : ジャイブ (2009/11/5)
- 発売日 : 2009/11/5
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 237ページ
- ISBN-10 : 4861767350
- ISBN-13 : 978-4861767357
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,262,160位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 322,274位文学・評論 (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年3月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1巻から一気に3巻まで読みました。
このレビューを読む人は、1・2巻を読んでいる人がほとんどだと思います。2巻で止めずに是非最後まで読んでください。青春時代の葛藤や挫折が大人になった彼をどんな風に成長させていくのか。
1・2巻を読んでいる最中はもちろん、3巻を読み終わるまでこういう終わり方をするとは思わなかった。
この不況の中で、大学は就職予備校と化し、本来専門科目を学ぶ3年次から就職活動に追われているニュースをやりきれない思いで見ています。この若者たちは何の為に大学へ行き、専門的なことを学習するのかと疑問に思います。最近の大学生は、勉強したい大学へ行くのではなく、就職しやすい大学や専門を選ばざるを得ない、本当にかわいそうだと心を痛めています。
私のように音楽が好きで、それを勉強したいから音大へ行く・・・そんなことは許されない時代になりつつある。でも、本来大学というのは好きな学問を研究するところであるはず。音大出身の自分と重なり、途中辛いところもあったけれど、終わりまで読んでよかったと思う作品です。
音楽を学んで良かったと自分を肯定できる爽やかな終わり方でした。
このレビューを読む人は、1・2巻を読んでいる人がほとんどだと思います。2巻で止めずに是非最後まで読んでください。青春時代の葛藤や挫折が大人になった彼をどんな風に成長させていくのか。
1・2巻を読んでいる最中はもちろん、3巻を読み終わるまでこういう終わり方をするとは思わなかった。
この不況の中で、大学は就職予備校と化し、本来専門科目を学ぶ3年次から就職活動に追われているニュースをやりきれない思いで見ています。この若者たちは何の為に大学へ行き、専門的なことを学習するのかと疑問に思います。最近の大学生は、勉強したい大学へ行くのではなく、就職しやすい大学や専門を選ばざるを得ない、本当にかわいそうだと心を痛めています。
私のように音楽が好きで、それを勉強したいから音大へ行く・・・そんなことは許されない時代になりつつある。でも、本来大学というのは好きな学問を研究するところであるはず。音大出身の自分と重なり、途中辛いところもあったけれど、終わりまで読んでよかったと思う作品です。
音楽を学んで良かったと自分を肯定できる爽やかな終わり方でした。
2009年11月21日に日本でレビュー済み
第1巻の淡い恋心(でも、そこには影があった)に自分の過去を思い出し(笑)、第2巻の
(予想以上の展開に)胸を苦しめられ、且つ考えさせられました。
そして、完結編となる第3巻が満を持して登場。
今まで、小説で楽しんだり、考えさせられることはありました(と言っても、読書量に
占める小説の割合は低いです)。この作品も「音楽とは何ぞや(これはメインでは無い)」
とか「人生とは何ぞや」をエンタメと言う包みに包んで読者の目の前に持って来ます。
でも、それだけでは無いのです。
主人公の様な体験は、現実に置き換えてもレアなケースでしょう。でも、それがもたらす
結果というのは、多くの人が通って来た道、いや、今も通っているのでは無いのでしょうか?
主人公の体験に自分の経験を重ねる・・・それ故に自分の痛み、他人の痛みが、ページを
めくる手や文字を追う目から伝わって来ます。
詳しくはネタばれになるので書けませんが、一見、何を意味しているのか?なタイトルも
そこらへんを・・・しています。
その結果・・・イイ歳したおっさんですが・・・泣きました。登場人物のそれぞれの想いが
−作中で登場する音楽のように−それぞれによって奏でられ、そしてそれはアンサンブル=
分かり合えることもあれば、そこに至らず・・・なこともあるのです。そこら辺をお茶を濁す
こと無く正面から堂々と描いています。それに故に涙腺を刺激したのです。
読破後、私の中に湧きあがった感情は何処までも広がる切なさでした。しかし、その切なさ
ゆえに、本作は読者の心に響くと思うのです。
そう、舞台は作りごとでも、中身は自分が通って来た道だから・・・
附:作中に登場するクラシックの各曲。確かに知らなくても、知っていた方がより楽しめる
のは事実です。それに藤谷氏の筆運びが上手い。知らないなら知らないで「どんな曲か?」
と聴きたくなるのですから。
(予想以上の展開に)胸を苦しめられ、且つ考えさせられました。
そして、完結編となる第3巻が満を持して登場。
今まで、小説で楽しんだり、考えさせられることはありました(と言っても、読書量に
占める小説の割合は低いです)。この作品も「音楽とは何ぞや(これはメインでは無い)」
とか「人生とは何ぞや」をエンタメと言う包みに包んで読者の目の前に持って来ます。
でも、それだけでは無いのです。
主人公の様な体験は、現実に置き換えてもレアなケースでしょう。でも、それがもたらす
結果というのは、多くの人が通って来た道、いや、今も通っているのでは無いのでしょうか?
主人公の体験に自分の経験を重ねる・・・それ故に自分の痛み、他人の痛みが、ページを
めくる手や文字を追う目から伝わって来ます。
詳しくはネタばれになるので書けませんが、一見、何を意味しているのか?なタイトルも
そこらへんを・・・しています。
その結果・・・イイ歳したおっさんですが・・・泣きました。登場人物のそれぞれの想いが
−作中で登場する音楽のように−それぞれによって奏でられ、そしてそれはアンサンブル=
分かり合えることもあれば、そこに至らず・・・なこともあるのです。そこら辺をお茶を濁す
こと無く正面から堂々と描いています。それに故に涙腺を刺激したのです。
読破後、私の中に湧きあがった感情は何処までも広がる切なさでした。しかし、その切なさ
ゆえに、本作は読者の心に響くと思うのです。
そう、舞台は作りごとでも、中身は自分が通って来た道だから・・・
附:作中に登場するクラシックの各曲。確かに知らなくても、知っていた方がより楽しめる
のは事実です。それに藤谷氏の筆運びが上手い。知らないなら知らないで「どんな曲か?」
と聴きたくなるのですから。
2011年10月21日に日本でレビュー済み
一巻は、「一瞬の風になれ」のオーケストラ版のような、素晴らしい青春小説だと思って
読んでいました。しかしその爽やかさは二巻から段々なりを潜め、代わりに生きることのままならなさや、
人間の闇の部分が浮き上がってきます。
ラストの主人公の独白はとても印象に残りました。
結局、生きるということはままならないことばかりで、大切なものを失って、また得て、そして失っていく
その繰り返しなのだということだと、感じました。
誰の人生にも、サトルにとっての新生学園での毎日のような、かけがえのない、まぶしい楽園のような日々があって、
その日々を失っても人は生きていくしかなくて、航海は死ぬまで続く。
安易に青春時代をノスタルジックに振り返る小説ではなかったところに、とても感動しました。
最初は「一瞬の風になれ」のオーケストラ版だと思いましたが、読み終えた後は「ノルウェイの森」の青春オーケストラ版
のように思えます。
読んでいました。しかしその爽やかさは二巻から段々なりを潜め、代わりに生きることのままならなさや、
人間の闇の部分が浮き上がってきます。
ラストの主人公の独白はとても印象に残りました。
結局、生きるということはままならないことばかりで、大切なものを失って、また得て、そして失っていく
その繰り返しなのだということだと、感じました。
誰の人生にも、サトルにとっての新生学園での毎日のような、かけがえのない、まぶしい楽園のような日々があって、
その日々を失っても人は生きていくしかなくて、航海は死ぬまで続く。
安易に青春時代をノスタルジックに振り返る小説ではなかったところに、とても感動しました。
最初は「一瞬の風になれ」のオーケストラ版だと思いましたが、読み終えた後は「ノルウェイの森」の青春オーケストラ版
のように思えます。
2010年1月14日に日本でレビュー済み
音楽高校を卒業するまでの最終学年を迎えた主人公・サトルと仲間たち。
ある人の「空白」を抱えたまま、最後の時間をそれぞれの道を模索しながら
音を作ってゆく日々。
卒業前提の話なので、感傷的に泣かせに走る手もあるし、あるいは、皆が
成功して立派な音楽家になりました、めでたしめでたし、と、きらびやかに
終わる手もある・・・が、作者は、どちらの手も使わず、淡々と、力強く
その「最後の時」を描くのだ。そして、それ以降の大人になった彼のことも。
音楽や恋に打ち込んだ日々を、ただ「せつなかった」「充実してた」と言いきれずに
これだけ長い紙数を割いて、そのもどかしさも、わけのわからなさもすべて
描き切ったからこそ、ラストの主人公の静かな姿にグッとくる。
ある人の「空白」を抱えたまま、最後の時間をそれぞれの道を模索しながら
音を作ってゆく日々。
卒業前提の話なので、感傷的に泣かせに走る手もあるし、あるいは、皆が
成功して立派な音楽家になりました、めでたしめでたし、と、きらびやかに
終わる手もある・・・が、作者は、どちらの手も使わず、淡々と、力強く
その「最後の時」を描くのだ。そして、それ以降の大人になった彼のことも。
音楽や恋に打ち込んだ日々を、ただ「せつなかった」「充実してた」と言いきれずに
これだけ長い紙数を割いて、そのもどかしさも、わけのわからなさもすべて
描き切ったからこそ、ラストの主人公の静かな姿にグッとくる。
2011年8月23日に日本でレビュー済み
ネタバレになるので書けないが、ラストが酷い。ここまでの濃密な青春活劇が一瞬で空疎なものになった。
1、2巻と素晴らしかっただけに残念だ。
1、2巻と素晴らしかっただけに残念だ。
2010年5月16日に日本でレビュー済み
ちなにみ音楽の知識はまったく無くても完全に堪能できます。
これほど感情移入させられる小説は久しく読んでませんでした。その分いい意味で?後遺症が長く残りました。
1巻目は遠くなった自分の高校時代を思い浮かべながら、微笑ましくも羨ましいと思いつつ楽しい気分を味わってました。
高校生になった子供にも読ませたいなくらいの長閑な読後感でした。
そこで2巻目、あまり警戒もなく感情移入していただけに受けたショックは並大抵のものではなかったです。
主人公の受けたショック(あまりに理不尽に思える状況へのやり場のない怒り)がまるで自分の経験のなかで、つい最近起きたかのような
衝撃を受けました。その感情は2日たっても消えず、ある意味辛かったです。
3巻目では、そんな気持ちが解消されるのか、なんとかハッピーエンドに導いてくれるのではとすがる様な気持ちで読み始めたました。
でも3巻目も面白いし納得できる内容だったけど、ざわついた気持ちを静めてくれるものではなかったです。
それは自分の人生を振り返れば想像できるはずで、人生の航海中にハッピーエンドなんてあるはずも無いですよね。
書評の粗筋だけ読めば普通の恋愛、学園もののようなのに。読後のこの感情はどこから来るのでしょう。
最後に主人公は吹っ切れたと語るところがあるけど、3巻読み終わっても未だに気持ちのざわつきが治まらないです。
後、気になって仕方が無いところがひとつ。17歳の女の子の気持ち等わかるはずも無いけど、南は夏休みに別の彼氏と付き合った後、
何事も無かったら主人公とどう付き合うつもりだったのでしょう。だれか聞かせて下さい?
これほど感情移入させられる小説は久しく読んでませんでした。その分いい意味で?後遺症が長く残りました。
1巻目は遠くなった自分の高校時代を思い浮かべながら、微笑ましくも羨ましいと思いつつ楽しい気分を味わってました。
高校生になった子供にも読ませたいなくらいの長閑な読後感でした。
そこで2巻目、あまり警戒もなく感情移入していただけに受けたショックは並大抵のものではなかったです。
主人公の受けたショック(あまりに理不尽に思える状況へのやり場のない怒り)がまるで自分の経験のなかで、つい最近起きたかのような
衝撃を受けました。その感情は2日たっても消えず、ある意味辛かったです。
3巻目では、そんな気持ちが解消されるのか、なんとかハッピーエンドに導いてくれるのではとすがる様な気持ちで読み始めたました。
でも3巻目も面白いし納得できる内容だったけど、ざわついた気持ちを静めてくれるものではなかったです。
それは自分の人生を振り返れば想像できるはずで、人生の航海中にハッピーエンドなんてあるはずも無いですよね。
書評の粗筋だけ読めば普通の恋愛、学園もののようなのに。読後のこの感情はどこから来るのでしょう。
最後に主人公は吹っ切れたと語るところがあるけど、3巻読み終わっても未だに気持ちのざわつきが治まらないです。
後、気になって仕方が無いところがひとつ。17歳の女の子の気持ち等わかるはずも無いけど、南は夏休みに別の彼氏と付き合った後、
何事も無かったら主人公とどう付き合うつもりだったのでしょう。だれか聞かせて下さい?
2010年4月8日に日本でレビュー済み
青春時代は輝いて見える。過去を振り返ると、そう感じる。本書も輝かしき青春時代の思い出をつづったような物語であった。
現在とのギャップがあるからこそ、小説としては光り輝くのであろうか?
現在とのギャップがあるからこそ、小説としては光り輝くのであろうか?