「残留日本兵の真実」インドネシア独立戦争を戦った男たちの記録とタイトルにありますが、
この書が世に出るキッカケとなったのは、2004年8月14日にジャワ島東南部のバトゥ市の村落でに、85歳の元日本兵との著者との出会いがありました。
その場で元日本兵の方は数冊の本を著者に手渡すが、その中に「独立戦争当時の陣中日誌と共に現在迄の重要事項」と記された冊子でした。これが戦後に書かれた体験談や回想録ではない同時代性のある貴重な「一次資料」だったのです。
インドネシア独立戦争に義勇兵として参加した元日本兵の参加理由はそれぞれ異なるのですが、その歴史に光をあてる書となっている。
合わせて、同時進行の形で独立戦争全体の変遷と、日本の敗戦後インドネシアに進駐して来たオランダ軍の軍事行動とインドネシア国軍との戦闘推移が記されており、独立に到る苦闘の歴史も記されている。
しかし、本書の真髄は終章最後のページにあると思われます。
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残留日本兵の真実: インドネシア独立戦争を戦った男たちの記録 単行本 – 2007/6/1
林 英一
(著)
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日本敗戦後、オランダとのインドネシア独立戦争に身を投じた元
日本兵
たち。彼らはなぜ、帰国しなかったのか。"英雄譚"としてでなく、
"悲劇の主人公"としてでなく、残留日本兵の等身大の姿を、貴重な一
次史料を駆使して初めて描き出す。歴史の闇を照射し、日本人の歴史観
の変転を促す画期的論考。
日本兵
たち。彼らはなぜ、帰国しなかったのか。"英雄譚"としてでなく、
"悲劇の主人公"としてでなく、残留日本兵の等身大の姿を、貴重な一
次史料を駆使して初めて描き出す。歴史の闇を照射し、日本人の歴史観
の変転を促す画期的論考。
- 本の長さ406ページ
- 言語日本語
- 出版社作品社
- 発売日2007/6/1
- ISBN-104861821304
- ISBN-13978-4861821301
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商品の説明
著者について
林英一(はやし・えいいち)
1984年三重県生まれ。慶応大学大学院経済学研究科修士課程在学中。
専攻:歴史学、地域研究。
1984年三重県生まれ。慶応大学大学院経済学研究科修士課程在学中。
専攻:歴史学、地域研究。
登録情報
- 出版社 : 作品社 (2007/6/1)
- 発売日 : 2007/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 406ページ
- ISBN-10 : 4861821304
- ISBN-13 : 978-4861821301
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上位レビュー、対象国: 日本
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2013年4月28日に日本でレビュー済み
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2007年10月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本の作者、林英一さんに私はお会いしたことがある。同氏が2005年にインドネシア・メダンの残留日本兵・中村常五郎さんを取材に来たときに、在メダン・橋・日本国総領事から引き合わせてもらったのである。だから、この本をアマゾン.コムで知ってすぐに買った。
これはインドネシアの残留日本兵について、学術論文として予断を交えずに書かれた最新の作品である。それだけに過去に私が読んだこの種の本とは、かなり趣が違うと思った。著者は指摘する、これまでのこの種の本は生き残りの残留日本兵からの聞き書きが主体であったために、長い時間をかけての本人の思い込みや失念による不正確な事象をそのままに書いていた感がある、そしてこう主張する、しかし私は(著者は)現存する資料を基にして、終戦後に日本の部隊を離れてインドネシアに残った旧日本軍兵士の残留の動機や生き様を描くべきであると思い、残留日本兵である小野ラフマットさんからの聞き書きと彼の残した資料によって日本人がインドネシア独立戦争に関わった事実を解読していこうと思った。
私はこのような手法によって事実を解明していこうとしている作者の態度に感銘し、共感するものである。何もかもを白日の下にさらけ出すことにより、人を感動させるような劇的な事実は薄れていくかもしれない、しかし、過去の歴史的事象を科学的に証明することの大切さをもっと我々は認識するべきだと思う。今日本が非難されている慰安婦問題や南京事件、或いは日本が被害者となっている北朝鮮の拉致問題に対しても、このような手法による日本の主張が必要なのではないだろうか。
最後に、動機はどうであれ、インドネシアの独立のために戦った日本人が居たということは厳然とした事実であり、私はそのことについて深い尊敬の念を抱かずにはいられない。
これはインドネシアの残留日本兵について、学術論文として予断を交えずに書かれた最新の作品である。それだけに過去に私が読んだこの種の本とは、かなり趣が違うと思った。著者は指摘する、これまでのこの種の本は生き残りの残留日本兵からの聞き書きが主体であったために、長い時間をかけての本人の思い込みや失念による不正確な事象をそのままに書いていた感がある、そしてこう主張する、しかし私は(著者は)現存する資料を基にして、終戦後に日本の部隊を離れてインドネシアに残った旧日本軍兵士の残留の動機や生き様を描くべきであると思い、残留日本兵である小野ラフマットさんからの聞き書きと彼の残した資料によって日本人がインドネシア独立戦争に関わった事実を解読していこうと思った。
私はこのような手法によって事実を解明していこうとしている作者の態度に感銘し、共感するものである。何もかもを白日の下にさらけ出すことにより、人を感動させるような劇的な事実は薄れていくかもしれない、しかし、過去の歴史的事象を科学的に証明することの大切さをもっと我々は認識するべきだと思う。今日本が非難されている慰安婦問題や南京事件、或いは日本が被害者となっている北朝鮮の拉致問題に対しても、このような手法による日本の主張が必要なのではないだろうか。
最後に、動機はどうであれ、インドネシアの独立のために戦った日本人が居たということは厳然とした事実であり、私はそのことについて深い尊敬の念を抱かずにはいられない。
2017年10月11日に日本でレビュー済み
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この本は、著者がインドネシア独立戦争で戦ったラフマット小野さんの家に泊まり込みの密着取材をし、彼の生涯を通してインドネシア独立や残留日本兵の真実を紐解いていくといった内容だ。(ちなみに指導教官は、あの倉沢愛子女史。)
丁寧に資料をまとめられているところは凄い。が、この本を、後世に語り継ぐ教科書的なものとして扱うことは避けたい。
こちらの本の熱心な信者の方かは分からないが、お年寄りの方や、現地にいる日本人等、何人かがこちらの本を、勉強しなさいと私に薦めてきたことがあった。そのたび心の中で深い深い溜息が出た。
以下に理由を述べる。
著者は、ラフマット小野さんがアジアの解放の理想のために戦うという気概は、独立戦争後、後付けされ創られた記憶であると評価している。
これはラフマット小野さんの、「天皇陛下のアジア解放を果たせず申し訳なく思うという大御心を受け継ぎ、独立戦争を戦う決心」とは全く異なるものであり、失礼だと思う。また、南進した当初から日本国民全体の共通の感情として、アジアの解放の使命感に燃えていたのは紛れもない事実だったのだから、後付けではなくて初めからそのつもりでいたはずだ。
著者には、もしご存命ならラフマット小野さん本人に「後付けですよね?」って尋ねてみてもらいたいものだ。
最も目を疑がったのが、
"ラフマット小野は日本敗戦時、「棄民」でも「英雄」でもない、「普通の日本兵」に過ぎなかった。だからアジアの解放の為に異国の地に残る決意をしていたわけではなかった"
という部分だ。目玉が飛び出そうだ(笑)ラフマットさんは正真正銘の英雄だ。筆者が本当に寝食を共にし、ラフマット小野さんの心に寄り添い、素直に話を聞いて取材していたら、どんな理由があろうともこのような書き方、表現はしないと思う。百歩譲って日本敗戦前は実戦を経験していないから英雄じゃなかったとしても、流石にあの血まみれの独立戦争を生き抜いたあの方を英雄と讃えないのはおかしい。全400頁を見ても、著者が彼をはっきり英雄と評価する場面は見当たらなかった。
素直に書けばいいと思う。アジアの解放の為に戦ったとインタビューで御本人が答えられてるのだから、素直に、アジアの解放の為に戦いましたと、書けばいい。なのに色んな小難しい理由をつけて、何が何でもアジアの解放の為に戦ったという事実を歪曲したがる。
日本兵個人と日本軍とを切り離して、小野さん個人は素晴らしいが、日本軍は悪かったという印象を与えたいのだろう。
若者に伝えていくには、もっと誇りある歴史を紡いでいかなくてはならない。
残留日本兵の真実を書くならば、残留日本兵の大和魂にもっと注視するべきと思う。先ほども書いたが、天皇陛下のアジアの独立を果たせず申し訳なく思うとの大御心を受け継ぎ、独立戦争を戦う決意をした、その無私で、純粋で、素朴な日本精神を持つ人がいた事実を伝えるほうが、変に資料や理屈を並べるよりよっぽど残留日本兵の真実に近づくのではないか。私はそう思った。
丁寧に資料をまとめられているところは凄い。が、この本を、後世に語り継ぐ教科書的なものとして扱うことは避けたい。
こちらの本の熱心な信者の方かは分からないが、お年寄りの方や、現地にいる日本人等、何人かがこちらの本を、勉強しなさいと私に薦めてきたことがあった。そのたび心の中で深い深い溜息が出た。
以下に理由を述べる。
著者は、ラフマット小野さんがアジアの解放の理想のために戦うという気概は、独立戦争後、後付けされ創られた記憶であると評価している。
これはラフマット小野さんの、「天皇陛下のアジア解放を果たせず申し訳なく思うという大御心を受け継ぎ、独立戦争を戦う決心」とは全く異なるものであり、失礼だと思う。また、南進した当初から日本国民全体の共通の感情として、アジアの解放の使命感に燃えていたのは紛れもない事実だったのだから、後付けではなくて初めからそのつもりでいたはずだ。
著者には、もしご存命ならラフマット小野さん本人に「後付けですよね?」って尋ねてみてもらいたいものだ。
最も目を疑がったのが、
"ラフマット小野は日本敗戦時、「棄民」でも「英雄」でもない、「普通の日本兵」に過ぎなかった。だからアジアの解放の為に異国の地に残る決意をしていたわけではなかった"
という部分だ。目玉が飛び出そうだ(笑)ラフマットさんは正真正銘の英雄だ。筆者が本当に寝食を共にし、ラフマット小野さんの心に寄り添い、素直に話を聞いて取材していたら、どんな理由があろうともこのような書き方、表現はしないと思う。百歩譲って日本敗戦前は実戦を経験していないから英雄じゃなかったとしても、流石にあの血まみれの独立戦争を生き抜いたあの方を英雄と讃えないのはおかしい。全400頁を見ても、著者が彼をはっきり英雄と評価する場面は見当たらなかった。
素直に書けばいいと思う。アジアの解放の為に戦ったとインタビューで御本人が答えられてるのだから、素直に、アジアの解放の為に戦いましたと、書けばいい。なのに色んな小難しい理由をつけて、何が何でもアジアの解放の為に戦ったという事実を歪曲したがる。
日本兵個人と日本軍とを切り離して、小野さん個人は素晴らしいが、日本軍は悪かったという印象を与えたいのだろう。
若者に伝えていくには、もっと誇りある歴史を紡いでいかなくてはならない。
残留日本兵の真実を書くならば、残留日本兵の大和魂にもっと注視するべきと思う。先ほども書いたが、天皇陛下のアジアの独立を果たせず申し訳なく思うとの大御心を受け継ぎ、独立戦争を戦う決意をした、その無私で、純粋で、素朴な日本精神を持つ人がいた事実を伝えるほうが、変に資料や理屈を並べるよりよっぽど残留日本兵の真実に近づくのではないか。私はそう思った。
2007年7月10日に日本でレビュー済み
新資料をもとに「インドネシア残留日本兵」の実像解明と「神話」解体を目指した意欲的論考。
一残留者ラフマット・小野氏のライフヒストリーをあくまで主軸に据えつつ、
並行して当時の情勢を丹念に追うことで、安易なノンフィクションに堕さぬ記述を可能にしている。
「傀儡政権」の呼称を巡る「インドネシア対オランダ」図式では説明のつかぬ錯綜や、
「インドネシア」独立の進展そのものが逆に参加者ラフマットたちを「無国籍者」へと追いやる構図など、
一つの国民国家創出が孕んだ歴史体験への視角の存在が、一次資料を単なる素材へと貶めることなく
確実に現在へと呼びかける歴史の声たらしめていると言ってよい。
しかし、さしあたり「日本人」の我々にとって示唆的なのは、ラフマットたちが戦ったのは、
本人も語るように、決して「大東亜」戦争の継続などではなかった、という事実だ。
恐らくここで著者が戒めているのは、近現代アジアの歴史を「大東亜」戦争という視座によって
強く把握しようとする、今なお我々の内に隠された欲望ではないかと考えられる。
思えば、著者の批判する「英雄」「棄民」二項対立とは、「大東亜」戦争が内包したアジア観の両面性の再現だ。
そこに存在するのは「解放」されるべきアジアと、「遅れた」アジアであり、それはまた、
かつて竹内好が糾弾した「アジアでないといいながら、アジアに対する支配権は失いたくない」日本自身の姿である。
「解放」と呼ぼうと「侵略」と呼ぼうと、現に生きた人々を捉えられぬまま国家中心で歴史を語る限り、
我々は常にこの<日本/アジア>イメージに絡み捕られてしまう。
このことは政治的右左に関わらず、有意味な忠告たり得るだろう。
「日本国家」中心的な歴史像の呪縛を解く、一つの果敢な試みとして評価したい。
一残留者ラフマット・小野氏のライフヒストリーをあくまで主軸に据えつつ、
並行して当時の情勢を丹念に追うことで、安易なノンフィクションに堕さぬ記述を可能にしている。
「傀儡政権」の呼称を巡る「インドネシア対オランダ」図式では説明のつかぬ錯綜や、
「インドネシア」独立の進展そのものが逆に参加者ラフマットたちを「無国籍者」へと追いやる構図など、
一つの国民国家創出が孕んだ歴史体験への視角の存在が、一次資料を単なる素材へと貶めることなく
確実に現在へと呼びかける歴史の声たらしめていると言ってよい。
しかし、さしあたり「日本人」の我々にとって示唆的なのは、ラフマットたちが戦ったのは、
本人も語るように、決して「大東亜」戦争の継続などではなかった、という事実だ。
恐らくここで著者が戒めているのは、近現代アジアの歴史を「大東亜」戦争という視座によって
強く把握しようとする、今なお我々の内に隠された欲望ではないかと考えられる。
思えば、著者の批判する「英雄」「棄民」二項対立とは、「大東亜」戦争が内包したアジア観の両面性の再現だ。
そこに存在するのは「解放」されるべきアジアと、「遅れた」アジアであり、それはまた、
かつて竹内好が糾弾した「アジアでないといいながら、アジアに対する支配権は失いたくない」日本自身の姿である。
「解放」と呼ぼうと「侵略」と呼ぼうと、現に生きた人々を捉えられぬまま国家中心で歴史を語る限り、
我々は常にこの<日本/アジア>イメージに絡み捕られてしまう。
このことは政治的右左に関わらず、有意味な忠告たり得るだろう。
「日本国家」中心的な歴史像の呪縛を解く、一つの果敢な試みとして評価したい。
2007年10月29日に日本でレビュー済み
この作品は、厳しい戦時下で克明に「陣中日誌」を記した元日本兵青年=ラフマット小野と、戦争史実を追究する現代の院生青年=林英一の出逢いから生まれた結晶だ。それは「運命的」といっても過言ではない。
「陣中日誌」とともに、ラフマットが赤裸々に綴った戦後の回顧録「生涯の記」に、林の鋭い洞察眼が切り込む。そこには学者としての単なる「分析」ではなく、史実を追う強い意志と老師に向き合う敬愛の念が伝わってくる。
個人的に大変興味深かったのは、新聞記者でありながらインドネシア独立戦争に参加、戦死したアブドゥル・ラフマンこと市来龍夫(隊長)とラフマットとの親交の記述だ。
隊長ハ大ノ釣好キ丈アッテ(中略)六十匹ノ「コイ」ノ子(四寸位)が釣レル。又之ヲ「油揚ゲ」ニシ砂糖ヲ混ゼ「関東煮」ニスレバ山海ノ珍味ダ。(中略)稀ニ飲ム事ニテ一同大イニ気焔ヲ上ゲル。
戦時中の憩いの一時が生き生きと伝わってくる。
国際的な冷戦と内紛・政争の狭間に翻弄されながらも、当時の日本人部隊が戦い抜いた経緯が分かる。武器爆発事故で左腕を失ったラフマット、市来が亡くなったバンジャル・パトマンの戦いの様子の記述は、小説よりも鬼気迫るものがある。
紹介されているラフマットの歌の一つは胸を打つ。
目のよわり 光に文字を浮き上げて 綴る心は 激動の世を
本作は、歴史上の人物写真と図説も豊富に掲載。学術書としても歴史書としても、1人の人間の自叙伝としても十分読み応えがある。
「陣中日誌」とともに、ラフマットが赤裸々に綴った戦後の回顧録「生涯の記」に、林の鋭い洞察眼が切り込む。そこには学者としての単なる「分析」ではなく、史実を追う強い意志と老師に向き合う敬愛の念が伝わってくる。
個人的に大変興味深かったのは、新聞記者でありながらインドネシア独立戦争に参加、戦死したアブドゥル・ラフマンこと市来龍夫(隊長)とラフマットとの親交の記述だ。
隊長ハ大ノ釣好キ丈アッテ(中略)六十匹ノ「コイ」ノ子(四寸位)が釣レル。又之ヲ「油揚ゲ」ニシ砂糖ヲ混ゼ「関東煮」ニスレバ山海ノ珍味ダ。(中略)稀ニ飲ム事ニテ一同大イニ気焔ヲ上ゲル。
戦時中の憩いの一時が生き生きと伝わってくる。
国際的な冷戦と内紛・政争の狭間に翻弄されながらも、当時の日本人部隊が戦い抜いた経緯が分かる。武器爆発事故で左腕を失ったラフマット、市来が亡くなったバンジャル・パトマンの戦いの様子の記述は、小説よりも鬼気迫るものがある。
紹介されているラフマットの歌の一つは胸を打つ。
目のよわり 光に文字を浮き上げて 綴る心は 激動の世を
本作は、歴史上の人物写真と図説も豊富に掲載。学術書としても歴史書としても、1人の人間の自叙伝としても十分読み応えがある。
2010年10月31日に日本でレビュー済み
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残留兵の話ではなく著者のどうでもいい体験談がだらだらつづき残留兵についての記述がなかなか始まらない。
そして関係ない記述があまりにも多い。内容についても文体についても。
内容については、たとえば太平洋戦争の概略などこの本のテーマからしたら一切不要。読者は知っているものとして書けばよい。
文体については、情緒的でどうでもいい記述が多すぎる。例えば、本書の主人公小野は北海道富良野で生まれた。とだけ書けばいいのに、テレビドラマ「北の国から」で有名になった〜の秋は紅葉で彩られるとか、そうした衣替えが......とか、この本は文学じゃないはずで、イライラするからこんな雑音的記述は一切やめてほしい。
さらに言えば、引用があまりにも多い。本書に限らず引用が多すぎる本はそもそもその本の存在意義が問われると思うし、こんなにそのまま引用するのならその日記をそのまま本にしてくれ...
かなり期待させられるタイトルであったので、ハズレだったときのショックも大きかった。
編集者とか著者に出版をすすめた新聞記者は何をしてたのだろう。
残留兵の日記を紹介しただけ、というよりこれじゃ紹介にもなっていない。残留兵ご本人の日記をそのまま出版して欲しい。
そして関係ない記述があまりにも多い。内容についても文体についても。
内容については、たとえば太平洋戦争の概略などこの本のテーマからしたら一切不要。読者は知っているものとして書けばよい。
文体については、情緒的でどうでもいい記述が多すぎる。例えば、本書の主人公小野は北海道富良野で生まれた。とだけ書けばいいのに、テレビドラマ「北の国から」で有名になった〜の秋は紅葉で彩られるとか、そうした衣替えが......とか、この本は文学じゃないはずで、イライラするからこんな雑音的記述は一切やめてほしい。
さらに言えば、引用があまりにも多い。本書に限らず引用が多すぎる本はそもそもその本の存在意義が問われると思うし、こんなにそのまま引用するのならその日記をそのまま本にしてくれ...
かなり期待させられるタイトルであったので、ハズレだったときのショックも大きかった。
編集者とか著者に出版をすすめた新聞記者は何をしてたのだろう。
残留兵の日記を紹介しただけ、というよりこれじゃ紹介にもなっていない。残留兵ご本人の日記をそのまま出版して欲しい。
2007年7月8日に日本でレビュー済み
若い大学院生の力作。
学部生の段階から史料の読み込みとフィールドワークを積み重ね、あれほどの量
と質をもった書物を出したことには、ただ驚くばかり。
こうした若い世代の歴史認識が、これからの21世紀の日本の行く末に大きく関係
していると思う。
その意味でも、若い世代に読ませたい本である。
学部生の段階から史料の読み込みとフィールドワークを積み重ね、あれほどの量
と質をもった書物を出したことには、ただ驚くばかり。
こうした若い世代の歴史認識が、これからの21世紀の日本の行く末に大きく関係
していると思う。
その意味でも、若い世代に読ませたい本である。
2007年7月8日に日本でレビュー済み
残留日本兵の方からもらった日記を紹介しただけの本。「英雄」か「棄民」かの議論も薄っぺらく、安手のジャーナリズムの域を出ない。これほど「分析」がない本も珍しいのではないか。