邦訳のタイトルがかなり煽り気味なことは、この本にとって幸運なのか不運なのか ――。この本は「費用便益分析」、つまり「損得勘定の正しいやり方」についての真っ当な教科書である。本書の信頼性が確かだと判断できる理由をいくつか挙げてみよう。
(1) 対象読者を明確に意識した教科書である。つまり、何も知らない初心者向け。
(2)「費用便益分析」万々歳ではなく、この手法の限界も認識している。つまり、使いどころをわきまえている。
(3) 著者が持っている意見と、他の経済学者なら持つかもしれない意見とが、区別されつつ併記されている。
(4) 著者にユーモアのセンスがある。ユーモアのセンスは、その人が自分を客観視できることを示し、だから信頼できる証拠の一つになる。そして笑える。
「これだから経済学者はやめられない。ぼくたちは他人に逆らうのが仕事なんだから!」そう言って憚らない著者は、良識ある市民の我々が思わず眉をしかめたくなるような議論を展開する。でも、それこそが本書の長所だ。我々が「眉をしかめたくなる」のは、我々が「偏見に捕らわれている」ということでもあるんだから。本書はそのことに目を開かせてくれる。著者がもうちょっと素直な人間だったら、挑発的なさっきの台詞は、きっとぜんぜん別の言い方になる。たとえば、「偏見を捨てて、もっともっとよく考えてみよう。ぼくたちのやり方を一つ教えてあげるから!」とか。(ぜひ訳者解説の「警告」を読んで、このレヴューによって持ってしまったかもしれない本書に対する「偏見」とのバランスを調整してくださいね。)
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人でなしの経済理論-トレードオフの経済学 単行本 – 2009/4/3
ハロルド・ウィンター
(著),
山形浩生
(翻訳)
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購入オプションとあわせ買い
「経済学者はいかにして人の神経を逆なでするか」
かかる費用とそこで得られる便益をはかりにかけて、意思決定するのがトレードオフの考え方。でもこのトレードオフ、経済方面だけでなく、社会のさまざまな問題についても応用できる。人命の価値は金額に換算するといかほどか? 移植用の臓器を強制摘出できるように法律で決めたらそのメリット、デメリットは?HIV検査の普及は逆にエイズの拡大をまねく可能性があるから抑制したほうがいい? ……経済学者はときに血も涙もないシミュレーションを試みる。「正しいかまちがっているか」より費用と便益が問題なのだ。よりよい社会政策、行動のための、人でなしの発想から入る費用便益分析入門。訳者・山形浩生による解説も秀逸。
かかる費用とそこで得られる便益をはかりにかけて、意思決定するのがトレードオフの考え方。でもこのトレードオフ、経済方面だけでなく、社会のさまざまな問題についても応用できる。人命の価値は金額に換算するといかほどか? 移植用の臓器を強制摘出できるように法律で決めたらそのメリット、デメリットは?HIV検査の普及は逆にエイズの拡大をまねく可能性があるから抑制したほうがいい? ……経済学者はときに血も涙もないシミュレーションを試みる。「正しいかまちがっているか」より費用と便益が問題なのだ。よりよい社会政策、行動のための、人でなしの発想から入る費用便益分析入門。訳者・山形浩生による解説も秀逸。
- ISBN-104862381324
- ISBN-13978-4862381323
- 出版社バジリコ
- 発売日2009/4/3
- 言語日本語
- 本の長さ213ページ
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商品の説明
著者について
オハイオ大学で経済学を教える。近刊に『The Economics of Crime』(Routledge)がある。
登録情報
- 出版社 : バジリコ (2009/4/3)
- 発売日 : 2009/4/3
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 213ページ
- ISBN-10 : 4862381324
- ISBN-13 : 978-4862381323
- Amazon 売れ筋ランキング: - 548,866位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 53,671位ビジネス・経済 (本)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2014年8月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2010年5月6日に日本でレビュー済み
この本は、原著のタイトル Trade-Offs にもあるように、
トレードオフについて論じた本である。
そして、この本の内容は、次の一文によくあらわされている。
「もしある問題の一方の側についているなら、それはまちがった側だ」(p.8)
つまり、すべてのことがらには、トレードオフがあり、
費用/便益、両方を考える必要がある(けれど、それは非常に難しい)
という話である。
たとえば、「人命はなによりも尊い」という言い回しも、
そりゃあそうだろう、と思ってしまいがちだけど、
だとしたら、世界中から「車」をなくすべきである、となる。
たとえば、「車に乗るときにシートベルトを着用する」というのは、
人間の安全にとって、明らかに便益が大きいことだと思われているが、
シートベルトをしていることで、運転手が油断をして、運転が
荒くなり、もしかしたら、逆に、事故が起こりやすくなる可能性もある。
(もし、シートベルトをせずに運転をすることになったら、
まちがいなく、普段よりも、慎重な運転になるだろう)
ディベートなどの際にも役に立つという点で、たんなる経済学の解説本
ではなく、ビジネス書としても、非常に役に立つ本だと思う。
トレードオフについて論じた本である。
そして、この本の内容は、次の一文によくあらわされている。
「もしある問題の一方の側についているなら、それはまちがった側だ」(p.8)
つまり、すべてのことがらには、トレードオフがあり、
費用/便益、両方を考える必要がある(けれど、それは非常に難しい)
という話である。
たとえば、「人命はなによりも尊い」という言い回しも、
そりゃあそうだろう、と思ってしまいがちだけど、
だとしたら、世界中から「車」をなくすべきである、となる。
たとえば、「車に乗るときにシートベルトを着用する」というのは、
人間の安全にとって、明らかに便益が大きいことだと思われているが、
シートベルトをしていることで、運転手が油断をして、運転が
荒くなり、もしかしたら、逆に、事故が起こりやすくなる可能性もある。
(もし、シートベルトをせずに運転をすることになったら、
まちがいなく、普段よりも、慎重な運転になるだろう)
ディベートなどの際にも役に立つという点で、たんなる経済学の解説本
ではなく、ビジネス書としても、非常に役に立つ本だと思う。
2009年4月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
経済学でよくでてくるトレードオフの入門書。初めて学ぶ人でもわかるように、数式などはいっさい使っておらず、かわりに多くの事例を挙げている。どれもわかりやすい事例だ。政策や企業の意思決定においてトレードオフの考え方はよく利用されるから、基礎的な理論を知っておいて損はないと思う。読み物としてもおもしろい。また、トレードオフは考え方としては、分かりやすく便利だが、現実に当てはめるとなると、かなり恣意的なものになる危険が大いにあることも本書から理解できる。国土交通省がやってる道路の費用便益分析がいい例。便益が費用を上回るようにつくられているから、どの道路もつくったほうが社会全体の厚生は高くなることになる。なお、経済学は基本的には、この社会全体の厚生を最大化することしか考えていない。そのため、田舎に職がなければ都会に引っ越せばといった「人でなし」の発言がでる。つまり、「人でなしの経済理論」は、トレードオフに限ったことではない。
2009年7月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
あえてクセ球の邦題をつけなくても「資源の最大利用」「利益衡量の基準」「外部ネットワーク性」など極めてまっとうな内容である。たぶん学術的、教科書的なタイトルをつけると売れ行きに不安があるので山形・訳(これは相変わらず絶妙でとてもわかりやすかった)でひねった書名にしてしまったのであろう。内容、翻訳は平均を超えた球速を持っているのに変化球勝負で打たれたしまった時の捕手とベンチ、つまり編集者や出版社側のリードミスといった感じがそこはかとなく漂う・・・。
2009年9月27日に日本でレビュー済み
学部の演習で原書を使って教えていたが、訳本が出たのでこちらに切り替えた。
内容は非常に面白く、原著の文章も良い。
医療経済学と法と経済学のイントロダクションとしてお勧めである。
しかし、翻訳に問題がある。
例えば、モラルハザードはモラルの悪化とは違うものを指すことは
学部レベルのゲーム理論の授業で教わる常識である。
Health Economicsを医療経済学でなく保健経済学と訳すのは、
間違いとは言えないまでも現在では一般的ではない。
日本語として読みやすい訳になっているのは評価でき、
出版社としてはあえて経済学の門外漢を訳者に選んだのだろうが、
もう少し経済学を理解している人に訳してほしかった。
「訳者あとがき」で「主観的価値と市場価値は独立しているけれど、
多分無関係ではない」とあるのを読んでのけぞってしまった。
経済学入門でwillingness to payと需要曲線の関係について習ったのを忘れてしまったのだろうか。
内容は非常に面白く、原著の文章も良い。
医療経済学と法と経済学のイントロダクションとしてお勧めである。
しかし、翻訳に問題がある。
例えば、モラルハザードはモラルの悪化とは違うものを指すことは
学部レベルのゲーム理論の授業で教わる常識である。
Health Economicsを医療経済学でなく保健経済学と訳すのは、
間違いとは言えないまでも現在では一般的ではない。
日本語として読みやすい訳になっているのは評価でき、
出版社としてはあえて経済学の門外漢を訳者に選んだのだろうが、
もう少し経済学を理解している人に訳してほしかった。
「訳者あとがき」で「主観的価値と市場価値は独立しているけれど、
多分無関係ではない」とあるのを読んでのけぞってしまった。
経済学入門でwillingness to payと需要曲線の関係について習ったのを忘れてしまったのだろうか。
2009年4月30日に日本でレビュー済み
トレードオフについて、実例を交えつつ学べる本。
たぶん、良書、おススメです!的な紹介はされないだろうけど、
経済理論というか、ある選択について考える際に、トレードオフという
切り口で、どのようにその因果を考えていけばよいのかというのの参考には
なると思う。
他の本もそうだけど、背景知識があった方が面白いだろうな、と。
分かりやすいしくだけた感じだけど、易しい本ではないかな。
たぶん、良書、おススメです!的な紹介はされないだろうけど、
経済理論というか、ある選択について考える際に、トレードオフという
切り口で、どのようにその因果を考えていけばよいのかというのの参考には
なると思う。
他の本もそうだけど、背景知識があった方が面白いだろうな、と。
分かりやすいしくだけた感じだけど、易しい本ではないかな。
2009年8月30日に日本でレビュー済み
費用と便益の関係、もっと砕いて書くと「得する人がいれば、もう一方で損を
する人がいる。さてそこでどう選択する?どっちを選ぶ」という意思決定の
方法=トレードオフの考え方を身近な例、しかし、社会通念上例えとして用いる
には、取扱注意(読み手の感性を試される、ということ)な事柄にて説明した
一冊です。例を挙げると・・・
・リコール費用と損害賠償費用−フォードの場合
・喫煙と禁煙
・臓器移植を個人の意思に任せるのか強制拠出にするのか
・お前の物は俺の物(ジャイアニズムだ(笑))−著作権の場合
道徳やモラル・・・と言った、一見すると経済学(理論)とは無縁な事柄にも
それが応用出来るということ(極論すれば、世の中にある大多数の事象は、損得
関係が成立するので経済学の出番はそれだけ多いのです)を示した一冊です。
ソフトカバーで約200p。一トピック当たり20p前後。隙間時間でも十分読めます。
附:邦題は恐らく「ヤバい経済学」の柳の下を狙ったものなのでしょう。
ま、原題をそのまま訳すよりは、中身を伝えているとは思いますが、ちょっと
狙い過ぎの感も受けました。
する人がいる。さてそこでどう選択する?どっちを選ぶ」という意思決定の
方法=トレードオフの考え方を身近な例、しかし、社会通念上例えとして用いる
には、取扱注意(読み手の感性を試される、ということ)な事柄にて説明した
一冊です。例を挙げると・・・
・リコール費用と損害賠償費用−フォードの場合
・喫煙と禁煙
・臓器移植を個人の意思に任せるのか強制拠出にするのか
・お前の物は俺の物(ジャイアニズムだ(笑))−著作権の場合
道徳やモラル・・・と言った、一見すると経済学(理論)とは無縁な事柄にも
それが応用出来るということ(極論すれば、世の中にある大多数の事象は、損得
関係が成立するので経済学の出番はそれだけ多いのです)を示した一冊です。
ソフトカバーで約200p。一トピック当たり20p前後。隙間時間でも十分読めます。
附:邦題は恐らく「ヤバい経済学」の柳の下を狙ったものなのでしょう。
ま、原題をそのまま訳すよりは、中身を伝えているとは思いますが、ちょっと
狙い過ぎの感も受けました。
2009年4月15日に日本でレビュー済み
訳者も含めて露悪趣味バリバリだけど、トレードオフと言う概念の入門書です。
心お優しい人の前で、不用意に使っちゃうと、本当に人でなしと思われちゃうリスクがあるので、取り扱い注意かも知れません。
「解決策などない、あるのはトレードオフだけだ」と言う言葉の含蓄(そして、その限界も)を味わうために、お暇とお金のある方は、ご一読を。
心お優しい人の前で、不用意に使っちゃうと、本当に人でなしと思われちゃうリスクがあるので、取り扱い注意かも知れません。
「解決策などない、あるのはトレードオフだけだ」と言う言葉の含蓄(そして、その限界も)を味わうために、お暇とお金のある方は、ご一読を。