鬱病を軸として、精神分析と精神療法の没落と、薬物療法の台頭を、歴史的に描いている。そして、それでいいのかと疑問をなげかける。
今現在SSRIの問題が語られ始めている。そういう意味では予言的な書かなと。
遷延的うつと、難治性うつには治るということがあるのだろうかと。薬を飲み続ける維持療法しかないのか。それは今現場で投げかけられている問題だろう。
治る答えというものが見えないのが現在なのである。
今(2012.5.20現在)読んでも古いと思わない書である。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
薬でうつは治るのか? (新書y 160) 新書 – 2006/9/21
片田 珠美
(著)
- ISBN-104862480675
- ISBN-13978-4862480675
- 出版社洋泉社
- 発売日2006/9/21
- 言語日本語
- 本の長さ223ページ
この著者の人気タイトル
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 洋泉社 (2006/9/21)
- 発売日 : 2006/9/21
- 言語 : 日本語
- 新書 : 223ページ
- ISBN-10 : 4862480675
- ISBN-13 : 978-4862480675
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,527,567位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 308位新書y
- - 2,328位ストレス・心の病気
- - 64,513位医学・薬学・看護学・歯科学
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
広島県生まれ。精神科医。連絡先 : freud@canvas.ne.jp
大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。京都大学非常勤講師(2003年度~2016年度)。
精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析的視点から分析。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2012年5月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2006年11月14日に日本でレビュー済み
私は数年、薬を飲み続けている。
最初は少なかったが次第に多くなっており、著者の言う「薬漬け」状態なのかもしれない。
したがって、「薬で本当にうつは治るのか?」という問いかけには
うなずける部分も多い。
しかし、うつで苦しんでいる人を救っているのもまた薬なのである。
薬は諸刃の剣だと思う。
著者の言うようにすべてを精神分析で処理できるほど
うつ病は生やさしくないと思う。
むろんSSRIなどをめぐる製薬会社の戦略は承知の上で、
私は薬を飲み続けるだろう。
「薬を減らすにはどうするか」をもう少し書いて欲しいと思わせる本だった。
最初は少なかったが次第に多くなっており、著者の言う「薬漬け」状態なのかもしれない。
したがって、「薬で本当にうつは治るのか?」という問いかけには
うなずける部分も多い。
しかし、うつで苦しんでいる人を救っているのもまた薬なのである。
薬は諸刃の剣だと思う。
著者の言うようにすべてを精神分析で処理できるほど
うつ病は生やさしくないと思う。
むろんSSRIなどをめぐる製薬会社の戦略は承知の上で、
私は薬を飲み続けるだろう。
「薬を減らすにはどうするか」をもう少し書いて欲しいと思わせる本だった。
2006年9月21日に日本でレビュー済み
著者の「精神科医が表面に現れた状態像だけに注目して、根底にある病理を見きわめようとせず、漫然と抗うつ薬を投与している現状は、しょせん対症療法にすぎず、慢性化という新たな壁にぶつかっている」という意見は、精神科医のうつ治療薬「SSRI」等の安直な使用と治療マニュアル偏重に警鐘を鳴らすものです。
精神科領域の薬は服用している患者が薬物依存となることがあるようですが、本書を読むと患者だけではなく、処方している精神科医がむしろ「SSRI」といった薬の薬物依存になっている印象を受けました。
現在、精神科医として臨床に携わっている著者の意見だけに大変説得力のある内容かと思います。
精神科領域の薬は服用している患者が薬物依存となることがあるようですが、本書を読むと患者だけではなく、処方している精神科医がむしろ「SSRI」といった薬の薬物依存になっている印象を受けました。
現在、精神科医として臨床に携わっている著者の意見だけに大変説得力のある内容かと思います。
2006年10月18日に日本でレビュー済み
私は精神分析に否定的なので,その辺を差し引いてこのレビューを読んで下さい.
たしかに,ウツを薬だけで治そうという試みには無理がある.筆者の主張することももっともだと思う.
しかし現実に,サラリーマンとして働いている人々の多くは,きわめて過酷な労働環境に置かれている.
心身に不調を訴えても,簡単には長期休暇を取れないし,ましてやメンタルな病気ということになれば,会社からは厄介者扱いされ,「できればクビにしたい社員」のリストに入れられてしまうのである.ひそかにクリニックに通い,向精神薬を頼りにするしかないのが現状ではないのだろうか?
薬ですべてが解決できるわけではない,その通りである.しかし,実際に過酷なストレスにされされている労働者にとっては,薬しか頼るものがないのも事実だと私は考える.
向精神薬への幻想は捨てなければならないが,かといって,ウツに苦しみながらも休むことも職場にカミングアウトすることもできない者はどうすればよいのか?
精神科医というフロントエンドに立っている著者だからこそ,もっと社会的な視点を持って語っていただきたい,というのが,現実に抗うつ剤と抗不安薬を毎日飲んでいる私の感想である.
たしかに,ウツを薬だけで治そうという試みには無理がある.筆者の主張することももっともだと思う.
しかし現実に,サラリーマンとして働いている人々の多くは,きわめて過酷な労働環境に置かれている.
心身に不調を訴えても,簡単には長期休暇を取れないし,ましてやメンタルな病気ということになれば,会社からは厄介者扱いされ,「できればクビにしたい社員」のリストに入れられてしまうのである.ひそかにクリニックに通い,向精神薬を頼りにするしかないのが現状ではないのだろうか?
薬ですべてが解決できるわけではない,その通りである.しかし,実際に過酷なストレスにされされている労働者にとっては,薬しか頼るものがないのも事実だと私は考える.
向精神薬への幻想は捨てなければならないが,かといって,ウツに苦しみながらも休むことも職場にカミングアウトすることもできない者はどうすればよいのか?
精神科医というフロントエンドに立っている著者だからこそ,もっと社会的な視点を持って語っていただきたい,というのが,現実に抗うつ剤と抗不安薬を毎日飲んでいる私の感想である.
2016年3月11日に日本でレビュー済み
精神病は脳の神経伝達物質の乱れと現在の精神医学では原因とされていますが、それはあくまでひとつの仮説であって絶対的なものではないはずです。
しかし、今の精神科医はあたかもそれが原因とみなしてる様に感じます。全員がそうではないかと思いますが。
外部と本人との摩擦に要因があるかもしれないのに、そこはまったく解決しようとせずただ薬出してお終いという治療をしてる医者もいるらしいので気をつけたほうがいいと思います。
しかし、今の精神科医はあたかもそれが原因とみなしてる様に感じます。全員がそうではないかと思いますが。
外部と本人との摩擦に要因があるかもしれないのに、そこはまったく解決しようとせずただ薬出してお終いという治療をしてる医者もいるらしいので気をつけたほうがいいと思います。
2007年1月12日に日本でレビュー済み
私は鬱になって19年くらい経ちます。一人息子を産み子育ての最中からずっと神経内科を渡り歩いています。今通っている病院は7つ目です、どこの病院へ行っても必ず治るとSSRIと抗不安薬それに不眠のため眠れる薬を貰っています。鬱になる原因が脳内のセロトニンが出ないことだといわれていますが、其れだけではないと思うのです。私の場合は19歳の頃に妊娠中絶を無理やりにされそれ以後心の中から本当に笑えなくなってしまいました。人に相談すれば良いという問題と相談しても消えない心の闇があると思います。今貰っている薬では体をごまかしても心は救えないと思います。今私は45歳になりますが大人になったから乗り越えられる問題と乗り越えられない問題があると思っています。
2006年10月4日に日本でレビュー済み
増え続けるうつ病に誰もが感じていた疑問、「うつの社会化」と書かれているような精神医療の変遷がわかる。「うつ」もアメリカ流に商品化されていくのかもしれない。薬の問題を取り上げつつ、それを通してうつとは何かをよく考えさせられる本で、うつ病の人よりも医師がこっそり読んでおくべきかもしれない。筆者が得意と思われる精神分析の思考も取り入れられている。社会現象の解説がテーマだと思うが、薬の開発の歴史もちょっとマニアックみたいだが面白い。
2011年6月19日に日本でレビュー済み
著者は臨床経験も真摯に取り組まれたことがあると思われる精神医学の教授であり、某タレント精神科医の著書とは一線も二線も画する見識をもたれています。従ってDSM、イミプラミン、プロザック等の専門用語がすんなり分かる程度の中級以上の鬱病経験者向きと言えるでしょう。
DSM-3によって「心の病気」から「脳の病気」へ、あるいは抗鬱薬の効く症状を「鬱病」とする見解ができ、それがある種のドーピングとも言える「精神の賦活薬」とまでになったSSRIに警鐘を鳴らしています。そこまでいかなくとも(しかし日本においても事件の背後にこれら薬物が関与しているらしい)、SSRIは精神のアスピリンであり、飽くまでも対処療法に過ぎないということは充分に心すべきことと思います。そういう意味では星1個のレビューを書かれた没落貴族さんの、労働環境が薬物依存を強いるという意見も現実問題としては理解できるのですが、これは根本的な治癒には至らずいずれ取り返しのつかない状態に陥ることを「退職した私」には痛感されるのです。
主題からは離れるのですが、P-31に鬱病の遷延化の要因がリストアップされています。私はこれに該当しますが、これらは「薬の作用によって変えることはできない」とされ「いわば<純然たるうつ>ではない」と書かれています。しかしP-59の記述からすると心因性うつ病に該当するのですが、暗にこれは抗欝薬が有効な症状の範疇に入れられているように読み取れます。このあたりの矛盾するような概念の整理を期待したいところです。
最後に私自身の欝経験を述べます。4年間の三環系抗欝薬服用後1年ほどの寛解を経てSSRIを4年飲んでいます。知人には状況が変わらなくとも歴然と効果があったという人がいるので、私の場合薬の効かないタイプだったのでしょう(眠剤は大いに助かりましたが)。しかし何故か1週間前から酷いふらつきがでて独断でSSRIを中止しました。現在かなりふらつきは治まりましたし問題のある離脱症状はでていません。精神科医にとってもまだまだ薬について分かっていないことが多いのでしょう。
DSM-3によって「心の病気」から「脳の病気」へ、あるいは抗鬱薬の効く症状を「鬱病」とする見解ができ、それがある種のドーピングとも言える「精神の賦活薬」とまでになったSSRIに警鐘を鳴らしています。そこまでいかなくとも(しかし日本においても事件の背後にこれら薬物が関与しているらしい)、SSRIは精神のアスピリンであり、飽くまでも対処療法に過ぎないということは充分に心すべきことと思います。そういう意味では星1個のレビューを書かれた没落貴族さんの、労働環境が薬物依存を強いるという意見も現実問題としては理解できるのですが、これは根本的な治癒には至らずいずれ取り返しのつかない状態に陥ることを「退職した私」には痛感されるのです。
主題からは離れるのですが、P-31に鬱病の遷延化の要因がリストアップされています。私はこれに該当しますが、これらは「薬の作用によって変えることはできない」とされ「いわば<純然たるうつ>ではない」と書かれています。しかしP-59の記述からすると心因性うつ病に該当するのですが、暗にこれは抗欝薬が有効な症状の範疇に入れられているように読み取れます。このあたりの矛盾するような概念の整理を期待したいところです。
最後に私自身の欝経験を述べます。4年間の三環系抗欝薬服用後1年ほどの寛解を経てSSRIを4年飲んでいます。知人には状況が変わらなくとも歴然と効果があったという人がいるので、私の場合薬の効かないタイプだったのでしょう(眠剤は大いに助かりましたが)。しかし何故か1週間前から酷いふらつきがでて独断でSSRIを中止しました。現在かなりふらつきは治まりましたし問題のある離脱症状はでていません。精神科医にとってもまだまだ薬について分かっていないことが多いのでしょう。