「炭素会計」と題名に入れようと編集者に提案されたそうですが
本文中に「詳細は不明だが」(134頁)と書いてある通り
あまりカーボンアカウンティングについては触れられていないです。
京都議定書前後の炭素排出削減をめぐる政治経済学、時事放談といった趣の書ですね。
橋爪さん自体が思想・哲学に造詣が深い方なので、文明論的で、
工学的な技術論ではないことに注意です。
排出権取引は市場メカニズムを利用した取引ではありますが
削減目標を決め、合意を取り、そしてそれに従わせるという規範力が必要になります。
そこでアメリカの軍事力云々と書いてあるのは、
グロいというか何というか。
総じて、排出権取引というのはヨーロッパ的発想で
アメリカでにおいては、炭素排出という側面から私企業の生産工程が中央集権的に把握されて、
ましてや統制されるのは、
到底受け入れられないのではないかという印象を受けました。
アメリカでは経済活動は自由なままに、
炭素固定化技術で対応する路線で行くのではないでしょうか。
そのような印象を持ちました。
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「炭素会計」入門 (新書y 193) 新書 – 2008/5/1
橋爪 大三郎
(著)
- 本の長さ198ページ
- 言語日本語
- 出版社洋泉社
- 発売日2008/5/1
- ISBN-104862482600
- ISBN-13978-4862482600
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登録情報
- 出版社 : 洋泉社 (2008/5/1)
- 発売日 : 2008/5/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 198ページ
- ISBN-10 : 4862482600
- ISBN-13 : 978-4862482600
- Amazon 売れ筋ランキング: - 590,813位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2009年9月5日に日本でレビュー済み
CO2ガス総排出量=負の公共財を、世界は、人類は、国家間対立、世代間対立のことを考えて管理できるのか。これは、地球温暖化の本質的テーマである。
「炭素会計」とは、一般的に、事業活動におけるCO2等の温室効果ガスの排出量およびその削減量
をCO2に換算して、その事業を評価するしくみのことを指す。
本書では、「炭素会計」は、CO2排出削減のための手段として、特に、税・規制・取引に着目して、これらの手段を介して世界レベル(国家レベルで)統制的にCO2削減をめざす方法論を指している。
世界レベルの統制のためには、国家間対立の解消が必要となる。この点でも抜かりなく、世界に対して日本が取るべき態度についても本書では明示的に提言をしており、さまざまな立場の人々にレビューされる条件をクリアしていると思われる。
今後、こうした「炭素会計」を実現するためのプロセスや方法論の詳細について、喧々諤々の議論がされることと思うが、こうした議論を我々がキャッチアップするための「入門」として好適である。更には、今後の炭素会計の議論の動向に照らし合わせて、本書を何度も読み返し、新しい価値を発見するだけのポテンシャルを秘めている本だと思う。
「炭素会計」とは、一般的に、事業活動におけるCO2等の温室効果ガスの排出量およびその削減量
をCO2に換算して、その事業を評価するしくみのことを指す。
本書では、「炭素会計」は、CO2排出削減のための手段として、特に、税・規制・取引に着目して、これらの手段を介して世界レベル(国家レベルで)統制的にCO2削減をめざす方法論を指している。
世界レベルの統制のためには、国家間対立の解消が必要となる。この点でも抜かりなく、世界に対して日本が取るべき態度についても本書では明示的に提言をしており、さまざまな立場の人々にレビューされる条件をクリアしていると思われる。
今後、こうした「炭素会計」を実現するためのプロセスや方法論の詳細について、喧々諤々の議論がされることと思うが、こうした議論を我々がキャッチアップするための「入門」として好適である。更には、今後の炭素会計の議論の動向に照らし合わせて、本書を何度も読み返し、新しい価値を発見するだけのポテンシャルを秘めている本だと思う。
2009年2月14日に日本でレビュー済み
今となっては,洞爺湖サミットで日本が気候変動に関して世界をリードすることができなかったことは,記憶が薄れつつある.著者が提唱する「グリーン・ジャパン・イニシアティブ」も,空虚な印象を与える.
「炭素会計」が結局,単に排出権に代表されるようにマーケットの材料にされるだけで,本当に排出削減に役立つのかそのあたりの検証を期待して本書を紐解いたが,ただ単に日本が有利になるために何をすべきかということを繰り返しているだけ.グローバルな視点に欠けているように思える.
BRICs諸国はじめ,発展を維持したまま削減を進めるためには,日本の貢献が大きいと思うのだが,そのあたりのメカニズムを提唱するにおいて,本当に排出権が役立つのか疑問を感じているが,その疑問に答えていない.
「炭素会計」が結局,単に排出権に代表されるようにマーケットの材料にされるだけで,本当に排出削減に役立つのかそのあたりの検証を期待して本書を紐解いたが,ただ単に日本が有利になるために何をすべきかということを繰り返しているだけ.グローバルな視点に欠けているように思える.
BRICs諸国はじめ,発展を維持したまま削減を進めるためには,日本の貢献が大きいと思うのだが,そのあたりのメカニズムを提唱するにおいて,本当に排出権が役立つのか疑問を感じているが,その疑問に答えていない.
2008年8月3日に日本でレビュー済み
本書は京都議定書から洞爺湖サミットあたりまでの世界の動きがわかりやすくまとめられている.章立ても面白く,雑誌に発表した論文とそれの解説がペアになっていて,理解がしやすい.
炭素税率は環境省が提案しようとする1%に対して10%を主張している.ちなみにスウェーデンでは約18年まえから炭素税を導入し,いまでは1トンあたり100ユーロの税金をかけているが,この間,二酸化炭素排出量は減りながらも,GDPは上昇している.
本書では炭素会計が提案されているが,その実施は容易なこととは思えない.このほかに,1990年を基準年にした京都議定書に対して,ポスト京都議定書では,これまでに各国が排出してきた総量を基準に今後の排出量を決める案をだしている.これならば途上国にも公平である.
日本政府は本書で提案されているアイデアを吟味検討し,世界をリードして,地球環境危機を救ってほしい.
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本書では炭素会計が提案されているが,その実施は容易なこととは思えない.このほかに,1990年を基準年にした京都議定書に対して,ポスト京都議定書では,これまでに各国が排出してきた総量を基準に今後の排出量を決める案をだしている.これならば途上国にも公平である.
日本政府は本書で提案されているアイデアを吟味検討し,世界をリードして,地球環境危機を救ってほしい.